FC2ブログ
2018/08 ≪  2018/09 123456789101112131415161718192021222324252627282930  ≫ 2018/10
あらためて 「働きかた改革」 反対
2017/10/24(Tue)
 10月24日 (火)

 衆議院選挙の最終日の夕方、新宿バスタ前の立憲民主党の街頭演説会に行きました。
 枝野代表と福山幹事長が演説をするということで、主催者発表で8000人が集まりました。実数は半分、3分の1としてもすごい数です。雨の中、みな自主的に傘を畳んでいます。
 演説者の姿は終始まったく見えませんでした。それでも演説をしていると思われる方を向いて静かに聞き入り、拍手をします。よくある 「○○!」 コールもたまに起こりますが唱和されません。集まっている人たちは経験がないようです。国会前などとはまた違う人たちが集まっているようです。年齢層も10歳くらい若いように思えました。
 この現象は何なのでしょうか。
 安保法制の国会審議の時は国会前に大勢の人びとが駆けつけました。憲法が壊される、軍備が強化されるという危機感です。
 今回の選挙に人びとを駆り出させたのは閉塞感から解放されたいと脱出口を探していたのではないかと思われました。安保法制の強行採決などだけからではなく、この間の生活実感はずっとそうだったのでしょう。そのなかで、自分の思いが共有できる、期待できそうな候補者がやっと登場したという思いなのだと受け止めました。演説者の 「草の根の立憲主義」 は説得力をもって受け止められました。
 選挙結果は、希望の党は人を騙す、ひどすぎたということではありません。
 人びとの意識に変化が見られます。このことを見過ごすし、足し算・引き算で議論を進めるとこの先も見誤ります。

 希望の党の選挙公約には、その後言い変えられましたが、当初「生産性を向上させるため働きかた改革を推し進める」の項目がありました。希望の党は、安全保障の問題だけでなく、自民党と違いがありません。


 先日、使用者側が主催する「働きかた改革実行計画」の講演会に参加しました。講師はこの計画作成に深く携わった方です。講師は 「希望の党が登場した時には、このあと国会で働きかた改革法案を審議する時にさほどの混乱もなく通過すると安心しました」 とストレートに発言しました。しかし立憲民主党の登場でどうなるかどうなるかわからなくなりました。
 講演内容は 「働きかた改革実行計画」 ・働きかた改革法案の解説です。しかしその方向性に注視しなければなりません。
 労基法第三十二条は時間外労働です。
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
 2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
と謳っています。時間外労働は例外規定です。
 政府は、実行計画で現行の限度基準告示を法律に格上げし罰則によって強制力を持たせ長時間労働に歯止めをかけたと繰り返し主張しています。しかし実際のトーンは、逆に 「ここまで残業させても違法にはならない」 です。
 時間外労働の限度時間の月45時間、年300時間が通常となり、そのうえで特例が年間720時間、さらに一時的に事務量が増加する場合について、上回ることができない上限を設けています。上限は、2か月から6か月の平均で、いずれも休日労働を含んで80時間以内、単月では100時間未満で、特例は年半分を上まわらないようにするということです。
 上限を設けたという説明の中で労使協定の締結では下限が引き上げられる雰囲気がつくられていきます。
 企業は時間管理が複雑になります。これに対して政府は制度制定にコンサルタントを依頼するときは補助金を出すことを予算化しています。そしてソフト会社は制度を受け入れるソフトを開発して売り込みを開始しています。
 労働者を外部や器機に依拠してしか管理できない複雑な制度は、そもそも労働者保護の視点が欠落しています。

 月45時間は、厚労省の 「過重労働による健康障害を防ぐために」 の対策の中で 「健康障害のリスク」 が高くなるラインです。しかし改革といいながらそのラインを越えた、「月100時間未満」 以外はこれまでの通達等の内容を踏襲しています。健康障害を防止するものにはなりません。100時間未満にしても、精神障害の労災認定基準に照らして 「休日労働も含んで」 といういい回しになったということです。結局は労働者が労災申請をした時に認定されにくい限度を法律に盛り込んだだけです。
 そして、連合は、長時間労働に歯止めをかけたと主張しますが、政府が連合の要求を受け入れたのは当初の案の 「上限100時間」 に 「未満」 を加えさせただけです。

 働きかた改革実現会議は、当初は長時間労働を是正してワーク・ライフ・バランスを実現すると主張していました。しかし公表された 「働きかた改革実行計画」 には冒頭の 「働く人の視点に立った働きかた改革の意義」 のなかで 「長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結び付く」 と触れているだけでそれ以外には登場しません。
 働きかた改革は、ワーク・ライフ・バランスと相反します。長時間労働の是正の方向には向かっていません。
 さらに 「高度プロフェッショナル制度」 はまさしく過労死促進法です。「高度プロフェッショナル制度」 については反対意見が強まっています。


 しかし使用者が今回の改革で本気で狙っているのは拡大した裁量労働制の導入だといわれています。解説書やリーフレットにはわざとだと思われますが簡単にしか触れられていません。
 13年10月、厚生労働省労働基準局は 『平成25年度労働時間等総合実態調査結果』 を発表しました。時間外労働及び休日労働の実態、割増賃金率の状況、裁量労働制の実態調査を把握することを目的にしたといいます。調査対象事業場は都道府県労働局が無作為に選定しましたが、裁量労働制に係る事業場数を一定数確保するため、専門業務型裁量労働制導入事業場及び企画業型裁量労働制導入事業場を優先的に選定したといいます。11,575事業場を対象に、労働基準監督官が訪問する方法で、4月1日時点の実態を使用者から調査しました。
 裁量労働制についての調査結果です。
 専門業務型裁量労働制で労働時間の状況として把握した時間の1日の平均時間は、最長の者12時間38分、平均的な者9時間20分です。「法定休日労働あり」 の割合は、最多の者39%、平均的な者は21.9%です。4人に1人以上が法定休日に仕事をしています。年間、最多の者で8.5日、平均的な者で4.0日労働しています。
 企画業務型裁量労働制では11時間42分と9時間16分です。「法定休日労働あり」 の割合は、最多の者29.2%、平均的な者は17.2%です。年間、最多の者で5.8日、平均的な者で3.1日労働しています。
 かつて裁量労働制の導入に際して労働省は、みなし労働時間を定め、その分の賃金が支払われ、業務が早期に終了した時は労働者は労働時間を自由に使用することができ、その分生活にゆとりができると説明しました。実態は異なります。ザービス残業が放置されています。さらに現在は労働時間が長くなっています。
 裁量労働制が導入される時のうたい文句からはかけ離れた、労働者側が危険性を指摘した実態になっています。

 調査を踏まえて労政審で 「高度プロフェッショナル労働制」 と裁量労働制の審議が行われ答申がだされました。働きかた方改革では2つは一体のものです。
 企画業務型裁量労働制の対象業務が追加されました。例えば、「法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該顧客に対して販売又は提供する商品又は役割を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務」 は、つまりは営業です。
 かつて、派遣労働が開始された時、職種は限定されていました。しかしその後何度も法改正がおこなわれ、現在では禁止されている職種の方が極めて少なくなっています。企画業務型裁量労働制も同じ轍を踏む危険性があります。

 今年3月に制度が違法だと指摘された損保ジャパン日本興亜は、嘱託などを除く18.000人の職員のうち、入社4年目以上の総合系、専門系、技術調査系職員6.000人以上に企画業務型裁量労働制を導入していることが明らかになりました。対象外であるはずの一般の営業職にまで適用されています。
 一般の営業マンのノルマ達成のための残業を 「みなし労働制」 と扱い無償においやります。たんなる残業代の抑制でしかありません。違法性を指摘されて損保ジャパン日本興亜は廃止を決定しました。
 損保ジャパン日本興亜は働きかた改革を法案を先取りしたのではありません。このような “働かせ方改革” を企業は熱望しているのです。
 改革法案が通ると、このようなことが合法になりかねません。

 8月25日の 「活動報告」 でトヨタの改革を報告しました。
 トヨタ自動車は現在、企画・専門業務の係長クラス (主任級) 約1700人に裁量労働制を導入していますが、“自由な働き方” を認める裁量労働の対象を拡大する新制度を発表しました。7月末に労働組合に提示し、12月の実施を目指します。
 事務職や研究開発に携わる主に30代の係長クラスの総合職約7800人のうち一定以上の自己管理・業務遂行能力を持ち、本人が希望し、所属長、人事部門の承認がある者が対象です。非管理職全体の半数を占めることになります。
 残業時間に関係なく毎月17万円 (45時間分の残業代に相当) を支給し、さらに一般的に残業代を追加支給しない裁量労働制とは違い、勤務実績を把握して月45時間を超えた分の残業代も支払います。これまでの残業代支給額は月10万円程度でした。そのための原資は、以前すすめた人事・賃金制度の改革で浮いた分を充てるといいます。16年1月から、全社員約6万8000人のうち生産現場で働く約4万人の労働者の賃金体系を見しました。
 まさしく、月45時間の時間外労働を違法でないと居直り、労働者の自己責任として常態化します。

 さらに働きかた改革は個人事業主を増やして時間管理の放棄と人件費・「残業代の抑制」 をはかろうとしています。


 総選挙の最中の10月13日、小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長の福島市での街頭演説です。
「本来、賃上げ交渉を拳を振り上げてやるのは労働組合のはずですよね。しかしそれを今、国をあげてやっているんです。だとしたら何で労働組合は自民党を応援しないで野党を応援したままなのか。そして労働組合は連合が束ねていますが、本当に労働者の代表は連合ですか。
 私は違うと思いますよ。なぜなら連合の組織率は17%。何で17%の人たちが代表なんですか。今までそうだったから慣例的に代表としてやっているだけで、今の世の中の多くの労働者の代表だとは、とても言えるもんじゃないと思います。」

 小泉氏の演説は半分は正しいです。政府は労働者と労働組合を取りこもうとしています。 「100時間未満」 を受け入れたり、幹部が 「高度プロフェッショナル制度」 をボス交で勝手に了承する連合はすでに取りこまれています。
 政府は長時間労働を合法化するだけの働きかた改革を、政府主導で労働時間の短縮をやったと主張してきます。

 突然の解散で、働きかた改革の法案提出は遅れています。働きかた改革法律案要綱はアメとムチが混ざっています。
 しかし 「高度プロフェッショナル制度」 の了解を全国の労働者と労働組合が撤回させたように “ムチ” の箇所については絶対に認めない闘いを進め、労働者にとっての本物のワーク・ライフ・バランスを対峙し、人間らしい労働を追及していくことが必要です


   「活動報告」 2017.8.25
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
この記事のURL | 厚労省 交渉・審議会 | ▲ top
| メイン |