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韓国の郵便労働者 年平均労働時間3364.8時間 (13年)
2017/11/07(Tue)
 11月7日 (火)

 9月12日のレイバーネットは韓国の過労死に関する記事を載せました。
 見出しは 「『月火水木金金金』 による自殺と過労死はOUT 30団体が集まり共同対策委を構成・・・懸案闘争と法制度改善活動を開始」 です。韓国でも過労死に対する対策が始まりました。記事を抜粋します。

 民主労総、過労死予防センター、健康権実現のための保健医療団体連合など、約30の社会団体が結合した 「過労死OUT共同対策委」 は9月12日、ソウル市中区貞洞フランチェスコ会館で発足式を開き、事業目標と活動計画などを明らかにした。
 対策委は 「月火水木金金金の労働を強要され、九老デジタル団地で、映画放送の製作現場で、郵便物の配達をしながら、運転しながら、過労で死んでいく労働者の行進が続いている」 とし 「OECD最長の労働時間、自殺率を記録する韓国の現実は 本当に絶望的でみじめだ」 とした。
 また 「週40時間という法定労働時間は、労働部の行政解釈と無制限労働を強要する労働時間特例、包括賃金制など各種の労働悪法で紙切れになって久しい」 とし 「法定公休日でも有給が認められない中小零細事業所の労働者たちは休むことができず、蔓延する包括賃金制によって低賃金長時間労働に苦しむ労働者は無償の労働まで強要されている」 と批判した。
 対策委は 「夕べがある人生」、「仕事と家庭が両立する人生」、「全国民の平等な休息権を保障する人生」 への大転換のために、四種類を要求した。△長時間低賃金労働即刻中断、△労働時間特例、包括賃金制など長時間労働を強要する労働悪法に対する国会次元の廃棄、△法定公休日・有給休日の法制化および労働時間二極化解消法案即刻通過、△週労働時間に対する行政解 釈廃棄と過労死に対する監督処罰強化だ。
 共同代表になった民主労総のイ・サンジン副委員長は 「これ以上くやしい死を放っておけず、労働者と市民社会が一つになって今日、さまざまな改革目標を確定した」 とし 「今日の出帆式は、これからの懸案闘争と制度改善闘争を含み、 積極的に元気良く活動することを決意する場」 と明らかにした。
 今後、対策委は 「過労死予防センター」 を中心として過労死、過労自殺に対する法律、医学相談支援体系疎通網を拡大強化する一方、労働時間短縮と予防補償のための法の制度改善を進める計画だ。過労死多発企業を選定し、定時退勤文化祭、言論寄稿など大衆キャンペーンも行う予定だ。

 韓国で過労死問題はマスコミで頻繁に取り上げられています。
 「月月火水木金金」 は日本の海軍の軍歌の歌詞です。そして長時間労働を容認する制度は日本とそっくりです。
 経済協力開発機構 (OECD) の16年8月発表では、韓国の就業者1人当たりの平均勤労時間は年2.113時間でOECD加盟国のうちで2位です。
 日本は、OECDに報告する厚労省の調査と総務省調査には大きな差があります。総務省調査では、一般労働者の年間総労働時間は2000時間を超えています。また産業別で大きな開きがありますが放置されています。


 韓国の郵便配達の労働者についての実態です。
 7月24日のハンギョレ新聞に 「郵政労組『配達人は機械ではない』 ・・・過労死根絶対策を求める」の見出し記事が載りました。記事を紹介します。
 全国郵政労働組合 (郵政労組) は22日、ソウル中区 (チュング) のソウル広場で 「全国郵政労働者総決起大会」 を開いた。全国8カ所の地方本部、248カ所の市郡単位の支部から1万3.000人余り (警察推算8.000人) の配達員が集まり 「過労死や突然死防止のための特段の対策を直ちに用意せよ」 と政府に求めた。配達員労働者たちは 「配達人は休みたい、労働時間を短縮せよ」 書かれたプラカードを持って 「配達人は機械ではない、不足人材を補充せよ」 と叫んだ。
 最近、配達員が過労死したり、自ら命を絶つ事件が相次ぎ、配達員の勤務環境を改善しなければならないという声が高まっている。郵政労組の主張によると、宅配量が増加し1人世帯が急増したことで、1日の配達の走行距離が80~100キロメートル以上の配達員が600人以上に達している。しかし人手不足のために大多数の配達員労働者は早朝5時に出勤して9時過ぎに退社する 「長時間重労働」 に苦しんでいる。
 状況がこうであるため、突然死・交通事故・自殺などの配達員の人命事故も相次いでいる。6日、京畿道安養市 (アニャンシ) 安養郵便局付近で同郵便局の集配員のW氏 (47) が自ら体に火をつけて命を絶った。郵政労組によると、今年だけで12人の郵政労組の組合員が過労死・突然死や焼身自殺で亡くなった。この5年間、長時間労働やストレスによって配達員70人余りが死亡しており、このうち15人は自殺だった。キム・ミョンファン郵政労組委員長は 「これまで私たち郵政労働者はこの仕事が天職だと思って死ぬほど仕事ばかりしてきた。しかし、死ぬほど仕事ばかりしたために我々の同僚たちが相次いで死んだ。過度な業務による過労やストレスが主な原因だが、郵政事業本部は死の行列の前で実効性ある対策を出せていない」 と批判した。
 郵政労組はこの日、「郵政事業本部糾弾決議文」 を通じて、未来創造科学部長官や郵政事業本部長は人材の補充など大統領の約束を履行し▽倒れる配達員を救い労働時間を短縮するため3600人余りの労働者を直ちに増員するよう要求した。また▽雇用労働部は配達員の過労死の根絶のための郵便局の特別労働監督を即時施行せよと決意した。
 配達員労働者たちは 「過労死」、「突然死」 と一文字ずつ書かれた氷を叩き壊すパフォーマンスを行った後、市庁駅から光化門 (クァンファムン) 広場など光化門通りを街頭行進した。


 「この5年間、長時間労働やストレスによって配達員70人余りが死亡しており、このうち15人は自殺だった」 に関する他の記事です。
 13年12月2日のハンギョレ新聞です。
 先月 (13年11月)、1か月に郵政本部所属の労働者3人が相次いで死亡したのだ。
 全国郵政労働組合 (郵政労組) と <集配人の長時間・重労働をなくす運動本部> (運動本部) はこれら労働者の死亡原因として、長時間労働から来る過労を指摘した。
 <社会進歩連帯> 付設の労働者研究所が2日に公開した 「集配労働者の労働災害や職業病の実態と健康権の確保策に関する報告書」はこのような主張を裏付ける。報告書は去る3~4月の1ヵ月間、正規職と非正規職の郵便配達労働者246人の労働実態を標本調査した内容を盛り込んでいる。調査の結果、郵便配達労働者は他の労働者に比べてはるかに長時間勤務をしながらも賃金は逆に少ない。 業務中に負傷する被災率も労働者の平均を上回っている。
 正規職郵便配達員の年平均労働時間は3364.8時間に達し、正規職労働者全体の平均労働時間 (2013年3月基準2226.5時間) より1138.3時間長かった。非正規職集配員の年間労働時間も正規職の郵便配達員と同じく3364.8時間だったが、これは非正規労働者全体の2127.4時間より1237.4時間も長い。物量が集中するお盆・正月などには一日の労働時間は15.3時間に及んだ。
 一方、賃金は逆に少なかった。年平均賃金を年平均労働時間で割った単位時間当たり平均賃金は、正規職郵便配達員の場合は9543.5ウォン、非正規職集配員の場合は6144.7ウォンだった。これは正規職全体の62%、非正規職全体の78%水準だ。
このような長時間・低賃金の労働環境は、集配員労働者たちの健康を蝕む結果を生んだ。調査の結果、筋骨格系疾患の症状を訴える集配員が74.6%に達した。10人中7人以上が症状を持っているという話だ。すぐに医学的な治療が必要な疾患が疑われる者も43.3%に及んだ。
 業務終了後の脱力経験を数値化した脱力点数も48.2%に達した。報告書は 「1日平均の配達物量である2.000通を実際の配達時間の6時間で割ると、11秒に1通ずつ配達しなければならない。郵便配達労働者が脱力に苦しめられるのは当然だ」 と指摘した。
 全国民主労働組合総連盟 (民主労総) のチェ・ミョンソン労働安全局長は 「配達員たちに最も多く見られる筋骨格系疾患の主要原因は、長時間労働だ。人員の増員と業務量調節を通して、休憩時間を確保するなどの努力が必要だ」 と述べた。


 15年8月20日の毎日労働ニュースです。
 郵政労組と新政治民主連合の国会議員は19日、国会で 『郵政労働者の重労働の実態と郵便収支の赤字構造対案摸索討論会』 を行った。提案者のソン・ポファ・良い政策リサーチ研究所長は 「郵政本部が経営収支の悪化によって人員を削減し、労働者が災害に遭っている」。「長時間労働で発生する労災事故を減らすためには、人員を補充しなければならない」 と提案した。
 国会・未来創造科学放送通信委員会のムン・ビョンホ・新政治民主連合議員が郵政本部から提出させた、郵政職・集配員の災害率と死亡率の内訳によれば、2010年から2014年までに郵政職公務員1.308人、集配員1.546人が業務上災害に遭った。郵政職公務員に含まれている集配員の人員を勘案すれば、5年間に1801人が災害に遭ったことになる。同じ期間に郵政職公務員24人、集配員26人が事故で亡くなった。郵政職公務員では事故よりも心臓まひ・脳出血などの疾患で亡くなったケースが多かった。集配員は同期間に交通事故で13人が死亡し、疾患による死亡事例 (9人) よりも多いことが分かった
 ソン所長は郵政業務従事者の労災頻度が高い理由として、長時間労働を挙げた。韓国労働研究院が2013年7月から11月までに職員5237人を対象にアンケート調査と深層面接を実施した結果、郵政労働者は法定労働時間より2.2時間多い11.03時間働いていることが明らかになった。回答者のうち47.2%が「1か月に3週以上は12時間以上の延長労働をする」と答えた。筋肉痛を経験した回答者は89.2%、腰痛を経験した回答者は24.2%に達し、長時間労働による疲労度が高く現れた。
 ソン所長は 「郵政労働者が長時間労働と過度な業務に苦しめられる問題を解決するためには、人員を補充しなければならない」 と主張した。郵政本部は郵便の物量と売上額が減ると直ぐに人員削減を実施した。郵政本部は情報通信の発達によって下落傾向が続くと予想して、リストラを実施した。
 昨年、郵政本部は正規職職員1.019人を削減した。OECDの主要国対比の郵政人員比較資料によれば、郵政本部の人員は絶対不足の状態だ。ドイツは郵政従事者1人当りに国民195人、オーストラリアは1人当りに724人を担当するのに対して、我が国は1人当り1163人を担当する。このような状況で郵政本部がリストラを実施し、郵政労働者の業務量が急激に増えた。
 ムン・ビョンホ議員は 「長時間労働は労災に繋がり、個人と家庭に致命的な被害を与える」 とし、「郵政本部はリストラで経営効率を図るよりも、すべての労働者の人間らしい暮らしを保障しなければならない」 と強調した。

 韓国の郵便事業は政府が運営しています。慢性的な赤字状況にあり、それを克服するために頻繁に人員削減が行なわれ、現場の集配員は土曜勤務や繁忙期の徹夜勤務を強いられています。
 業務量も増え続けています。昨今の日本のヤマトなど宅配便業界の状況と似ています。
 労働組合だけでなく市民団体も、例えば氷点下7度以下の時には配達を中止するなど郵政事業の労働者の立場に立った要請書を郵政本部に提出しています。


 韓国はなぜこのような長時間労働が許されているのでしょうか。
 1月12日の日経産業新聞で、策研究大学院大学の魏茶仁准教授は理由を3つ挙げています。
 1つ目は労働者に交渉力がない点。魏氏は 「企業の権限が強すぎて、契約社員は雇用主に何も要求できない」 と指摘します。2つ目は長時間労働に陥りやすい賃金構造。賃金が非常に低いため 「収入を増やすには残業するしかない。(長時間働いている人の) 多くは契約社員だ」。3つ目は上司が長時間労働を当然と考える企業文化にあります。こうした環境では、部下は職場に長時間いなくてはならないという圧力を感じます。
 長時間労働を受け入れる風潮では社会が持ちません。
 14年の韓国の合計特殊出生率は1.2とOECD加盟国の中で最も低く、日本の1.4をやや下回っています。13年の韓国の自殺率は人口10万人あたり28.7人で、OECD加盟国の中で最も高くなっています。残業は人々の生活満足度に負の影響をもたらすことが各種調査で示されています。


 エスニックジョークです。様々な民族の人が乗った豪華客船が沈没しそうになったとき、それぞれの乗客を海に飛び込ませるには、どのように声をかければいいか。
 日本人には 「みなさん飛び込んでいますよ」 と呼びかけます。
 韓国人には 「日本人はもう飛び込んでいますよ」 と呼びかけます。

 日本の労働者と労働組合は、みんなも残業をしているという意識を打破し、韓国の労働者に 「日本では長時間労働はすでに解消されていますよ」 といえる状況作りを急がなければなりません。

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