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ヤマト労組を他労組は見習らおう
2017/03/23(Thu)
 3月23日 (木)

 春闘の季節です。しかし流れてくるニュースはベースアップ額、しかも業界ごとの妥結が中心で、それ以外の要求は聞こえてきません。
 かつての春闘は、金銭だけでなく、労働時間・年間休日数、退職金制度、福利厚生制度などさまざまな要求を掲げて交渉に臨みました。しかし産業ごとの中央交渉が中心になると各単産独自の要求は掲げにくくなりました。中央交渉は各単産の力量を弱め、現場からの声を吸い上げる力も失ってしまいました。
 今年は、労働時間の短縮がおこなわれた企業もありましたが、ほとんどは政府の 「働き方改革」 への対応です。「官製春闘」 がまかりとおっています。労働組合の位置がますますなくなっています。
 労働組合は、人員不足の時こそさまざまな要求をして勝ち取るチャンスです。


 そのなかでヤマトでは久しぶりの春闘交渉がおこなわれました。
 根底には業務量の急増に伴う長時間労働、さらにサービス残業が蔓延してる状況があります。現場の労働者から悲鳴があがり、労働組合には切実な声が寄せられていたと思われます。経営の方も現在の状況に危機感を持っていました。労働者を引き留めなければ業務がまわりません。
 2月10日に始まった今年の交渉は3月16日夜に労使合意に達しました。
 合意内容です。改善の開始時期はそれぞれ異なります。
 宅配便の時間帯指定区分を見直し、正午から午後2時を廃止、集中する午後8時から9時を午後7時から9時に変更。
 再配達の受付締め切りを午後8時から7時に変更。
 一部商品の廃止やリニュアルを検討。具体的にはクレジットカードなどの貴重品の手渡しなど。
 大口法人顧客との契約内容の見直し、取り扱い終了の適正化。具体的にはネット通販など大口法人顧客への値上げ要請、それによる取扱量の抑制。
 年間の総労働時間計画を2456時間から2448時間に。労働時間の管理を入退館時間で一本化。(2月24日の 「活動報告」 参照)
 営業所単位で休憩の時間帯を決め、管理の徹底。
 営業所の責任者を増員し、管理体制を構築。
 年間126日以上の休日・休暇を確保。
 週1回程度のノー残業デー取得を推進。
 10時間の勤務間インターバル規制の導入。
 賃金は定期昇給も含めて一人平均6338円の引き上げる (前年は5024円)。事務員を含めたベースアップは814円 (前年1715円) だが集荷・配達を担うドライバーへ重点的に配分する。集荷・配達個数やサイズなどに応じて付与されるインセンティブを2621円 (前年は1049円) 引き上げる。


 これらの要求は、、他業種の労働者への問題提起も含まれています。
 夜間の配達量が多いのは、労働者の帰宅時間に合わせた設定であると同時に再配達の時間帯です。夜間に通常の賃金で働かせてあたりまという捉え方や、さらに最初の労働を無駄・タダにさせる再配達は労働の価値を低めます。
 ネット通販・通信販売での配達料無料は、商品に配達料が転化されていることを騙されていたり、荷主が一部を運送会社に負担させているということです。返送する場合の料金無料はそれがダブルになるということです。労働対価のダンピングは許されません。さらに荷主が一方的に当日配送や翌日配送をうたい文句にしています。
 また生活必需品などのネット通販・通信販売や生活協同組合の宅配は地域の商店街をさびれさせていることを見逃すことはできません。そして街や地域のコミュニケーションを崩壊させています。生協の個人宅配が、生活必需品の買い物の不便を解消しましたが、その代わりに長時間労働を受け入れることができていました。最近はデパートにも影響を与えています。
 これらが労働者を犠牲にしているだけでなく、消費者・利用者の時間的思考を麻痺させ、生活感覚を失わせ、最終的には社会に不便をもたらします。

 ヤマトの最大荷主で本社がアメリカにあるアマゾンジャパンは売り上げを2010年の5025万ドル (約5700億円) から16年度は10.797万ドル (約1.2兆円) と2倍以上に伸ばしています。街の本屋が潰れていっています。
 国土交通省の調べでは、ヤマトが扱う荷物の個数は年間約17億3千万個 (2015年度) で、そのうちアマゾンの荷物は約2億5千万個、14%です。しかも荷物一個250円程度の契約で他の荷物に比べれば半額以下です。
 ここ3年の営業利益 (いわゆる本業の利益) は600億円超で推移していましたが、2017年は580億円の見通しで2期連続の減益です。コストを無視した運営が、業務が増えても利益を生まないという 「豊作貧乏」 を生み出し、サービス残業に繋がっています。

 労働条件を見てみます。
 年間総労働時間計画2448時間を年間出勤日数239日 (365日-126日) で割ると10時間を超えます。これまでも賃金が支払われる残業はありましたがそれ以外に昼休みを含めたサービス残業が1日約2時間以上ありました。
 時間指定が12時~14時に集中すると昼食休憩は取れません。20時~21時に集中すると営業所に戻るのは21時過ぎになります。そのあとに事務作業です。しかし繁忙期などには1ヵ月の所定労働時間を超えるとタイムカードを推してからのサービス残業が上司から命令されていました。長時間労働を会社は認識していました。
 そのため離職者の多く出ていました。体調を崩し、労災認定された労働者もいます。ドライバーの人手不足は深刻になっています。

 今後、サービス残業をなくして1日の実労働時間を10時間に抑えるのは大変です。しかもこれでもかなりの長時間労働です。
 これを改善するためには消費者・利用者の利用の仕方とあわせて応分の負担をあわせ検討される必要があります。


 ヤマト労働組合は、契約社員を含めて全員加盟です。ヤマトは2007年にも労働基準監督署から是正勧告を受けています。しかし労使ともにそれを機会に労働条件を改善するという方向には至りませんでした。退職した労働者などからの話では、まったく機能していなかった、組合員の声は聞き入れなかったということです。
 そのため作年8月に神奈川の2人の労働者が労働基準監督署に相談し、労基署は是正勧告を出しました。しかし労働者は労基署が認めた以上のサービス残業があるとして労働審判を申し立て認められました。
 会社は7万6千人の全社員の未払い残業代を過去2年さかのぼって調査し支払うことにしました。

 労働基準監督署の是正勧告を受けても変わらなかったという話を聞くと電通を連想させます。
 しかし労働者に耐えきれなくなったという事情があったとしてもヤマト労働組合の側から “働き方・働かせ方” を会社に要求し、のませていったということは大きく違います。ヤマト労組の今後の活動を期待して見守りたいと思います。そして多くの労働組合に、ヤマト労組を見習ってほしいと思います。
 そして労働者がもう一度自分の生活時間を取り戻す機会にしたいと思います。

   「活動報告」 2017.2.24
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