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ひどすぎる教育労働者の労働実態
2017/02/03(Fri)
 2月3日 (金)

 12月22日、文科省は 「平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」 を発表しました。この中に 「教育職員の精神疾患による病気休職者数 (平成27年度)」 も含まれています。
 休職者数は5,009人で全教育職員数の0.54%です。
 病気休職者の推移をみると、20011年5274人、12年4960人、13年5079人、14年5048人、15年5009人です。
もう少し遡ってみると、2001年2503人 (0.29%)、02年2687人 (0.29%)、03年3194人 (0.35%)、04年3559人 (0.39%)、05年478人 (0.45%)、06年4675人 (0.51%)、07年4995人 (0.55%)、08年5400人 (0.59%)、09年5458人 (0.60%)、10年5407人 (0.59%)です。12年頃から急増し、18年には5000人台になりました。
 2001年と比べると10年間で2倍になっています。

 学校種別・年代別・性別・職種別状況 (教育職員) の率をみると、小学校が0.55%、中学校が0.64%、高校が0.37%、中等教育学校0.30%、特別支援学校0.66%です。中学校と特別支援学校が高くなっています。
 男女別では、男性0.51%、女性0.57%です。職種別では教諭0.60%、主管教諭等0.36%の順です。

都道府県別でもっとも発症率が高いのが沖縄で1.24%です。全病休者も2.86%でいずれも4年連続で過去最高を更新しています。全病休者の発症率は全国平均の3倍で、8年間全国ワーストを続けています。
 原因について2016年10月8日の沖縄タイムスは沖教組の 「もともと勤務実態が厳しい上に、近年は学力向上対策や教員評価システムが加わり、負担感は増している」 の見解を紹介しています。
 沖教組が2015年にまとめた教職員アンケート (1122人回答) では、1週間の超過勤務は平均23時間36分。1か月換算では平均94時間24分になり、教職員のほぼ3割が月80時間以上の超勤をしているとの推計が出ています。

 沖縄以外の都道府県別の発症率が高い順は、東京0.85% (全病休者1.12%)、広島0.77%(1.19)、高知0.77%(1.23%)、大阪0.74%(1.14%)です。精神疾患による病気休職者率が高いところは全病休者の率も高いです。


 もっと詳しく検討する必要がありますが、死亡、休職期間満了・途中での退職、任用期間の満了などの資料は公表されていません。
 例えば2016年5月24日の 「活動報告」 に書いた東京都の状況です。情報公開制度などを活用して明らかにしました。
「東京都教育委員会の退職理由統計があります。定年以外です。
 高校です。2011年度は、死亡14人、病気15人、家事・介護5人などで、合計40人です。12年度は、死亡20人、病気5人、看護・体調不良・健康上の問題7人などで、合計39人です。13年度は、死亡6人、病気12人、介護等6人で、合計45人です。
 義務教育学校です。2011年度は、死亡14人、病気34人、家事・育児10人、体調不良6人などで、合計89人です。12年度は、死亡20人、病気29人、指導力不足・健康上の理由等14人などで、合計88人です。
 死亡が結構な数になっています。これをどう見ることができるでしょうか。

 東京都白書の 「2013年度の条件附採用教員の任用について」 です。条件附採用とは、正規採用は2年目からということです。
条件附採用教員数2740人、そのうち正規採用者数は2661人で、正規採用にならなかった数は79人です。79人の内訳は、年度途中の自主退職者数65人、正式採用 「不可」 の者数13人などです。
 年度途中の自主退職者数は、09年度59人、10年度66人、11年度76人、12年度77人です。この数字をどう見たらいいのでしょうか。」


 「平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」 のなかにおもしろい数値があります。希望降任制度のここ5年間の数です。都道府県で大きなばらつきがあります。
 副校長等からの希望降任が北海道、東京都、大阪府は12年から、10人を超えています。千葉県、鹿児島県、大阪市は10人を含む1桁台です。
 主幹教諭からの希望降任は、東京都と神奈川県が20人台から40人台になっています。大阪府は10人台後半から30人台、横浜市が10人台後半から20人台になっています。
 これらのところは確かに職員数・学校数は多いです。しかし都道府県ごとの教育職員総数における休職者の割合は公表されていませんが、割合は高くなっているのではないでしょうか。
 東京都の教育職員総数は60017人で、休職数は全国の1割を超える528人で0.85%です。
 希望降任数と求職者数はリンクしているようです。


 日本の教職員の勤務環境については、2013年にOECDが行った 「国際教員指導環境調査 (TALIS)」 でも 「日本の教員の1週間当たりの勤務時間は最長」 と指摘されています。そこでは日本の教員は 「授業時間は参加国平均と同程度であるが、課外活動 (スポーツ・文化活動) の指導時間が特に長く、事務業務、授業の計画・準備時間も長い」と分析されています。


 2016年12月に連合総研は 「とりもどせ!教職員の 『生活時間』 -日本における教職員の働き方・労働時間の実態に関する研究委員会報告書-」 を発表しました。
 小中学校・高等学校・特別支援学校の教員5000名を対象としたアンケート調査結果です。
「(1) 長時間勤務の実情
 出退勤時刻と在校時間 (学校にいる時間) をみると、小学校教諭は出勤時刻7時31分、退勤時刻19時4分、在校時間11時間33分、中学校教諭が、出勤時刻7時25分、退勤時刻19時37分、在校時間12時間12分であり……。ただ、民間の労働者の平均出勤時刻9時00分、平均退勤時刻18時15分、在社時間 (職場にいる時間) 9時間15分 (連合総研2007年調査) に比べ、かなり長いことが読み取れる。
 勤務日の労働時間を、学校内、自宅、自宅外で分けてみると、まず学校内の労働時間が、小学校教諭で平均11時間6分 (中央値11時間)、中学校教諭で平均11時間43分 (中央値12時間) であった。自宅の労働時間が小学校教諭で平均値58分 (中央値1時間)、中学校教諭で平均48分 (中央値30分) であった。自宅での主な業務は教材研究・授業準備、提出物や成績の処理、校務分掌に係る業務、そして資料や報告書の作成であった。学校及び自宅以外の労働時間は小学校が平均21分 (中央値0分)、中学校で平均28分 (中央値0分) であった。
 勤務日の労働時間と休日の労働時間を合わせた週の実労働時間数をみると、週60時間以上の割合が小学校教諭の72.9%、中学校教諭の86.9%であった。

「勤務日に学校内・自宅以外で行った業務をまとめると……小・中学校双方で回答が多かったのは 『課外授業・補習指導』 (小学校28.4%、中学校21.4%)、『会議 (校外)』 (小学校26.0%、中学校21.4%) であった。前者には学校外での補習指導も含まれることから、児童生徒の自宅を訪問して、学習指導を行っている実態がうかがえる。それ以外には 『保護者・PTA対応』 (小学校13.9%、中学校15.3%)、『児童・生徒指導』 (小学校13.5%、中学校16.8%) で回答が多かった。家庭訪問や学外で生徒指導・生活指導にあたる小・中学校教諭が一定数確認された。」

 自宅での仕事です。
「さらに勤務日に自宅で行った業務をまとめると……小・中学校ともに、勤務日に自宅で行う業務として多くあげられたのは、『教材研究・授業準備』 (小学校85.5%、中学校83.3%)、『提出物や成績の処理』 (小学校64.5%、中学校49.9%)、『校務分掌に係る業務』 (小学校33.6%、中学校29.7%)、『資料や報告書の作成』 (小学校27.5%、中学校26.9%)、『学年・学級経営』 (小学校25.2%、中学校21.5%) であった。」


 教員はとにかく忙しいです。いずれかの業務が減ってもその分を他の業務に充てることになります。自己啓発は夢物語です。多忙のため社会との接点をなくし、精神的にもゆとりがないままに児童・生徒そして保護者と接することになります。

 労働者が精神的不調になるのは長時間労働だけではありません。労働の質も問題になります。「報告書」 は長時間労働に関するものですが、「管理教育」 は教員を追い詰めます。

 今、政府と厚生労働省は残業時間の短縮を掲げています。教育労働者ももっと社会に実態を明らかにし、その改善を迫っていくことが必要です。

  「平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」
   「とりもどせ!教職員の 『生活時間』」
   「活動報告」 2016.5.24
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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