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発達障害 常に誰かが働きかけを
2017/06/02(Fri)
 6月2日 (金)

 第20回のワンコイン講座は、就労支援の相談センターで働いている方から 「『発達障害』 (アスペルガー) をもつ人たちへの支援から見えてくるもの」 について話をうかがいました。 お話の中にはたくさんの具体例がでてきました。しかし個人情報保護の観点から公表できません。残念です。(内容は、障害解説ではありませんので、さまざまな症状が解説なしで出てきます)

 「アスペルガー」 をもつ人たちについては、社会性 (社会的相互作用) の障害として 「友達を作りたいのだが、うまく作れず、悩み苦しんでいる」 と捉えると彼らの気持ちに近くなるのではないかといいます。
 川崎医科大学精神科学教室の青木省三さんの論文からの引用です。
「一般的に広汎性発達障害の特質は、心理的、環境的な負荷が加わったときに際立ちやすい。すなわち、危機的なとき、緊張したときなどに、広汎性発達障害らしくなるように感じている。例えば、こだわり、強迫傾向などは、その人たちを苦しめる症状であると同時に、その人たちを保護する役割も持っているのではないだろうか。だからこそ、不安や緊張そして危機などの際に、その人の中にある広汎性発達障害的側面が際立ってくるのである。
 また、心理的、社会的なサポートを失う、仕事内容が複雑に変化し負荷が増加する、過剰な刺激や情報にさらされるなどの、環境の変化 (進級や進学、就職や転職、仕事内容の変化、1人暮らし、恋愛など) を契機として、従来の精神障害という表現型で発症することが多いように思う」

 コミュニケーションの障害についての捉えかたです。
「米国精神医学会のDSM-Ⅳ-TRの自閉症障害の項目、『発達の水準に相応した仲間関係をつくることの失敗』 『楽しみ、興味、達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如』 『充分会話のある者では、他人と会話を開始し継続する能力の著名な障害』 などを見ると、『失敗』 『欠如』 『障害』 ということばが続いている。診断基準であるからしかたがないことかもしれないが、そこに、その人の 『願い』 や 『思い』、『希望』 や 『可能性』 は出てこない。しかし、実際には、多くの広汎性発達障害の人の中に人を求める気持ちや自分を変えたいという気持ち、さらには人とコミュニケーションを持ちたいという気持ちが、大きいか小さいか、意識されているかどうか、適切な形かどうかは別として、存在することに気づくのである。『一人がいいです』 といっていた青年が、ふとしたことを契機に、『職場や学校に行きはじめる』 ことも稀ではない。」

 想像力の障害についての捉え方、配慮についてです。
社会性の障害とは、『友達を作りたいのだが、うまく作れず、悩み苦しんでいる』 と考えた方が、コミュニケーションの障害とは、『自分の思いを表現したいのだが、うまくことばにならず苦しんでいる』 と考えた方が、こだわりとか想像力の障害とは、『自分を変えたいと思うが、変わるのが怖い』 と考えた方が、広汎性発達障害を持つ人たちの気持ちに近いのではないかとおもうときがしばしばある」


 相談を受ける時の心構えです。
 絶対に相談の窓口を閉めてはいけません。
 時間については1時間以内にします。相談者も疲れてきて感情を乱します。
 ソーシャルサービス職場の安全体制・維持・管理が大切です。そうしないとスタッフのストレス・バーンアウトの源、業績悪化、トラウマ、機能低下、死・・・の原因になります。
 OSHA (米国の労働安全衛生庁 Occupational Safety and Health Administration) の調査ではソーシャルサービススタッフの職場における暴力経験は他職種の6倍弱というデータがあります。OSHAはガイドラインを発刊しています。
 スーパーバイザーの役割は重要です。
 多領域連携と協働体性の構築が必要です。そうすると一支援者、一機関では対処できない人たちに対してサービスを展開できます。それぞれ独自の専門性を発揮して、互いに異質の専門性を活用することにより、包括的・総合的支援を目指すことができます。


 発達障害者支援法は2005年に施行されました。
 第二条は、「この法律において 『発達障害』 とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」 とあります。
 身体障害、知的障害、精神障害の3障害には該当しないが、生まれながらに脳機能の障害を持ち、それゆえに社会生活を送ることが困難であって、特別な支援を必要とする人への支援をねらいとした法律です。

  「発達障害」 をもつ人に対する支援制度の効用と限界についてです。
 信州大学医学部付属病院の本田秀夫医師の講演からです。
「発達障害の人の雇用では、とにかく障害が見えにくいので、会社の側が本人の特性をなかなか理解してくれません。普通の人だと思われてしまうのです。障害者雇用されている場合ですら 『普通の人と変わりない』 と思われてしまったりするので、やはりそこに対して常に誰かが働きかけていく必要があります。
 会社は、基本的に学校と違います。学校にとって、発達障害がある人を受け入れる場合は、自分たちの事業の対象 (お客さん) として受け入れます。しかし会社が発達障害のある人を雇う場合、お客さんではなくて従業員です。『従業員にはきちんと働いてもらわないと困る』 という気持ちが、どこかにあるのです。
 したがって、いくら障害者雇用だとはいっても、会社側にメリットがないと受け入れは難しくなります。」

「会社に就職できたからといって、そこで頑張り過ぎてつぶれてしまうと、二次障害になってしまいます。会社に選んでもらうだけが就職ではなくて、自分にとって合った仕事をさがすという視点が大切です。やってみて、合わなかったら辞めていいという気持ちを持っておく必要があります。……
 なんのために仕事をするのかということを考えておくべきです。仕事をやって、お金を稼ぎ、余暇の生活を楽しむことが大事です。仕事に生活のすべてを賭けるようなことにならないよう、気を付けたいものです。」

「成人期の自閉スペクトラムの人の中には、非障害の方がいるのは事実です。そういうふうに育てていければ、それに越したことはない。でも、いまは非障害の状態であっても、やはり誰かしら相談相手を持ちながら、自分に合った環境をうまく選んでいかないと、つまづくリスクは必ずあります。それをわかっておく必要があります。
 そういう意味では、誰かに相談をしながらやっていくという習慣をきちんと持てているかどうかということは、命綱になっていきます。誰かに相談する姿勢をきちんと形成できるように気をつけておいていただければと思います。」


 もらった資料の中の一節です。広瀬宏之著 『図解よくわかるアスペルガー症候群』 (2008年ナツメ社) からです。
こうした体験が積み重なると、だれでも孤独感を深め、周囲に敏感になります。ささいなことにも過剰に反応して、それが反社会的な行動に結びつくこともあります。
 そうした反社会的行動は、周囲からはいきなり発生したように見えますが、本人の中ではそうではありません。数年にわたるストレスの蓄積の結果として生じるのです。
 また、何らかの問題行動を起こすまでの過程で、本人は繰り返しSOSを出しているはずです。しかし、それが周囲にはいきなり反社会的行動が起きたように見えてしまいます。
 子どもの反社会的行動を防ぐためには、子どもが普段から発しているSOSを見逃さないことが大切です。そして、障害のある子どもが問題のある行動を起こしたときは、子ども本人よりも、本人を取り巻く環境に目を向けることが必要です。
 障害に対する誤解や偏見をなくし、正しく理解し、子どもに正しく対応することが、障害のある子どもの非行や犯罪を防ぐためには何よりも大切なことです
。」

   「活動報告」 2012.10.30
   「活動報告」 2011.12.16
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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