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復興 道半ば
2016/04/12(Tue)
 4月12日 (火)

 4月11日で、東日本大震災から5年と1か月を迎えます。復興は道半ばと言えるのかどうかというところです。
 5年 「も」 過ぎたということは、1つの転換点も迎えました。

 3月22日の河北新報は 「<きずな新聞> 仮設の情報源 惜しまれ終刊」 の見出し記事が載りました。
 石巻市で月2回、仮設住宅に無料配布されていた 「仮設きずな新聞」 が終刊となりました。震災から5年が過ぎ、資金や担い手が不足し、継続が難しくなったといいます。
 被災者支援に取り組む団体 「ピースボート災害ボランティアセンター」 が2011年10月に創刊しました。A4判4ページで、住民の活動や地域の催し、健康に関する話題など暮らしに役立つ情報を掲載してきました。約5.500部をボランティアや地域住民が市内133カ所の仮設団地で一軒一軒訪ねて直接手渡してきました。「見守り活動」 が好評でした。
 編集長だった方は、「助成金などの支援が年々減り、資金難と担い手不足が主な要因」 と説明しています。自身も東京の夫とは別居状態が続いていました。「歳月を経て支援者側の生活環境も変わった。仮設住宅の解消まで頑張るかどうか悩んだが、どこかで区切りが必要」 と話しています。

 石巻市は、被災前は人口が約16万人でした。市内の仮設住宅には現在も約4.000世帯、8.000人以上が生活しています。
 県内の災害公営住宅 (復興住宅) 建設は遅れに遅れています。そのため、当初2年間だった仮設住宅の供与期間は、7年に及ぶことは必須です。
 その一方、復興住宅の完成が遅れていることに耐えきれなかった被災者は、すでに自力で住居を確保しています。そのため、完成した復興住宅では空室も出ています。


 各地で盛り土が行われています。かつて馴染んだ光景が震災で瓦礫に覆われましたが、その後、街並みも消されて整地されました。そこに今、土がかぶされていきます。昔の面影は完全に失われました。
 今盛り土工事が行われているということは、新たな街づくりはまだまだ先だということです。その原因には、まず2002年のオリンピック関連工事に人材も資材も奪われ、さらに人件費と資材が高騰しているということがあります。
 そして各地方自治体の職員不足、とくに土木関連の不足がずっと問題になっています。

 3月30日の河北新報は 「職員不足 宮城被災15市町175人」 の見出し記事が載りました。
 29日に開催された 「市町村震災関係職員確保連絡会議」 で、被災した宮城県沿岸15市町で16年4月1日時点で職員175人が不足することが明らかにされました。
 必要人数は昨年比74人減の1.509人で前年より83人減っていますが、技術職中心に職員不足は慢性化しています。国や県、全国の自治体などからの派遣や任期付き職員採用による充足数は22人増の1.281人です。4月2日以降の採用などでさらに53人確保できそうだが、残りはめどが立っていないといいます。
 市町別で不足が最も多いのは気仙沼市の56人で、石巻市53人、名取市15人と続きます。職種別では土木や建築など技術が108人、一般事務67人です。仙台市は被災市町で初めて必要人数がゼロになります。
 対策として、県は市町と合同で任期付き職員採用試験を開催したり、全国の自治体に職員派遣を要請したりするとともに派遣の継続につなげるため、本年度に続き全国の自治体トップを被災地視察に招きます。


 総務省の調査です。
 15年10月1日時点での全国の自治体から被災地の青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の自治体に派遣された職員数は2.202人です。都道府県が1.187人、政令都市が234人、市町村が781人です。派遣先では、岩手県内へ655人、宮城県内へ1.145人、福島県内へ398人などです。職種別では、一般事務 (用地関係事務を含む) 952人、土木関係が803人、建築関係が613人などです。
 復興のために採用されて在職している任期付職員数は、15年4月1日時点で1.549人でした。うち、県庁で採用され、県内市町村に派遣された任期付職員数は307人です。
 宮城県の合同の任期付き職員採用試験は、昨年秋にも仙台、名古屋、東京、大阪で行われました。しかし任期が3年間で、2年間延長する場合があるという条件は二の足を踏ませます。


 3月9日、共同通信は 「震災後に採用、5人に1人 被災42市町村の正規職員」 の見出し記事を載せました。
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被災した岩手、宮城、福島3県にある42市町村の正規職員のうち、震災後に採用された職員は2015年4月時点で22%に上ることが各自治体への取材で分かったといいます。若手中心の補充で、経験豊富な職員が相対的に少なくなり日常業務に支障が出るほか、震災や原発事故対応の貴重なノウハウが十分に引き継がれない恐れが指摘されているといいます。
 震災はこれまで担ったことがない業務を長期に作り出し、それだけでも増員は急務でした。しかし津波の犠牲となった職員もいるのと、体調不良に陥って休職・退職した職員もいます。それを全国からの応援派遣と新規採用による補強で維持してきました。そのようななかでの5年間です。

 人員不足は職員の過労につながります。
 3月4日の神戸新聞は、「被災自治体 精神疾患の休職 1.6倍」 の見出し記事を載せました。
 共同通信の取材では、2月時点で、東日本大震災と福島原発事故で被災した岩手、宮城、福島3県の39市町村で、休職者数は256人、そのうちうつ病などの精神疾患を理由にした職員は151人にのぼっています。震災が起きた10年度の192人と92人と比べると1.6倍です。精神疾患を理由にした休職者は11年度113人、12年度から14年度は130人台ですので増えました
 ただし、共同通信は42の市町村を取材しましたが、数字の発表は津波で資料を流出した岩手県大槌町、宮城県南三陸町と女川町は比較不能なので外したといいます。被害が大きかったところが含まれていません。
 背景としては、本格化する復興事業の負担増や原発事故対応のストレスがあるとみられ、慢性的な人手不足も追い打ちをかけているといいます。

 震災後、自治体職員から派遣職員も含めて4人の自殺者が出ています。

 今年3月9日、大船渡市は、県から派遣されていた30代の男性土木技師が宿舎の仮設住宅で死亡していたが、現場の状況から自殺とみていると発表しました。市と県によると、男性は2013年4月に県が採用し同市に派遣。市内の仮設住宅に1人暮らしで、任期は3月末まででした。7日朝、出勤せず連絡も取れないため訪ねた同僚が発見しました。(3月9日の 「活動報告」 参照) 

 派遣する側の自治体も大変です。
 昨年12月16日の毎日新聞は 「兵庫から被災自治体派遣の職員ら意見交換会 仙台 /宮城」 の見出し記事を載せました。
 兵庫県は、阪神淡路大震災で全国から支援をうけたということで、県内の自治体から東日本大震災の被災地に派遣している職員は12月段階で142人にのぼっています。
 兵庫県は、2013年1月に宝塚市から岩手県大槌町へ派遣されていた男性職員が自殺に至ってしまい、メンタルケア対策が大切だという教訓から、13年度から県や県内の市町から派遣されている応援職員の意見交換会を開催し、派遣職員同士の交流を図り、今後の職務に生かしています。
 12月15日には、仙台市内に約50人が集まりました。職員は班に分かれ、日々の業務で感じる問題点を議論。「専門的な技能を持っていても、違う仕事を任されている」 「地元職員が少なく採用も少ない。派遣職員が全て引き上げた後に地元職員だけで事業を支えていけるのか心配」 など現場で直面する課題を共有したといいます。
 参加者の1人は 「派遣職員が被災自治体の中でどう働くべきか、考えている人が多いと改めて感じた。自分も経験のない業務を担当しているが、勉強しながら復興をしっかりとサポートしたい」 と話していたといいます。


 震災は未曽有の出来事でしたが、それにしても、行政改革が緊急時の対応を遅らせ、復興の遅延に追い打ちをかけて二次被害を出していると言えます。


   「活動報告」 2016.3.9
  「自治体職員の惨事ストレス対策」  
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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