FC2ブログ
2018/02 ≪  2018/03 12345678910111213141516171819202122232425262728293031  ≫ 2018/04
スポンサーサイト
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
「職場のハラスメント防止の法制化を」
2018/03/09(Fri)
3月9日 (金)

 3月2日、参議院会館において全国労働安全衛生センター連絡会議や職場のモラル・ハラスメントをなくす会、いじめメンタルヘルス労働者支援センターが呼びかけた 「職場のハラスメント防止の法制化を!! ~誰もがハラスメントを受けずに安心して働ける職場へ~」 集会が開催されました。
 国会議員や秘書、労働組合や運動団体など約100人が参加しました。
 厚生労働省からの 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 の経過報告に続いて大和田敢太滋賀大学名誉教授が 「今こそ、ハラスメント規制立法の制定を ハラスメント絶滅なくして、『働き方改革』は不可能」 のテーマで講演しました。その後、各団体からの体験をまじえた報告をうけました。
 大和田敢太滋賀大学名誉教授の講演です。

        ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 2002年にフランスで大規模な労働法改正が行われました。その時に 「モラルハラスメント」 の規定がおこなわれ、労働法と刑法に使用者や実行者への処罰規定や防止規定を導入した制度ができました。
 そのことから、セクシャルハラスメントについては以前からありましたが、ヨーロッパを中心にさまざまな国で立法化が進みました。これが一連の現状です。国際的状況について、特にEUを中心に資料を作成しました。
 当時、日本にはモラルハラスメントの言葉はなかったので、私は 「精神的ハラスメント」 と表現し、日本のいじめ問題をハラスメントと位置付けて発言をはじめました。それから16年を経て防止法制定について一堂に会して議論することになりました。当事者の皆さんがいろんな形で声を上げてきたことが大きいと思います。 
 
 今年6月にフランスで、1年おきにおこなわれる国際ハラスメント学会が開催されます。それにあわせて国際的なハラスメント防止対策やハラスメントについて紹介している論文集を出版しようという呼びかけがありました。8カ国くらいを対象にそれぞれの立法はどうなっているかの作業を進めています。
 編集者は、日本の法律の状況を説明してほしいと要請してきました。セクハラについてはあるが法律はないと現状をはなしたらびっくりしていました。

 厚労省が2012年に発表した 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」 は、当事者にガイドラインを示して自主的な解決を促すという内容です。個別企業にハラスメントを起こすなというだけでは不十分です。社会全体でのハラスメントは絶対に起こしてはいけないという合意、実現を提案していく、そのなかで個別企業もそれを前提としたハラスメント対策をおこなうということが必要です。なぜならハラスメントは構造的な要因から生じるからです。
 ベルギー政府の報告書には、ハラスメントはたまたま加害者の邪悪な心から起きる問題ではなくて、企業経営上の構造的な問題であり経営的な課題だとあります。
 「職場における暴力・ハラスメント」 は過労死と置き換えることもできます。過労死は社会的認識として企業経営上のさまざまな問題や構造的要因があるということで過労死防止対策法の立法規制はおこなわれてきています。同じように長時間労働や過労死・自殺とハラスメントの関係を考えると企業経営上の様々な問題や現在の社会状況に起因する構造的な問題だといえます。このように国際的な教訓として認識されるようになってきています。
 職場のアセスメントではないですが、ネルソン・マンデラは、南アフリカのアパルトヘイトという異常な暴力の中で迫害を受けましたが、最後はそれを克服して大統領となり、ノーベル平和賞を受賞しました。その教訓を世界保健機構の会議で、社会と政府・国家が暴力をなくすために努力することが必要だといっていました。

 労働者の健康とハラスメントをなくすためには、同じように社会全体の合意、そして国家が立法によって制度を作ることが今でこそ必要です。立法化は世界の常識です。
 なぜ、日本で立法化が必要なのでしょうか。1つは、この間、過労死事件が蔓延し、大企業の名前がたくさん登場しています。これらの原因としてハラスメントが横行しています。この状況はたまたま個別企業における特別の事由ではありません。いまの日本社会における働き方の問題、企業経営上の問題などさまざまな原因から発生しています。ですから社会的に規制することが必要です。経営的問題ということでは、EUではさまざまな統計を出しています。ハラスメントによって経済的生産性は1%から10%減少しています。それを克服すれば、企業の経済情勢は数字の上でも向上することになります。

 2つ目は、働き方改革の項目にはハラスメントも入っています。しかし今準備されている法案にはなぜか抜けています。本当の意味の働き方改革や自殺対策を進めるためには、ハラスメント対策を実効性あるものにする必要があります。
 最近、大企業のメーカーで製品の安全性の手抜き、検査偽装の問題が出ています。安全性軽視です。
 ハラスメントのなかに内部告発報復ハラスメントがあります。職場の労働者は何が安全対策かということについてはみな知っているはずです。しかし声を上げようとするとハラスメントに遭います。内部告発すると逆に配置転換されるとかのいろいろな不利益がおよんできます。公益通報者保護法はありますが要件は非常に厳しいです。そのため労働者は企業現場でさまざまな問題があっても報復を恐れてできないところに大企業における製品の安全性の手抜きの温床があるとおもいます。
 労働者が声を上げてもハラスメントされないという安心感を制度として保障すれば、現場で解決される問題は多いと思います。

 3つ目は、被害者を援助する社会的合意と制度が必要です。
 現在の国際的問題として、セクハラ被害をうけたハリウッドの女優が 「MeToo」 と声を上げています。個人的被害、あるいは有名税で仕方がないと思い込んで長い間あきらめていたのでしょう。しかし被害者がハラスメントと訴えて声を上げています。
 最近日本でもさまざまなハラスメントが30種類くらいあるといわれています。従来は個人的問題、自分の方に問題があったのではないかとあきらめていました。しかし人格や労働条件を劣悪化する、人格や権利を侵害するハラスメントであることが明らかになってきたことで訴えが広がっています。
 今のように法律がない状況では、労働者は被害を受けても安心して訴えることができません。それを援助する方向での社会的合意と制度が必要です。           

 厚労省の検討会においては、原点にさかのぼって、パワハラの根本的な対策としての法制化を検討する必要があります。
 パワハラについて狭い定義ではなく、包括的な定義が必要です。なぜならハラスメントは重複します。いろいろな経過があるなかで、例えば、セクハラと他のハラスメントが併合しているということがあります。
 外国では 「偽装ハラスメント」 が問題になっています。セクシャルハラスメントの被害者がセクハラだと訴えるのは勇気がいります。フランスでは、モラルハラスメントとして訴えられていても、裁判官は訴えられた内容について本当にそうなのか、もっと根本的なハラスメントが内在していないかをしっかりと見なければならないという判例があります。被害者はモラルハラスメントを訴えていても、実際のハラスメントは何かということを丁寧に検証する必要があるといっています。
 例えば、外国人や障碍者がハラスメントに、女性がセクハラにあった場合にどういうハラスメントとして訴えたたらいいのかという問題です。厚労省の解説書では、パワハラとセクハラが重なった場合は、セクハラで判断すると説明があります。セクハラは男女 機会均等法で法律的根拠があるためかもしれません。
 しかし細分化された定義だとその点に合致するかどうかは被害者が自分で立証する必要があります。しかもいろいろなハラスメントが重複した場合に、十分な保障がうけられません。厚労省の相談窓口も組織替えされて1つになりましたがまだまだセクハラとパワハラは別々です。総合的な相談窓口が必要です。

 そういう意味で、私の起案したパワハラの試案の定義は 「精神的・肉体的な影響を与える言動 (嫌がらせ行為) や措置や業務 (長時間労働・過重労働) によって、人格や尊厳を侵害し、労働条件を劣悪化しあるいは労働環境を棄損する目的・効果を有する行為や事実」 です。結果重視で意図は不必要です。
 昨年11月、最高裁は強制わいせつ罪の判決を出しました。わいせつ罪が成立するためには、加害者がわいせつ行為をするという意図は不必要で、結果を重視すべきとして認めています。
 ハラスメントは、加害者の目的や主観的立場を前提にすべきではなく、被害者の人格を侵害したり、職場環境を悪化させたという結果を重視して認めています。
 教育現場では「指導死」がいわれています。学校の教師が児童・生徒にクラブ活動などで指導といって無理難題を押し付けたことで自殺などに至った時は、いくら内容が指導であっても正当化・合理化されません。
 ところが企業社会では社員研修・教育の名がつくと何でも許されます。特に新入社員に仕事をおぼえさせるという名目で教育や訓練が行われています。その中で新入社員が不慣れな、あまり得意ではない業務にもどんどん業務が与えられ、オーバーワークになって過労死したという例もあります。ですから、厚労省の検討会においては、意図は不必要で結果を重視すべきであることを検証し、議論してほしいと思います。
 
 パワハラには外部からのハラスメントもあります。「お客様は神様です」 と消費者には逆らってはいけないというマニュアルが一部にあります。小売業者の顧客、あるいは鉄道の乗客、医療関係も患者からの暴力はかなりひどいです。従業員の尊厳と権利を守るようなために、このような問題もきちんとハラスメントのなかに取り込むことが必要です。
 定義で要件を厳しくすると、合致するかの立証責任は被害者が負いますが、被害者は普通法律の専門家ではないので立証は困難です。被害者が二の足を踏まないようにする必要があります。被害者が訴えられないのは第二次ハラスメントといってもいいです。
 被害者がハラスメントを訴えたことに対して、それがハラスメントではないという反証責任は加害者と名指しされた人、あるいは経営者・企業にあるというシステムに転換をはかるべきです。
 
 個別企業だけでハラスメントをなくす対策だけではハラスメントはなくなりません。社会全体でハラスメントがない社会をつくりあげるという大きな合意をつくるという方向で議論を進めることが必要です。

  「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
スポンサーサイト
この記事のURL | 厚労省 交渉・審議会 | ▲ top
| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。