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国破れて山河もない
2016/10/18(Tue)
 10月18日 (火)

 11日で東日本大震災から5年と7カ月を迎えました。14日で熊本大震災から半年を迎えました。異常気象がつづいていますが、これからは少しづつ寒くなっていきます。しかし東北にはまだ6000戸の仮設住宅が残っています。仮設住宅は7年目を迎えるまで存続することが決定しました。災害住宅の建設は遅れています。熊本の仮設住宅では夏の猛暑はどう過ごされたのでしょうか。

 9日、福島県飯館村に、東電を相手に損害賠償訴訟をしている原告・被災者と交流するためにマイクロバスで現地を訪問しました。13年6月に次いで2回目です。

 常磐自動車道で向かいました。いわき市を過ぎると持参した放射能の測定器が揺れ始めます。町村の境界地点やパーキングエリアには測定器が設置されていますが、基準値標以下の数値を示しているとはいえ高くなっていきます。本来なら、窓外には稲刈りを終えた稲が干してある季節です。しかし見えません。日曜日の午前中でも人影がありません。走っている車もありません。家畜もいません。異様な田園風景です。前回の時にあちこちで見かけたキツネやタヌキ、イノシシもいません。
 その代わり、除染を終えた田んぼや畑には、除染土を詰めた黒いフレコンバックが最高が5段まで積み上げられています。フレコンバックは現在、県内に915万袋あるのだそうです。置き場は11万4千カ所です。
 あまりにも黒い山が目立ちすぎるので、最近は緑色のビニールシートで覆い、自然と一体に装ってカモフラージュをしています。

 フレコンバックが置かれていない田畑は有効活用ということなのでしょうか、太陽光パネルが占領しています。管理はほとんど放置です。原子力発電に代わる安全な発電と騒がれています。しかし太陽光パネルは確かに放射能は出しませんが、電力を作ると同時に周囲に熱を発し、自然破壊をしているという苦情も寄せ始めています。
 今、農業問題が議論されていますが、日本の農業は食料需給だけでなく、田園は自然環境を保護する役割もはたしています。
 フレコンバックも太陽光パネルも自然環境を破壊しています。原発は、自然も社会も破壊し、人間を排除しました。


 飯館村は、原発事故が起きる前の年の9月に 「日本一美しい村」 に選定されました。
 それ以前から、全国から移住する人があいついでいました。
 村は、来年4月に避難指示解除になります。村は今、避難者に帰村を呼びかけています。
 埼玉に死んでいましたが、定年退職後は飯館で余生を送ろうと決め、原発事故が起きる数年前に自分で家を建てた方のところに行きました。一時帰還しています。道路からかなり奥まったところに家は建っています。明かりは高い天井窓からとります。夏でもそう暑くはなりません。暖房は自分で調達する薪をくべるストーブが設置されています。寒さにそなえて窓は二重です。子どもや孫たちが遊びに来ても十分な部屋割りになっています。道路から玄関に至る手前の両側にモミの木が植えてありました。クリスマスに孫が遊びにきた時のため用です。しかしその願いはかないませんでした。
 食料は時給自足をしていました。東京で働く奥さんも退職したらする呼び寄せる予定でした。しかし奥さんの退職間際に原発事故が起き、避難を余儀なくされました。夫婦は現在、福島県内の別のところに新たに家を建てて生活しています。孫たちが安心して遊びにこれる居住地を確保するためです。
 避難指示区域に避難者が所有する住居は、来年4月までは固定資産税は免除です。その後は課税になります。
 「孫が遊びにも来れない家を残していても意味がない」。夫婦は、せっかく建てた家をどうするか検討しているといいます。

 もう一軒の地元で何代もつづく農家だった被災者宅を訪問しました。地震でもびくともしなかった高い屋根の母屋が残っています。しかし誰も住んでいません。屋敷の前に広がる部田んぼを作っていましたが、今は太陽光パネルが占領しています。
 原発で避難を余儀なくされた農家にとって、生活維持・生産手段の家畜や田畑まで避難させることがはきません。生活手段を奪われました。そのためにさまざまな悲劇が生まれています。移転先でかわりに同じ面積の田畑を保障されたとしても、“一人前の” 田畑 に作り上げるにはそれなりの年月を要します。田畑は生き物です。

 要所要所で放射線量を測定しましたが、雨どいや排水溝の近くになると基準を大きく超えます。まだまだ安心して生活ができるまでに至っていません。


 除染土を燃やす仮設焼却施設に行きました。除染度の総量を七分の一から十分の一に減らす目的で作られました。トラックが次々にフレコンバックを運んできます。
 焼却施設とそこに通じる道路は森を切り倒し、土砂を掘って作られました。
 日本一美しかった村の森も破壊されています。


 帰りのマイクロバスで、それぞれが一日見聞きしたことの感想を述べあいました。
 1人が言いました。
「国破れて山河ありというけれど、原発で破壊された村は山河も破壊されてない」
 まさしくその通りです。「城春にして草木深し」 の草木はすすきとセイタカアワダチ草です。


 まだ避難指示解除は無理です。しかし政府と村は強行します。全国が監視する原発被害の実態から目を覆わせるためです。

「国破れて山河もない」
 この実態を全国に暴露する中から、被災者への本当の補償と、原発廃止に向けた政策を実行させていく必要があります。


   「活動報告」 2013.6.18
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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