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災害に 〈攻め〉 の姿勢を
2018/01/26(Fri)
 1月26日 (金)

 1月17日、阪神淡路大震から23年を迎えました。
 関東のテレビ各局の現地の追悼集会中継は5時46分を前後してせいぜい2~3分でした。遠い過去の出来事になってしまったのでしょうか。

 1月17日付の神戸新聞を送ってもらいました。1面トップはま 「県の復興借金4386億円」 です。内容を紹介します。
「県は震災半年後の1995年7月、10年間の復旧・復興計画 『兵庫フェンイックス計画』 を策定 『創造的復興』 を掲げてインフラや福祉、防災など多岐にわたる事業を展開し、県の負担は2兆3前億円に上った。うち1兆3千億円を県債発行 (借金) で賄ったが、公債費 (借金返済額) が膨らみ、歳出が歳入を上回る 『収入不足』 を基金 (貯金) や新たな借金で穴埋めした。
 収入不足が1120億円に達した2008年からは、職員の給与や定数削減など11年間の行財政構造改革 (行改) に着手。18年度には、震災後初めて収支不足を解消する見通しだが、震災関連の借金残高は4386億円 (16年度決算)。」
 これが23年たった実情です。

 東日本大震災では、国は11~15年度を東日本の集中復興期間と位置づけ、復旧・復興事業の地元負担を実質ゼロにしました。阪神淡路大震災で被災自治体の財政がひっ迫した教訓が生かされたともいえますが、震災の借金に対する措置を今も求めている兵庫県に国が応える様子はないといいます。

 自民党政権が推し進めた行政改革によって全国の自治体の一般行政職員の総数は、1995年度の約117万人から2017年度には約91万人に減少しています。兵庫県はそのうえに2008年から行政改革を進めています。しかし東日本大震災が発生すると、被災地・被災者の痛みに共感できる分、人と物の支援を他の自治体以上に続けています。
 その状況を総務省が発表している 「東日本大震災に係る地方公務員の派遣状況調査の概要」 から見てみます。
 2017年4月1日時点で全国の自治体から派遣されている職員数は1782人です。内訳は、44都道府県から975人、20指定都市から195人、341の市区町村から612人です。
 さらに都道府県975人の内訳は、兵庫県は82人で、被災県から被災地市町村への派遣を除くとトップです。続いて、神奈川県79人、東京都22人の順です。
 指定都市195人の内訳は、神戸市6人です。
 市区町村612人の内訳です。兵庫県は25市区町村から42人です。東京都の107人、愛知県の60人に続きます。

 2016年に熊本地震が発生し、16年9月1日から17年3月31日までの間に、都道府県から319人、指定都市から120人、市区町村から1027人、合計1466人が派遣されています。しかし細かい内訳は不明です。

 東日本大震災の被災地に対する兵庫県の思いがあらわれています。この傾向は東日本大震災が発生後ずっとそうです。県独自の行革がつづく中にあっても無理をしながら支援を続けています。自分たちの経験を役立てることや、二次被害を最小限にとどめようという思いからでもあります。勝手な行動ではありません。
 職員派遣は総務省が全国の自治体に要請したものでもあり、全国からの派遣状況を見たなら兵庫県は震災関連の借金残高を抱えながらも無理をしている状況は明らかです。国は今からでも何らかの支援を検討してもいいと思われます。

 阪神淡路大震災、東日本大震災の教訓は被災地・被災者だけにとどめずに全国で活かし、第二次被害も含めて 「減災」 を目指していく必要があります。そしてその対策は、被災者だけでなく、救援活動、支援活動に携わる人たちへのフォロー、アフターフォローを含めてです。


 大阪府富田林保健所職員の男性職員は、2011年4月に続けて5月12~16日の予定で岩手県宮古市に派遣され、避難所を巡回する保健師らを車で移送する業務に従事していました。その最中の14日、宿泊先のホテルで頭痛を訴え、くも膜下出血で死亡しました。
 妻は公務災害を地方公務員災害補償基金に申請しましたが 「公務外」 と認定されませんでした。大阪地裁に訴訟しましたが地裁は過酷な勤務とは認めがたいと請求を棄却しました。
 その控訴審判決が17年12月26日、大阪高裁でありました。業務との因果関係を認め、原告側の1審大阪地裁判決を取り消し、公務災害と認定しました。運転業務に従事した時間自体は比較的短いとしながら、余震や津波への恐怖を感じる被災地で 「普段と比較にならないほどの強い精神的緊張を強いられる状況」 と指摘し、男性に高度な負荷がかかっていたとして死亡との因果関係を認めました。

 地方公務員災害補償基金や裁判所は、被災地で被る 「普段と比較にならないほどの強い精神的緊張を強いられる状況」 の精神的負荷を軽視し、労働時間の長短で判断しました。
 被災地で被る精神的負荷を軽視する対応では救援活動、支援活動の二次被害を防ぐことはできません。


 被災地の自治体職員はまだまだ過重労働のなかで頑張っています。
 17年11月8日の河北新報は、「<石巻市> 膨大な復興事業で疲弊 市職員の健康チェック強化」 の見出し記事を載せました。
 宮城県石巻市は、これまでも産業医や臨床心理士の面談で職員をフォローしてきましたが、精神疾患が原因の病気休暇取得者は全職員約2160人のうち2011~16年度に年間32~50人で推移。新たに発症する職員も後を絶たず、労働環境の改善には長時間労働の現状把握の徹底が必要と判断しました。
 時間外の超過時間の目安は、厚生労働省の資料を参考に健康へのリスクが高まる時間を設定。昨年度は時間外が月平均80時間を超えた職員が24人に上り、最長は月113時間でした。16年9月に再開した市立病院や、同年12月に新築移転した夜間急患センターの関係部署など復興事業に携わる職員が目立ちます。
 そのため9月から膨大な復興事業に追われる職員の働き方改革に取り組んでいます。過度な仕事量やストレスから体調を崩す職員が多く、健康状態をチェックする態勢を強化しました。担当者は 「適切な働き方ができるように各職場の意識を高めたい」 と話しています。
 長時間労働をした職員の所属長に報告を求める態勢を構築。時間外勤務が月100時間か2カ月の月平均が80時間を超えた職員が対象で、所属長が 「過度の疲労感」 「睡眠不良」 「精神的なプレッシャー」 の有無など体調や仕事量に関するチェック項目を確認して人事課に提出します。すると全職員のうち9月は16人、10月は13人が該当しました。
 人事課の冨沢成久課長は 「復興事業に関する過度なストレスや、仕事が進まない焦りで休むケースがある。長時間勤務者の体調管理を職場で徹底したい」 と話しています。

 被災地の他の自治体も同じような状況にあるとおもいます。


 もう一度1月17日付の神戸新聞です。神戸新聞社は15年、阪神淡路大震災の教訓と経験を次世代と国内外に発信する 「6つの提言」 を発表しました。災害への備えを 〈守り〉 と捉えず、社会の在り方を見直し、暮らし、生き方を創造する 〈攻め〉 の契機としようとする内容です。6つは、
  市民主体の復興の仕組みを確立する
  防災省の創設
  「防災」 を必修科目に
  住宅の耐震改修義務化を
  地域経済を支える多彩なメニューを
  BOSAIの知恵を世界と共有しよう
です。提言に基づき、被災地の現状と課題を検証しています。その中の 「市民主体の復興の仕組みを確立する」 です。

 ■市民主体の復興の仕組みを確立する
 ボランティア重要性増す
 被災地の復興は市民が主体となって手掛けていくべきだ。この考え方は阪神・淡路大震災後の東日本大震災や熊本地震の被災地でも主流となっている。
 阪神・淡路では、早く市民生活を再建するため、行政主導の再開発やまちづくりが進められた。だが、住民との意思疎通が十分とは言えない状況も生まれた。
 議論を重ねてきたが、23年を経て今なお課題は形を変え、残る。少子高齢化や東京一極集中など新たな課題も加わり、解決への道のりは容易ではない。
 復興の目標は日常を早く取り戻すことだけでなく、より豊かな暮らしを目指し、模索できる環境を整え、実現させていくことだ。
 それには被災者に寄り添う人たちの力が欠かせない。2013年には改正された災害対策基本法に国や自治体とボランティアとの連携推進が記されるようになり、地域で多彩な活動を展開するNPO法人やボランティアグループの存在は、重要性を増している。
 内閣府によると、全国で認証されているNPO法人は約5万2千団体 (昨年11月末時点)。都道府県別では、兵庫県は東京都、神奈川県、大阪府に次いで4番目の数を誇る。阪神・淡路をきっかけに設立された団体が多い一方で、震災から20年以上がたち解散も目立つようになってきた。
 代わりに、台頭しているのが一般社団法人だ。08年以降、NPO法人に比べて設立や報告の手続きが簡単なため急増。最大の課題だった資金集めについても、自由度の高い事業ができるため、活用する市民グループが相次ぎ、現在では1500以上が県内で活動しているといわれる。
 高まる市民力をどう復興に生かしていくのか。官が示した復興の道筋を、民がただたどる時代ではない。市民の声、意見を復興の基軸に。市民主体の復興の理念を根付かせよう。


 災害はいつ襲ってくるかわかりません。全国で災害を 〈守り〉 から 〈攻め〉 へと捉え返し、1次被害も2次被害も減災を目指していく必要があります。

   「活動報告」18.1.16
   「活動報告」17.10.11
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