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南スーダンの自衛隊員20人がPTSD発症
2017/03/28(Tue)
 3月28日 (火)

 国会で、事実上2013年から内戦状態に突入している南スーダンの情勢をめぐって、戦闘地域である・ないの議論が続きました。戦闘と武力衝突は違うのだそうです。判断は、実態か政府の見解かの違いです。「日報」 は隠されたままです。黒を白という政府の見解は、かつての大本営のようです。
 そのような中で3月10日、突然、自衛隊施設部隊が5月末をめどに撤退することが発表されました。政府は、活動に一定の区切りがついたためで、現地の治安情勢の悪化によるものではないと説明します。これもまたかつての大本営に似ています。


 3月11日付の毎日新聞は 「自衛隊員 全隊員1割にPTSD、うつ 防衛省調査」 の見出し記事を載せました。
 防衛相が、2013~15年度の各年度に実施した全隊員へのアンケートの結果で、うつ傾向の隊員は13年度2万1223人 (回答者の10.0%)、14年度1万6478人 (同7.8%)、15年度1万3684人 (同7.1%) に達しています。PTSD傾向の隊員は13年度1976人 (1.8%)、14年度1275人 (1.4%)、15年度1013人 (1.4%)です。減少は、東日本大震災からの時間の経過と救援体験者が除隊したことなどがあると思われます。
 アンケートでは遺体に接した経験の有無や人間関係を尋ね、うつやPTSDの傾向があれば上司と面談し、症状が重い場合は精神科の受診を促されます。受診対象者は各年500人前後で推移しています。
 同省は 「うつは自衛隊で特に割合が高いとは言えず、PTSDも海外派遣で顕著な傾向はない」 といいます。だが、軍隊の精神的ケアに詳しい福浦厚子・滋賀大教授 (文化人類学) は 「自衛隊は心身の強さに最大の価値を置く特殊な世界。心の悩みを隠さず書くことで不利益を心配する隊員もいるだろう。ケア充実には本当のことを話せる仕組みが必要だ」 と話しています。

 小見出し 「『20隊員 PTSDケア必要』 防衛省関係者証言 惨状目撃で」 の記事が続きます。現在、首都ジュバに約350名の隊員が派遣されています。
 南スーダンで昨年7月、政府軍と反政府勢力の衝突が起きた。部隊の日報は 「戦闘」 と表現しました。同11日の日報に 「TK射撃含む激しい銃撃」 「宿営地南方向距離200トルコビル付近に砲撃落下」 とあります。「TK」 は戦車、「200」 は200メートルとみられます。防衛省が開示した日報は黒塗りが多いが、さらに生々しい記述がある可能性もあります。
 同省関係者によると部隊の宿営地の近くでは殺傷を伴う衝突があり、宿営地外を監視する複数の隊員が惨状を目撃しました。同省は 「派遣隊員に過度の精神的負荷がかかったとの報告はない」 とします。だが、実際には約20人がPTSD発症へのケアを必要としたといいます。

 毎日新聞は、派遣部隊に事前に実施したメンタルヘルス教育に関する内部文書を情報公開請求で入手。それによると、派遣先で疲労やストレスがたまると組織全体に影響が出るとし、「特定の人をスケープゴート (いけにえ) にすることで集団の安定を図ろうとする動き」 が内部で出ることを最も警戒すべきだ――と指摘しています。
 また、帰国前の教育に関する文書は、任務を終え帰国する隊員と留守を守った家族との間で感情の溝が生じ、ストレスになることにも注意を促しています。
 同省は2年前に隊員向けの 「メンタルヘルスケアガイドブック」 を初めて作成。「こころの問題は現場の士気や団結力に悪影響を及ぼす可能性がある」 として、対策を最重要課題の一つとする。南スーダンPKOでも、互いに思い出を語り合ったり緊張を和らげたりする取り組みや、医官らによるカウンセリングが行われてきました。
 隊員の心のケアを支援する民間組織 「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」 もできました。共同代表で精神科の蟻塚亮二医師は 「夜中に何度も起きたり、店のレジに並んでじっとしていられなかったりするなどの症状があったら相談してほしい」 と話します。


 防衛省・自衛隊の、南スーダンへの自衛隊の派遣についての公報です。
Q8.自衛隊員の現地での健康管理はどのように行われているのでしょうか。
A8. 南スーダンに派遣される隊員は、日本隊宿営地において、日本国内の駐屯地とほぼ変わ
 らない日課で、日々の規則正しい生活と自炊による日本食を中心とした食事を心がけ、日々
 スポーツに参加して健康的な生活を営むことで疾病を予防することに努めています。
  そして、アフリカ大陸に特有な感染症を予防するための衛生教育を受けるとともに、必要な
 予防接種やマラリア予防薬の服用を実施しています。また、派遣部隊には医師などの衛生科
 隊員も含まれており、彼らが医務室を運営し、隊員の診療を行っています。
  派遣期間の半ば頃には、医務室において臨時の健康診断を行い、隊員の健康状態をチェック
 しています。さらに、定期的に精神科医師を現地に派遣し、隊員の心の健康もサポートしています。


 戦闘を武力衝突と言い換えようが、兵士はPTSDを発症します。
 1930年代からの日本軍の満州侵略における実態が、上笙一郎著 『満蒙開拓青少年義勇軍』 (中央公論社刊) でふれています。

 1932年8月、満州移民計画が議会を通過し、10月から送り出します。
 第一次農業移民団423人はソビエトとの国境付近に近くの自称弥栄村、33年夏に第二次移民455人が千振村に入植します。これらは武装移民で軍編成がおこなわれ、日本刀、拳銃、小銃、迫撃砲、機関銃などを備えています。ソビエトに対する第一線兵力の扶植の軍事的役割を負わせられました。
 中国農民たちによる民族独立運動組織・反満抗日パルチザンなどの抵抗・襲をうけ生活と生命の危険にあいます。
 1934年2月、1万人の農兵が土龍山を根拠地として十数日間蜂起する事件が起き、関東軍の連隊長以下20人を殺害します。
 団からは 「だまされた」 とさまざまな不満が爆発します。第一次移民団からは百数十人の退団・帰国者が出ます。第二次移民団からも数十人の落伍者がでます。
 開拓団は意気を沮喪してしまいます。
 のちに 「屯墾病」 とよばれたストレス、ホームシック、集団的ノイローゼ―の症状が現れました。
 関東軍はこれらを農村に生まれながら学問がある者、内地で裕福な生活をしていた者、いわゆるハイカラ男たちの 「薄志弱行者」 と呼びました。
 逆に勇敢で適しているのは、国民高等学校出身者、貧困者、純真な青少年といい、その後の移民の対象者にしました。

 1938年、日本軍は兵士不足を補うため 「満蒙開拓青少年義勇軍」 を組織し送り出します。
 そこでも 「屯墾病」 の発症者が現れます。
「それでは、屯墾病とは具体的にどのような兆候を示すのかというと、それは大別してふたつの種類があった。義勇軍をはじめ満州開拓関係者が普通に屯懇病と見なしているのが、その第一類であって、ひとくちにいえば 〈自閉症〉 ――精神的に自分の内部へ閉じこもってしまう傾向のものである。
 訓練所での毎日の生活が味気なく、農作業も軍事訓練もする気にならず、体の具合が悪いといっては1日じゅう宿舎に寝ており、故郷と父母兄弟を思っては落涙している。食欲もめっきりおとろえ、夜もうつらうつらして熟眠することができなくなり、その心配した友人たちが言葉をかけて励ましても、はかばかしい反応を示さなくなってしまうのだ。
 このような自閉型屯懇病にかかるのは、どちらかといえば性格的におとなしい少年に多かった。そしてその症状は、……時として悲劇を招くことも皆無ではなかった。……
 以上のような第一類の 〈自閉症〉 に対して、屯懇病の第二種は、〈攻撃型〉 といえば適当であるかもしれない。義勇軍生活への忿懣を自分の心のうちに鬱積させ、自閉的になってしまうかわりに、忿懣を外部世界へ向けて攻撃的になってゆくのである。
 その場合、忿懣の捌け口として、当初は自然およびその一部としての動物などが選ばれた。少年たちは、理由のわからない怒りが心にみなぎって来ると、木刀を外へ持ち出して草や作物を薙ぎ倒し、野原に火をつけてどこまでも燃えてゆくのをみて快哉を叫び、またそこらに遊んでいる犬や猫を叩き殺し、豚の尻にナイフを突き刺したりするのだ。
 しかし少年たちの荒れ果てた気持ちは、ものいわぬ自然を痛めつけることでは満たされず、次には、人間を攻撃することに向かっていった。むろんこのようなとき、その攻撃の対象となるのは自分より弱い者に限られるわけで、まずさしあたっては、同じ訓練所の後輩が恰好な対象として選ばれた。……
 しかしながら、義勇軍の過酷な生活から来る屯懇病の攻撃型の矛先は、同じ義勇軍の後輩たちに向けられただけでは済まず、訓練所の周辺に住む中国人にも向けられたのである。……
 こうした盗みについで多かったのは、女性への凌辱をふくむ身体的暴行であった。盗みを働いている現場を中国人に発見されれば、かえって高圧的に出て腕を振り上げたりしたほか、相手の顔が気に入らないとか、先輩になぐられたのが癪にさわるとかいった無茶な理由で、殴打したり蹴飛ばしたりしたのである。
 ただ、さすがに女性に対する凌辱に関しては、たくさん出ている義勇軍中隊史のいずれもが、申し合わせたように口を閉ざしてただの1行も言及していない。たが、誰ひとり語らないからといって凌辱事件がなかったのではない。わたしは、義勇軍の少年たちを窮極的には被害者と見ているので、心情的には書きたくないのだが、しかし真実を伝えるために敢えて書かなければならないと思う――中国女性への凌辱は、殴打と同じくらいの頻度でおこなわれていた、と。……
 少年たちの悪戯というべき段階を越えて、明白に犯罪と見なければならぬこれらの行為に対して、満州警察と日本軍とは見て見ぬふりをしていたといえよう。」(『満蒙開拓青少年義勇軍』)
 満蒙開拓青少年義勇軍の中隊と中隊が衝突し銃で撃ち合い、3人が死傷する事件も起きています。昌図事件と呼ばれます。

 屯懇病は今でいうならPTSDです。

 日本軍・自衛隊は貴重な教訓をもっていますが活かそうとしません。
 PTSDり患から見られることは、軍隊は自国の兵士を殺すということです。アメリカでも日本でもそうです
 それとともに人びとも大きな教訓をもっています。
 軍隊は民衆を守らないということです。沖縄でも満州でも民衆が軍の盾になりました。

   「軍隊の惨事ストレス対策」
   「活動報告」 2016.9.13
   「活動報告」 2015.8.28
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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