2012/05 ≪  2012/06 123456789101112131415161718192021222324252627282930  ≫ 2012/07
犠牲者に誇れる新たな故郷を作る力になる報道を目指して
2012/06/29(Fri)
 6月29日(金)

 6月16日、マスコミ倫理懇談会主催のパネルディスカッション 「大震災から500日――被災地の記者が考えたマスコミの役割」 が開催されました。
 被災地の報道関係者は自分たちも被災者で、会社も被害を受けました。震災、そしてその後の状況を真近かで見続けてきました。
 パネラーは、河北新報社報道部記者の大友さん、岩手日報社報道部次長の磯崎さん、東北放送報道制作局震災報道担当部長の佐々木さん、岩手放送報道局アナウンス部副部長兼報道部副部長の神山さんの4人です。

 大友さんは、その時、宮城県牡鹿半島の漁協の取材をしていました。海の色が変わったので高台の小学校に避難、その後は女川原発に移動させられました。2日後に石巻総局に辿り着きましたが、総局は1階が浸水、通信手段、移動手段が失われ、物資が不足する中で取材を続けました。
 いつも家族、友人、財産、職場などあらゆるものを一瞬にして奪われた人びとの悲しみや思いを受け止め、記録することを意識していたと言います。被災者はみな何かを伝えたいから話します。しかし取材していると追体験をして夜眠れなくなったり、ふと思い出したりします。みな、涙なしではできなかった取材だったと言います。
 地元紙の役割は、被災者の読者が求めているものは何かを問い返しながら復興に役立つことを目指すことと捉えています。

 岩手日報では、直後に海岸の支局員の安否確認の業務指示が出されます。2人1組で海岸の支局に向かいました。2日間停電で輪転機が動きません。秋田と青森の新聞社に印刷をお願いしました。
 読者に何を伝えるか。ダイナミズムか記録か。中央の新聞のようにはできません。答えは現場にありました。
 一番大切なのは 「命」。避難者名簿5万人分を掲載しました。避難所では取り合うようにして名前を探していました。3月下旬には500人の避難者からアンケートを取って要望を掲載しました。さらに3回アンケートを行って要請・問題点を探し出しました。取材活動は 「傾聴ボランティア」 の役割も果たしました。
 現在は、「忘れない」 ために、死者1人ひとりがどこで亡くなったのか、どうして亡くなったのかを記事にした 「生きた証し」 を載せています。それは 「二度と津波で犠牲者を出さない町」 作りのための伝言です。犠牲者に誇れる新たな故郷を作る力になる新聞を目指しています

 東北放送は、近いうちに地震があると想定して日常的に体制をとって取り組んでいました。だからラジオ局は揺れている最中に地域ブースで放送を開始しました。テレビ局は停電で14日までしか電力がありませんでした。その後何とか繋がりました。
 JNN系列は、緊急時には指示がなくても各放送局が応援体制をとることが確認されています。全国から50クール200人が被災地に参じました。そして5月には気仙沼市にJNN系列の総局を立ち上げました。今は1か月に1回、震災を掘り下げて検証する報道番組 「あの日何が」 を放送しています。
 佐々木さんは、テレビ報道の “紋切り型” の言葉の限界を感じたと言います。伝える側が 「頑張ろう」 と言ってはダメ。言葉を研ぎ澄ます必要があります。課題、事実を積み上げて切り口をしっかりさせて、こだわって報道していかなければならないと言います。
 500日を過ぎた現段階は、仙台中心部と沿岸部に “格差” が生まれています。被災者間の “温度差” が拡大し、被災地の状況が見えにくくなっているのをどう克服するかが課題になっていると指摘しました。

 神山さんは、盛岡市でラジオの放送中でした。揺れが収まってから大船渡市に向い、陸前高田市に入ります。町がなくなっていました。2週間車で寝泊まりして取材を続けました。
 小さな声を伝えたい、感情にならない声を伝えたいという思いをずっと抱いていると言います。昨年は花に目をやる余裕はありませんでした。今年は被災者も春に花が咲くのがうれしく感じたと言います。
 愛する人を亡くした苦しみは癒えるのだろうかという思いを抱いています。29歳の消防団員の息子は避難誘導中に波にさらわれました。しかし父親はあっけらかんとしています。「海に対する気持ちは変わらない。海が息子たち4人を育ててくれた。」 「息子は人助けをして亡くなったから何とも思わない」 と言います。しかし嘘で、その後に涙を流しています。

 司会者がテーマを絞りました。キーワードは 「人に寄り添う」、頑張ろうからの脱却です。報道人が人に寄り添うとはどういうことなのでしょうか。
 大友さんは、話を聞くのが仕事だが、聞いていただけでは信頼関係はできないと言います。
 磯崎さんは、被災者に寄り添うと涙腺が弱くなった、しかし同化してはいけないと言います。被災者の暮らしがいくらかでもよくなるように制度を変えることができるようにすることだと言います。
 佐々木さんは、一緒に同じ空気を吸うことだと言います。そうするとわかってくることがあります
 神山さんは、より多くの人の声を放送に載せることだと言います。

 司会者が500日過ぎた現在の問題点について質問しました。
 大友さん。仙台市はようやく集団移転、住宅再建が始まりましたが、新たなコミュニティーが問題になっています。問題点が見えにくく、しかも深刻になっているような気がすると言います。
 磯崎さん。高齢者で 「まだよく眠れない」 と薬を飲んでいる人が多くいますが、孤独死をどう防ぐかが課題だと言います。そのためにはコミュニティーの崩壊を防ぎたいと言います。被災地からお金のある人は去っていき、ない人が残ります。被災者が見えにくくなっています。
 佐々木さん。三陸地方はそもそも高齢化が進んでいます。住民は再建案についていけないと言います。被災地に雇用がない現実があります。
 神山さん。仮設住宅を出た後の住居をどうするか、期限が迫ってくる中で被災者の生活は落ち着かないと言います。
 大船渡では、防波堤は町と命を守りました。しかし湾が汚くなって若芽が育たなかったのも事実です。減災・防災のために防波堤を作ることと漁業は両立しないと語ります。

 司会者が、掛け声はいいが被災地だけでは問題は解決しない、被災地以外の人たちに伝えたいことは何かと問いました。
 大友さん。宮城県は原発の風評被害が現実にあると指摘しました。三陸の港は魚を水揚げしても売れません。瓦礫処理は地元でやってもいいんじゃないかという声も出始めました。「市長が遠くの自治体に頭を下げに行って、その地域の人たちから怒鳴られるのをニュースで見ていると市長が気の毒だ。嫌がれるのを見たくない」 という理由からです。
 磯崎さん。震災が風化し始めているなかで瓦礫の広域処理の問題は考え直した方がいいと指摘しました。かつて震災を経験した神戸や北陸は新聞報道も関心を示しているが全国的にはそうではなくなっているといいます。
 神山さんは、自分たちの仕事で精いっぱいだと言います。自分たちのところでも作業工程の関係から地元の声を聴く時間が割けなくなっていると言います。

 最後にひとことずつ述べました。
 大友さん。「震災報道に現場の人間が踏ん張っていく。」
 磯崎さん。「みんな無念だった。そのことを忘れずに明日に向かって報道していく。」
 佐々木さん。「人生が変わった。生きると死ぬは紙一重。生きているならできる限りのことをしていきたい。」
 神山さん。「西のテレビ局から応援に来た記者に、変わり果てた大船渡の街を見た思いを聞いたら 『前の町のことを知らないからわからない』 と答えられた。震災について報道し続けることは地元局の使命として頑張っていきます。」


 今回の震災で報道機関はたくさんの記録を残しました。しかし被災者は見たくないと言います。
 被災地は日々変化していきます。新たな問題が次々と出てきます。復興が進む中で取り残される被災者も出てきています。
 1年を過ぎると風化も始まっています。
 このような中で、報道関係者は忘れさせないために、記録するために、そして伝えていくために奮闘しています。
 
 
 岩手日報の 「生きた証し」 の話を聞いて、中国新聞が原爆で殺された人たちの 「生きた証し」 の取材を続けているのを思い出しました。たとえば2000年には広島郵便局で殉職した288人の遺族や関係者を探し出し、1人ひとりの生前の様子、その後の家族の状況などを載せました。取材では亡くなったと思われていた方が存命であることもわかりました。その一方新たに亡くなった方が判明もしました。
 死者は数ではありません。1人ひとりです。  


  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
この記事のURL | 東日本大震災 | ▲ top
労働相談は自殺防止に寄与している
2012/06/26(Tue)
 6月26日(火)

 2011年度版の自殺対策白書が発表になりましたが、6月22日、総務庁は政府の進める自殺予防対策の推進が不十分だとして内閣府と文部科学省、厚生労働省に改善措置を勧告しました。やっと深刻さに気付いたのでしょうか。
 自殺者数は、1998年度から3万人台になりました。それから10年以上経ちますが減る傾向になりません。実際には、関係省庁は努力をしていないのです。
 日本の官庁は、何かへの対策をとるというとき、データを集めて分析をした資料を公表します。しかしそれで終わります。「提言」や法律は棚上げするために作成されます。担当者はそれだけではやりがいがなく、つまらないと思われますが官庁というところはそれで満足しています。ここが一番の問題です。

 今年1月に内閣府は、「自殺対策に関する意識調査」を実施しました。20歳以上の3.000人にアンケートを実施し、2.017人から回答を得た集約結果が5月2日に発表されました。新聞見出しは「『自殺考えた』4人に1人 内閣府調査、20代高い割合」です。
 自殺は個人の問題であるといわれていることについて、「そう思う」と答えた者が16.6%、「そうは思わない」が65.7%、「わからない」が17.0%です。
 自殺対策は社会的な取組として実施する必要があると思うかの質問に、「必要がある」と答えた者が77.9%、「必要がない」と答えた者が6.4%、「わからない」が14.3%となっています。
 個人の問題ではないので社会的取り組みが必要という結論になりますが、実際に行われているのは「個人への取り組み」です。

 「本気で自殺したいと思ったことがある」と答えた者が23%。各年代で自殺を考えたことがある者の割合は、20代が28%、40代は27%、50代は26%でした。「最近1年以内」に自殺を考えた者は5%。20代では10%でした。
 「自殺したいと思ったことがある」と答えた472人に、どのように乗り越えたかと質問しています。「家族や友人、職場の同僚など身近な人に悩みを聴いてもらった」と答えた者が38.8%、「趣味や仕事など他のことで気を紛らわせるように努めた」と答えた者が38.6%、「できるだけ休養を取るようにした」が18.0%、「医師やカウンセラーなど心の健康に関する専門家に相談した」が8.5%です。

 不満や悩みやつらい気持ちに耳を傾けてくれる人がいるかの質問をしています。男性では「いる」90.3%、「いない」8.6%、女性では「いる」94.7%、「いない」4.0%となってます。性別・年齢別に見ると、いずれの年代も「いる」と答えた割合は女性より男性が低く、中でも20歳代が最も低くなっています。この二者択一の設問にどのような意味があるのでしょうか。
 全回答者のうち悩みを抱えた時に誰かに相談したり、助けを求めたりすることにためらいを感じているが43%でした。
 自分がうつになった場合、どのような支障が生じると思うかとの質問をしています。複数回答で「家族や友人に迷惑をかける」が67.0%で最も高く、「職場の上司や同僚に迷惑をかける」が24.9%、「誰にも打ち明けられずに、一人で何とかするしかない」が23.2%、「仕事を休みたくても休みが取れない」が18.2%、「うつ病に対する職場の理解が得られにくいと不安を感じる」が12.8%、「家族や友人が離れていきそうで怖い」が10.7%、「職場での昇進や昇給に影響する」が5.5%となっています。

 せっかく意識調査を実施して、今までに「自殺したいと思ったことがある」と答えた人が472人いましたが動機について聞いていません。もったいないことです。
 自殺対策白書は自殺の動機を発表していますが、警察が使用している自殺者に対する報告様式での集約では職業や動機などがはっきりしません。以前から同じ様式を使用していて改善がされません。
 例えば、失業者とは雇用保険受給中の者で、終了した者やそもそも加入していなかった労働者は「無職」と扱われます。動機は「病気」が圧倒的ですが、何が原因で病気になったのかということには“関心を示したくない”ようです。「自殺の危機経路」が言われて久しいですが、「病気」の手前は問題にされません。本気で取り組む気がないのと同時に、そこにメスを入れることはタブーのようです。
 「ゲートキーパー」「気づき」は「個人への取り組み」です。「自殺防止対策」から自殺を起こさない社会構築、体調不良者を出さない職場環境の整備への転換が必要です。自殺者を止めるのではなく、自殺を考える者をいなくする対策です。


 個人加盟のユニオンや労働安全衛生センターは日常的に労働相談を受けています。精神疾患に罹患している相談者のほとんどが話をしていくうちに「自殺しようと思った」「自殺に失敗した」などと口にします。そう語ることができた労働者は自殺をしません。自殺をしないのは、するなと説教されたからではありません。体調を崩した原因を解消する方法、問題の解決策を一緒に探るからです。安心と信頼関係を作るからです。
 その中には、職場で孤立させられた、上司から理不尽な扱いをされた、過重な労働を担わされた、長時間労働が続いている、不当な処遇を受けたなどなどたくさんの原因があります。
 労働相談を受けている者は、自殺防止に寄与していると自負します。本気で対策をとるというのなら、関係省庁は是非意見聴取をしてほしいと思います。
 
 「家族や友人に迷惑をかける」「職場の上司や同僚に迷惑をかける」「誰にも打ち明けられずに、一人で何とかするしかない」「仕事を休みたくても休みが取れない」「うつ病に対する職場の理解が得られにくいと不安を感じる」「家族や友人が離れていきそうで怖い」はすべて労働問題です。労働現場の問題と捉えてしか解決できません。
 しかし相談者の中にはカウンセラーや行政機関窓口などに相談したら頓珍漢なことを言われたと語る者がたくさんいます。
 具体例を挙げます。「職場で孤立させられた」というと「気持ちを持ち直して頑張りなさい」。「上司から理不尽な扱いをされた」というと「我慢をすることも必要です」。「過重な労働を担わされた」というと「仕事の進め方を工夫してみては」。「長時間労働が続いている」というと「ほかの人も長いんですよね」。「不当な処遇を受けた」というと「仕事があるだけでも恵まれていますよ」。
 カウンセラーは本当に危険です。すべて本人のせいにし、自助努力を強います。人格を変えようとします。専門外でわからないから専門機関に行った方がいいというアドバイスをしないで職域を守ります。
 関係省庁が本気で取り組む気がなく、本質的問題にメスを入れることをタブーにしていることとカウンセラーや行政機関窓口の職域防衛は結託しています。

 労働者は過重労働や長時間労働など物理的に追い込まれたうえに精神的ゆとりも奪われているのです。カウンセラーや行政機関窓口担当者はそのような認識もなく相談者に対応するのです。そのため相談者が激昂したり、激論になったという話をしばしば聞きます。相談者が悪いのではありません。あきらめや怒りの先は失望です。

 労働相談ができるところにたどり着けた労働者は幸運です。しかし多くはそこまで至りません。
 精神科医は労働現場を知りません。しかし医師が労働問題は専門外なので労働組合に相談するようにとアドバイスをし、医師と労働組合が連携すると紛争の解決は早まります。成功例はたくさんあります。

    「ぼくの夢」

   大きくなったら
   ぼくは博士になりたい
   そしてドラえもんに出てくるような
   タイムマシーンをつくる
   ぼくはタイムマシーンにのって
   お父さんの死んでしまう
   まえの日に行く
   そして「仕事に行ったらあかん」ていうんや
    (父親を過労自殺で亡くした小学校1年生が書いた詩)

 子どもに「仕事に行ったらあかん」と言われるような職場をなくすことが自殺防止対策としてまず最初にしなければならない課題です。やらなければならない課題ははっきりしているのです。 

  
   
当センター「いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター」のホームページ・ご相談はこちらから
この記事のURL | 自殺防止 | ▲ top
小説 『太陽の子』 を読み返す
2012/06/23(Sat)
 6月23日(土)

   唐ぬ世 (ゆ) から 大和ぬ世 (ゆ)   (唐の世から 大和の世) 
   大和ぬ世 (ゆ) から アメリカ世 (ゆ)  (日本の治世から アメリカ施政権)
   珍 (みじ) らさ変わたる 此 (く) ぬ沖縄  (変わってしまった この沖縄)
                (沖縄民謡 『時代の流れ』 嘉手苅林昌作曲)

 沖縄は、大和ぬ世の時に、第二次世界大戦・沖縄戦がありました。20数万人が殺されました。その後、大和から捨てられてアメリカ世になりました。1972年に 「返還」 されましたが、米軍は居座りました。
 今の米軍と自衛隊の基地強化政策は、大和ぬ世とアメリカ世のチャンプル (ダブル) の強制支配です。

 6月23日は、67年前に組織的沖縄戦が終わった日です。
 灰谷健次郎の小説 『太陽の子』 (でたのふあ) を30数年ぶりに読み返しました。ずっとひっかかっていることがありました。主人公の小学校6年生のふうちゃんのお父さんは、どんな病気だったのだろうということです。
 小説の舞台は、沖縄戦から30年後の神戸です。居酒屋 「でたのふあ」 を経営する沖縄出身の家族とそこに集まってくる沖縄出身者らが “沖縄を生きる” 姿が描かれています。みな、戦争の話になると知らん顔をします。昔楽しかった時の話は小さなことまでします。忘れようとしていることを口に出すのは嫌なことだからです。

 ふうちゃんの店に今を生きている人たちが集まってきます。
 新聞記事を回し読みします。見出しは 「沖縄出身の若い女性・孤独の死」。
 「かわいそうにな」
 地元出身者と沖縄出身者と言い合いになります。
 「かわいそうなんてことば使うな」
 「肝苦りさ (ちむいりさ・胸が痛む) か」
 「口先だけでかわいそうやなんていうてる奴ほど、痛いこともかゆいことも何にも感じてない奴や。痛いこともかゆいこともないことをいうてるから、痛い目にあう人間がちっとも減らへんのや。この女は病気で死んだんとちがうねんで。餓死したんともちがうねんで。痛いこともかゆいこともないことをいうてる奴に、寄ってたかって殺されたんやでえ」
 同じような状況でお姉さんを亡くした少年が言います。不幸やかなしみは、それぞれがひとつずつ離れてあるものではなく、つぎつぎつながっているものだ、と。

 『太陽の子』 のもう1つの時間軸は、お父さんが体調を壊した半年後から自殺するまでです。お父さんはわき役ではなくもう1人の主人公です。
 以前はやさしくて、沖縄が大好きでよく昔の話をしてくれたお父さんは体調を崩してすっかり人間が変わってしまいました。笑うことを忘れ、ふいにふうちゃんを抱きしめて泣いてみたり、長い時間部屋の片隅で考え事をしていたりします。症状が少しずつ悪くなっていきます。
 発作を起こした時 「こわい」 とつぶやきました。
 夜眠れないことがありました。眠れなかった翌日ほど取り留めのないことを言います。
 突然何かを持って外に出て棒立ちになっています。
 夜中に発作をおこします。風呂の中に誰かが潜んでいると言いだしてききません。

 ふうちゃんが怪我をし、サイレンを鳴らした救急車で病院に運ばれました。ふうちゃんが家に帰らないので、探しまわってふうちゃんの友達の家におしかけ、警察を呼ばれます。警察官をみて暴れ、精神病院の保護室に強制入院させられます。おじさんが引き取りに行きますが拒否されます。
 おじさんが言います。「心の病んでいるものが、他人に危害を加えたり、犯罪をおかすというのは、あんたたちの偏見じゃよ。沖縄の島々ではな、心の病人はみんなで大事にした。こんな監獄みたいなところに隔離して、じゃまものあつかいはせなんだ。心の病んでいる者ほど、人の心が必要なんじゃ。直夫 (お父さん) をここから出さんのなら出さんでもええ。そのかわり、わしもここで寝起きさせてもらう。」 そして5日間寝起きを一緒にします。
 
 医者は沖縄でいろんなことがあったらしいから、そういうことが原因ではないかと言います。
 ふいに外出を始めるようになります。それも知らない間にいなくなってしまいます。
 出かけていった先は沖縄・南部の海岸に似ている海岸線でした。友人と一緒に、アメリカの砲弾をさけて逃げ回ったところです。
 居酒屋で働くことになった19歳の少年が言います。
 「ふうちゃんのお父さんは心の病気や。世の中の人間は、ノイローゼとか、ちょっとおかしいとか、勝手なことをぬかしやがるけど、心が病気であることに変わりあらへん。病気には原因があるやろ。ふうちゃんのお父さんの病気の原因は沖縄の戦争や。おれくらいの年の時、ふうちゃんのおとうさんはゴロさんというおじさんといっしょに砲弾の下を逃げ歩いたんや。恐ろしいこといっぱいみてきたんやろ。ふうちゃんのおとうさんは今も戦争がつづいているとおもうて、ふうちゃんを守らんといかんと思うて……」 ……
 「沖縄の人間が戦争をはじめたわけやなし、まして、子どもになんの関係があるねん。そんな戦争のあったことなんかすっかり忘れて暮らしているときに、何にも悪いことをしてへん沖縄の人間が、まだ戦争させられとるわけやろ」
 お父さんは、戦争でふうちゃんが殺されるのではないかと毎日思いながら暮らしているのです。

 居酒屋の常連客ろくさんは、沖縄戦の時は25歳、戦争で娘を亡くしました。
 居酒屋で働く少年が、昔の仲間にからまれて喧嘩になり、大けがをして入院している病床に警察官が事情聴取にきます。沖縄に偏見を持っています。見舞いに来ていたろくさんと言い争いになります。
 「法の前に沖縄もくそもない。みんな平等だ!」 と警察。
 「そうか、平等か。本当に平等かね」
 ろくさんは続けます。
 「この手を見なさい。よく見なさい」
 ろくさんは上着をとり、寒いのにシャツまではぎます。浅黒い皮膚が出て、その胴には手が一本しかついていません。
 「手榴弾でふっとばされた。
 敵の手榴弾ではない。わしはただの大工で兵隊ではなかった。沖縄を守りにきてくれていた兵隊がわしたちに死ねといった。名誉のために死ねといって手榴弾をくれた。国のためテンノウヘイカのため死ねと彼らはいった。わたしたちはみんなかたまってその真ん中で手榴弾の信管を抜いた」……
 「ええか、この手をよく見なさい。見えないこの手をよく見なさい。この手でわしは生まれたばかりの吾が子を殺した。赤ん坊の泣き声が敵にもれたら全滅だ、おまえの子供を始末しなさい、それがみんなのためだ、国のためだ――わしたちを守りにきた兵隊がいったんだ。沖縄の子供たちを守りにきた兵隊がそういったんだ。みんな死んで、その兵隊が生き残った。……この手をよく見なさい。この手はもうないのに、この手はいつまでもいつまでもわしを打つ」……
 「あんたはわしとあまり年も変わらん。きっとやさしい子どもがいてるだろう。わしはこうして見えない手に打たれてひとりぼっちで生きている。同じ日本人だ。これで平等かね」

 お父さんの病状は悪くなっていきます。
 家族で故郷の波照間島への旅行を計画します。しかし出かける直前に死んでいました。


 67年前の6月23日に組織的沖縄戦は終わりました。組織的沖縄戦が終わっただけです。
 人びとの心の中では、まだ続いています。たくさんのふうちゃんのお父さん、ろくさんがいます。
 そして米軍基地・自衛隊基地の居座りです。沖縄と本土は 「平等」 ではありません。

 1987年6月21日、全国から沖縄に集まった1万6000人は嘉手納基地を11.5キロメートルの 「人の輪」 で包囲しました。雨でした。
 その包囲の大衆行動に向けて歌が作られました。今も歌い継がれています。
 『やさしい心を武器にして』 です。
 
  1、戦の嫌いな 人が住み
    戦争を放棄 (やめ) た この邦 (くに) に
    誰が決めたか 基地がある
    やさしい心を 武器にして
    平和な邦を 造ろうよ
    平和な邦を 造ります  
    手をつなごう 世界をつなごう
    人間の輪で 人の輪で

  2、希望に燃える 島人に
    自然の恵み 満ちている
    平和の誓い 忘れずに
    やさしい心を 武器にして
    理想の邦を 築こうよ
    理想の邦を 築きます
    手をつなごう 世界をつなごう
    人間の輪で 人の輪で

  3、小さな島から 反戦を
    大きな声で 呼びかけりゃ
    地球を救う もとになる
    やさしい心を 武器にして
    協和の世紀を 迎えよう
    協和の世紀を 迎えます
    手をつなごう 世界をつなごう
    人間の輪で 人の輪で

 闘いを好む大和人は床の間に刀や鎧を飾ります。沖縄人は争いを好まないから三線を飾ります。
 

  
   
当センター「いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター」のホームページ・ご相談はこちらから
この記事のURL | 沖縄 | ▲ top
2011年度 精神障害労災補償状況
2012/06/19(Tue)
 6月19日(火)

 6月は、各方面からの前年度の統計報告が発表されます。
 15日、厚生労働省は2011年度の「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」を発表しました。
「精神障害等に係る労災補償状況」について検討します。
 請求件数は前年度比91件増の1.272件で、決定件数1.074件のうち支給決定件数は17件増の325件です。2010年度から300件台になりました。認定率は2006年度33.8%、07年度33.0%、08年度31.2%、09年度27.5%、10年度29.0%で、11年度は30.3%です。
 一昨年末から、「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」が開催されて認定基準が変更されることが予定され、昨年12月26日に変更されました。労災申請が話題になり、変更内容に期待をかけて申請した人、変更されるまで保留していた人などもいます。
 報道関係者に発表された資料にはありませんが記者会見で補足説明がありました。変更後の基準による支給決定は135件です。認定率は、変更前は約27%、改定後は約36%です。
 年度の途中で基準が変更されたので今回発表された資料による分析は難しいです。全体としては大きな変更ななかったように思われます。

 業種別支給決定件数と職種別支給決定件数については、厳密には業種別・職種別労働者の構成数の比率を勘案しなければなりません。
 業種別支給決定件数多い順には、製造業59件で業種別労働者の構成比17.2%、決定件数に占める割合18.1%、卸売業・小売業41件、17.1%、12.6%、医療・福祉39件、11.5%、12%、建設業35件、8.26%、10.7%です。
 職種別支給決定件数が多いのは、専門的・技術的職業従事者78件で職種別労働者の構成比15.75%、決定件数に占める割合24%、事務従事者59件、20.5%、18.1%、サービス職業従事者38件、13%、11.6%、生産工程従事者35件、(比率不明)、10.7%の順です。各事業所の中間管理職の業務が過重になっています。専門的業務に就いている労働者にとっては一緒に業務遂行する者や代わりがいません。専門的・技術的職業従事者にはSEが含まれていると思われますが、SEの「業界」には「IT土方」(ママ)という言葉があるのだそうです。依頼先から言われるままに従って任務を遂行・完成させます。やり直し、無理難題が続きます。しかし当初の仕上げ予定期日は厳守です。裁量権がまったくない中での長時間・過重労働です。
 年齢別支給決定件数については、30台が決定件数112件でダントツです。そのうちの自殺者も全体の3分の1を占めて突出しています。中高年労働者は賃金が高いというだけでリストラにあっています。30代はさほど高くなくても責任は課せられて過重労働を強制されています。

 2007年度から、20時間刻みの1か月平均の時間外労働時間別での支給決定件数が発表されています。
 20時間未満が2010年度56件、11年度63件で突出しています。この件数は、出来事別支給決定件数で、「悲惨な事故や災害の体験をした」が10年度32件から11年度48件、「特別な出来事」が10年度50件、11年度は途中で認定基準が変わったこともありますが70件、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が10年度39件、11年度40件を占めていることから理由づけができます。
 長時間労働だけではなく職場環境が悪化している状況が浮かび上がってきます。
 労働時間を100時間未満と100時間以上に分けた支給決定数は、100時間未満は141件、100時間以上は95件です。36協定の目安時間である40時間未満でも82件と、全体の4分の1を占めています。
 しかし支給決定数のうちの自殺者数は100時間未満が23人、100時間以上が43人です。長時間労働になると自殺者は増えています。
 出来事が「仕事内容・仕事量の(大きな)年化を生じさせる出来事があった」は10年度66件から11年度52件になっています。
 最近のリストラは本部機能・事務部門を中心に行われています。その結果、未経験の部署への移動、兼務、仕事量の増大という問題が発生しています。
 特別な出来事認定は70件ですが、内訳は極度に心理的負荷が50件、極度の長時間労働が20件ということです。

 都道府県ごとの支給決定件数を見てみます。
 愛知県は7件、6件、10件、14件、5件、7件です。10年度の決定件数は70件で支給決定件数が5件で7%、11年度は55件で決定率は12.7%で、全国平均の半分以下です。認定率だけでなく、審査官の審査が異常に遅いという問題もあります。
 同じく埼玉県は10年度は25件が5件で20%、11年度は27件が4件で14.8%です。労働者人口の比率から見たらそもそも請求権数、決定件数とも少く、支給決定件数も少ないです。決定率の低さの悪循環があると思われます。
 東日本大震災の被災地の状況を見ると、宮城県は10年度の決定件数26件で支給決定件数13件が、11年度は38件と22件になっています。おそらく惨事ストレスの影響だと想定されます。しかし岩手県と福島県では大きな変化は見られません。

 記者会見での補足説明では、東日本大震災関連で、「仕事中に津波にのみ込まれた」「高所で作業中に地震が起きショックを受けた」などが直接の原因となったのは18人に上り、「仕事で被災地に応援に行き、体調を崩した」など間接的な原因も2人いました。 
 「仕事で被災地に応援に行き、体調を崩した」などによる体調不良は今後発症する危険性があります。

 就業形態別支給決定件数の動向は大きな変化はありません。労災申請をするということは簡単なことではありません。相談活動から見えてくる実態は、非正規労働者で体調を崩している人もたくさんいます。非正規労働者は労使申請に至るための時間的、経済的ゆとりがありません。

 労災認定基準が変更されて認定の実態はどう変更されるのでしょうか。
 まずは、労災申請の制度の周知と活用、そしてその中での不合理な点の改善を要求し、労働者にとって使い勝手がいい制度に代えさせていかなければなりません。

 そして労働基準監督署は、労災申請を受理した時点から、労働安全衛生が履行されていない、長時間労働を強いている会社に対しては縦割り行政などと言い訳しないで是正勧告をすべきです。そのことが長期的に労災そのものを減少させていく職場環境づくりに向かいます。 


  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
この記事のURL | 労災 | ▲ top
スクリーニングはやはり怖い
2012/06/15(Fri)
 6月15日(金)

 いじめ メンタルヘルス労働者支援センターと労働安全衛生センター連絡会議メンタルヘルス・ハラスメント対策局は、現在衆議院に上程されている労働者安全衛生法改正案・「医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務付ける」、いわゆる「新たな枠組み」について、5月18日付で厚労省に「要請書」(ホームページ ―→ 「要請・提案」参照)を提出しました。

 6月11日に厚労省と意見交換を行いました。
 この法案の先取り的状況として発生している問題と検査(スクリーニング)の悪用例を示し、法案は慎重に取り扱われる必要があると要請しました。さらに5月27日の『活動報告』に書いた独立行政法人 日本労働政策研究・研修機構発行のパンフレット『職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査』を資料として示し、労働者の健康問題について個人情報保護法・プライバシーが徹底されていない状況では労働者の不安は増すと主張しました。
 「調査」結果を録します。
 「メンタルヘルスのケアでのプライバシーにかかわるルールをどのように定めているか」の質問について、「特段のルールはないが、気を付けて対応するよう求めている」が46.2%と半数近くを占めもっとも割合が高く、次いで「プライバシー情報全般に関して定めたルールでカバーしている」が28.1%、「ルールも慣行もなく、特段の対応をしていない」が18.2%などで、制度としてプライバシーの問題を扱っている事業所は多くないのが現状です。
 企業規模別による違いは大きく、規模が大きくなるに従って、「プライバシー情報全般に関して定めたルールでカバーしている」事業所の割合は高まり、1.000人以上規模では44.0%となっています。逆に、規模が小さいほど「ルールも慣行もなく、特段の対応をしていない」割合が高くなっています。
 事業主のプライバシー保護の認識はこの程度です。本人の知らないところでどのような扱いをされているかわかりません。

 厚労省は、法案の目的を、2006年に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を発表したが対策が必要と捉えている企業は半数で残りは取られていない状況がある、そのようななかでの対策としてチェック→面接を法律で義務付けて強制させる必要があると説明しました。
 法案は、「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」の報告を受け、「政策審議会」からも妥当という答申を受けて法案化したと説明しました。
 そして、これまでチェック→面接を希望した労働者に対しては87%が事後処置がされた、その7割が時間短縮だったと説明しました。

 いじめ メンタルヘルス労働者支援センターと労働安全衛生センター連絡会議メンタルヘルス・ハラスメント対策局は、検討会を手分けして毎回複数で傍聴しました。
 昨年11月4日の「活動報告」に書いたように、「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」は議論が白熱化しました。「報告書」作成は座長預かりとなりましたが、座長預かりとは厚労省が作成するということです。出された「報告書」に委員は「騙された」と不満を抱いたはずです。議論された方向と「報告書」は明らかに違っています。
 「政策審議会」は政(日本はほとんど学者などの専門家)・労・使で構成されますが、悲しいことに労働現場を知っている、労働安全衛生に精通している「労」代表はいません。その中で審議されるので意見は出されません。形式です。
 チェック→面接を希望したものに処置が行われているというとあたかも制度がいい方向で機能しているように思われます。
 チェック→面接を希望する主な原因である長時間労働への処置は、労働者が労災申請することを回避するために行われます。長時間労働による体調不良は個人的問題ではありません。しかし個人的対応で済まされています。事業所全体の長時間労働の短縮には至りません。
 労働者はスクリーニングを体調不良者あぶり出しの手段と捉えるから正直に回答しません。あぶり出されるとコースから外され雇用不安に誘導されます。いくら不利益な取り扱いはしないと謳われても、そうなっている実例を労働者はたくさん知っています。

 現在の厚労省の「労働者の心の健康の保持増進」「職場におけるメンタルヘルス対策」は、長時間労働に耐えられる労働者を作ることを目的にしているとしか捉えられません。個人的問題と捉えて面接・指導、カウンセリングが行われることは、個人としてのストレス受容を大きくするためのものです。
 体調不良者を出す職場の構造の改善がまず先です。

 5月22日の『活動日記』に「過去1年間にメンタルヘルスで1か月以上の休職または退職した労働者がいた事業所におけるメンタルヘルスの取り組み状況をみると、『取り組んでいる』は64.0%と過半数を占める一方、休職・退職者がいるにもかかわらず『取り組んでいない』が3分の1と少なくないのが目立つ結果となっています。取り組み状況は、大手企業と中小企業に差があります。
 『取り組んでいない』が3分の1の数字は、他の様々な調査の中で出てくる『固定値』です。縮めるのは至難の業です。まず厚労省の“やる気”が問われます。」と書きました。対策を打たない企業は多く存在します。さらに労働組合の「固定値」はもっと大きいです
 しかしこの数字を事業所へのスクリーニングの義務化では解決しません。
 メンタルヘルス・ケアへの取り組みが、事業所にとってこのような成果があった、メリットがあったということを具体的に示して説得すると固定値が減少します。

 国際安全衛生センターの資料からです。
 2004年11月、イギリス安全衛生庁(HSE)は、職場ストレスに関する新しいマネージメント基準を発表しました。基準は法で規制されるものではないですが、企業が職場のストレスレベルを測定し、その原因を特定し、この問題に取り組むスタッフに役立てることを目的としています。
 最初のマネージメント基準は2003年6月に公表されました。この基準では6つの重要な職場のストレッサーである「作業要求」、「管理」、「支援」、「関係」、「役割」、「変化」を低減する目標を設定しています。この目標達成のためには、一定の割合のスタッフが、ストレッサーの管理方法に満足しているということを示すことが事業者にとって必要となります。
 さらに法では、5人以上の労働者を有する企業は、労働関連ストレス、いじめ、いやがらせを防止する上での対策が含まれている安全方針を文書で作成しなければなりません。
  職場ストレス原因は多種多様ですが最も重要ないくつかの潜在的根源をあげ、克服できないものないと断言しています。効果的なストレスマネージメントの鍵の1つは、これらのストレッサーが発生するおそれがある場所を認識し、ストレッサーが現実の問題となる前に、それに対応する準備があるかということです。

 職場ストレスの主原因として、次のようなものが特定されています。
 ・企業内での不適切、あるいは不十分なコミュニケーション、特に人事異動期間中についての
 ・家庭及び仕事に基づいたストレスは成長し、お互いに影響し合い増大する
 ・個々人に与えられた作業要求は、各々の能力に適合したものでなければならない。そして、作業量は
  作業要求にふさわしい作業方法に見合っていなければならない
 ・過重労働及び過少労働ともにストレスになり得る
 ・交替制勤務及び夜勤は、本質的にストレスが多く、災害発生の高いリスクにつながるおそれがある
 ・自宅勤務は、労働者に孤独感を感じさせるおそれがあるので、支援体制が必要となる
 ・ホット・ディスキング(職場で個々人の机を決めていないこと)や、短期間契約は、特別なプレッシャーに
  つながる
 ・役割のあつれき、不明確で変化する役割は、全てストレスにつながる
 ・神経をすり減らし、いじめがある管理の仕方は相談、支援、管理でのバランスが必要となる
 ・中間管理職のコミュニケーションスキルの不足。管理職は、コミュニケーション訓練が要求され、通常の
  人よりも、このスキルが必要となる
 ・余剰人員整理のためには、スペシャリストを訓練するという特別なニーズが必要となる
 ・照明が不適切で不十分な職場は、スタッフが不快に思い、かつモチベーションが高まらない環境とな
  る
 ・新技術の導入において、計画的かつ、斬新な方法で行われない場合には、ストレスレベルを高める
 ・労働者が常に働いていることを要求されているように感じる職場環境

 日本とは、ストレスは個人的問題か、職場全体の問題かという捉え方が大きく違います。
 イギリスがこの地平に至ったのは、労働政策の決定が政・労・使で激論のすえ行われているからです。日本は使・使の代弁者・労不在で行われていのが実態です。 


   当センター「いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター」のホームページ・ご相談はこちらから
この記事のURL | 厚労省 交渉・審議会 | ▲ top
| メイン | 次ページ