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失業率が低い時は、労働者が要求を獲得するチャンス
2017/03/31(Fri)
 3月31日 (金)

 3月31日、総務省が発表した労働力調査によると、2月の完全失業率 (季節調整値) は2.8%と1994年6月 (2.8%) 以来22年8カ月ぶりの低水準となりました。
 就業者数は50カ月連続増加で6427万人、雇用者数も50カ月連続増加の5754万人でした。内訳は正規労働者3397万人で、非正規労働者は2005万人です。
 完全失業者81カ月連続減少で188万人です。完全失業率を年代別にみると15歳から24歳が4.4%、25歳から34歳が4.0%、35歳から44歳2.7%でそれ以上は平均を下回ります。年齢が低いほど高くなっています。男女別にみると、男性が3.0%と95年6月以来の低水準となり、女性は2.7%と横ばいでした。
 94年とは、いわゆるバブル景気がピークを越えたころです。その後上昇し、90年代後半に4%後半を続け、2000年代になると5%をこえます。03年頃に4%台に下がり、減り続けて07年には3%台になりますが08年のリーマンショックでまた5%台に突入しますがそのあと下降を続けていました。

 完全失業率とは労働力調査における労働力人口に占める完全失業者の割合 (公表失業率) です。完全失業者とは、15歳以上で、仕事がなくて調査期間中に少しも仕事をしなかった (就業者ではない)、仕事があればすぐ就くことができる、調査期間中に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた (過去の求職活動の結果を待っている場合を含む) という人です。調査期間に1時間でもアルバイトなどで賃金が得られる仕事をしたのであれば、統計上、「就業者」 となってしまいます。
 完全失業者のうち失業期間が1年以上の者を長期失業者と呼びます。1%後半から2%くらい存在します。
 また、契約期間満了などによる退職をふくむ非自発的失業者も存在します。非自発的失業率は完全失業率とほぼ同じような動向を示し、1%後半から2%半ばくらい存在します。

 しかし実際の失業者はこれだけではありません。潜在失業者がいます。就業を希望していて、仕事があればすぐにつくことが可能であり、過去1年間に求職活動を行ったことがある者で、現在は今の景気や季節では適当な仕事がありそうにない近くに仕事がありそうにない、自分の知識・能力に合う仕事がありそうにない、勤務時間・賃金などが希望に合う仕事がありそうにない等の理由で求職活動を行っていない者です。潜在失業率はほぼ1%存在します。
 そうすると潜在失業をふくむ失業率は、完全失業率に約1%加算されます。この失業率の算出は他の国とは違います。調査期間に1時間でも仕事をしたら 「就業者」 ということも含めて日本の失業率は低いということではありません。


 雇用労働者数を雇用形態別にみてみると、非正規労働者の占める割合は、90年にはじめて20%を超えます。95年に日本経団連は報告書 「新時代の 『日本的経営』」 を発表すると増え続け、03年に30%を超えます。「雇用の流動化」 がいわれ始めます。
 もう少し細かく見ると、97年11月、北海道拓殖銀行と山一証券が倒産しています。97年の正規労働者は3812万人でしたがその後3300万人から3400万人の間を続け17年2月は3397万人です。非正規労働者を見ると、97年は1152万人 (23.2%) でその後増え続け、17年2月は2005万人です。


 15年6月9日の 「活動報告」 で松下電器について書きました。その部分転載です。
 89年、幸之助は亡くなります。
 90年代半ば、経営企画室はあと数年で3万人が余るとはじき出します。余剰人員は明らかです。しかし 「赤字でもないと、世間がリストラを許さなかった」
 雇用維持のため、さまざまな手が打たれました。総務の年配社員を工場にもどし、パートを切ります。すると 「社員の雇用を優先した。不良品が増え、速度が落ちた」 状況が生まれます。
 2001年度は大幅な赤字に転落します。大幅な早期退職募集が行われ、約1万3千人が退職しました。
 「あの松下が」 と衝撃的なニュースが流れました。そして松下が早期退職募集するのならと日立製作所、東芝、富士通などでも開始されます。「日本型雇用」 の転換でした。
 その結果失業率が5%台に跳ね上がりました。

 松下は、その後も早期退職募集を行います。
 雇用を大事にしていたといっても、労働者はみな正規社員や直接雇用者だったわけではありません。ご多分にもれず請負労働者、派遣労働者が製造現場を支えていました。
 雇用問題は、正規社員の問題がクローズアップされているときに、実は非正規労働者の問題が深刻化を増します。非正規労働者でもパート労働者の問題が論議されているときに派遣労働者の処遇が悪化します。非正規労働者の問題がクローズアップされている時、請負労働者、個人事業主・偽装雇用の問題が深刻化します。
 この連鎖も見過ごすことができません。


 08年9月のリーマンショックを見て見ます。08年第Ⅱ期は正規労働者3418万人でしたが、第Ⅳ期は3390万人でその後も変化は大きくありません。一方、非正規労働者は第Ⅱ期が1732万人で第Ⅳは1796万人ですが、09年第Ⅱ期は1684万人に減少します。労働者派遣事業所の社員等だけをもっと細かく見ると、08年第Ⅱ期576万人、第Ⅲ期643万人、第Ⅳ期643万人、09年第Ⅰ期567万人、第Ⅱ期557万人です。いわゆる派遣切りで年越し派遣村が開設された時です。
 景気の後退を非正規労働者にとってかえて乗り切ろうとしますがそれが無理だとなると解雇を通告してきます。非正規労働者は雇用の調整弁で、合わせて労働法制も改正されます。


 派遣切りに際して正規の労働者の労働組合はほとんど行動を起こしませんでした。
 派遣切りを可視化した年越し派遣村の開設・運営は、いわゆる個人でも加入できる小さな労働組合・ユニオン等と市民運動団体によって担われました。
 そのなかで全造船関東地協いすゞ分会は地域闘争で派遣労働者を守ります。そのときの状況を最近発行されたパンフレット 「半世紀の闘い 工場と地域と世界のなかで」 から抜粋して紹介します。

 08年のリーマンショックの後の12月に、契約期間の途中であっても非正規労働者1400人全員の雇止めがおこなわれました。「日比谷派遣村」 が開設された時のことです。
 とんでもない! こんなことが許されてたまるか! と、不当なやり方にたいして年末から全造船関東地協で取り組みます。直接雇用の期間工労働者はいすゞ分会に、派遣労働者は湘南ユニオンにと連名で組合加入を呼びかけました。いすゞ分会に11人、湘南ユニオンに22人が加入しました。
 藤沢で全造船関東地協、いすゞ分会、湘南ユニオンは団体交渉を開催しました。まずは社宅や寮への居住の保証を約束させました。そして解雇撤回、契約期間中の雇止めはふざけんじゃないという要求です。会社はリーマンショックだからしょうがないじゃないかと主張します。だめだ!
 さらに外国人労働者の問題もありましたが神奈川シティユニオンが取り組んでいました。
 同時にいすゞ本社への抗議行動も展開しました。新聞やテレビも闘いを取材し報道しました。
 派遣会社にも派遣社員の雇用を保障にさせるためにいすゞに要求しろと要求しました。派遣会社は要求しました。
 こうした集中的な闘いの取り組みを展開し、本社抗議行動を予定していた日の早朝に会社からファクスが届きます。すぐに石川議長に連絡し、資料を作り、本社前にいったら、マスコミの方が会社に問い合わせをしました。契約期間中の解雇は撤回し、その後は自宅待機扱いにして賃金保障はするというものですが希望退職をにおわす内容でした。阿部知子衆議院議員が国会で質問したり、抗議闘争が拡大する状況のなかで自動車工業会や経団連からも注意されたようです。
 いすゞと交渉を続けて2か月もしないうちに、組合員から 「まだどうにかならないのか。お金がない! 飯が食えない」 との声が上がりました。交渉経過を説明してもなかには 「そんなことを言われて帰ってきたのか」 と不満をぶつける方もいました。つまり派遣社員の労働条件ではたくわえをすることができなくて余裕がないのが実態です。今でもそうです。1か月でも雇用が途切れると生活ができません。びっくりしました。この時に私はそれまで最低賃金ということに関心が薄かったことに気付かされました。
 10年、組合の闘う方針を守って切り捨てを認めないで継続雇用を求めて闘いきった1人の期間工の労働者が新しい仕事に就き、この時の闘争は解決して終了しました。


 非正規労働者を雇用の調整弁とすることは許されません。
 完全失業者のなかには、いじめ・おどし・だましなどによる退職強要も含まれます。正規の労働者も景気の調整弁になっています。また長時間労働による体調不良で退職した労働者もいます。労働者は経営者のいいなりになる必要はありません。
 働き方改革、「同一労働同一賃金」 は、政府や経済界に委ねるのではなく、労働者・労働組合からの働きやすさ、安心できる雇用の要求を獲得して監視していく必要があります。

 人員不足は、労働者が要求をかかげて獲得するチャンスです。

   「活動報告」 2015.6.9
   「活動報告」 2011.12.26
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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