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いじめに遭って怖いと思ったら逃げる。卑怯でも、負けでもない。
2014/10/24(Fri)
 10月24日 (金)

 10月18日と19日、札幌で第26回コミュニティ・ユニオン全国交流会が開催されました。全国64団体312人が参加しました。

 1日目は、全国総会に続いて5本の闘争報告が行われました。そのうちの2本を紹介します。
 札幌地域労組・田井自動車支部 (組合つぶし) の報告です。
 労働者が約50人の田井自動車工業は消防車を製造しています。2年前、約18万円の賃金のなかに固定残業代約7万円が含まれていましたが、実際の残業は月100時間を超えていました。
 労働者たちが組合を結成し、未払残業代の支払いを請求して団体交渉を要求すると会社は途中で交渉に応じていた弁護士を差し替えました。新しい代理人は、「残業問題は団交で扱わない」 などと回答し、さらに組合員にだけ賞与を支給しないという嫌がらせを行なってきました。組合は24時間ストで対抗しました。
 労働委員会で不当労働行為救済命令が出されると、会社は裁判所に取消し命令を求めて提訴しました。
 未払い賃金は裁判闘争にもなっていましたが、判決を控えた今年7月、会社は弁護士を解任し、和解を提案してきました。そして労働委員会の取消し命令を求めた裁判も取り下げました。不当労働行為は確定しました。
 そして社長は直接組合委員長に口頭で謝罪し、闘争は全面的に解決しました。

 名古屋ふれあいユニオン・一心商事 (組合つぶし) の報告です。
 今年5月、インスタント茶メーカーの一心商事は、労働者代表の選出を巡って労働者から疑義が出されると2人の労働者を解雇しました。これをきっかけに労働者は組合を結成しました。その後も続いた不当労働行為について労働委員会に救済申し立てをしています。
 そのようななかで、7月、社長は組合員を社長室に呼びつけ、日本刀を見せつけて賃金の減額の同意を取り付けようとしました。
 恐怖を感じた組合員は社長室を出て警察に連絡。10人の警察官が刺又を持って駆けつけて連行されていきました。しかし翌日には釈放されました。
 組合員はその時のショックでストレス反応を発生し、休職を余儀なくされています。
 組合は、異常な労務管理に対して社長の代表辞任を求めて闘いを続けています。

 この他、アスベストユニオン、過労死を考える家族の会中原のり子さん (過労死防止法制定の取り組み)、武庫川ユニオン・郵政非正規 (遅刻で減給) 労働者の勝利報告、のなど報告を受けました。
 続いて全体集会では、川村雅則北海学園大学准教授が 『労働組合は必要とされているのか――反すう、そして確信へ』 のテーマで講演を受けました。

 夜のレセプションではアイヌアートプロジェクトによる歌と踊り、そしてアピールが行われました。
 アピールでは、地元の市会議員による大和に同化してアイヌ民族はもう存在しないという発言に対して事実とちがうという反論が行われました。北海道各地の地名はアイヌの人たちによって意味が付与されています。昔からそこで生活を続ける人たちはアイヌの文化を守り続けています。その一端が歌と踊りです。
 アイヌ民族の否定は、上からの統合政策のなかでマイノリティの存在を認めない策動に繋がっていきます。それぞれの存在を主張し、認め合いながら共生していかなければありません。そしてそれぞれの存在を認め合うことは、労働者の団結の基礎です。


 2日目は11の分科会が開催されました。
 第3分科会 「交渉事例から考えよう――いじめ・パワハラとユニオンの可能性」 を報告します。24人が参加しました。
 まず、4~5人で5グループを編成します。そこで自分の仕事を絵に描いて示したり職場の問題点を報告しながら自己紹介していきました。これはアイスブレイクという方法で、固まっている関係を溶きほぐすことを言います。
 雰囲気が作れたところで 「いじめ・パワハラ、ユニオンには何が必要か? 何ができるか」 をテーマにしてワールド・カフェを開始しました。ワールド・カフェは、与えられたテーマをグループで討論し、時間がたったらテーブルホスト以外は他に異動し、ホストから討論内容の報告をうけて新たなグループで討論を続けるという形式です。自由に意見交換する中で新たな発見をするということが目的です。自分が発言した要旨はポストイットに書いてテーブルの上の模造紙に貼っておきます。異動は2回行われました。

 自分の話を分かってもらうためには話をしなければなりません。
 参加者はいじめを受けた者、相談を受ける側の者、いじめ問題に関心がある者など様々ですが自己紹介では全員が発言しなければなりませんし、質問に応えなければなりません。この段階で、アイスの関係がかなりブレイクされていきました。
 他者に話を聞いてもらえるということが問題を整理できるきっかけになり、解決のスタートです。その後は活発な意見交換が続きました。
 グループが変わると同じ事案についても違った質問や意見が出されます。視野が広がります。

 協力者が、ワールド・カフェをスタートさせる前に問題提起として、現在の職場はいじめを受けても我慢したり、目撃しても “見て見ぬふりをする” 状況があるという調査結果を報告しました。また、いじめ問題が発生したら表面だけではなく根本原因を探って追及しようと提案しました。
 グループ討論では、我慢するとかえってひどくなる、“見て見ぬふりをする” をすることは問題を深刻化させることだという意見が出されていました。また、本人も周囲も早期に声をあげて問題提起をし、早期解決や職場環境の改善につなげていかなければならないという意見も出されていました。そうするとそれが職場での予防・防止につながっていくということです。

 それぞれの経験からいじめがどんな構造の中から発生しているかが自然と共通のテーマになっていきました。忙しすぎる、他の人のことを気にする余裕がない、孤立している・させられている、いじめが退職するのを狙って行われているような気がする……。
 また、職場で周囲を見渡すとメンタル不調に陥っているのが多くいるということが報告されました。うつは孤立した状況で発症します。

 途中で、全体に対する闘争報告が4人から行われました。その中の1人の報告です。
 数年前から職場でいじめに遭い、ユニオンに加入して対応してきましたがそこから “脱出” できた中での教訓を3つ披瀝しました。
 1つは、いじめを受けると自殺思考になる。周囲は “見て見ぬふりをする” のではなく喚起するし必要がある。
 2つは、いじめを受けたら、業務時間とプライベート時間の切り替えをしっかりし、業務時間以外に嫌な思いを持ち込まないで楽しむ。
 3つは、いじめに遭って怖いと思ったら逃げる。逃げることは卑怯でも負けでもなく、自己防衛の手段。
 報告者は最後に現在の実感を語りました。「ユニオンに加入して、みんなに支えられながら、闘ってきてよかった」。そして、職場や社会は確実に変わってきていると語っていました。


 交流会は最後に全体集会で、特別決議「労働者派遣法改悪、労働時間規制の緩和・撤廃を阻止しよう!」と、集会宣言を読み上げて確認し、終了しました。

    当センター 「いじめ メンタルヘルス労働者支援センター」 ホームページ・ご相談はこちらから
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