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本省庁の年間時間外労働363時間 (15年度)
2017/10/27(Fri)
 10月27日 (金)

 10月6日、厚労省は、「28年度過労死白書」 を発表しました。過労死白書は、「過労死防止法」 に基づいて発表されるものですが、それまでは、労働時間、労災認定状況等について個別に発表されてきましたが、ひとつにまとめられただけでも連関性をもった分析が可能になります。
 内容は、9月5日の 「活動報告」 で報告した、8月10日に厚生労働省が発表した2016年度 「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書」 の内容と似ていますので、視点を変えて公務員の問題に絞って検討をしてみます。

 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況についてです。
 国家公務員の2015年の超過勤務の状況は、「平成28年人事院勧告参考資料」 によると、全府省平均で233時間です。本省庁363時間、本府省以外では206時間です。本省庁とそれ以外で大きな開きがあります。
 調査は、15年中の全期間において超過勤務手当の対象となった者1人当たりの年間超過勤務時間数です。つまりは管理職等は含まれていません。月平均30時間はにわかには信じられません。

 地方公務員の年間時間外勤務時間は、総務省の 「地方公務員の時間外勤務に関する実態調査」 によると、全国平均158.4時間です。細かくみると、都道府県 (47団体) が150.0時間、政令指定都市 (20団体) 174.0時間、県庁所在市 (政令都市を除く32団体) 159.6時間です。対象は任期の定めのない一般職です。
 本庁については、全国平均219.6時間です。細かくみると、都道府県が223.2時間、政令指定都市234.0時間、県庁所在市198.0時間です。
 出先機関等では、全国平均118.8時間です。細かくみると、都道府県が105.6時間、政令指定都市144.0時間、県庁所在市117.6時間です。
 時間外勤務が多い職員の割合は、全国平均で、1か月あたり60時間超が2.8%、60時間超80時間以下が1.7%、80時間超が1.1%です。

 出退勤の把握方法です。
 全体として、タイムカード、ICカード等の客観的な記録25団体、任命権者からの現場確認30団体、職員からの申告44団体です。細かくみると、都道府県は、タイムカード、ICカード等の客観的な記録7団体、任命権者からの現場確認18団体、職員からの申告22団体です。政令指定都市は、タイムカード、ICカード等の客観的な記録9団体、任命権者からの現場確認5団体、職員からの申告6団体です。県庁所在市は、タイムカード、ICカード等の客観的な記録9団体、任命権者からの現場確認7団体、職員からの申告1タイムカード、ICカード等の客観的な記録9団体、任命権者からの現場確認5団体、職員からの申告6団体です。6団体です。
 職員からの申告による場合の申告の方法です。
 全体として、システムへの入力24団体、紙媒体への記載20団体です。細かくみると、都道府県は、システムへの入力13団体、紙媒体への記載9団体です。政令指定都市は、システムへの入力2団体、紙媒体への記載4団体です。県庁所在市は、システムへの入力9団体、紙媒体への記載7団体です。

 民間に対しては厚生労働省が客観的な掌握方法を指導していますが、官公庁においてはそれが実行されていません。年度内予算の執行との関係では時間外勤務手当が制限され、全額支給されるということがあり得ます。


 国家公務員の公務災害の補償状況です。
 各府省等は、脳・心臓疾患、精神疾患等に係る公務上外の認定を行うに当たっては、事前に人事院に協議を行うことになっています。その協議件数は、脳・心臓疾患は12年度9件、13年度6件、14年度6件、15年度7件、16年度5件です。精神疾患は12年度37件、13年度21件、14年度22件、15年度23件、16年度14件です。
 このうち公務災害の認定件数は、脳・心臓疾患については12年度7件 (死亡3件)、13年度5件 (3件)、14年4件 (1件)、15年1件 (1件)、16年3件 (2件)、精神疾患については12年度6件 (0件)、13年度16件 (5件)、14年10件 (2件)、15年5件 (0件)、16年5件 (3件)です。
 認定率の平均は、脳・心臓疾患が60%、精神疾患が36%です。

 16年度の状況を見ると、脳・心臓疾患は、協議件数は5件で認定件数は3件ですが、職種別では一般行政職の協議件数が4件、認定件数2件です。
 年齢別では協議件数が40歳代2件、50歳代で2件、認定件数は40歳代で3件です。
 認定件数における超過勤務時間数については、60時間以上~80時間未満1件 (1件)、80時間以上~100時間未満1人 (1件)、100時間以上1件です。
 常勤・非常勤別では3人とも常勤職員でした。
 精神疾患は、協議件数は14件で認定件数は5件ですが、職種別では、協議件数はすべて一般行政職です。認定件数では、一般行政職3件、公安職1件、医療職1件です。
 年齢別では協議件数が40歳代4件、認定件数4件、50歳代4件、1件です。
 認定件数における業務負荷の類型別認定件数は、仕事の量(勤務時間の長さ)2件、職場のトラブル2件です。勤務時間の長さは、100時間以上~120時間未満1件、140時間以上1件です。
 常勤・非常勤別では5人とも常勤職員でした。
 脳・心臓疾患、精神疾患とも、40歳代、50歳代に集中しています。


 地方公務員の公務災害の補償状況につてです。
 脳・心臓疾患についての受理件数は、11年度61件、12年度34件、13年度24件、14年度29件、15年度38件です。
 11年度以前の10年間は64件から41件の間でしたが12年度以降減少傾向にあります。
 地方公務員についてはこれ以上公表されていません。


 国家公務員、地方公務員とも実態とはずれがあると思われます。7月26日、中央省庁の労働組合でつくる 「霞が関国家公務員労働組合共闘会議 (霞国公)」 は 「中央府省等に働く国家公務員の第25回残業実態アンケート (2016年1月~12月の1年間) の結果について」を発表しました。(「28年度過労死白書」は2015年の調査結果です。)
 月平均残業時間は、34.1時間 (前年36.7時間) アンケート結果では、34.1時間で、前年の36.7時間と比較して2.6時間減少しました。年代別では、若年層ほど残業時間が多くなっています。昨年との比較では、30歳台が上昇 (49.7時間)、他の年代は減少しています。

 月平均の残業時間別の状況は、過労死の危険ライン (厚生労働省) とされる 「80時間以上」 が6.5% (前年9.0%)、とりわけ過労死の危険が高い 「100時間以上」 が3.1% (前年4.9%) です。
 国家公務員の労働時間は、法律で週38時間45分と定められていますが、法定外労働時間を労使間で協定する権利が奪われているため、無制限に時間外労働を強いられる結果となっています。人事院は、残業実態を改善するために、時間外労働の上限の目安として年間360時間 (月平均30時間) を目標に指針を定めていますが、この上限の目安時間を超えて残業している組合員等は41.4% (前年43.3%) です。

 休日出勤は 「休日出勤あり」 は56.7% (前年59.1%) と前年より減少しましたが、毎年6割前後が休日出勤を余儀なくされています。
 日数については、年間11日以上11.3% (前年11.6%)、さらに21日以上3.6% (前年3.5%) も存在しています。休日出勤に対して、代休または手当で100%補填されている割合は33.1% (昨年47.9%)、「手当も代休もない」 は28.8% (前年28.5%) となっています。

 残業の要因としては、「業務量が多いため」 が57.0% (前年59.5%)、次いで 「国会対応のため」 30.3% (前年29.4%)、「人員配置が不適切なため」 27.1% (前年29.1%)、「不合理な仕事の進め方のため」 18.3% (前年8.5%) が続いています。
 月平均残業時間が80時間以上の職員では、約半数の48.6%で国会対応が残業要因と答えています。

 超過勤務に対して、手当の支給実態をみますと 「全額支給されている」 49.7% (前年49.3%) です。支給割合別にみますと 「20%未満」 が2.7%、「40%未満」 が4.6%、「60%未満」 が10.1%となっており、「不払いがある」 者は、全体の41.2% (前年42.4%) となっています。

 中央府省の各当局は、毎週水曜日の全省庁一斉定時退庁日の設定等を実施したり、省庁毎に週一定時退庁日を設けたりしています。各府省での超過勤務改善の取り組み状況や定時退庁の状況についてです。
 政府が定めた定時退庁日に 「定時退庁出来ない」 とする者が20.7% (前年19.7%) と前年と比べて1.0ポイント上昇しています。「時々出来る」 の33.2%を含めると53.9% (前年52.4%) と、昨年より1.5ポイント上昇し、依然として半数以上が毎週の定時退庁が出来ない状況にあります。

 年次休暇の取得日数については、平均取得日数は11.8日 (前年11.9日) で取得率は59.1%です。これを取得日数別にみると 「10日以下」 が42.2%、「5日以下」 が15.3%です。


 現在の健康状態についてです。
 「不調である」 「薬等服用している」 「通院加療 中である」 という状態に置かれている人が33.9% (前年34.6%) となっています。年齢別では、30歳未満20.9% (20.0%)、30歳代29.2% (28.6%)、40歳代37.9% (39.0%)、50 歳以上47.2% (51.0%) と年代が高くなるにつれ健康に不安を抱えている者の割合が増える傾向にあります。

 過労死の危険を 「現在感じている」 2.7%(3.1%)、「過去に感じた」 26.3% (24.5%) を合わせた割合が29.0% (27.6%) に達しています。「現在感じている」 「過去に感じた」 を合わせた割合を年齢別にみると、30歳未満では15.1% (17.3%)、30歳代では29.6% (27.7%)、40歳代では34.2% (29.3%)、50歳以上では35.3% (35.4%) です。

 疲労や精神的ストレスを感じていると回答した人は全体で52.1% (58.1%) となり、原因として、職場の人間関係28.9%、仕事の量が多すぎる24.7%、業務 上のつきあい17.6%、通勤ラッシュ・長時間通勤16.9%、残業・休日出勤など長時 間労働15.2% が上げられています。
 「からだの具合が悪くて休みたかったが、休めなかった」 と回答した人は全体で47.1% (昨年47.8%) とほぼ半数の人が回答しています。


 長時間残業者 (月平均80時間以上) の実態 「月平均80時間以上の残業者」 は6.5% (9.0%) です。霞が関の職員・組合員34,000人のうち2,210人が、過労死ラインで働いていることになります。2,210人の残業となる原因は、「業務量が多い」 が81.3% (全体57.0%)、「国会対応のため」 が48.6% (全体30.3%)、続いて 「人員配置が不適切なため」 が34.7% (全体27.1%) となっており、いずれも全体平均を大きく上回っています。
 「現在過労死の危険を感じている」 と2.7%が答えています。霞が関には918人もの職員が、過労死の危険を感じながら長時間過密労働にさらされています。とりわけ、80時間以上では、11.8%が、現在過労死の危険を感じています。

 「業務において疲労やストレスを感じている」 は76.4% (全体52.1%) と多く、 その原因は、「仕事の量が多い」 が54.2% (全体24.7%)、「 残業休日出勤などの長時間労働」 が53.5% (全体15.2%) となっています。


 人事院の調査によれば、国家公務員の死亡原因のうち 「がん (40.1%)」、「自殺 (16.4%)」、「心疾患 (14.2%)」、「不慮の事故 (5.5%)」、「脳血管疾患 (4.0%)」 です。(平成26年度死亡者数等調査)。国家公務員の 「心の病」 による1か月以上の長期病休者が、3,389人 (全職員の1.24%) となっています (平成26年度長期病休者実態調査)。

 府省別では厚生労働省の厚生部門が残業時間が55.0時間で最も長く、同省の労働部門が45.3時間で2番目でした。同省がワースト1位になるのは4年連続です。
 調査に応じた同省職員の4割以上が「過労死の危険を感じたことがある」と回答しています。
 過労死ラインとされる月80時間以上の残業をした人は厚労省の厚生部門16.6%、経済産業省14.8%でした。要因は「業務量が多い」が57.0%で最多でした。


 少しづつ改善されてはいるようですがまだまだです。
 国家公務員の労働者が、“本物の働きかた改革”の模範となることを期待したいものです。

   「28年度過労死白書」
   「中央府省等に働く国家公務員の第25回残業実態アンケート」
   「活動報告」17.9.5
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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