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国労東京駅分会 「惜しかったなあ」 の闘い
2015/11/10(Tue)
 11月10日 (火)

 ある研究会で、JRの東京駅で新幹線の乗車券発売や出改札業務、車いす補助、在来線改札などの業務を担っているJR東日本の協力会社・株式会社JR東日本ステーションサービス (JESS) 東京駅営業所における従業員代表者選挙の闘いの報告を聞きました。

 東京駅では700人から800人が働いています。
 JESSにはプロパーだけでなく国労や東日本労組組合員などJR東日本からの出向者などもいます。いずれも従業員数の過半数を超えていません。
 2014年秋、内勤室に張ってある 「時間外労働に関する協定届」 を見て、組合活動が豊かな1人の国労組合員が変なことに気づきました。「おかしいぞ」。過半数を代表する者の選出方法が 「挙手による」 となっていて代表者の名が書いてあります。「俺たちは手を上げてこの人に決めたことないよなあ?」 「会社が勝手に俺たちの代表者を決めてるんじゃないのか?」
 調べてみると、社員全員で選ぶことになっている 「過半数代表者」 を会社が一方的に指名していることがわかりました。
 労働者の過半数が加入する労働組合のない事業所では、就業規則で決められた労働時間を超えて時間外労働を命ずるには、そこで働く労働者が 「過半数代表者」 を選び、その代表者と協定を結ぶ必要があります。明白な労働基準法違反でした。
 労働基準法は、労働条件を使用者 (経営者) が一方的に決めることを制限しています。過半数が加入する労働組合がある場合には組合が、ない場合にはそこで働く労働者が選んだ 「過半数代表者」 が、職場の様々な運営に参加することになっていて、就業規則で決めた労働時間を超えて時間外労働を命ずる場合、結ぶことの必要な協定 (36協定) の締結や、安全衛生委員会の労働者側委員の推薦などがあります。
 日頃、「コンプライアンス重視」 を表明している会社が、労働基準法違反という重大なコンプライアンス違反を犯していました。

 国労東京駅分会とJESS班は2015年5月19日、東京駅営業所長に対して、明らかな労基法違反を改めるため、速やかに 「職場の過半数代表」 の選出をやり直すことなどを求める申し入れを行いました。申入れに対して、営業所は 「真撃に受け止め、代表者の選出を改めて行う事としました」 と表明し、選挙が行われました。
 6月に一回目の選挙が行われました。総数は271票で、過半数は136票です。
 6月23日に開票された選挙結果は、
  国労組合員の候補      134票
  JRから出向の会社側候補 128票
  白4  無効3  棄権2 
 労基法の 「職場の過半数代表者」 を選ぶ選挙では、「全有権者の過半数」 を獲得する必要があります。国労の候補は会社側の候補を上回りましたが、過半数にわずか2票足りませんでした。
 7月に二回目の選挙が行われました。総数は272票で、過半数は137票です。
 7月13日に開票された選挙結果は、
  国労組合員の候補    125票
  プロパーの会社側候補 139票
  白5  無効2  棄権1 
 プロパーの会社側候補は過半数をわずか2票上回りました。新しい 「過半数代表者」 が決まりました。
 「惜しかったなあ」 が国労組合員の選挙結果分析の感想です。

 選挙では会社側からさまざまな介入があり、大変問題のある選挙になってしまいましたが、まずこれまでの労基法違反の状態を改めて、まがりなりにも法律に基づく選挙が行われたことは大きな前進だと考えています。
 一回目の選挙で国労組合員候補が勝利する可能性は充分ありました。二回目の選挙でもプロパーの会社側候補の過半数獲得をはばむ可能性も充分ありました。国労組合員候補は、基礎票である国労組合員数の二倍以上の票を獲得しました。本当に惜しかった。大変惜しい、大変悔しい結果ですが、本来は介入してはならない会社側が、さまざまな介入を行った中で大健闘したと思います。一回目から票は大きく減っていません。

 会社に申し入れたのは、「法律にしたがって、労働者代表を選挙で選んでください」 というそれだけのことでした。労使が協力して選挙を行い、平穏に代表が決まると思っていました。しかし、会社が一方の候補に肩入れしたため、労働者どうしで争われるはずの選挙は、会社と労働者の力だめしになってしまいました。
 一回目で、国労組合員の候補がもう1人の候補を破ったため、二回目の選挙戦で会社側は、営業所長が連日の点呼で国労組合員陣営を非難し、チラシ配布に介入するなど露骨な選挙介入を行いました。
 労働者代表を会社が一方的に指名するのは労基法違反ですが、過半数代表選挙に会社が介入するのも労基法違反です。日ごろ 「コンプライアンス遵守」 を唱えている会社が、今回の選挙を通じて重大なコンプライアンス違反を繰り返したことを、厳しく非難します。

 点呼での営業所長の発言です。
 「ビラを配っている者がいるが、いやな者もいるだろう。いやな者は受け取らないでいい」
 投票が始まる前の発言です。「ビラでは繁忙手当など、36協定と無関係なことが主張されている。弁護士とも相談しているが、選挙の趣旨から逸脱している可能性がある」
 投票が始まってからの発言です。「国労東京駅分会機関紙が休憩室にあった。会社は認めていない。ビラを渡されても断るように。また、ビラを撒いている者がいたら、会社に報告するように」
 そして突然新入社員歓迎会が開催されます。

 1度目にはJRから出向の会社側候補陣営、2度目にはプロパーの会社側候補陣営の支持者から会社に対して、国労組合員陣営のチラシ配布をやめさせるよう通報があり、会社はそれを口実に、配布をやめさせようとしました。更衣室に助役2人があらわれて、「俺も組合員だ」 (?)、「俺は会社を守る」 (?) などと威圧したほか、何度か配布をやめさせようとしましたが、禁止できませんでした。JRから出向の会社側候補陣営、プロパーの会社側候補陣営の支持者が会社側に、労働者として当然の権利を押さえつけるよう求めたことは、労働者として自殺行為であり大変残念です。

 国労組合員陣営は、「会社が過半数代表を一方的に指名するのは法律違反」、「自由で公正な選挙で、職場の労働者自身が自分たちの代表を選ぼう」、「東京駅収入の四〇%を稼ぐ厳しい労働にふさわしい待遇を。東京駅営業所の全員に繁忙手当を」、「必要要員の確保」 「安全衛生委員会の改革」 などを掲げて選挙戦を闘いました。
 会社側が 「国労組合員は36協定と関係ないこと、できるはずのないことを主張している」 「代表者はプロパーがふさわしい」 と宣伝したことに対して、国労組合員陣営は具体的な反論を書いたチラシで対抗しました。しかし、点呼での国労組合員陣営非難に対して、投票期間中に抗議できなかったことは残念です。(投票終了後、開票前に書面で抗議の申し入れを行いました。)

 私たちの 「現状は法律違反」 という申し入れを 「謙虚に受け止め」 て、会社は選挙を行いましたが、奇妙なことに、「現状は法律違反ではない」 という考えは変えませんでした。やり方がまずかったので選挙をしますということです。これはまったく認めがたいものでした。


 会社が、七月一日の就業規則変更にあたり、一方的に指名したJRから出向の会社側候補の 「意見書」 を添付して労基署に届ける姿勢を変えないため、6月30日、国労組合員陣営はやむなく、中央労働基準監督署 (労基署) に対して東京駅営業所の労働基準法違反を申告しました。
 労基署は私たちの申告を受理し、7月3日、監督官が東京駅営業所を調査のために訪れました。
 7月6日、中央労働基準監督署に出向いた営業所側に対して、労働基準法違反を指摘する是正勧告書と指導票が交付されました。
 その内容は
 職場の過半数代表者選出が法律に従って行われておらず、3月19日に届け出た時間外労働・休日労働に関する協定届と6月26日に届け出た就業規則の変更届は無効であり、労働基準法三二条と九〇条に違反している。
 職場の過半数代表者の選出を、民主的に正しく行うこと。

 7月16日、東京駅営業所は中央労働基準監督署に斉藤順治社長名の是正報告書 (7月5日付) を持参して説明し、受理されました。
 その際、新たな時間外労働・休日労働に関する協定届 (7月14日付)、就業規則への意見書 (7月14日付) でも、代表者の選出が選挙をしたにもかかわらず 「挙手による」 とされていることに対して、監督官が、選挙を行ったのではないか? 「挙手による」でいいのかと質問したことに対して、営業所側は 「点呼時に挙手で決めた」 と説明しました。(えー? そんなことあったかな? なかったよな? おかしいぞ? )


 JESSは2000人を超える大企業になりました。次々と駅業務を受託して、閑散線区中心の会社から、JR東日本の顔と言える東京駅新幹線乗換口など、JR東日本の収入の大きな部分を扱うまでになっています。しかし、そこで働く労働者の待遇は、それにふさわしいものでしょうか。
 JESSプロパーと、出向者、エルダー社員 (JRからの再雇用社員) のあいだに大きな格差があります。
・JESSの今年の新卒社員の賃金は17万円です。調整手当3万円、超勤手当5000円弱、夜勤手当
 5000円弱で、手取りは約17万円です。定期昇給はありません。5年経過したら評価によって1万円
 の幅で昇給します。そのため会社に表では不満を言いにくくなっています。
・年末年始手当 JR本体には年末年始手当がありますが、JESSプロパーの仲間やパートの仲間が
 年末年始に働いても手当はつきません。一緒に働いている出向者やエルダー社員に手当がつくにも
 かかわらず…。
・特殊勤務手当 徹夜勤務など、からだに負担の大きい変形勤務の場合、JR本体には特殊勤務手当
 がありますがJESSにはありません。一緒に働いても一方だけに手当がつきます。
・都市手当 出向者やエルダーの場合、東京駅で働くと、一番低い地区に比べて、超過勤務や一時金
 にも反映される基準内賃金が一五パーセント高くなりますが、JESSには都市手当がないため、どこ
 で働いても同じです。若い社員でも体調を崩すほど忙しい東京駅で働いても、忙しくない駅で働いても
 同じ賃金では、自信と誇りを持って働くことなどできません。
 東京駅で働く全員に繁忙手当を!という要求は、みんなの要求、当然の要求ではないでしょうか。
 このような理屈に合わない格差をなくし、皆が働いてよかったと思える職場、働きやすい職場をつくるためには、会社と対等な立場で、働く者の意見を表明することのできる労働組合をJESSの中につくることが必要です。そして、職場の過半数代表者を、私たちの手で、私たち自身が選挙で選ぶことは、働く者の意見を会社の運営に反映させていくための第一歩です。

 昨年末インフルエンザが発生した際、「仕事が回らない」 と言われて、熱が下がったばかりの者が多数出勤させられたため、さらに拡大してしまった問題はきちんと反省されていません。最近も、熱が出て休んだ仲間が、次の日にはもう出勤をもとめられ、熱の下がらないまま出勤したものの途中で退社するという事がありました。
 安全衛生委員会が本来の役割を充分果たすために、国労組合員陣営は国労組合員候補の推薦する者を安全衛生委員会の労働者側委員に補充することを求めています。


 中乗換口の委託に際してJR本体では、本人の意向は無視されて何回も面談が繰り返され、問答無用の強制的な出向が発令されました。辞令を渡されて泣いていた若者もいました。また、年齢を考慮して職場が指定されるはずのエルダー社員を 「日本一忙しい出札」 に発令するのは、労働問題というよりも、もはや人権問題ではないでしょうか。
 今回は触れることのできなかったパートの仲間の問題も含めて、みな困難と苦しみをかかえてがんばっています。
 プロパー、パート、出向者、エルダーは、みんなで手をつないでがんばろうと訴えています。


 労働組合が過半数を獲得していなくても、対抗勢力からの妨害があっても、労働者全体を巻き込んだ闘いができるということを実践した報告でした。

  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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