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「職場ドック」 を職場のメンタルヘルスの1次予防に
2017/04/04(Tue)
 4月4日 (火)

 ストレスチェック制度が開始されてから1年以上が経過しました。期待と不信が混在していますが、会社の指示ということで何の疑問も持つことなく受け入れている人もいます。
 期待は、職場環境が悪いという診断や、いじめにあっている者がいるということが判ったら、会社は何らかの対応をしてくれるだろうという判断です。他力本願の思考ですが、効果があったという話は聞いたことがありません。不信は、すでに体調不良状態であるが隠している労働者があぶり出されるという危険視する判断です。

 本来のストレスチェック制度は、職場のストレスをチェックするもので、労働者個人の状況を掌握するものではありません。職場環境のストレスが解消されたら、体調不良におちいる原因が消去されたら、体調不良者は減少するというという捉えかたです。
 しかし、労働安全衛生法が改正され、具体的取り組みについての検討会が開催されると職場のストレスチェックは努力目標になり、体調不良者のあぶり出す手段になっていきます。(16年 月 日の 「活動報告」 参照)


 「予防医学」 には一次予防、二次予防、三次予防があります。予防医学は、病気を予防するだけでなく、疾病予防、障害予防、寿命の延長、身体的・精神的健康の増進を目的としています。
 一次予防は、生活習慣の改善、生活環境の改善、健康教育による健康増進を図り、予防接種による疾病の発生予防、事故防止による傷害の発生を予防することをいいます。
 二次予防は、発生した疾病や障害を検診などにより早期に発見し、早期に治療や保健指導などの対策を行ない、疾病や傷害の重症化を予防することをいいます。
 三次予防は、治療の過程において保健指導やリハビリテーション等による機能回復を図るなど、社会復帰を支援し、再発を予防することをいいます。
 メンタルヘルス対策は一次予防が重視される必要があります。未然防止は、具体的には長時間労働の禁止、過重労働の禁止、ストレス発生原因の解消などです。

 精神科医である荒井千暁医師は、著書 『職場はなぜ壊れるのか-産業医が見た人間関係の病理-』 (ちくま新書) で 「労働衛生の3管理」 を取り上げています。
「労働者が健康を害さないよう措置を取る 『労働衛生の3管理』 とは何か。『作業環境管理、作業管理、健康管理』 で、これについては順序が大切です。・・
 労働組合はこのことをもう一度自覚する必要があります。『作業環境管理、作業管理』 を抜きにして 『健康管理』 はありえません。」
 しかし運用されるストレスチェック制度は、この順序を無視して二次予防を目的にするものになってしまいました。
 ストレスチェック制度が本来の目的である職場のストレスチェックに役立てるというのなら、労働組合や職場の安全衛生委員会も関与して共同して改善につなげることもできますが、そのようなものではありません。


 本来のストレスチェック制度が役に立たないという中で、経験を積み上げて構築された 「職場ドッグ」 に取り組む職場が増えています。(15年10月2日の 「活動報告」 参照)
 研修会などでは大原記念労働科学研究所が発行した 『メンタルヘルスに役立つ 職場ドック』 が活用されています。取り組みの手順やツールの使い方、チェックリストなどが詳細に説明されていますが難しくありません。70ページにおよびますがかいつまんで紹介します。

 職場ドックは事後処理ではありません。船をドッグに入れて安全な操船ができるようにしていくことになぞらえ、健康状態を多面的にチェックして安心して日常生活を送ることができるようにする、労働者が自分の職場で働く条件について日常業務を離れてチェックし、可能な改善策を実施していく参加型職場環境改善です。重要なことは 「改善」 について特別な知識や技能を持たなくても、誰もが容易に参加し、すぐ実施できることです。
 進め方は、その職場にあった改善提案用のチェックリストを利用しながら、小グループに分かれて討論した結果を報告し合い、改善計画を職場ごとに独自に決めて実施していきます。すでにある良い実践例を話し合いながら、すぐできる改善を職場の創意工夫をいれて提案し合います。

 予防医学・職場のメンタルヘルス対策は、職場改善で事故や傷害の発生を予防するなどの1次予防、疾病の早期発見・治療などの2次予防、復帰支援・再発防止の3次予防があります。職場ドックは、2次予防の個人向けアプローチの効果が一時的、限定的になりやすいのに比べて、職場環境の改善を通したアプローチということでより持続的な効果をもたらします。

 職場ドッグは6領域で有効性を発揮します。ミーチィング・情報の共有、ON (仕事) ・OFF (生活) のバランス、仕事のしやすさ、執務室内環境の整備、職場内の相互支援、安心できる職場のしくみ、です。

 ミーチィング・情報の共有の領域の「同僚に相談でき、コミュニケーションがとりやすい環境を整備します」の具体的取り組み方です。
 なぜ取り組むかは 「仕事をスムースに進める上でとても大事です。仕事で困った時にも、同僚に相談でき、適切な支援を受けることができれば、それだけ問題解決が早くできるようになり、働きやすい環境になります」です。
 どのように取り組むかの具体的方法です。・すべて の従業員が参加して朝の短時間ミーティングをもち、その日の作業計画をお互いに確認し、疑問点があれば明らかにします。・社内報、日報、メーリングリスト、イントラネットなどの共通フォルダーや掲示板などを活用して重要な情報を共有する。などです。
 追加のヒントです。・元気のよい挨拶や、目線を合わせた声掛けなどで、日頃から打ち解けた交流が図れるように努めます。・職場のメンバーが仕事の上で交流しやすいように、職場のレイアウトを工夫します。などです。

 職場内の相互支援の領域の 「同僚に相談でき、コミュニケーションがとりやすい環境を整備します」 の具体的取り組み方です。
 なぜ取り組むのかは 「仕事で困った時も、同僚に相談でき、適切な支援を受けることができれば、それだけ問題解決が早くできるようになり、働きやすい環境になります。同僚に相談を持ちかけたり適切な支援を受けるための機械や仕組みを作っておくことが、コミュニケーションがとりやすい環境を整えておくことに大いに役立ちます。」 です。
 取り組み方です。・すべての従業員が参加して朝の短時間ミーティングをもち、その日の作業計画をお互いに確認し、疑問点があれば明らかにしておきます。・見やすいいちに置いた掲示板やホワイトボードを利用して、誰がその作業をやっているか 「見える化」 を行ない、同僚の業務内容がわかり、必要な場合にサポートしやすい環境を整えます。などです。
 追加のヒントです。・元気のよいあいさつや、目線を合わせた声かけなどで、日ごろからうちとけた交流が図れるよう努めます。・職場のメンバーが仕事の上で交流しやすいように、職場のレイアウトを工夫します。などです。

 安心できる職場のしくみの領域の 「ストレスへの気づきや上手な対処法など、セルフケアについて学ぶ機会を設けます」 の具体的取り組み方です。
 なぜ取り組むかは 「セルフケアについて学ぶ機会を設けることで心の健康に対して正しく認識し、より理解を深めるようにできるなることです。周囲の人々の心の健康について理解を深めることも期待できます」 です。
 取り組み方です。・セルフケアやリラクゼーションに役立つ情報を提供します。・セルフケアに関する研修会等を定期的に開催し、ストレスへの気づき、ストレスへの上手な対処法などについて学ぶことができる機会を設けます。などです。
 追加のヒントです。・研修では情報提供だけでなく実技や演習、グループワークを取り入れることにより受講者の関心を高め、具体的な実践や行動に結び付けることができるようにします。・職場や従業員の特徴や状況に応じて、集合教育などの方法を選択します。などです。

 好事例集もあります。
 いわれていることは難しくありません。しかし日常的に実行されているかと問われたら 「はい」 と答えられない状況があります。定期的に職場ドッグに取り組むことで、お互いに意見を出し合い、理解し合いあうと改善に結びつけることができます。
 メンタルヘルス不調者を出さないための安全衛生・予防医学の1次予防で、安心して働き続ける職場づくりに有効です。

   「活動報告」 2016.11.18
   「活動報告」 2015.10.2
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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