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体調を崩してしまった 「企業戦士」 が 「はれ」 を取り戻すために
2017/03/03(Fri)
 3月3日 (金)

 あるユニオンの組合員のフリースペース 「元気を取り戻す相談・交流会」、別名 「ぽつぽつ交流会」 に参加しました。
 交流会の呼び掛け文です。
「身体的、精神的に不調になり、何となく元気がなくなってきたなという組合員の方が少しでも元気を取り戻す機会が作れればいいという目的で開設することにしました。……
 なにげない会話や趣味の話などを通じて、一緒に自分の新たな居場所や可能性をみつけることもできるかもしれません。相談がある方も歓迎します。平行して相談コーナーも設けます。……
 会費は無料。途中参加・途中退席もOK。疲れたら寝ていてもかまわない交流会です。」
 この後は毎月1回開催されます。ルールはただ1つ、「人の悪口は言わない」 です。

 労働組合が主催する会議やイベントは堅苦しいものが多いです。たまに脱線してもすぐに軌道修正がかかります。労働者にとって堅苦しくて解放されません。そうすると、気の合う仲間だけで居酒屋に行き、いない者の噂話に花を咲かせたり、1人でスマホに夢中になります。スマホは調べものにも活用できますが、常時いじくっている人は “人寂しい” 、だれか仲間を求めているのです。


 会社の人事担当者向けの情報を提供しているインターネット 「人事ONLINE」 の16年6月17日の記事の見出しは 「株式会社バークレーヴァウチャーズ 世界15カ国中、日本の職場の 『ウェルビーイング』 に対する満足度が最も低い」 でした。
 日本にある株式会社バークレーヴァウチャーズは、フランス・Edenred (エデンレッド) の100%子会社です。Edenredはこれまで身体的、精神的、社会的に良好な状態であることを表す職場の 「ウェルビーイング」 に関する調査を11回行っています。
 11回目の 「2016年度 Edenred-Ipsos Barometer調査」 は世界15カ国、14,400人の従業員を対象に実施しました。15カ国とは、日本、ベルギー、ブラジル、チリ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、メキシコ、ポーランド、スペイン、トルコ、イギリスおよびアメリカです。
 日本での調査は初めてで、回答者は803人でした。
 「ウェルビーイング」 に関する10項目の満足度の結果は、インド88%、メキシコ81%です。続いてアメリカ、チリ、ブラジル、ドイツ、イギリス、中国が70%以上で平均は71%です。
 日本は。44%で最下位です。とくに勤めている会社や組織における自分の将来について不安がない28% (世界平均65%)、朝仕事に行くのが楽しみである30% (世界平均77%)、職場が刺激的な環境だ33% (世界平均61%) という結果です。満足度が高い順でも、目標や任務など、自分が職場で求められていることをはっきりと認識している67%、問題を抱えたら、同僚がサポートしてくれる55%、利用できる施設や資材は適切である64%、仕事と私生活のバランスに満足している48%、自分の仕事は面白いと感じている45%でした。

 日本の労働者は将来に不安をかかえ、仕事を面白いと感じないで、つまりはストレスを抱えて日々働いています。しかも長時間です。なおかつ悩みを打ち明けたり、相談できたり、ストレスを解消しあえる仲間や労働組合が近くにありません。それが当たり前、我慢しかないと思いこんでいます。
 他の国と比べたら日本の職場は異常です。労働者の多くが誰かに愚痴をこぼしたい、解放されたいという思いを持っています。しかしその機会がありません。
 それは日々の労働相談の中からもうかがえます。


 交流会は、会議等で脱線した時に登場する話が本流です。だから軌道修正はありません。
 当日は、参加者からの差し入れの缶コーヒーにお菓子が用意されていました。
 さまざまな話が登場しましたが参加者の中に、「朝日俳壇」 に投稿して採用された人がいました。その人が、休耕田を仲間たちと復興させ、米作りを続けているなかで作った作品30句を披露しました。

  春田打つ 豊かな実り 念じつつ

  七寸の 竹を謀りに 田を植うる

  田草取 足跡深く 残りおり

  足踏みの 脱穀籾を とばしけり

  水口を 覆ひ尽くせり 芦の花

 周囲からは作品への評論よりも農作業の解説が入ります。
 「春田打つ」 は、田植えができるように土を耕してならし、水を張る作業です。
 「七寸の竹」 とは、ならした地面に置いて、早苗を7寸 (21センチ) の幅をもって植える目安にする道具です。
 「田草取」 は、雑草をとるだけでなく、地中をかき回すことによって空気 (酸素) を送りこむ作業なのだそうです。
 「足踏みの 脱穀」 は、稲束から籾を切り離す脱穀を足踏みの農機具で行なっています。今は大型の機械で行ないますが、種籾にするにはやはり足踏みの機械での丁寧な作業の方がいいのだそうです。
 「水口」 は田んぼに水を入れるところです。水がきれいで豊富なあたりに芦やセリなどを植えるといいものができます。


 もう1人、俳句好きな人が松尾芭蕉にうんちくを傾けました。

  夏草や 兵どもの 夢のあと

 「奥の細道」 には芭蕉が高館にのぼって北上川とその周辺一帯に生い茂る夏草を見渡しながら平泉の藤原三代にわたる栄華に思いをはせて詠んだとありますが、本当は、8世紀末に征夷大将軍 (東夷を 「征討」 する将軍) の坂上田村麻呂の 「蝦夷征伐」 に反撃した阿弖流為たちの無念さを詠んだものではないのかという説です。(東北地方では、学校教育以外では 「蝦夷征伐」 などとはいいません)
 その人は東北を旅して、高舘から北上川を眺めた時、その思いに駆られたといいます。同じ場所です。


 そのような説はどこにもないと反論されても、東北が侵略された事実は消すことはできません。
 蝦夷には大和からの侵略の歴史があります。柳田國男の 『遠野物語』 には、「山人」・ 「我々社会以外の住民、即ち、我々と異なった生活をして居る民族」 が登場します。平地に居住する 『日本人』 = 「大和民族」 に先行し、やがて 「帰順」 した人びとです。
 柳田國男の 『遠野物語』 を皮肉った井上ひさしの 『新釈遠野物語』 に登場する 「山人の近くにいて人間の素振りをしてだまくらかす」 と遠野地方の人びとが語る河童は、実は侵略者 「大和民族」 で、その蛮行を遠巻きに語り継いできたのかもしれません。(11年7月22日の 「活動報告」参照)

 陸前高田市の七夕祭りは 「うごく七夕まつり」 と気仙町には900年以上続いている 「けんか七夕」 がありました。震災前は4台の山車が練り歩き、ぶつかり合っていました。(東に日本大震災のほ復興工事で嵩上げされるまでは続けられました。)
 お祭りにけんか? 900年以上続いている?
 もしかしたら、山車がぶつかり合う 「けんか七夕」 は、「東北人」 の 「大和民族」 への屈服しないという意思を象徴し、再起への訓練、そして 「はれ」 の姿を取り戻す瞬間だったのではないでしょうか。

 このような思いで東北、東日本大震災の被災地、福島原発、沖縄をみなおすと差別の実態が浮かび上がってきます。


 交流会は元気がなくなってきたなとおもう組合員が元気を取り戻す機会になることが目的ですが、頑張り過ぎて体調を崩してしまった 「企業戦士」 が、本当の 「はれ」 の姿を取り戻すリハビリテーションでもあります。


   「活動報告」 2011.9.1
   「活動報告」 2011.7.22
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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