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被災地の自治体労働者の状況
2011/08/11(Thu)
8月10日(水)

 7月13日付の『朝日新聞』に、宮城県石巻市の職員1.450人の震災後の健康調査結果が載っています。市と東北大学が6月から7月上旬にかけて実施したものです。
 80人以上が「気が晴れない」「自分に価値がない」などと感じたり、不眠や無気力感など強いストレス症状がみられる心のケアが必要とみられるといいます。

 7月30日付の『河北新報』に、自治労宮城県本部が4月末から6月にかけて県内の組合員を対象にした緊急健康調査の結果が載っています。回答は43組合の内22組合で3652にからありました。県職員と仙台市職労が大半で石巻市職労は326人です。
 震災発生から約1か月間に休日を1日も取得できなかった職員は全体の12.7%、これと合わせた取得した休日が2日未満が21.7%です。超過勤務が100時間を越えている職員も13.4%います。
 自己診断チェックリストで、仕事による負担度が非常に高い職員は10.1%、メンタルストレス判定では16.4%が中程度の抑うつ傾向を訴えています。長期療養に入ってしまう職員も増える傾向にあると言います。

 どれくらいの労働時間だったのでしょうか。
 少し古いですが5月20日付の『河北新報』に次のような記事がありました。
 「東日本大震災の対応に当たった自治体職員の残業代問題で、宮城県岩沼市は市職員の3月分の時間外手当を総額で3割削減して支払ったことが19日、分かった。市は『震災という非常事態を考慮し労使双方で協議して決めた』としている。
 市によると、削減されたのは3月11日以降の時間外手当で管理職を除く264人が対象。1人平均92時間残業をしており、消防や水道関係職員の中には200時間を超えたケースもあった。
 市はこれら時間外手当を特例措置として、本人の基本給の額や、夜間・深夜割り増しを計算せず、一律1時間当たり1800円に統一。上限を150時間と設定し、超過した場合は支給せず、その時間分を休日取得に振り替えてもらうことにした。
 その結果、通常の規定で支払えば約6000万円に上る時間外手当を約4200万円に縮減させ、13日に支給した。1人当たり平均支給額は約16万5000円。
 県市町村課は『給与制度の変更は、基本的に各自治体が条例や規則で定める必要がある』としている。
 一方、市職員の残業代1億6000万円(530人分)を半額カットし県から違法性を指摘された名取市は、4月に未払いだった約8000万円を20日に全額支給する。」
 3月11日から31日までに集中しての1人平均92時間残業、消防や水道関係職員200時間を超えた残業は長時間というようなものではありません。緊張感と使命感に裏付けされていたとはいえ、心身ともに限界に近かったと想像でいます。
 ましてや被災者でありながら公務に専念していたというよりも避難所で生活をしていた職員や教員もたくさんいます。しかし周囲から被災者とは見られませんでした。
 そして、残業代の支払いについては“遠慮”をしています。

 この間進められてきた行政改革・「小さな政府」は、現場や住民の要望を無視して強行されてきました。各自治体は平時の最低人数を定員としています。日常的にすでに対応能力は崩壊しています。しかし納税者を名乗る者からの攻撃と報道機関の煽りのなかで職員は声を上げられませんでした。とっさの時は、今回の大震災のような事態ではなくても対処できません。しかし行政機関の末端である現場の職員が責任を負わされ多のです。被災者は行革から二次被害・三次被害に遭遇しました。同じように医療機関・介護システムなどの受け入れ態勢も崩壊していました。
 「民間主導」は震災のような事態では何もできません。行政の機能をカバーしているのはもう一つの民間・ボランティアです。
 しかし何もできない「民間」は今、「復興」利得を「主導」しようとしています。

 震災から1000時間・約1か月半が過ぎた頃、公務員連絡会地方公務員部会はパンフレット「1000時間後のあなたへ ~東日本震災で頑張ったあなたへ~」を作成しました。震災から1000時間とは復旧・復興の開始時期にあたるのだそうです。被災者も自治体職員も心身・生活の切り替えが必要になってきます。
 パンフレットは、「こんな大事なときに倒れたら」という思いに「それよりは、長期戦に備えて、体力気力を養うことが大切です。それが被災地の再生のためになります。まずみずからの体力気力を養うこと。労働者として、当然やるべきこと。被災地の再生のためにいま、休むことがとても大切です。」とアドバイスをします。
 1000時間を越えたら「自分の家族のこと、被災者でもある自分のことを第一に考える。自分の生活に自分の全てを費やして構わないのです。死にたずさわるしごとから、生を支えるしごとへのシフトが大切です。そして職員同士が体験や感情を共有する場を持ちましょう。」とアドバイスをします。
 パンフレットは、インターネット「いじめ メンタルヘルス労働者支援センター ⇒ 『心のケア』 ⇒ 『惨事ストレス』」で読むことができます。

 東日本大震災は、多くのことを気が付かせてくれました。
 「小さな政府」は、人びとの安全・安心を小さなものにします。自治体職員や教員に過重労働を強います。結局はだれも幸福にはなりません。
 結局復旧・復興は人々の連携・連帯で可能となります。駆けつけたたくさんのボランティアの活躍を見るとそう思います。
 震災の教訓をどう生かすか。その第一目の回答がここにあります。


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