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労働組合の役割は?
2012/03/06(Tue)
3月6日(火)

 2月24日と25日、全国労働安全衛生センター連絡会議主催のホットライン「全国一斉メンタル労災・いじめ対策無料電話相談―労災認定から予防対策まで―」が開催されました。タイトルのとおり、この間、精神疾患の労災認定における「労災認定基準」が通達されたのといじめ・円卓会議ワーキンググループから「報告書」が出されたことの宣伝を兼ねた企画です。
 全国11か所で240件の相談がありました。(追って詳細な報告が出されます。)電話回線が少なかったために繋がらなかった相談者も多かったようでした。25日以降も相談が続いたということです。
 ホットラインへの相談者は、マスコミ等で初めて相談先を知ることになるので、現在困難に直面している労働者、以前に困難に直面した労働者、過去をこだわっている労働者本人や家族などさまざまです。
 1件の相談時間は平均30数分です。受話器を持ち続けます。「労働相談をして頚腕になった」ということが冗談に言われます。

 東京でのホットラインに参加しました。
 1件が終わって受話器を置くとすぐに電話が鳴ります。この連続でした。
 実際の相談内容を、相談者に影響が及ばないようにカモフラージュして紹介します。
 請負業の労働者からです。
 請負元の社長から理由なくしょっちゅう怒鳴られるがどうしたらいいかという内容です。
 請負業でも労働者性があるのでどこかの労働組合に加入して団体交渉を申し入れるという手段もあります。しかしそれではその後に仕事を回されるという保障がありません。
 対策は、まず暴言をそのまま聞き入れずに、必要なこと以外は聞き流すようにすることです。ミスをしたとか顧客からクレームが来たというような非がなければ、自分を社長から「独立した存在」と認識して業務に自信を持つと気分は変わります。
 そして社長と顧客とを区別し、顧客とは笑顔を交わす関係をつくり、業務そのものが嫌だという意識にならないようにすることが必要です。
 さらに信頼できる同僚に相談します。愚痴や不満を漏らし、そのなかから同僚との関係性を作り、お互いに愚痴や不満の聞き役にもなります。このようにしてストレスを蓄積しないようにします。
 こうアドバイスをすると、「実は社長も親会社から怒鳴られているようです。」ということでした。上から怒鳴られたことによるストレスを下に発散します。根本的問題はここにあります。
 このような場合の解決に成功した例があります。
 怒鳴られ続けられていても、上司の機嫌がいい時に何かを見つけ出して少し褒めます。だれでも褒められて嫌な気はしません。部下から嫌われているだけではない受け止め、そして自分自身について何か新しいものを発見できるとその後怒鳴り散らすことは減ったといいます。上司も「独立した存在」を認識できたのです。
 相談者からは「すっきりしました」と言われました。

 テレビでホットラインのニュースを見て、かつていじめられたことを改めて思い出したという相談がありました。
 かなり前、集団の職場で働いていましたが上司から1人だけちくりちくりといじめられました。そのため体調を崩して休職せざるをえなくなり、結局は退職しました。その時に何の反論もしないで辞めてしまった自分が悔しいと言います。
 後から同僚に聞くと、上司は相談者が“幸せそうに”見えたのだそうです。思い当たることは、確かに生活は不自由していなかったのと、いろいろな資格取得に挑戦していました。そのようなことが贅沢と映ったようです。一方、上司は生活を抱えて大変だったということでした。
 対応方法のほとんどが時効です。しかし悔しさに時効はありません。
 どう答えたらいいか。
 まず「今生活の方は大丈夫ですか」と聞きました。「安定しています」とのことでした。
 「身体の方はどうですか」。「健康です」。
 「だとしたら今を大切にしたらどうですか。過去を忘れることも必要ですよ」
 しかし簡単に忘れることはできません。忘れるためには踏ん切りが必要です。
 「悔しいと思うのは、かつての上司に今も支配されているからです。誰かをいじめる行為は幸せな者のすることではないです。自分は上司のようになりたいと思わなかった、ならなかった。そう思えて今まで働いて生活してきたのなら、上司はいじめをして負けたのです。
 そう捉えて、支配から解放された今の自分の存在を確認してください。」と答えました。
 「私は今幸せなんですよね」という答えが返ってきました。
 「そう実感するなら、今後その思いを大切にするともっと幸せになれますよ」
 「いま○○の資格を取ることに挑戦していますがそれに集中します。今日を境に過去の嫌なことは忘れることにします。」

 相談内容は様々です。
 遠くからの相談は、その地域のユニオンを紹介します。
 また「この電話番号はこの後も生きていますから何かあったらいつでもかけてください。」そう答えると安心感が増します。

 労働組合のホットラインはいつから始まったのでしょうか。
 88年4月に大阪の弁護士有志が「過労死110番」のホットラインを開設しました。そして10月、過労死弁護団全国連絡会議を結成しました。
 1996年6月に5日間、東京管理職ユニオンと多くの労働組合などが協力して「職場いじめ110番」(第1回)を開催すると683件の相談が寄せられた。
 この後、様々なテーマで開催されています。
 ホットラインは労働者に、職場で起きた問題を簡単に諦めなくてもいいよ、泣き寝入りをしなくていいよ、諦めるにも納得してそうした方がいいよという呼びかけでもあります。
 ホットラインは労働運動の衰退とともに登場しヒットしているという状況があります。個人加盟の地域ユニオンの結成も同じです。
 現に今回も大手単産の組合員からの相談も寄せられました。職場では相談できる体制や雰囲気がなかったり、相談しても無理と答えられたり、いじめや評価の問題は個人的問題だという理由で断られたりしています。
 いじめの問題は職場環境の問題であり、使用者の安全配慮義務の問題です。評価はそれで賃金が昇給・降給するので就業規則として賃金規定、評価規定が必要で、それに沿って行われなければなりません。
 このようなことを踏まえて個人加盟の地域ユニオンで相談活動をしていると、労働組合ってなんだという疑問が湧くことがしばしばあります。多くの大きな労働組合が機能していません。
 個人加盟の地域ユニオンが会社に交渉を申し入れするのは労働組合法によります。
 しかし個人加盟ユニオンを労働組合と認めることに疑問を呈する学者もいます。
 機能していなくても社会的に労働組合として認められている企業内組合と、労働組合として認められなくても職場で起きている問題を労使関係として解決している個人加盟ユニオン。どちらが労働組合の本来の役割を果たしていると言えるのでしょうか。 


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