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当たり前の生活ができる最賃に
2017/07/28(Fri)
 7月28日 (金)

 厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は25日夜、2017年度の最低賃金 (時給) の引き上げ額について、全国の加重平均で25円・3%上げるべきだとの目安をまとめました。現在の全国平均は823円です。実現すれば全国平均は848円になります。
 安倍政権は 「1億総活躍プラン」 で、毎年3%引き上げて全国平均1000円とする目標を掲げ、賃上げで景気浮揚を狙っています。今年3月にまとめた「働き方改革実行計画」にも同じ目標を明記しています。政府は企業への賃上げの呼びかけを続け、2020年までに「1000円」に引き上げることを目指しています。
 今年も物価や所得水準などの指標をもとに都道府県をA~Dの4ランクに分け、ランクごとに目安額が提示されまし。東京など大都市部のAランクは26円。Bは25円、Cは24円、Dは22円。この目安を参考に都道府県ごとに引き上げ額を決め、秋以降に順次改定されます。現在の最高は東京都の932円で、最低は沖縄の714円です。

 厚労省は、第2回の小委員会に資料を提出しました。今年の春闘の連合における妥結状況と高校卒の決定初任給です。
 連合調査の非正規労働者の春闘妥結状況は、時給の値上げ額は、単純平均は20.46円、平均時給965.13円、加重平均は21.29円、平均時給952.18円です。
 労務行政研究所による東証第1部上場企業と生命保険、新聞、出版でこれに匹敵する大手企業を調査対象にした高校卒の決定初任給は、事務・技術職一律166.231円、現業167.759円です。
 1か月の労働時間を8時間×21.75日 ((365日-104日) ÷12ヶ月) =174時間として計算すると
 平均時給965.13円×174時間=167.932円です。
 高校卒の決定初任給とほぼ同じ額になります。
 つまりは、非正規労働者の賃金は年齢や経験年数に関係なく高校卒の初任給とほぼ同じ額になります。
 しかし非正規労働者の賃金965.13円は労働組合に組織された労働者の平均で、最高の東京都よりも高い額です。これを非正規労働者の実態とみることはできません。
 最低賃金は都道府県によるばらつきのなかで各ランクのギリギリの賃金で働いている労働者も大勢います。


 海外ではすでに19世紀後半から最低賃金に関する法律が制定されます。
 理由は、賃金は労使の交渉によって決定されるべきで国家が介入すべきではないが、そうすると組織されていない労働者や家庭内労働などの労働者が低賃金のままに置かれるという事で該当しないということで最低賃金の決定機関が必要という声が大きくなっていきます。
 1928年、ILOは26号条約 「最低賃金決定制度の創設に関する条約」 を批准します。条約は、「団体協約その他の方法によって賃金をきめる制度が存在しない、あるいは賃金が非常に低い職業に従事する労働者を保護するため、最低賃金率をきめる制度を作ることを目的とした条約である。」 を目的としています。

 1970年、ILOは131号条約 「開発途上にある国を特に考慮した最低賃金の決定に関する条約」 を採択します。
 条約の目的は、
「最低賃金については、1928年の最低賃金決定制度条約 (第26号) や1951年の最低賃金決定制度 (農業) 条約 (第99号) があり、重要な役割を果たしてきた。しかし、第26号条約は賃金が非常に低い限られた産業や業種だけを対象にしたものであった。そこで、一般的に適用されるが、発展途上国のニーズを特に考慮した新たな条約を採択する時期がきたとして、本条約が採択された」
です。 規定としては
「この条約の批准国は、雇用条件に照らして対象とすることが適当な賃金労働者のすべての集団に適用される最低賃金を決定し、かつ随時調整できる制度を設置する。制度の対象集団の決定は権限ある機関が、関係のある代表的労使団体と合意または十分に協議して行う。
 最低賃金水準の決定にあたり考慮すべき要素には、可能かつ適当である限り、次のものを含む。
 1.労働者と家族の必要であって国内の一般的賃金水準、生計費、社会保障給付及び他の社会
  的集団の相対的生活水準を考慮したもの
 2.経済的要素(経済発展上の要請、生産性水準並びに高水準の雇用を達成・維持する必要性を含む)
  最低賃金制度の設置、運用及び修正に関連して、関係ある代表的な労使団体と十分協議する。」
です。
 日本の最賃制度は最賃とはいえません。


 終戦後、戦争中の賃金統制令がずっと残っていました。廃止されたのが昭和46年9月です。給与審議会ができますが、インフレと最低賃金の関係、公務員の賃金に適用したら財政にどういう影響を与えるか、最低賃金を決めるとしたら最低にするのか、標準にするのか、そういう議論が中心に議論がおこなわれます。しかし片山内閣のときの新物価体系による公定価格に入れる業種別平均賃金が出てきると、この議論は終わってしまいます。
 47年9月に労働基準法が施行されます。労働基準法の中に賃金委員会の規定があり、賃金委員会で最低賃金を審議することができる、その審議会に基づいて労働大臣が最低賃金を決めることができるという条文が入っていました。
 しかしGHQは、インフレで混乱している時期には最低賃金をやるのはあまり適当でないという意見を出したりしたこともあり、基準法ができたのですが、賃金委員会の条文だけは適用されませんでした。
 48年、経済9原則でインフレが収束すると最低賃金をそろそろ検討すべきではないかという意見がだされて50年に労働基準法および賃金審査会令による中央賃金審査会ができます。しかしその後も何段階かの議論をへます。

 戦後の賃金要求は生活給から始まりますが、能力給が登場し、毎年の賃金増が続くと産業間、企業間、さらに企業内においても個人間に格差が顕著になり、労使ともの課題になります。生活給的要素と能力給的要素をどう調和させるかが、最低補償的な要素を賃金制度の中でどう捉えるかが問題になります。
 総評は57年、「産業別最低賃金保障」 をうち出しますが中味は各企業でばらばらです。例えば、私鉄は年齢別最低補償・最低賃金18歳〇〇の要求で、おおよそ年齢30歳、勤続10年、扶養家族3人の基準時点に対する最低賃金を柱にして、年齢係数、勤続係数、経験係数、職格係数等を計算要素とした生活給賃金を要求しました。
 しかし中小企業などは置き去りになっていました。
 このようななかで最低賃金法制定の要求が大きくなり、57年5月に中央賃金審査会が再開され、59年、最初の最低賃金法が成立します。しかし業者間協定による最低賃金を認めていました。これはILO26条の決定機関に関する条項に抵触します。
 その後、ILOの国際労働基準を守れという労働組合の運動によってやっと1968年に最低賃金法が改正され、業者間協定は廃止されました。


 2007年11月28日、最低賃金法が改正されました。ワーキングプア解消を目指すため最低賃金を決める際、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことを明記し、9条には「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」 との文言も加えられました。
 この流れは、2009年に民主党政権になると加速しました。翌年、2010年6月に策定された政府の 「新成長戦略」 では、民主党のマニフェストに沿って、「最低賃金について、できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」 ことが決められ、2020年までに達成すべき最低賃金の水準として 「全国最低800円、全国平均1000円」 という目標が設定されました。
 これでも正規労働者と比べたら6割くらいの水準です。


 高卒初任給、現在の非正規労働者の平均時給、そして生活保護はほぼ同じ水準です。
 高卒初任給は、家族と生計を一緒にするか、会社の寮などに入った時に維持できる生活費です。独立して生計を維持できるものではありません。非正規労働者も同じです。ましてや非正規労働者が一家の大黒柱であったり、扶養家族を抱えている場合は生計が成り立ちません。
 それでも 「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」 ということは、働いている者の方が働いていない者の収入を上回るということでしかありません。
 フランスでは生活困窮者への扶助は 「積極的連帯所得手当」 ととらえられ、世代をこえてだれでも生活困窮者に陥る可能性がある、そこから這い上がるための支援も必要という “持ちつ持たれる” の共通認識があります。
 しかし日本では生活困窮者にも自己責任・自助努力を強制し、そこから這い上がることも困難にしています。日本の社会福祉政策の貧困さが最低賃金の水準も決定しています。

 現在の非正規労働者の平均時給965.13円が1000円になったとしてもILO条約の 「1.労働者と家族の必要であって国内の一般的賃金水準、生計費、社会保障給付及び他の社会的集団の相対的生活水準を考慮したもの や2.経済的要素(経済発展上の要請、生産性水準並びに高水準の雇用を達成・維持する必要性を含む)」 といえるものにはなりません。
 憲法第二十五条で保障されている 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。○2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」 は、最低賃金法にはおよびません。
 その結果、生活を抱える非正規労働者はダブルジョブ、トリプルジョブをおこなわざるをえず、必然的に長時間労働を強いられています。


 最低賃金法の議論が起きると必ずでてくる主張があります。
 1つは、中小企業は人員削減をおこなわなければならないか潰れてしまうというものです。しかし中小企業のためにそこで働く労働者は我慢しなければならないのでしょうか。現在ばらまかれている雇用に関するさまざまな補助金はそのようなものにこそ優先して給付される必要があります。
 もう1つは、生活費補てんのために働く主婦パートの時給はそう高くなくてもいいのでは、賃上げを望まない人もいるというものです。その人たちは働く時間を短くすればいいのです。
 3つ目は、正規職員の本音で、高くすると正規労働者の賃金に影響が出てくるというものです。時代錯誤と言える主張ですが、使用者が賃金を抑える理由として公然と登場し、正規と非正規労働者の分断をはかります。

 最近は 「今すぐ時給1500円」 の要求が掲げられています。
 年収では年間労働時間2000時間として、1500円×2000時間=300万円です。
 これでも労働者の平均年収の8割にもなりません。
 本来の“働きかた改革”はこのようなことにもメスが入るものでなければなりません。

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連合 「勝手に決めるな!」
2017/07/25(Tue)
 7月25日 (火)

 7月13日、連合の神津会長は安部首相と会談し、これまで反対の姿勢を表明してきた 「高度プロフェッショナル制度」 の創設を条件付きで容認する姿勢を表明したことを明らかにしました。そして3月ころから水面下で政府と交渉をつづけてきていたことも明らかにしました。
 「高度プロフェッショナル制度」 はいわゆる 「残業代ゼロ法案」 です (2015年2月17日の 「活動報告」 参照)。労基法を改正する法案は2015年4月に国会に提出されましたがこれまで一度も審議がおこなわれていません。

 労働政策にかんする決定・変更には必要な手続きとして政・労・使で構成される労働政策審議会での議論が必要です。
 「高度プロフェッショナル制度」 に関する労働政策審議会の建議は2015年2月13日に 「今後の労働時間法制等の在り方について (報告)」 として行われました。報告書から 「高度プロフェッショナル制度」 に関する部分を抜粋します。
「4 特定高度専門業務・成果型労働制 (高度プロフェッショナル制度) の創設
 時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応え、その意欲や能力を十分に発揮できるようにするため、一定の年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者を対象として、長時間労働を防止するための措置を講じつつ、時間外・休日労働協定の締結や時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した労働時間制度の新たな選択肢として、特定高度専門業務・成果型労働制 (高度プロフェッショナル制度) を設けることが適当である。
 なお、使用者代表委員から、高度プロフェッショナル制度は、経済活力の源泉であるイノベーションとグローバリゼーションを担う高い専門能力を有する労働者に対し、健康・福祉確保措置を講じつつ、メリハリのある効率的な働き方を実現するなど、多様な働き方の選択肢を用意するものである。労働者の一層の能力発揮と生産性の向上を通じた企業の競争力とわが国経済の持続的発展に繋がることが期待でき、幅広い労働者が対象となることが望ましいとの意見があった。
 また、労働者代表委員から、高度プロフェッショナル制度について、既に柔軟な働き方を可能とする他の制度が存在し、現行制度のもとでも成果と報酬を連動させることは十分可能であり現に実施されていること及び長時間労働となるおそれがあること等から新たな制度の創設は認められないとの意見があった。」
 労働者代表委員からは高度プロフェッショナル制度は認められないという意見が述べられたと明記されています。連合会長は 「方針転換ではない」 と力説しますがどう見ても大きな方向転換です。
 連合会長の容認の表明は労政審を否定し、「建議」 を愚弄し、実質的法改正の内容を国会以外で決定するものです。これまでも労政審は 「政・使・使」 で構成されていると揶揄されてきましたがそれをも飛び越えています。


 長時間労働を合法化する動きはこれまでもありました。
 98年9月25日、男女雇用均等法と労働基準法が改正されました。均等法では男女差別禁止の強化がはかられましたが、引き換えに女性労働者に対する時間外労働、休日労働、深夜労働の規制などが撤廃された。時間外労働、転勤などを了承して男性並に働く女性労働者については男性と同じような処遇をするチャンスを与えるというものです。
 法改正で労働時間についての規制が撤廃されたといえる状況になりました。使用者はやり放題です。この中で労働者に成果主義賃金制度、ノルマ・評価制度が導入されます。
 法改正に際して全国で反対運動が盛り上がり、連日反対する労働者と労働組合は国会を包囲し、労働省前で抗議行動を続けました。
 今捉え返すと、この時に労働者と労働組合は女性労働者と同じように男性労働者の労働時間規制の対案を出して長時間労働の問題提起をすべきでした。

 2005年6月21日に日本経団連が 「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」 を発表すると反対運動が盛り上がりました。同時に、合わせて行われようとした労働契約法の制定についても議論がまき起こりました。労働契約法案は現在の内容とは大きく違います。
 「ホワイトカラーエグゼンプション」 導入は労基法改正によってです。当時の労働契約法案反対の意見は、労基法を改正して盛り込めはいい項目をなぜ新たな法律として独立させるのかということでした。労働契約法で労使の契約・労働条件が 「民民契約」 として個別的に決定されていくと強制法規である労基法、労働組合法が持つ集団的労使関係が否定されてしまう危険性を指摘したものです。そのなかでホワイトカラーエグゼンプションが導入され、その条件である年収基準がどんどん下がっていったら労基法は機能しなくなることを危惧しました。
 このような労働法制の流れを見るなら、ホワイトカラーイグゼンプションの導入は、単に 「残業代ゼロ」、過労死が増大するという問題だけではありません。それまでの労使関係が崩壊し、労働者の働き方 (働かされ方)、労働に対する価値観を強制的に変革させられて、会社と一体化してがむしゃらに働く労働者群を作り出す労働者群を作り出そうとするものでした。
 ホワイトカラーエグゼンプションに対して労働者と労働組合は 「残業代ゼロ」 のスローガンを掲げて反対の声を大きくして阻止しました。同時に労働契約法案も大きく修正させました。しかしこれ以降、労働時間短縮の闘争は取り組まれず、長時間労働・ 「過労死」 の問題は忘れられて放置されたままでした。
 今捉え返すと、この時に労働者と労働組合は 「残業代ゼロ」 ではなく、「残業ゼロ」 の対案と 「ワーク・ライフ・バランス」 を問題提起すべきでした。
 
 政府が推し進めてきた “働きかた改革” は、ホワイトカラーイグゼンプションの焼き直しをした変化球による攻撃でした。しかし “働きかた改革” の議論の最中にも過労死が起きています。長時間労働・過労死の問題は、全国過労死を考える家族の会の闘いなどで社会問題として取り上げられるようになってきました。
 電通でおきた過労自殺に労働組合も連合にも自分たちの仲間が殺されたという自覚がありません。もしかしたら仲間とすら思っていないのかもしれません。今の連合にとって仲間は 「政」 であり 「使」 なのです。過労自殺にたいして労働組合は会社の共犯者です。仲間というよりは今はやりの言葉でいうなら 「お友達政・労」 です

 連合についての評価は発足当時からさまざまに分かれます。労使協調路線に純化した、経済界のふところに抱え込まれた、発足時はそう思われなくても遅かれ早かれ戦時中の 「産業報国会」 の二の舞になるなどなど。
 今回、会社と一体化してがむしゃらに働く労働者群を作り出すことを容認するということでは 「産業報国会」 を連想させます。今、政治が戦前回帰していますが、労働組合も巻き込まれています。すでに 「産業戦士」 ならぬ 「企業戦士」 の多くが過労死してきました。また 「官製春闘」 になんの恥じらいも感じません。
 ユニオンショップで組合員を強制的に加盟させている企業内労働組合の集まりである連合は、政府や経済界がお墨付きを与えられたからといって労働者の代表とはよべません。


 労働条件を規制するには2つの方法があります。1つは国が法律によって。2つ目は労働組合の力です。しかし日本では2つともあてになりません。そして今回の連合神津会長と安倍首相との会談はそのどちらでもありません。
 今回の会談が明らかになると、連合本部まえで抗議行動を行なう労働組合があらわれていました。労働者にとっては必死の思いです。連合はその思いと乖離しています。

 それにしても連合という組織の運営方法、民主主義にも驚かされます。組織としての合意がいとも簡単に反故にされています。代表が必要だと思ったら運動方針を勝手に変更することが許されるのでしょうか。傘下の労働組合は諮問機関なのでしょうか。民主主義が存在しません。
 しかし会長の独走も “諮問機関” は承認するという判断があったからおこなわれたのです。なめられています。

 イギリスのシドニー・ウエッブの 『産業民主制論』 には、民主化という言葉に2通りの意味があるとあります。東大学長だった大河内一男は終戦直後の労働組合の状況についてインタビューに答えていますが、そこで 『産業民主制論』 について触れています。
「『組合民主主義』 の問題というのが日本ではあまり検討されなさ過ぎているのではないかという感じが、ぼくには非常に強かったのです。たとえば民主主義の労働組合運動というと、いつも指導者が政府や経営者を相手に派手に闘争するんだというような、外を向いて相手と闘争する組合の姿だけが話題になってしまう。
 これに対して、組合内部が、1つの組織体として、近代的にどれだけ民主化されているのか、団体としての意思決定はどのように行なわれるのか、それがどう執行され、誰が何に対して責任をもつのか、さらに組合の役員はどういうふうにして選出されるのか、組合の財政はどう民主的に運営されているのか、そういった組合内部のガバナンス面と、あるいは内部統制の面は、日本ではどうも関心がもたれなさすぎるのではないか、そう思った。労働組合というものは、外に向かっては闘争体であるとともに、内に向かっては1つの経営体でなければならないのですが、その点の重要性は、ウエッブが強調していたほどには日本では誰も感得していないのではなかったでしょうか。」 (『大河内一男 社会政策四十一年 記憶と意見』 東京大学出版会 1970年) 

 労働組合は時には交渉相手に持っている力以上に強がる必要もあります。かつての春闘ではトップ交渉に力点が置かれ、対等な立場で交渉ができることを労使の民主主義ととらえられました。その時には一糸乱れぬ姿勢を示すことが必要です。そのなかで多様な意見は吸収されずに抑圧されていきます。それを団結と呼びました。
 トップ交渉に力を入れる裏側で、下部での戦いはおろそかにされ、労働組合の力は奪われて空洞化していきました。ますます上意下達の組織となります。
 しかし本当の強さは職場での日常的闘い、そこで醸し出される知恵、想像力などによる工夫などと成果の共有です。それが忘れ去られました。
 日常的闘いと監視がないと 「政」 と 「使」 にからみとられます。労働組合の力は数ではありません。


 今回の 「事件」 を契機に組合民主主義というものを連合傘下の労働組合だけでなく点検してみる必要があります。
 かつてホワイトカラーエグゼンプションの導入を阻止したのは連合の力ではありません。全国のどこにも組織されていない小さな労働組合・ユニオンや個人の労働者、市民の怒りが一つになって勝ち取ったものです。
 もう一度そのような力を 「政」 「使」 だけでなく連合にも見せつけるときがきました。

   「活動報告」 2017.7.11
   「活動報告」 2015.2.17
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韓国 2010年~14年 労災と認めたられた自殺は59件
2017/07/20(Thu)
 7月20日 (木)

 韓国での精神疾患の労災認定についての動向が新聞に載りました。日本と共通の課題を抱えています。

 7月16日のハンギョレ新聞は 「労災の可否、当事者の立場から判断してください」 の見出し記事を載せています。
 自殺も労災と認められます。ただし越えなければならない峠が数多くあります。
 労災の 「業務上の災害」 とは業務上の事由による労働者の負傷・疾病・障害または死亡を意味します。したがって自殺が業務上災害と認められるには、業務と自殺の間に相当な因果関係がなければなりません。労災保険法37条2項は 「労働者の故意・自害やそれが原因となって発生した死亡は業務上災害と見なさない」 と規定しています。基本的に自殺は業務上災害と見なしません。
ただし同じ条項で「その死亡が正常な認識能力等が明らかに低下した状態で行なった行為により発生した場合で、大統領令に定める事由があれば、業務上の災害と見なす」と例外規定を置いています。これによって労災保険法施行令36条は 「業務上の事由による精神的異常状態」 で自害したということが医学的に認められる場合などは業務上災害と見なされます。

 2010年から14年までの5年間、勤労福祉公団が自殺を業務上災害と認めた事例は遺族の申請190件中59件 (31.1%) に過ぎませんでした。これらの事件で勤労福祉公団は 「個人的要因の方が大きい」、「職場を持つ一般の人が耐えられる程度だった」、「ストレスの内容が自殺を誘発するほどに過度なものではない」 などの理由で遺族給与支給を拒否していました。
 クォン・ドンヒ労務士 (法律事務所 「明日」 所属) は 「勤労福祉公団で自殺事件を審議する際、精神健康医学と医者の医学的判断が重要な判断基準となる。医学的判断はどうしても業務上の構造的問題より労働者個人の問題に集中して見るという限界があり、業務上災害の認定がなされにくい」 と言っています。
 それに対し公団の統計によれば、公団の業務上災害不認定に不服があるとして、遺族が訴訟により裁判所から業務上災害確定判決を受けたケースは2010~16年に13件ありました。裁判所はそのような医学的判断より社会的・規範的基準を重要視するので、自殺の業務上災害を勤労福祉公団よりは幅広く認める方だといいます。最高裁の判例は「業務と災害発生の因果関係の有無は医学的・自然科学的に明白に証明されなければならないのではなく、規範的観点から “相当な因果関係” の有無として判断されるべきである」 と明らかにしています。さらに業務と自殺の因果関係に対しても「業務上過労やストレスが疾病の主な発生原因と重なって誘発または悪化し、それによって心身喪失などの状態に陥り自殺に至るようになったものと推断できる場合 “相当な因果関係” がある」という立場です。
 しかし裁判所も、自殺と業務の相当な因果関係を判断する基準が 「社会的な平均人」 なのか 「当事者」 なのかについては明確でなく、議論を生んでいます。最高裁は1991年から 「業務と災害の間の相当な因果関係の有無は、普通の平均人ではなく 『当該労働者』 の健康と身体条件を基準に判断すべきである」 という判例を何回も出していました。
 ところが2008年、最高裁は自殺事件で 「自殺が “社会的な平均人” の立場から到底克服できないような業務上ストレスのためでなければ “相当な因果関係” を認めることはできない」 と判断しました。この判例によって下級審では “社会的な平均人” の立場から見て自殺するほどのストレスを受けたものではないとして、自殺を業務上災害と認めない判決が続きました。
 しかしこのような判決に対し、当の最高裁が “個人的特性” をさらに考慮せよという趣旨で破棄した事例も2015年に確認されたものだけで6件あります。
 クォン労務士は 「最高裁が自殺と業務の因果関係の基準を “社会的な平均人” なのか “当事者” なのか明確にしないでいるため、混乱をきたしている。他の業務上災害認定基準と同様に、自殺事件も “当事者” の立場で判断すべきだ」 と指摘します。


 7月10日付のハンギョレ新聞は 「精神疾患そして業務上災害…自殺ではない、それは労災だった 2000年~2016年に労災判決を受けた自殺・精神疾患21件の分析」 の見出し記事を載せています。
 法律は労働者の身体的健康だけでなく精神的健康も保護されるべき対象として規定していますが、現実ではストレスなどによる自殺と精神疾患の労災認定は容易ではありません。
 ハンギョレ新聞は、クォン・ドンヒ労務士とともに、2000年から16年まで裁判所で業務上災害と確定した21件の自殺・精神疾患の判決文を分析しました。

 ■ 「業務変化」 がストレスの1位
 労働者が自殺するあるいは精神疾患にかかる理由は1つだけでは説明できません。そのため判決文に登場する多くの職場ストレスの原因のうち 「業務変化」 がとりわけ多く指摘されている点は注目に値します。
 コンドミニアムの総務チームに勤務していたLさんは2009年、一度もやったことのない客室管理を任されました。500を超える客室を維持・管理する業務はLさんにとって不慣れな仕事でしたが、副総支配人は客室の電話機に付いたシールの除去、エアコン点検などを指示し、さらに 「その仕事はそんなに時間がかかるんですか」 と随時督促しました。客室管理業務担当になってからLさんは不眠を訴えたり不安そうな姿まで見せました。2010年8月、Lさんは業務遂行の困難さ、会社の違法な業務処理などを記した遺書を残して亡くなりました。
 大邱 (テグ) 高裁は去年7月 「担当業務の突然の変更、変更された業務による自尊心損傷、ひどい侮辱感と羞恥心を誘発する事件に直面して業務上の深刻なストレスを受け急激な憂鬱症状などが誘発された」 としてLさんの自殺を業務上災害と認めました。

 軍需産業体に勤めていたCさんは軍需観測装備の組み立て・試験を担当していましたが、2012年8月射撃統制班に移った後、大きなストレスを受けて退社まで考えるほど悩みました。結局Cさんは同年10月12日病院に行って 「新しい業務によるストレスが大きく、初めてのプロジェクトを担当して心配でよく眠れず食事もまともに取れない」 と訴えます。適応障害と不安障害診断を受けてから4日目にCさんは自ら命を絶ちました。
 大邱地裁は2014年 「射撃統制班に移動した後、普段扱ったこともなく関連知識もない業務を担当することになり多くの心的負担を感じるようになった」 とし、勤労福祉公団の処分を覆して業務上災害と判断しました。

 ■ 条件・状況を考慮しない 「成果主義」
 通信分野でのみ働いてきたLさんは2010年にIPTV事業部長を務めるようになりました。部署移動の直後から営業損失が発生した上に2012年には市場占有率が下落し、Lさんはすべてが自分の責任に帰される雰囲気の中で 「売り上げ増大」 の圧迫にさいなまれます。そして2012年8月に命を絶ちました。
 ソウル行政裁判所は2015年8月 「LさんはIPTV事業に関する経験が全くない状態で会社の重点事業の売り上げ増大に対して負担を持っており、販売不振が続けば地位が保障されないかも知れないという不安を感じていたものと推断される」 と判断します。

 成果を上げなければならないという圧迫感は、長年やってきた慣れた仕事だからと言って違いはありませんでした。
 ある生命保険会社の支店長だったJさんは一日単位、週単位、月単位で目標対比実績を報告しなければなりませんでした。しかし2013年1~3月まで営業実績が27%下落する中でストレスを受けたJさんは2013年3月に自ら命を絶ちます。
 証券営業などを担当していたSさんも、2011年東日本大地震と世界金融危機の余波で顧客投資金に51億ウォン (約5億円) の損失が生じると 「死をもって償う」 として2011年8月に命を絶ちました。
 記者だったKさんは入社19年目にして初めて社会部に人事異動されると、精神的ストレスで鬱病診断を受けます。Kさんは他の部署に移ったが鬱病は持続し、4大河川特集企画記事を準備する中で2011年9月に極端な選択をしました。
 勤労福祉公団は 「20年間記者生活をした人であり、ストレスは認められるが死亡に繋がるほどの負担ではない」 として業務上災害を認めませんでした。しかしソウル行政裁判所は2014年11月 「4大河川特集企画製作を担当するようになり普段の2倍の分量の仕事を消化するために心的苦痛が加重され、成果を出さなくてはという精神的圧迫感が以前より大きかったと思われる」 として業務上災害不認定の判断を覆しました。

 ■ 「解雇」 は殺人だった
 2009年の整理解雇後死亡した双龍 (サンヨン) 自動車解雇者が28人にのぼり 「解雇は殺人」 だという声が高まったことがありました。高麗大のキム・スンソブ教授研究チームの 「2015年共に生きよう希望研究」 によれば、「過去1年間、鬱および不安障害経験」 のある双龍自動車解雇者の割合 (75.2%) は自動車工場労働者 (1.6%) の47倍に至ります。
 海藻類加工食品業体に勤めていたPさんは、会社と葛藤をきたし2013年3月に解雇通知を受けるや自殺を選びました。社長は防犯カメラで職員の勤務を管理し、社長の頻繁な叱責に一部職員が出勤を拒否して反発しました。社長はPさんが主導したと見てPさんと同僚を解雇した。光州 (クァンジュ) 高裁は2015年 「自分が解雇されたという精神的な衝撃のほかに自分のために同僚まで解雇されたという自責の念まで加わり、耐え難いストレスを受けたと思われる」 としてPさんの業務上災害を認めました。

 解雇の傷は復職後も容易に癒えませんでした。学校の非正規職調理師であるSさんは2007年1月、正規職調理師が同じ学校に発令されると解雇されます。4カ月後の同年5月、地方労働委員会の不当解雇判定でSさんは学校に戻ったが、急性ストレス反応などで精神科に通うようになりました。光州高裁は2011年 「突然解雇されたのであり、復職するまで相当なストレスを受けたものと見られる」 と判断しました。

 日常的に雇用不安を経験している非正規職は特にストレスに脆弱でした。派遣労働者のSさんは2003年ある工場に派遣されてコンピュータ管理業務などを担当したが、派遣業者と工場との契約が終結して2006年5月から失職の危機を迎えます。2003年から2006年の間、1年または3カ月単位で契約を結んでいたSさんは 「アルバイトでやれと言うが、ずっとそんなふうに勤めていられるか」 と憤慨して酒をたくさん飲みました。
 ソウル行政裁判所は2011年、Sさんの自殺を業務上災害と認めて 「雇用不安による心理的圧迫感など深刻なストレスを受けたものと見られる」 と明らかにしました。

 ■ 「劣悪な環境」 も精神疾患の危険要素
 劣悪な労働環境に露出している特定職業群のストレスも高く現れました。2003年からソウル都市鉄道 (地下鉄5~8号線) で機関士9人が自殺で死亡した事実が知られ、地下鉄機関士の劣悪な労働環境を指摘する声が大きくなったのが代表的事例です。
 ソウル都市鉄道5号線を運行していたYさんは2013年3月、自殺します。5号線はすべての区間が地下で粉じん濃度が高いのに換気が難しく、当時の9組5交代という勤務形態も一般人の生活パターンとは非常に異なるものでした。裁判所は 「劣悪な勤務環境は医学的に見て、精神疾患の発病または悪化に一部危険要素として作用し得る」 と判断しました。
 ソウルメトロの機関士であるKさんも2007年にパニック障害診断を受けました。ソウル行政裁判所は2009年にKさんの業務上災害を認めて 「機関士として高速運行に対する不安感、正確な時間に出発と下車を繰り返さなければならないところから来る緊張感、運行遅延による経緯書提出と乗客抗議などで持続的な精神的・心理的ストレスを受けてきたものと見られる」 と明らかにしました。
 特にKさんの判決文は、一般的な地下鉄機関士の精神健康問題を指摘しています。裁判部は 「研究結果によれば、事故を経験した機関士の外傷後ストレス障害とパニック障害発病率が、そうではない機関士よりずっと高く、同一業務をする地下鉄機関士の相当数がパニック障害を訴えている」 と明らかにしました。機関士だけでなく最近は感情労働者の精神的健康も社会的問題になっているだけに、ストレスに露出させられやすい業務環境を改善する事は労働者の精神疾患予防のために必須であるという指摘が出ています。

 クォン・ドンヒ労務士は 「職務ストレス検診制度などを取り入れて労働者が何のために苦しんでいるのか察してこそ、自殺や精神疾患などを予防することができる。事業主と政府が労働者の精神健康を保護できるような対策も具体的に反映させて法を作るべきだ」 と指摘します。


 7月10日付の記事は韓国・保健福祉部の 『2017年自殺予防白書』 について触れています。
 2015年の自殺者は1万3513人 (統計庁集計) で、死亡原因全体の5位を占めます。自殺者の中に就業者と非就業者が占める比重は、学生 (生徒) ・家事・無職が57.6% (7784人)、就業者は42.4% (5729人) です。2011年の統計で自殺者中非就業者の割合が61% (9706人)、就業者割合が39% (6200人) だったことから見れば、極端な選択をした人々のうち就業者が占める割合が増えている傾向にあると言えます。
 就業者がこのような選択をした原因を把握できるような統計はありません。ただし 「自殺の動機」 が記録された警察庁統計数値によれば、2015年の死亡者1万3436人中559人 (4.2%) の動機が 「職場や業務上の問題のため」 となっている。2012年には577人、2013年には561人、2014年には552人と記録されています。「職場及び業務」 から生じるストレスが年に500人ほどの犠牲者を出していることになります。自殺にまで至らなくても 「職場及び業務」 による精神疾患被害者の規模も相当なものと思われますが、これも正確な統計はありません。

   「海外のメンタルヘルスケア 韓国」
   「活動報告」 2017.7.7
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「部外職場暴力」 に早急な対策を
2017/07/14(Fri)
 7月14日 (金)

 厚労省で5月19日から 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 が開催されています。
 開催趣旨です。
 「近年、都道府県労働局において、職場における 『いじめ・嫌がらせ』 の相談件数が増加しているなど、職場のパワーハラスメントが大きな問題となっており、働く方々が健康で意欲を持って働くためには、労働時間管理 やメンタルヘルス対策だけではなく、職場のパワーハラスメントを防止する必要がある。こうした中で、働き方改革実行計画 (平成29年3月28日働き方改革実現会議決定) において、『職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。』 こととされた。これを受け、有識者と労使関係者からなる検討会を開催し、実効性の ある職場のパワーハラスメント防止対策について、検討を行う。」
 検討事項です。
「(1) 職場のパワーハラスメントの実態や課題の把握
 (2) 職場のパワーハラスメント防止を強化するための方策
 (3) その他」
 第1回検討会は委員全員が意見を述べました。そのなから特徴的意見を紹介します。
 連合東京副事務局長内村委員です。
「この検討会の中では、基本的には防止をしていこうということが大きなテーマだと思いますが、たくさんの事例がやはりあります。先ほどから出ている中身にもありますが、最近では特に多くなってきているのは評価です。要するに、人事評価などできちんとした評価がされない、これもいわゆるパワハラではないかというようなことも含めてです。何かちょっとしたことがきっかけで、上司の考えていることと違うことを発言したことがきっかけで、いきなり対応が変わるというケースなど、いろいろなケースがありますので、その現場の声というか、働いている労働者の声を、労働者の代表として、これからこの検討会の中で発言をしていけたらいいなと思っております。」

 7月4日の 「活動報告」 で触れましたが、労働政策研究・研修機構は2011年度に全国の都道府県労働局にあっせん申請がおこなわれた 「いじめ・嫌がらせ」 の事案284件を調査して2015年6月に報告書 「職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメントの実態 -個別労働紛争解決制度における2011年度のあっせん事案を対象に-」 を発表しました。
 そのなかに、厚生労働省はパワハラの概念規定・定義を行い 「職場のパワーハラスメントの行為類型」 を6類型の示しましたがそれらには含まれない 「経済的な攻撃」 の類型を挙げています。
 最近、人事評価において規定・規則に則さないで、指導・教育という名目で労働者のプライドを傷つけて退職強要に追いやる手法が横行していいます。まさしく 「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」 職場のパワーハラスメントそのものです。

 UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの浜田委員です。
「介護の現場の、ヘルパーさんであるとかケアマネさんの労働組合です。……
 また、概念とか定義からすると少し外れてはしまうのですが、現場ではパワハラだろうがセクハラだろうが、嫌なこと、困ったことなどいろいろな相談がくるのですが、その中には実は、特に流通とか介護の現場では多いのですが、顧客であるとか、利用者家族からのハラスメントも実は無視できない状態です。例えば、しばらく前に有名になりました、土下座をさせられるであるとか、大声で長時間叱責されることもあったり、介護現場では、家族の方からの叱責があったりであるとか、いろいろな問題があるのです。実は、相談を受ける側としては、やはり労働者を守るという意味では無視できない実態が実はあるのだということです。この一定程度進まないという部分を、これまでの取組の延長線上で現状を変えられるかということを考えますと、一定程度存在するパワハラ防止対策が進まない企業を、もう少しこの検討会では、今後の法整備に向けた、これまでよりもステップアップした対応についての議論が必要ではないかと考えております。」

 第2回検討会に資料として公益財団法人介護労働安定センター作成の 「介護労働者が過去1年間に受けた利用者からのセクハラ・暴力等の経験」 が提出されました。訪問系8.332人、施設系 (入所型) 4.888人、施設系 (通所型) 6.525人への調査結果です。
 それによると、暴言 (直接的な言葉の暴力) は、訪問系21.0%、施設系 (入所型) 39.8%、施設系 (通所型) 22.3%、利用者から介護保険以外のサービスを求められたは、訪問系27.5%、施設系 (入所型) 5.2%、施設系 (通所型) 12.3%、暴力は訪問系5.6%、施設系 (入所型) 32.1%、施設系 (通所型) 12.5%、セクハラ (性的嫌がらせ) は、訪問系8.0%、施設系 (入所型) 9.0%、施設系 (通所型) 10.8%、家族から介護保険以外のサービスを求められたは、訪問系14.5%、施設系 (入所型) 3.9%、施設系 (通所型) 6.2%が経験しています。
 労働者の安全が脅かされた、放置できない深刻な問題が存在します。


 利用者からのセクハラ・暴力等のようないわゆる 「部外職場暴力」 ・第三者からの暴力については、実は、11年7月8日から開始された 「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」 の第1回においても問題提起がおこなわれました。
 ブールミッシュ代表取締役社長の吉田委員の発言です。
「……これらとはまた別に、私どもが今、一番悩んでいるのは、お客様による私どものスタッフへのいじめ・嫌がらせと言いましょうか、これは新しい切り口だと思います。日々、いろいろな方に接しておりますと、言葉は悪いですが、やや粗暴な方などがいらっしゃるんですね。でも、そういった方たちは割と扱いやすいと言ったら語弊がありますが、ガス抜きすると大体終わります。
 一番困ってしまうのは、……おばちゃま、……これも嫌がらせと言うか、パワハラと言いましょうか、物事を上から目線で見たときに必ず起きますね。私は客よ。何、今の言葉遣いは。お宅様のお嬢様はいかがでしょうと聞きたくなる場合もあるんですけれども、そんなことを言ったらえらいことになってしまいますから、これも本当に大変な問題です。」

 しかし2012年3月15日に発表された 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」 (「提言」) ではとりあげられていませんでした。

  「部外職場暴力」 ・第三者からの暴力についてはILOなどでは 「職場の暴力」 (Violence at work) として、韓国では 「感情労働」 としてかなり前から議論が積み重ねられています。
 2010年9月30日欧州社会対話は 「労働に関連した第三者暴力及びハラスメントに対処するための他部門ガイドライン」 を締結しました。そのなかで第三者暴力の形態を示しています。
「4.労働関連第三者暴力及びハラスメントは、多くの形態をもつ場合がある。それには以下である可能性がある。
 a) 身体的、精神的、口頭によるもの及び/または性的なものである。
 b) 個人または集団による一度限りの事象またはより系統的なふるまいのパターンである。
 c) 依頼人、顧客、患者、サービス利用者、生徒または親、一般の人、またはサービス提供者の行動
  またはたちふるまいから生じる。
 d) 失礼な事例から、より深刻な脅迫や身体的襲撃にまで及ぶ。
 e) メンタルヘルス問題から、および/または、感情的理由、個人的好き嫌い、性差、人種/民族、
  宗教や信念、障害、年齢、性的思考または身体のイメージにもとづく偏見に動機づけられて生じる。
 f) 組織されたまたは機械的なものかもしれず、または公的機関による介入を必要とするかもしれない
  労働者及び彼・彼女の評判または労働者や顧客の財産を狙った刑事犯罪を構成する。
 g) 被害者の個性、尊厳及び人格に深い影響を与える。
 h) 職場、公共の場所または私的な環境で起こり、かつ、労働に関連している。
 i) 幅広い情報及びコミュニケーション技術を通じたサイバーいじめ/サイバーハラスメントとして。
  起こる。」 (全国労働安全衛生センター発行 『安全センター情報』 2012年4月号)

 日本でも、サービス部門だけでなく災鉄道部門、医療関連部門そして行政機関の窓口で事件が発生しています。しかし対策は遅れています。
 では、実際に 「部外職場暴力」 に直面した時、労働者や周囲の者はどう対応したらいいでしょうか。
 対策は、ILOや韓国のサービス連盟が具体的に提案していますが、労働者・消費者・政府・企業それぞれの役割があります。クレームや攻撃は起こることを前提に対策を取る必要があります。
 まず企業・使用者は、トップから労働者を守る姿勢をはっきり示す必要があります。最終的責任はトップが負うというアピールが必要です。そのうえでトラブルが発生した時のサポーター体制を確立しておくことが必要です。ましてやそこでのトラブルを評価の対象にしないことが必要です。そうすると労働者は安心して対応できます。これは厚生労働省の 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」 (「提言」) と同じです。
 しつこいクレーマー等にははっきりと 「業務妨害」、「暴力」 であると提示し、企業・使用者は労働者に、顧客との対応を拒否する決定権限を与えることが必要です。
 韓国で 「感情労働者に不当要求拒絶、謝らない権利を付与せよ」 を遂行することの一番の効果は、労働者の尊厳を守り、心身の安全を守り、労働環境が改善されることです。
 クレーマーは一歩譲歩すると二歩付け込んできます。クレーマーの顧客が減っても企業の売上高は大きく減少しません。むしろクレーマーに対応している時間はチャンスロスが発生しています。

 そのうえで労働者は、心構えが必要です。
 ・自分に向けられたものだとは思い過ぎない。
 ・相手の社会に対する不満がたまたま自分に向けられていると理解する。
 ・相手の感情に巻き込まれない。弁解しない。その方が早く終了する。
 ・後で誰かにその時の状況を、感情を含めて話して聞いてもらう。
 ・終了したら休息をとる。
 ・体験を共有化する。

 職場のトラブルが治まったからといって解決したということではありません。対応した職員へのいわれのない攻撃、正義感、価値観、自尊心への攻撃は放置したら傷は癒えません。労働者としての誇り、労働の誇り、喜びを奪われます。身体的打撃を受けた場合はトラウマに襲われて労働が恐怖になることもあります。有能な労働者を失うことになります。
 職場や上司は安全を確保された1人きりになれる空間で、十分な時間を確保して心の整理をするための休養を保障する必要があります。
 人格の回復のための心のケア、同僚等の支援が必要です。労働者の言い分を聞き直し、恐怖心を吐露させ、対応の正当性を共有しあって回復に向かわせる必要があります。
 そして職場として発生した問題をとらえ返した整理し、今後の対策を確認します。


 「部外職場暴力」 の実態は早急に対策が必要な状況になっています。
 現在開催されている 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 では、この問題についても踏み込んだ議論を行なってほしいと思います。

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治安維持管理を補強した “隣組”
2017/07/11(Tue)
 7月11日 (火)

 6月15日に強行採決された 「共謀罪」 は7月11日に施行されました。
 13年12月に成立した特定秘密保護法、15年7月に成立した安保関連法と 「共謀罪」 は一体のものです。軍事体制に合わせて治安維持管理体制が強化され、監視社会は事前に 「心の中まで監視され」 ることが合法化されます。事前とは日常的にということです。法律の成立だけで人びとは恐怖感と不安感に襲われます。これもこの法律の1つの目的です。
 「共謀罪」 は戦前・戦中の治安維持法に似ているという指摘があります。治安維持法は1925年に成立しますがすぐには行使されませんでした。今回もそうなのでしょう。
 権力の治安維持は法律で上から押さえつけるだけでは完成しません。横から、お互いの監視をさそい、猜疑心をいだかせることで相乗効果が生まれます。今、政府は監視社会を強め、まさしく 「国家と、社会と、個人のあいだの関係を変える」 ことで “強い国家” を作り上げることを狙っています。


 戦前・戦中に人びとを監視させたのが “隣組” で、工場においては産業報国連盟でした。
 明治政府は中央集権国家を目指しますが、支配権力は市町村の末端までは貫徹しませんでした。そのため部落会や町内会組織を利用しようとしますが、そこでは古くからのボスが支配している状況やその地方がもつ独特の問題がありました。徴兵令を成功させるためには 「郷土〇〇隊(団)」 などを組織しますがそれだけでは不十分でした。

 第二次世界大戦において、日本は当初から資源や食糧が不足していました。その確保を中国と東南アジアに求めていくなかで泥沼に陥っていきます。戦争を継続していくには人びとの動員を可能にするあらたな組織が必要となります。
 2014年11月26日の 「活動報告」 の再録です。
「中国との戦争の初期の段階で、中央政府の官吏は、やがて資源が不足して配給制度が必要となるであろうという見通しをもちました。だがその配給制度は、これまで日本では試みられたことがないので、突然に設立するというわけにはいきません。そのためには何らかの教育機関が必要で、それらを通して市民が、配給に馴染んでいくということが望ましいと考えられました。」 (鶴見俊輔著 『戦時期に本の精神史 1931-1945年』 岩波書店)
 1938年、東京市役所の区政課長をしていた谷川昇は、徳川時代の近所付き合いの5人組を復活させて、隣組という新しい名前を与えることを思いつきます。東京市長はこの案を受け入れて、5月19日の東京市の布告に乗せました。
「このとき谷川課長は、徳川時代の5人組という制度だけからではなく、幕末の二宮尊徳の構想した近所の互助組織からも示唆を得ています。ただし、この自発的な相互互助という側面は、谷川課長の意図にはあったとしても、1938年から1947年にかけての隣組制度の歴史においては、実現されませんでした。1947年までというのは、この制度が、占領時代の政府の指令によって廃止されたからです。
 隣組は、政府によって定められた政策を民衆生活のところまで下げていくというための道具として用いられました。……この組織は、すぐに中央政府高等官僚と陸軍軍人に乗っ取られて、これらの役人と軍人が市民の日常生活を細部に至るまで監督しそれに干渉する機関となりました。」 (『戦時期に本の精神史 1931-1945年』)

 隣組についての具体的なことについて、秋元律郎著 『太平洋戦争下の都市生活 戦争と民衆』 からみてみます。
 例えば東京の下町と山の手では住民の近所づきあいは違っていました。特に山の手では交隣共同といった習慣があったわけではありません。
 1940年の内務省訓令で、部落会および町内会が 「市町村ノ補助的下部組織トスルコト」 とされ、さらに大政翼賛会が翼賛運動を徹底させるために、活用しようとします。それは地方制度としての部落会・町内会を、市制あるいは町村制のもとにおくというのではなく、内務省が訓令をもって整備させ、指導・監督していくということです。さらに一歩進めて 「自然発生的隣保共助の精神を生かすような適正な立法」 がおこなわれます。つまりは、国家としての支配体制も変更されます。これが隣組です。
 しかし 「隣組は、こうした階層間にわだかまる人間関係のもつれを、陰湿な世界におしこめたまま、みせかけの平等化をおしすすめていったといえる。」 といいます。
 そのため、東京市市民局長などがかかわって 『隣組読本』 を作成して推進をはかります。
  『隣組読本』 です。
「事実、隣組は部落会などと違って、その困難さは大いにあるであろう、然しながら、他に私共の個人主義的な都会生活を再編して、国家の要求であるところの協同による新しい生活、国家目的に協力する奉仕の生活体制を作る方法があるかどうかというと、一寸見当たらないし、また考へつかない。結局この隣組が一番いいということになる。」

 隣組の組織化が強制されていきました。
「たんに臨保共助の美風の協調だけにあったのではない。この公権力を背景とした国民統合策とは、防空・防火・登録、配給、資源回収、国民貯蓄、衛生、消費規制、防諜等といった業務がともなっていたのである。……しかもそこに行政から注入されてくる業務が、個々人の行動の一挙手一投足や、生活の細部まで規制する力をもって、さまざまな領域で個人の生活を拘束してくる。当然、そこにはこれを仲介し、統括する政治的人間があらわれてくる。こうなれば問題は、もはや純粋な地域集団の生活や機能をこえたものとなる。」

 中央-府県-市町村-町内・部落-隣組の系統にしたがって常会という少なくとも月1回の定例集会を運営します。そして種の地域常会から、職能常会および職場常会というふうに広がっていきました。
「つまるところ常会は、時局認識と相互教化のための寄合いであり、上位下達の貫徹をはかるために仕組まれた装置にほかならなかった。だからこれを徹底化するためには、完全に常会を日常的な催しとしなければならなかったし、一貫した統制のもとにおいておく必要があった。
 タテマエはともかくとして、実際にはギスギスした人間関係を内にひめた隣組生活を軌道にのせ、これを活性化していくためには、どうしても日常的接触を量的にふやし、相互教化の場を制度化していく必要があった。これを疑似自発性によって粉飾したのが常会だったのである。」
 そして大政翼賛会の傘下におさめられ、1943年月に、従来の指導と運営とを再批判して 「戦ふ常会」 の強化に乗り出します。


 隣組は工場の中にも組織され浸透していきます。5月12日の 「活動報告」 の再録です。
 戦前の戦時体制への流れを、アンドルー・ゴートン著 『日本の200年 徳川時代から現代まで』 (みすず書房) からみてみます。
日本軍は中国大陸でのはげしい抵抗にあい、予定していた資源を獲得できなくなります。さらに多くの兵士にも多くの犠牲が出ました。
「近衛内閣は1941年に国家総動員法をもちいて、経済体制の総仕上げをおこなった。すなわち、重要産業団体令を公布することによって、統制会というシステムを導入した。重要産業団体令は、各産業ごとに 『統制会』 と呼ばれる巨大カルテルをつくる権限を商工省に付与するものだった。
 統制会は、それぞれの産業内で、原料と資本の分配を決定し、価格を設定し、各企業に生産シェアと市場シェアを割り当てる権限をもった。実際には、各統制会の理事に名を連ねたのは、財閥系企業の社長たちと官僚たちだった。国家と協力することによって大企業は、これらのカルテルと統制会の運営について大きな影響力をもちゃっかりと保持した。」

 政府は戦争に反対する潮流、とりわけ労働組合の抵抗をおそれました。そのためにさまざまな懐柔をすすめながら一方で徹底した弾圧を行ないます。
経済効率を高めて社会秩序を確立するにはトップダウンの動員にかぎる、と主張する者たちは、こうした経済面の改革と平行して労働新体制の整備も推進した。1930年代のなかば以降、内務官僚と警察官僚たちは、労働者側と経営者側の代表で構成する懇談会の設置を工場ごとに義務づけ、個々の懇談会を地域連合、さらに全国連合へとピラミッド方式で組み入れる、という構想を練っていた。
 1938年7月、内務省と厚生省は、産業報国連盟 (略称産報) という表向きは独立した自主的な労働組織だが、実態としては官製の労働組織を発足させた。残っていたごく少数の労働組合の大半は、すでに戦争を支持し、経営者に協力的な態度をとっていたが、これらの組合は産報とひっそりと共存した。多くの大企業は、1920年代に組合に代わるものとして発足させていた既存の職場懇談会の名称を変更して、単位産報組織へと再編した。……
 1940年、第二次近衛内閣は産報を再編し、政府直轄の大日本産業報国会を創設した。政府は、まだ存続していた500の組合 (組合員36万人) を解散させ、新たな産業組織に参加させたほか、全国のすべての向上に産報懇談会の設置を義務づけた。1942年には、工場レベルの産報組織は約8万7000人を数え、合計約600万人の労働者を擁するまでになった。
 産報運動の推進者たちは、産報の末端組織として工場ごとの懇談会が経営者と従業員の士気を高め、双方の連帯感を育むと同時に、アジアにおける 『聖戦』 のための生産拡大に寄与するものと期待していた。……
 しかしながら、産報が、ホワイトカラーとブルーカラーの従業員がともに加入する職場組織の先例を打ち立てた、ということは少なからぬ意味をもった。産報は、あらゆる従業員が国にとっても、企業にとっても重要なメンバーだとする見方に、公式に、しかも明確なかたちでお墨つきをあたえたのである。やがて戦後の労働組合運動は、この戦時中の先例を基礎として出発し、先例を転換しながら展開していくことになる。」

 産報は、労働者にとっては自分らも参加している組織です。そこでの処遇は、ホワイトカラーとブルーカラーは同じです。そして聖戦の勝利を訴えて我慢を強い、不満を 「貧しさの平等」 で解消していきます。

 実際の体制はどうだったでしょうか。
「全体としてみれば、国家の動員計画は、計画が掲げていた国家の 『改造』 というもっと野心的で、全体主義的とさえいえる目標には到達しなかった。限定されていたとはいえ、かなりの多元主義が存続しつづけた。経済体制も、産業報国連盟も、大政翼賛会も、日本の臣民を国家の全面的な支配下に置いたわけではなかった。しかし、社会を戦争に向けて動員し、その過程で社会を変革する、というこの運動が、国家と、社会と、個人のあいだの関係を変えたことは確かである。国会は周縁的な機関に成り下がった。」
 多くの人びとに犠牲を強いながら財閥の資本家はさらに大きな富を築いていました。


 では昨今の隣組は何でしょうか。
 安倍政権のなかで開始された 「マイナンバー制度」 には1人ひとりのあらゆる情報が集めて管理しようとするものです。「ストレスチェック制度」 は、個人の “こころの問題” をさらけ出させた健康状態を自分以外の誰かに管理されます。
 そして、携帯、インターネット、ツイッターでは出所不明の情報が流され続け、否が応でも目に入ってきます。その情報はすこしづつ浸透していきます。個人が管理できないところで情報が流出されています。時には自らも他者の情報を流出する行為に組したりします。届いた情報に返事をしないと仲間はずれにされるという思いから迎合する返事をします。攻撃のターゲットにされると見ず知らずの者からも人格否定をふくめて攻撃を受けます。かつての隣組以上です。
 携帯、インターネット、ツイッターは 「共謀罪」 などの反対の抗議集会への参加も呼びかけられ、運動の盛り上がりに役立っていますが、そもそもは軍の情報収集が目的で開発されたものであるということを忘れてはいけません。機種は自分のものであってもそこを通過する情報管理は他者がおこないます。使用に際しては自己管理をもっと徹底し、人権、個人保護が認識する必要があります。

 戦時中、厚生省が創設されたのは “強い兵士” と “強い産業戦士” を育てるためでした。
 産業報国連盟の体制から抜け出せないままで日本の戦後の労働運動は出発しました。
 安倍政権は、官製春闘を組織し、“働きかた改革” を推し進めています。しかしこれらは本当に労働者のためをおもってのことではありません。“働きかた改革” は生産性を向上させるのが本質的目的です。
 さらに労働組合を無力化し無用論を登場させようとしています。そして非正規労働者の不満を政府や社会からそらして労働組合と正規労働者に対峙させようとしています。
 労働組合団体はだらしなさすぎます。労働組合は、今一度、横の繋がりとは何かをとらえ直して追究しないと、完全に政府と会社から取り込まれ、産業報国会に再編されます。歴史が足元から繰り返されます。

   「活動報告」 2017.6.30
   「活動報告」 2017.5.12
   「活動報告」 2014.11.26
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