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時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導した事業場2,216
2019/04/26(Fri)
 4月26日 (金)

 4月25日、厚労省労働基準局監督課過重労働特別対策室は、昨年11月に実施した2018年度の 「過重労働解消キャンペーン」 の重点監督の実施結果を公表しました。
 キャンペーンにおける重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の 「使い捨て」 が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる8,494事業場に対して集中的に実施したものです。その結果、5,714 事業場 (全体の67,3%) で労働基準関係法令違反を確認し、そのうち2,802事業場 (33,0%) で違法な時間外労働が認められたため、それらの事業場に対して、是正に向けた指導を行いました。

 8,494事業場の事業場規模別の監督指導実施事業場数です。
 1~9人が2253、10人~29人が2931、30~49人が1282、50人から99人が975人、100~299人が800、300人以上が271です。
 企業規模別の監督指導実施事業場数です。
 1~9人が826、10人~29人が1369、30~49人が786、50人から99人が925人、100~299人が1515、300人以上が3073です。
 決して企業規模が小さいところが違法行為をおこなっているということではありません。むしろ300人以上の企業が36%を占めています。


 違法な時間外労働が認められたものについてです。
 2,802事業場において時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数についてです。
 月80時間を超えるもの:    1,427事業場 (50.9%)
 そのうち月100時間を超えるもの:868事業場 (31.0%)
 そのうち月150時間を超えるもの:176事業場 ( 6.3%)
 そのうち月200時間を超えるもの: 34事業場 ( 1.2%)です。

 賃金不払残業があった463事業場 (5.5%)
 過重労働による健康障害防止措置が未実施948事業場 (11.2%)です。

 違法な時間外労働が認められた事業場の業種です。
 製造業808、商業484、運輸交通業409、接客娯楽業243、建設業222、その他 (派遣業、警備業、情報処理サービス業等)247です。

 健康障害防止に係る指導として過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導した事業場は4932です。そのうち、時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導した事業場は2,216、月45時間以内に削減するよう指導した事業場は2,677です。

 労働時間の管理方法についてです。
 使用者が自ら現認することにより確認780事業場です。
 事業場でタイムカードを基礎に確認3,057、
 事業場でICカード、IDカードを基礎に確認1,712
 事業場で自己申告制により確認2,791でした。

 労働時間の把握方法が不適正なため指導した事業場1,362です。


 労働時間以外についてです。
 賃金不払残業の指摘された事業場数です。
 製造業75、商業104、運輸交通業44、接客娯楽業55、建設業48、その他52です。全体の5.5%で発生しています。

 健康障害防止措置 (衛生委員会を設置していないもの等、健康診断を行っていないもの、1月当たり100時間以上の時間外・休日労働を行った労働者から、医師による面接指導の申出があったにもかかわらず、面接指導を実施していないもの) についてです。
 製造業203、商業198、運輸交通業94、接客娯楽業154、建設業49、その他104です。


 労基署の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の 「使い捨て」 が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して14年度から実施されます。
 今年の具体例です。
その1 脳・心臓疾患を発症した労働者について、労働時間を調査したところ、労働時間の把握方法は勤怠 システムに各人が出退勤時刻と休憩時間を入力する自己申告制を採用しており、当該労働者についても一定の労働時間が申告されていたものの、同僚労働者への聴き取り等により、適正に自己申告 されておらず、実際の労働時間を把握できていないことが判明した。
 脳・心臓疾患を発症し死亡した労働者について、36協定で定める上限時間 (特別条項:月80時間)を超えて、月100時間を超える違法な時間外・休日労働 (最長:月134時 間) を行わせ、それ以外の労働者1名についても、月100時間を超える違法な時間外・休日労働 (最長:月219時間) を行わせていた。
 労働者について、定期健康診断 (1年以内ごとに1回) 及び深夜業に従事させる場合の健康診断 (6か月以内ごとに1回) を実施していなかった。

その2 労働者4名について、月100時間を超える時間外・休日労働 (最長:月127時間) を行わせていた。 また、労働時間の把握は、タイムカード及び作業日報に始業・終業時刻を打刻、記入することで行われていたが、タイムカード及び作業日報を確認したところ、法定の休憩時間を与えていなかったことが判明した。
 長時間労働を行った労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報について産業医に提供していなかった。
 18歳未満の年少者について、その年齢を証明する証明書を事業場に備え付けていなかった。

その3 労働者4名について、36協定で定める上限時間 (月45時間) を超えて、月100時間を超える時間外・休日労働 (最長:月195時間30分) を行わせていた。
 常時50人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、安全管理者、衛生管理者、産業医を選任 しておらず、安全委員会及び衛生委員会を設けていなかった。また、労働者に対して心理的な負担を把握するためのストレスチェックを実施していなかった。


 厚労省は、健康被害が生じるリスクが発生するとした月45時間を超える時間外労働を含む過重労働による健康障害防止のための総合対策についてなどさまざまな通達を出しています。しかし過重労働削減の方向には向かっていません。それよりも、「長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導」 は、それを行なったならば長時間労働を容認する、労災申請されても、意思の面接指導のときは大丈夫だったと反論する口実になっています。

 改善指導する事業場がなかなか減らないということは、現在の対応は実効性がともなっていないということです。


 この4月から働き方改革法が施行され、その中には労働時間に関するものも含まれています。そこでは、長時間労働を促進するものと、時間外労働月80時間と規制するものとをあわせもっています。政府と経済界は長時間労働を本気で改善しようとは思っていません。
 厚労省の仕事はデータを作成することではありません。そのなかから読み取れる問題点を改善するための政策を実行することです。


 「2018年度 「過重労働解消キャンペーン』」
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