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 「9条が 実は頼りの 自衛官」
2017/12/01(Fri)
 12月1日 (金)

 あるユニオンの合宿で、非核市民宣言運動・ヨコスカ ヨコスカ平和船団の新倉裕史さんの 「自衛隊員の実態」 についての講演がありました。講演の報告です

 安保関連法で自衛隊はどう変わったのでしょうか。
 以前は、自衛隊法第3条は 「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略と間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の維持に当るもの当たるものとする。」 でした。
 この中の 「直接侵略と間接侵略に対し」 が削除されました。
 そして第76条 (防衛出動) に二が追加されました。
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から脅かされる明白な危険がある事態」
 「他国に対する武力攻撃」 にも出動可能となりました。
 自衛隊が活動できる場所は、1997年のガイドラインでは非戦闘地域で、戦闘が予測される場所は含みませんでした。しかし2015年のガイドラインは現に戦闘が行われていない地域 (明日は行われるかもしれない地域) が含まれます。
 「国際平和協力法」 では国会の事前承認が義務付けられていましたが、「重要影響事態法」 には後方支援の抜け道があります。

 17年5月1日から3日、初めての 「米艦防護」 訓練が四国沖で行われました。米国補給艦 「リチャード・E・バード」 を日本のヘリ搭載護衛艦 「いずも」 (横須賀) と護衛艦 「さざなみ」 (呉) が参加しました。
 「米艦防護」 の法的根拠は、「安保関連法」 によって改訂された自衛隊法95条です。
 自衛隊法95条は 「現場の自衛官の判断で武器等を守るための武器の使用」、2項では 「現場の自衛官の判断で外国軍の武器等を守るための武器の使用」 が可能になりました。
 自衛隊は、国会決議不要、防衛大臣の発令不要、原則非公開の使い勝手のいい 「法的根拠」 を手に入れました。
 「武器等防護」 の範囲は、説明の仕方によって異なります。
 防衛官僚だった柳沢協二氏は、「私は、今度の新安保法制のなかで、日本にとって危険になる可能性が一番なのは、この問題 (武器等防護) だと思っています。」 と述べています
 17年5月2日の朝日新聞で政府関係者も 「自衛隊の現場ににとって、安全保障関連法の肝は米艦防護だ」 と語っていたと紹介しています。


 自衛隊の構造的門題についてです。
 自衛官の階級構成は、定員は、幹部45396人 (18.4%)、准尉4877人 (2.6%)、曹148461人 (56.8%)、士56426人 (22.8%) です。充足率は全体で91.7%、士では74.6%です。
 2014年7月1日の集団的自衛権行使を容認する閣議決定以降志願者は減少しています。
 自衛隊内部の自衛官募集に関する会議では、集団的自衛権行使容認の閣議決定が志願者の減少に影響していることが報告されています。
 また不祥事や懲戒処分が目立っています。


 兵士たちの戦争後遺症についてです。
 アメリカは徴兵制から志願兵にかえました。
 以前の選抜懲役法は29歳から26歳が対象でしたが69年に18歳から35歳に拡大されます。ただし、大学院生、科学者、教育、重要産業の技術者は徴兵猶予になりました。ベトナム戦争の時、徴兵拒否で起訴された者が25,000人いました。脱走兵は30,000人です。
 そこで73年1月に志願兵に切り換えます。志願理由の1位は奨学金、2位は医療保険です。
 イラク戦争は貧しい人々やマイノリティーに対する 「死」 の課税です。戦死者は黒人とヒスパニック系の比較が多く、彼らの多くは経済的困難から脱出するために入隊しています。(チャールズ・ランゲル下院議員)
 志願兵は不平等だと 「一般的兵役法案」 や 「徴兵制復活法案」 が出されましたが否決されました。
 2010年の兵士の自殺者は6,500人を超えました。2001年以降のイラク・アフガン戦争の戦場で死亡した兵士の数を上回ります。
 アメリカで自殺する元兵士は毎日18人です。(ニューズ・ウィーク2012.11.23日) また、毎日22人という主張もあります。(反戦イラク帰還兵の会発表 2014.11.11)

 自衛隊についてです。
 2002年5月8日、インド洋で海上自衛官が1か月143時間の残業で心筋梗塞で過労死しています。公務災害認定されました。
 インド洋・イラク派遣に関わる自衛官の死者数は、自殺56人、病死45人、事故死21人、不明2人で合計124人です。

 すでに自衛官の抵抗が始まっています。
 自衛隊の中途値職者 (依願退職者) の推移は、2004年1月の陸上自衛隊と航空自衛隊のイラク派遣前は3,000人台半ばでしたが、04年には4,000人を超え、05年5,000人弱、06年5,000人中半、06年7月に陸上自衛隊が撤退した後の07年には5,000人後半になっています。
 インド洋・イラク派遣に関わる自衛官の休職・依願退職者数は、精神疾患による休職は67人依願退職者791人です。

 2001年に海上自衛隊護衛艦がインド洋に派遣される時、自衛官やその家族からは 「戦争に参加するために自衛隊に入ったんじゃない」 という声が起こりました。
 インド洋派遣が命じられた自衛官は配置転換 (補職替え) を希望し、2004年の今村参議院議員への国会答弁では52人が補職替えをしていました。派遣された隊員は5,630人です。

 任期制隊員 (男子) の志願理由です。(複数回答)
 2009年、リーマンショック後です。
 1位 自分の能力や適性が活かせる、2位 他に適当な仕事がない、3位 興味や好みに合っている 4位 心身の鍛練ができる、5位 技術の習得ができる、6位 給与、退職金がいい、 7位 国の平和に貢献したい (13%)、8位 災害派遣で貢献したい、の順でした。
 2014年です。
 1位 自分の能力や適性が生かせる、2位 国の平和に貢献したい(28%)、3位 興味や好みに合っている 4位 災害派遣で貢献したい、5位 国家公務員で安定している、6位 心身の鍛練ができる、7位 技術の習得ができる、8位 給与、退職金がいい、です。
 海外派兵に同意することが目的ではありません。「憲法9条があるから自衛隊に入ったという人は、かなりいます。」

 志願のきっかけは、広報官等による個別募集48%、自主志願24%、学校を通じて23%です。2012年は4割の高校、7割の大学・短大で学校説明会が実施されています。


 では市民に何ができるでしょうか。
 戦争後遺症の原因に、モラルインジャリー (良心の呵責障害) やPTSD (心的外傷ストレス障害) などがあります。
 モラルインジャリーは、自分の道徳心に反したことをしたときに起こる障害です。戦争の過ちに気づいたときに生まれる苦しみです。軍病院の医師やカウンセラーは、戦争や軍の作戦の過ちを認めることはないから治療は困難です。この苦しみは 「償い」 をすることでしか回復しません。ここに平和運動が果たしうる役割があります。
 11年1月28日、海上自衛隊の護衛艦 「たちかぜ」 の乗務員が “いじめ” が原因で自殺しました。海上自衛隊横須賀地方総監部は、乗員190人に艦内でのいじめについて尋ねる 「艦内生活実態アンケート」 を実施しました。そしていじめはなかったと結論づけます。
 裁判でアンケートの存在を聞かれると 「破棄した」 と説明していました。一審裁判で遺族は敗訴しました。遺族は控訴しました。
 12年、1、2月頃、訴訟を担当する総監部法務係員の2尉がアンケートなど関連資料を見つけました。すると元指定代理人の3等海佐が、アンケートは存在すると原告弁護団に連絡をとりました。
 そのことを報じた新聞の見出しは 「元指定代理人現役自衛官が内部告発」 「文書隠し実態証言」 「『にうそつけない』 隠蔽体質、改善求め・・・」 です。モラルインジャリーからの 「償い」 による回復です。
 PTSDは、死を意識するような強い体験によって心理的なトラウマ (外傷)が 生じ、特有な症状を生じる障害です。

 ヨコスカ ヨコスカ平和船団は、母艦の近くに船を出して大きくホットラインの番号をかかげて相談を呼びかける活動を続けています。
 全国の他の団体もイラク派兵の時など、何度かホットラインを開設しています。
 2015年に北海道で開設したホットラインには80数件の相談が寄せられました。
 横須賀では2015年8月から9月に第4次自衛隊―家族アンケートを実施しました。(17.11.1の 「活動報告」 参照)
 14年5月12日の朝日新聞の川柳欄に載った句です。
    9条が 実は頼りの 自衛官
 これが本音だと思います。

 では自衛隊をどうするか。
 内閣府の自衛隊・防衛問題に関する世論調査の自衛隊が存在する目的については、災害派遣と国防の比較では、一貫して災害派兵が上回っています。(2015年は災害派遣81.9%、国防74.3%)
 自衛隊が今後力を入れていく面においても同じです。(2015年は災害派遣72.6%、国防69.6%)

 自衛官は入隊に際して自衛官の服務の宣誓をおこないます。
「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の指名を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを誓います。」
 ではどれくらい国のために闘う意思があるのでしょうか。
 2014年のギャラップ調査です。
 日本 ある10%、ない43%、わからない47%、ドイツ ある18%、ない62%、わからない21%、イギリス 27%、ない51%、わからない22%、フランス ある27%、ない44%、わからない27%、韓国 ある42%、ない50%、わからない8%、アメリカ ある44%、ない31%、わからない25%、ロシア ある59%、ない20%、わからない22%、中国 ある71%、ない23%、わからない6%でした。
 日本の わからない47%に何を語ているでしょうか。
 憲法9条が自衛官を守っています。だから憲法9条を変える必要はありません。


 後日、「日本国憲法と昭和天皇」 の講座に参加しました。
 配布された資料に詩が載っていました。

  骨のうたう
            竹内浩三

  戦死やあわれ
  兵隊の死ぬるやあわれ
  とおい他国で ひょんと死ぬるや
  だまって だれもいないところで
  ひょんと死ぬるや
  ふるさとの風や
  こいびとの眼や
  ひょんと消ゆるや
  国のため
  大君のため
  死んでしまうや
  その心や

  苔いじらしや あわれや兵隊の死ぬるや
  こらえきれないさびしさや
  なかず 咆えず ひたすら 銃を持つ
  白い箱にて 故国をながめる
  音もなく なにもない 骨
  帰っては きましたけれど
  故国の人のよそよそしさや
  自分の事務や 女のみだしなみが大切で
  骨を愛する人もなし
  骨は骨として 勲章をもらい
  高く崇められ ほまれは高し
  なれど 骨は骨 骨は聞きたかった
  絶大な愛情のひびきを 聞きたかった
  それはなかった
  がらがらどんどん事務と常識が流れていた
  骨は骨として崇められた
  骨は チンチン音を立てて粉になった

  ああ 戦場やあわれ
  故国の風は 骨を吹きとばした
  故国は発展にいそがしかった
  女は 化粧にいそがしかった
  なんにもないところで
  骨は なんにもなしになった

   「軍隊の惨事ストレス対策」
   「活動報告」 2017.11.1
   「活動報告」 2012..7.13
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