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精神疾患の労災認定状況について労働局交渉
2013/12/13(Fri)
 12月13日(金)

 10月5日と6日、全国労働安全センター連絡会議総会が開催されました。
 「メンタルヘルス・パワハラ」 の分科会では、精神疾患の労災申請者数・認定者数・認定率が都道府県ごとにばらつきがあるという分析結果が報告され、問題があると思われる府県労働局に対して統一の要請書を提出して要請行動を行なうことを確認しました。 (10月8日の 「活動報告」)

 10月から12月中旬まで、大阪、愛知、三重、埼玉、千葉の各労働局に要請行動を行ないました。 (東京については、定例の要請行動で問題を取りあげました)
 統一の要請書です。

            要 請 書
 厚生労働省は、毎年前年度の精神障害の労災認定状況を公表している。公表されたデータには都道府県別の請求件数、決定件数、支給決定件数がある。(2011年12月26日付の) 労災認定基準の改定により昨年度の全国平均の認定率は上がり39%となった。全国的にも支給決定件数が増加した都道府県が多い。
 しかしこういった状況に関わりなく、認定率が極めて低いところが見られる。決定件数が少ない県を除いて特に認定率が低いのは、埼玉県 (認定率13%、支給決定件数6件/決定件数45件)、千葉県 (22%、9件/41件)、愛知県 (23%、19件/83件)、三重県 (0%、0件/14件)、大阪府 (26%、36件/138件)、熊本県 (19%、3件/16件) である。
 埼玉県は平成23年度も15%の認定率 (4件/27件) で決定件数が増えたにも関わらず認定率が下がり、三重県は2年連続で支給決定件数が0件である。
 これらの差は、地域差ととらえるには大きな違いであり、請求・決定件数の少ない県はともかく、ある程度の件数を扱う局で認定率の低迷があるのは、判断する側に何らかの問題があるのではないかと考える。
 精神障害事案の多くは精神科医3名による専門部会の協議にかけられ判断されるため、協議した専門医の意見がこの結果を招いている大きな要因でもある。
 それを踏まえ、労働災害に被災した労働者の支援を行い、職場での健康と安全を推進する立場から以下のことを要請する。

              記
 1.全ての実地調査復命書、専門部会の意見書を精査し、出来事ごとに 「弱」 「中」 「強」 と判断した条件を分析すること。
 2.局の管轄区域について、厚生労働省が毎年発表する項目に準じて、業種別、職種別、年齢別、時間外労働時間数別、就労形態別、出来事別、労働基準監督署別の請求・決定・支給決定件数を公表すること。
 3.上記の結果を含め、認定率が極めて低い状況の原因を分析し公表すること。

                                         以 上


 2009年に、全国労働安全センター メンタルヘルス・ハラスメント対策局で 「2008年度都道府県別請求・決定及び支給決定件数」 を分析しているとで、埼玉の支給決定件数の欄は空白でした。「0」 ならすぐに気が付くのですが見過ごしていました。気が付くと他の府県についても疑問が膨らんできました。

 日本の総就業者約は約6,000万人です。(2013年10月、総務省調査)
 埼玉348万人 (5.8%)、千葉290万人 (4.8%)、東京601万人 (10.0%)、神奈川415万人 (6.9%)、愛知368万人 (6.1%)、三重89万人 (1.5%)、大阪381万人 (6.3%)、兵庫250万人 (4.2%)です。
 2012年度は全国の申請件数1,257件、決定件数1,217件、支給決定件数473件、平均認定率39%です。
これら数字をふまえながら都道府県別決定状況を検討するとばらつきがはっきりします。

 埼玉県をより詳しく見てみます。
 2012年度の申請件数43件 (全国申請件数の3.4%)、決定件数45件 (全国決定件数の3.7%)、支給決定件数6件 (全国支給決定件数の1.3%)、認定率13%です。
 確実に総就業者数と比較した申請件数は2%以上低いです。その結果決定件数も低くなっています。それに加えて認定率が平均の3分の1になっています。
 労働者は認定率が低いということが期待できないと捉えて諦め、申請者数が少なくなっていると思われます。
 これまでの状況も、2008年度決定件数36件、そのうちの支給決定件数0件 (全国平均認定率29%)、2009年度は25件、5件、認定率20% (27.6%)、2010年度は25件、5件、20% (29%)、2011年度は27件、4件、15% (25.6%)です。
 やはり埼玉労働局として問題があるといわざるを得ません。
 同じようなことが、要請行動をした府県でも言えます。


 12月3日、埼玉労働局に要請行動を行ないました。
 回答は、1.について、それぞれの事案についてきちんと把握しているということでした。
 「出来事」 の評価に問題があると思われるので、分析はしていないのかと質問すると、していないということでした。

 2.について、数字は把握しているが特別の傾向は出てきていないということでした。また、数字について公表は考えていないということでした。
 認定基準の「出来事」が複数の場合には判断が必要です。どのような区分で判断をしているかと質問すると、区分まではしていいないということでした。業務外決定の案件について、どの業種が多い・少ないなどの分析もしていないということです。
 つまりは、局として、決定内容、基準について分析をまったくしていないということです。
 参加者からは、決定の詳細数字を公表するように、しないから、判断する情報がないから申請が増えないと要請しました。検討しますとの回答でした。

 3.については、個々の事案でさまざま、それぞれ適正に判断している、これまで以上のことは考えていないということでした。
 他県では主治医の診断と傷病名が違うことがある、発症時期も主治医と違う判断をされることがあるという状況を話すと、発症時期は充分に審査をしている、本人の主張と主治医の意見を中心に議論しているとのことでした。

 この他、2008年度に認定ゼロは埼玉だけ、何で支給決定件数が少ないのか、県の人口構成比から見て請求件数も少ないことを質問すると、東京に通勤している者が多くいるという回答でした。しかし就業者数の割合からみて少ないのです。
 他局と比べておかしいと思ったことはないのか、何か問題があるのではないかと内部で問題にしたことはないのかと質問すると、無言でした。他局の状況は気にしていないようです。
 ちなみに、埼玉県は個別紛争解決制度の活用状況において総合労働相談件数、民事上の個別労働紛争相談件数、助言・指導申出件数、あっせん申請件数とも就業者数と比較すると全国平均の半分になっています。
 県全体として労働行政が停滞していると言わざるを得ません。活用アピールが足りていません。

 具体的に、2012年度の判断方法の内訳件数について質問しました。
 45件中、専門部会判断 (3人の精神科医の合議による判断) は23件で、業務上 (支給決定) 3件、業務外20件の決定。専門医判断 (1人の精神科医の判断) は20件で、業務上1件、業務外19件の決定。監督署判断 (監督署だけでの判断) 2件で業務上2件の決定です。
 専門医判断20件は、グレーの案件が専門医判断にまわると業務外に、申請者に不利な決定になるということです。判断に “くせ” があるのではないかと主張しました。
 全体として専門医に頼りすぎています。せっかくの 「認定基準」 が活かされていません。

 業務外の判断が審査で覆された案件については、2012年度は2件が支給決定になったということです。2011年度は1件が支給決定になっています。20年以降、裁判で1件が決定になっています。

 後日、今年の上半期の決定状況について回答がありましたが、すでに2012年度と同数の6件が支給決定になっています。


 12月11日、千葉労働局に要請行動を行ないました。
 2012年度は申請件数46件、決定件数41件、支給決定件数9件です。
 1.2.3.とも埼玉労働局と似たような回答でした。
 最初に大阪が要請行動を行ないました。その時の状況が各局に報告されて、「統一」 の回答が準備されました。

 参加者からは、せっかく厚労省は毎年全国データを発表している。他の問題はここまでデータ公開をしていない。低い局は何とかしろというメッセージが含まれているのではないかと主張しました。
 難しかった案件や、上級の判断で覆されたりした案件などについて実務者判断の研修をしていないのかと質問すると、していないということでした。
 専門部会の精神科医の判断が偏っているのではないかと質問すると、担当者の判断と意見は述べていて、担当者の判断が通ったこともあるということでした。

 具体的に2012年度の判断方法の内訳は、すべて専門部会でおこなったということでした。結論は明かであっても、中間判断で専門部会の判断を仰ぐことになったということです。驚きです。ほぼ支給決定に繋がる 「特別な出来事」 2件についても専門部会を経て認定しているのです。
 局は最初の段階で判断が出来ていないのです。結果として業務量を増やし、審査に無駄な期間を要しています。
 
 今年度は、11月末 (3分の2経過) 段階で、決定件数30件で、業務外が24件、業務上6件で前年度並みです。

 今回の結果は、他の都府県の要請行動の状況を合わせて分析・検討し、厚労省への要請行動に活かしていきます。
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