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マイナンバー制度 情報を利用するのは自分以外
2017/08/22(Tue)
 8月22日 (火)

 テレビのコマーシャルでマイナンバー制度に関するものが流れています。忘れかけていた話題です。
 政府は7月18日から情報連携の試行運用を開始し、3カ月程度の試行を経て本格運用を予定していました。7月26の毎日新聞によれば、会計検査院はマイナンバーを活用して12~16年度にシステムを整備した官庁や医療保険者など計170機関を対象に個人情報をやり取りする情報連携システムの準備状況を抽出調査しました。その結果、システム設計の不備などから保険給付や保険料徴収といった一部の業務で情報連携ができず、少なくとも全国145機関で今年秋の本格運用開始が遅れる見通しであることが分かったといいます。
 情報連携とは、マイナンバー法に基づき、児童手当や公営住宅の入居、介護保険料の減免など1000以上の行政手続きで、住民側が提出する必要があった住民票の写しや課税証明書などの書類を省略することができるよう専用のネットワークシステムを用いて異なる行政機関の間で情報をやり取りすることです。マイナンバー制度の総合調整役は内閣官房です。

 不備が最も多く見つかったのは、厚生労働省所管の126機関 (90の国民健康保険組合、35の後期高齢者医療広域連合など) で各機関は、厚労省がまとめた設計図に基づきシステムを構築したが、保険給付などの手続きに必要な個人の所得を市区町村に照会しても、不動産譲渡や株式売却益などに関する一部の情報が提供されないことがテスト段階で判明しました。改修作業が必要となっており、18年7月まで連携開始が延期されました。不備の原因は、厚労省が業務を担う現場の意見を十分考慮しなかったなどといわれます。
 文部科学省所管の日本学生支援機構の奨学金貸与手続きでも連携開始は18年7月に先送りされました。
 年金機構の情報連携の開始時期は流出問題の影響で現時点で決まっておらず、農業者年金基金など計16機関が年金機構に対し、照会ができない状態です。年金機構と同時に情報連携を始める予定の国家公務員共済組合連合会も開始のめどが立っていません。


 マイナンバーのシステムは2002年に開始された 「住民基本台帳ネットワーク」 のシステムに “増築” したものだといいます。国民全員に11ケタの番号が与えられ住所、氏名、生年月日、性別の情報を自治体間で共有するために作られました。当時、1人分の情報は新聞の1面分を盛り込むことができるといわれました。
 マイナンバーは民間サービスの場でも使うため、情報が拡大します。


 住民側はさまざまな手続きに際し提出する必要があった住民票の写しや課税証明書などの書類を省略することができると便利さがあると説明されています。では逆に住民は集約されている自分の情報がどのような内容か知ることができるのでしょうか。出来ません。マイナンバー制度はさまざまな情報が集約される制度ですが、自分の知らないところで独自 (勝手) に管理されます。つまり情報を利用するのは自分以外です。一方通行のシステムです。
 ですから行政窓口で使用するマイナンバーカードを紛失したり盗難被害に遭っても実際の被害は限定的ですみます。しかし、マイナンバーの情報が流出されるとすべての個人情報が1人歩きをしてしまいます。


 マイナンバー制度は何のために必要なのでしょうか。所得をガラス張りにして公平な税制をめざすといわれています。国民財産の番号による管理です。
 預金者は18年から国に自分の銀行口座情報を告知することの義務化が検討されていました。政府は預貯金のナンバーリングを狙っていたといわれます。しかし18年からは任意で提出を求めることにかわり、21年以降に義務化を再検討することになっています。

 5月28日の日経新聞は 「マイナンバー、証券顧客の乱 『資産把握に?』 提出拒む」 の見出し記事が載りました。
 少額投資非課税制度 (NISA) の証券口座では18年9月までにマイナンバーの登録が求められ、提出がなければ18年から非課税の恩恵が受けられなくなります。しかしNISA口座は野村証券で5割、大和証券は2割しか集まっていません。資産状況を税務当局などに把握されると考え提出を拒む顧客が想定以上に多いといいます。公平な税務を目指すマイナンバー制度が政府の経済成長政策の 「貯蓄から投資」 の流れに水を差す事態となっているといわれています。
 証券口座は18年12月までにマイナンバーが必要で、登録しなければ19年から取引できなくなる可能性があります。日本証券業協会によると個人の証券口座は約2300万あります。
 投資家の証券口座がターゲットになりました。しかし、本丸の銀行口座は義務付けが決まっていません。
 日本における個人金融資産は1500兆円もあります。1人当たりの金融資産は1千万円を超え、アメリカに次いで世界第2位です。しかも、この個人金融資産はこの20年で急増しているのです。この個人金融資産の大半は一部の富裕層が握っていると見られています。
 マイナンバー制度を導入し、預金口座の紐づけが進めば、富裕層のそういう 「隠し資産」 が明るみになりますがそこには手をつけません。
 マイナンバー制度は公平な税務のためでもないようです。


 8月2日の毎日新聞に 「法務省 戸籍、マイナンバー導入へ 結婚や年金、謄本不要」 の見出し記事が載りました。
 法務省は、省内に設置された有識者らによる研究会が14年10月から戸籍事務でのマイナンバー導入を検討していましたが8月1日に法制審で議論のたたき台となる最終報告書をまとめました。マイナンバー制度の利用範囲を戸籍に拡大する方針を固め9月中旬の法制審議会総会で戸籍法改正について諮問し、19年の通常国会での戸籍法改正案の提出を目指すといいます。
 戸籍には親族関係や夫婦関係などプライバシー性の高い情報が記載されていることから、個人情報の流出や不正利用への対策が法制審での議論のポイントの1つとなるといいます。

 戸籍に関する個人情報は慎重で当然ですがマイナンバーに集約されている情報に入っていませんでした。しかしプライバシーが性の高いものがあるといわれると難癖をつけたくなります。
 難癖は、政府が他の情報を勝手に低いプライバシーと決めつけて流出の危機に曝すのを止めろという意味においてです。すべてのプライバシーを、現在の戸籍と同じように厳重な管理をしてほしいと思います。そのためにはマイナンバー制度の廃止です。


 政府は、大規模災害においては身元判明に役立つといいます。そのためには、DNAの登録が必要です。大震災後においては説得力をもちます。しかし何から何までの情報を集約しようとしているのを見ると恐怖を感じます。これが犯罪捜査に使われることはないのでしょうか。


 ではマイナンバー制についてどこが積極的なのでしょうか。
 15年10月30日の 「活動報告」 に書きましたが、15年10月14日、マイナンバー制度のシステム設計の契約に絡んで厚労省の情報政策担当参事官室室長補佐が収賄容疑で逮捕されました。厚労省のシステム設計や開発に関わる調査業務2件の企画競争にシステム開発会社が受注できるように便宜をはかった見返りとして現金を受け取っていました。室長補佐は、収賄がいわれるときは社会保障担当参事官室に在籍しています。
 開発内容は病院が持つ情報と連携させるシステム作りなどです。患者の病名、通院・入院の頻度の情報がマイカードに蓄積されるのです。システム設計が厚労省です。
 注意しなければならないのは、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療に関する法律による保険給付の支給、保険外の徴収に関する事務も含まれます。保険給付の支給は、人びとの健康状態の掌握が可能になります。

 これまで何度かかきましたが、マイナンバーとストレスチェックがリンクしたらどうなるでしょうか。漏れない情報などありません。
 15年12月から開始されたストレスチェック制度のチェック票には 「心身のストレス反応」 が導入されました。事業者によって労働者1人ひとりの精神状態に関する検査とデータ作成が合法的行えるようになりました。世界で初めてです。労働者は、第三者から 「心の管理」 が行われるのです。残念ながら法案作成から成立までの間に人権・人格、基本的人権、個人情報保護というような問題は議論に上がりませんでした。
 今後、「心身のストレス反応」 検査の合法化は前例となり、他のところでも第三者によって 「心の問題」 への干渉が悪用されていきかねません。
 世界的には人格権侵害、人権無視の行為であり得ないことです。

 ストレスチェック制度が開始された12月1日は、特定秘密保護法が完全施行された日です。
 20年オリンピックの会場に入るにはマイナンバーが必要だといわれています。何ためなのでしょうか。テロリストだけでなく精神疾患患者の排除だといわれます。そのために警察等が警備においてせっかく実施したストレスチェック票の 「心身のストレス反応」 を流用したいという考えが浮かんでくるのは必然です。これがいつからかストレスチェック制度導入の目的になっているのではないでしょうか。
 防衛省は、人びとの健康に関する情報は喉から手が出るほど欲しいです
 厚労省は、ストレスチェック制度では事業者でも労働者個人の情報を勝手に取得できないと説明します。しかし昨今のパソコンからの情報の流出状況を見ていると、完全に保護されている情報はありません。

 そして16年1月1日からマイナンバー制度がスタートしたのです。
 ストレスチェック制度もマイナンバー制度も必要ありません。
 「ただちに廃止!」 です。

   「活動報告」 2017.4.7
   「活動報告」 2016.11.18
   「活動報告」 2016.12.15
   「活動報告」 2015.12.8
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