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“いじめ”問題は解決できる
2011/05/31(Tue)
 5月31日(火)

 5月28日の『朝日新聞』大阪版夕刊の1面見出しは「いじめ 職場はびこる」で、私たちのセンターも紹介されています。
 記事の中では相談事例と同時に『あきらめないで! 職場のいじめNO!』のパンフレットに収録されている「職場におけるパワー・ハラスメント防止対策ガイドライン(案)」が紹介されています。
 いじめ問題については、労働者がこのようなひどい状況に遭遇したという紹介や「悲劇の主人公」が同情の目で見られて終わっていることが多くあります。しかしそれでは問題は解決しません。私たちが今必要としているのは泣き寝入りをしないためにはどうしたらいいか、どのようにしたら解決できるかです。
 このパンフレットには全国各地のユニオンが相談を受けた28の事例紹介と団体交渉、訴訟、労働委員会、行政の相談機関などの活用による解決方法が載っています。
 そして「事例から見えてきたこと」として「なぜいじめやいやがらせが職場で起きてきているのか。一言でいえば、労務管理能力の欠如ではないか」と指摘しています。「いわゆる『暇な管理職』がリストラされつくした結果、人間関係を調整したり、合理化をするならするで、トラブルを生じさせないような工夫をする能力が、経営側になくなっている。」とありまあす。
 「職場環境の問題は人間関係の問題」ということが忘れられているというより否定されています。
 「職場におけるパワー・ハラスメント防止対策ガイドライン(案)」には、「労働者が取り組むべき事項」として「(1)パワー・ハラスメント行為について認識を持ち、自らが行うことのないように注意する」「(2)パワー・ハラスメントを黙認あるいは助長する行為自体もパワー・ハラスメントであることを認識し、これらを行わないよう注意する」とあります。労働者はまず加害者にならないという自覚が必要です。
 問い合わせ先として関西労働安全センターが載っていますが、翌日だけで30件の電話での問い合わせがあったということでした。

 「パワー・ハラスメント行為について認識を持ち、自らが行うことのないように注意する」ということについては充分に気を付けなければなりません。
 不特定の、他者の目を気にすることがない労働者を対象にした講演会などで、参加者に突然、「職場の上司の長所を上げることができる人は挙手してください」と問うと多くありません。「では同僚や部下の長所を上げることができる人」と問うても多くありません。「職場の上司の短所を上げることができる人」と問うとさっと挙がります。「同僚や部下の短所」でもそうです。
 皆このような人間関係のなかで仕事をしています。もし自分の上司や同僚・部下が参加者で、自分が上司や同僚・部下に該当したら同じように評価されているとは誰も捉えていません。
 周囲の評価が届かない自分を自己評価するとみな「優秀」なのです。このような「優秀」な労働者集まっているのが現在の職場環境です。トラブルが起きないはずがありません。みなパワー・ハラスメント加害者予備軍です。
 お互いに、長所のさらなる磨きと短所への克服の期待を込めた指摘の「他者評価」できる人間関係の構築を期待したいものです。
 そうするとお互いに加害者にならずに安心して働き続けることができます。

 3月28日の厚労省交渉で、私たちの側からは職場のいじめを防止する施策検討においては「これはダメ、あれはダメというネガティブな方向ではなく、こうしたら労使双方取り組めるというポジティブな方向」で進めようと提案しました。


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「いじめ・いやがらせ」相談が13.9%
2011/05/27(Fri)
5月27日(金)

 5月25日、厚生労働省は各都道府県労働局、各労働基準監督署などに設置している総合労働相談センターにおける『平成22年度個別労働紛争解決制度施行状況』を発表しました。
 総合労働相談件数は1.130.234件で、過去最高だった昨年度より0.9%減っています。民事上の個別労働紛争相談件数も246.907件で過去最高だった昨年度より0.2%減っています。助言・指導申し出件数は7.692件で1.1%減、あっせん申請受理件数は6.390件で18.3%の激減です。
 民事上の個別労働紛争相談件数の内訳をみると「解雇」に関するものが60.118件で21.2%(昨年は24.5%)、「いじめ・いやがらせ」が39.405件で13.9%(昨年は12.7%)、「労働条件の引き下げ」が37.210件で13.1%(昨年は13.5%)で、これだけで半分近くになります。以下「退職勧奨」9.1%、「雇止め」4.9%と続きます。
 東京、神奈川、大阪には労働局のほかにも行政機関として労働相談を受けている部署があったり、個別紛争への対応を労働組合からの申立ではなくても受理している労働委員会もありますので、実際に相談にまで至っている労働紛争はかなりの数になります。
 さらに紛争には含まれなくてもメンタルヘルス等の相談窓口は都道府県ごとの地域産業保健センターなどもあります。2008年度には約8万人が健康相談窓口を訪れました。しかし昨年4月からの地域産業保健事業のあり方の変更により10の府県においては取り組みの強化ではなく事業仕分けの対象になりました。

 労個別労働紛争解決制度施行状況は、法律施行後の2002年から報告が行われています。労働政策研究・研修機構は、今年3月に2009年度から2011年度までの紛争処理事案の内容分析をしています。
 それによりますと、「退職勧奨」の案件の中にも「職場環境型(広義のいじめ・嫌がらせ)」・非解雇型雇用終了事案が3分の2を占めます。暴言・暴力、馬頭などの物理的暴力によるものです。

 メンタルヘルス事案は相談内訳分類にはありませんので雇用終了事案や嫌がらせ事案に含まれます。
 メンタルヘルス事案のあっせん申請受理件数69件のうち73.9%がいじめ・嫌がらせです。メンタルヘルスの問題といじめ・嫌がらせ事案は密接な関係にあります。なおかつメンタルヘルス事案は、どちらかというと大企業の正社員が主としていじめ・嫌がらせを受けて発生しています。
 あっせん申請の終了区分は、「合意成立」が39.1%、「取り下げ」が8.7%、「被申請人の不参加による打ち切り」が21.7%、「不合意」が30.4%です。解決に漕ぎ着けるのが難しい状況が見えてきます。
 困難は発症の原因を巡って労使双方に争いがあり、大きな障害になっています。
 では「合意成立」における解決金額はどれくらいか。10万円以下が3.7%、20万円以下が22.2%、30万円以下が14.8%、40万円以下が22.2%、50万円以下が3.7%、100万円以下11.1%、500万円以下7.4%、1000万円以上が11.1%です。50万円以下が3分の2を占めます。
 決して高い数字ではありません。

 ちなみに、全体の解決金額もそう高いものではありません。
 総合労働相談件数と比べて民事上の個別労働紛争相談件数、助言・指導申し出件数、あっせん申請受理件数が桁を減らした数字になっているのと合わせて、現在の個別労働紛争解決制度の使い勝手の悪さが物語られています。

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今職場に必要なのは、まず良好な人間関係
2011/05/23(Mon)
5月22日(月)

 3つの資料は、労働政策研究・研修機構(JILPT)の「メールマガジン」に掲載されたものの抜粋です。労働者がどのような心理状態で仕事をしているかについて探ってみました。

 社員研修などを事業活動としている株式会社 毎日コミュニケーションズは、2011年4月入社の新入社員研修に参加した各企業の新入社員984名に社員の意識(自分自身・仕事環境・キャリア)について「新入社員意識調査」のアンケート結果を発表しました。
 あらかじめ設定された10項目から複数回答可で最大3つまで回答するという方法です。
 「あなたが今、会社で発揮できる力はどんな力だと思うか」という質問に、1位は「物事に進んで取り組む力」(63.3%)、2位は「相手の意見を丁寧に聞く力」(59.9%)、3位は「社会のルールや人との約束を守る力」(53.8%)でした。
 同じ項目について「これから必要だと思う力はどんな力だと思うか」という質問に、1位は「自分の意見をわかりやすく伝える力」(53.0%)、2位は「他人に働きかけ巻き込む力」(38.1%)、3位は「新しい価値を生み出す力」(37.8%)でした。
 「社会人として仕事をしていく上で重要だと思うこと」という質問に、1位は「良好な人間関係」(69.8%)、2位は「挑戦」(46.2%)、3位は「楽しさ」(43.8%)でした。
 「理想の上司像」という質問に、1位は「指示・指導が的確な上司」(67.8%)、2位は「よくアドバイスをくれる上司」(47.8%)、3位は「相談にのってくれる上司」(45.4%)でした。
 それぞれ人間関係・コミュニケーションに関連する回答が期待を込めて上位を占めます。

 ライフネット生命保険株式会社は、3月に全国の20歳から49歳の有職者を対象に「今年の新人への期待の調査」をモバイルリサーチで実施した1,002名からの回答結果を発表しました。
 全体ではトップは「素直」(38.2%)、2位は「明るさ」(37.6%)、3位は「協調性」(32.5)、4位は「謙虚」(29.7%)、5位は「柔軟に意見を取り入れる姿勢」(29.5%)が上位で、「落ち着き」や「個性の発揮」、「イノベーション」の項目は下位になっています。
 個性を発揮して新しい価値観を持ち込む新人よりも、職場の和に溶け込む協調性や吸収力のある新人が期待されている傾向がわかりました、と分析しています。
 もうひとつ、自身の新人時代(社会人一年目)にどんな感想を抱いているかの単一回答形式質問もしています。
年代別で比較すると、20代全体では「非常に楽しかった」11.1%、「楽しかった」23.7%、「苦しかった」27.5%、「非常に苦しかった」19.2%です。これを女性だけで見ると6.0%、19.2%、32.9%、21.6%の順です。
 40代全体では「非常に楽しかった」21.9%、「楽しかった」30.2%、「苦しかった」16.5%、「非常に苦しかった」11.4%です。これを女性だけで見ると18.6%、34.7%、13.2%、13.2%の順です。
40代は「楽しかった」の回答が過半数を占めていますが、(30代は「楽しかった」が41.0%)、20代では34.7%と、年代が若いほど「楽しかった」の回答が減少し、20代では「苦しかった」が「楽しかった」の回答を上回りました。
 前回の就職氷河期世代と称された30代よりも、今の20代は新人時代に苦しい思い出を持っている方が多いようです、と評価しています。特に40代女性と20代女性の感じ方には大きな差があり、「苦しかった」と回答した割合は、40代女性は26.3%、対して20代女性では54.5%に上りました。
 そして自身の新人時代は「苦しかった」と回答した人のうち8割弱が新人教育に「悩んだことがある」と回答したのに対し、新人時代は「楽しかった」と回答した人では「悩んだことがある」と回答したのは6割半で、14.0ポイントの差がありました。
 新人時代は苦しかったと感じている方ほど新人教育に悩みを抱える傾向がわかりました。

 連合総研は4月27日、第21 回「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」調査結果を発表しました。調査対象は首都圏および関西圏に居住する20代から50 代までの民間企業に雇用されている1,874人からの回答の結果です。
 調査項目の「社会とのつながり」「(1)困った時に頼れる人・加入している団体」に、「困り事が起こった時に親身になって相談にのってもらえる人」の項目がありました。
 「誰もいない」が、男性正社員19.0%、男性非正規社員28.6%でそれぞれ女性の2倍以上、年代別では、男性20代16.8%、男性30代17.3%、男性40代23.0%、男性50代25.4%でそれぞれ女性の2倍前後になっています。

 この中から何が見えてくるでしょうか。
 新人時代は「ヤル気」を持っていても、なかなかそれを保障する体制がありません。少しずつ直面していく現実は人間関係の難しさのようです。
 実際には、職場・社会で孤立している40代の男性上司に指示・指導を受ける若手労働者は仕事が楽しいはずがありません。尚かつ就職氷河期世代の求職の時から「苦しかった」労働者にとってはどこで展望を見つけるのでしょうか。
 このようななかから見えてくるのは、どの世代も人間関係・コミュニケーションを期待・願望しているということでした。

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「現在の労災認定制度には限界がある」
2011/05/18(Wed)
5月18日(水)

 今、厚労省で「精神障害の労災認定の基準に関する専門委員会」が開催されています。
 目的は、現在の「判断指針」による審査が、請求件数が増加しているのと審査期間が8.7か月と長期になっているため迅速化と効率化を図るためです。
 4月14日の第5回検討会では、夏目誠大阪樟蔭女子大学大学院教授から「ストレス評価に関する調査研究結果と『心理的負荷評価票』における平均的強度」の報告を受けました。現在の「職場における心理的負荷評価票」も夏目教授らの研究をベースにして作成されています。

 夏目教授は以前、65項目からなるストレス調査票を作成し、関西の4つの大企業で働く1.630人(男1.322人、女308人)を対象に1~100点のスケールで調査をしました。厚労省はそれに他の研究成果を総合し、「判断指針」の「具体的出来事」の「心理的負荷の強度」で40点未満を「Ⅰ」、40~59点をⅡ」、60点以上を「Ⅲ」としました。その後改正され現在は「職場における具体的出来事」43項目と「職場以外の出来事」32項目となっていますが「職場における具体的出来事」における「Ⅲ」に該当するのは6項目しかありません。
 「判断指針」における審査は、業務との相当因果関係が必要となり、成因を主因、副因、誘因に分け、相対的有力原因説の立場から主因を中心に判断されます。この方法だと「Ⅱ」に相当する「具体的出来事」が複数あったからといって「Ⅲ」になりません。主因の判断を補強するものでしかないのです。
 2009年度の総合評価において、評価が「Ⅲ」で総合評価が「強」になった事案は179件中163件、評価が「Ⅱ」で総合評価が「強」になったのは349件中41件です。「Ⅱ」の案件で「強」になるのはなかなか難しい状況にありました。

 夏目教授らは今回改めて「職場における具体的出来事」43項目に新たに「職場における具体的出来事」15項目と「職場以外の出来事」5項目の合計63項目について0~11段階でのストレス調査を全国10462人(男8.485人、女1.977人)から行いました。
 その結果、平均6.0以上が10項目になりました。「左遷された」「上司とトラブルがあった」「「訴訟を起こした、起こされた」「1か月に120時間以上の残業」「会社で起こった事故(事件)の責任を問われた」などです。
 改正される「判断指針」は少しは使い勝手がいいものになるのでしょうか。

 さて、5月17日、精神障害の労災認定の基準に関する専門委員会の分科会である「第4回 セクシャルハラスメント事案に係る分科会」が開催されました。
 論議の中でかの山口浩一郎座長が発言しました。「2つ以上の出来事が重なった場合、強度は足算ではなく掛算になるのではないか。そのような考え方が求められている」
 慌てたのが補償課長。現在の認定制度の根幹、否定にかかわる問題だからです。「今回は個別事案を扱っていますが、その提案は認定制度全体の問題になるのでここでの討論課題には馴染まない」
 黒木宣夫委員(東邦大学医療センター佐倉病院)が「当然強くなるでしょうね」
 今度は労災補償部長「具体的には総合評価されている事例がありますから。例示が必要となってきます」
 引かずに山口座長「今はライフ・イベント方法(生活上の出来事尺度)をとり、出来事1つひとつを評価する。しかし出来事がくっ付いているものもある。今の評価票とは違うものが必要となる。今後増えるであろういじめ問題なんかもそうですよ」
 労災補償部長「それぞれ単独で評価した後に総合評価をしている」
黒木委員「上司が加害者の場合は大変なことが起きてくる。出来事が連動することがある。傾向を検討してもいいのでは」
 ということで今回については具体的評価方法を示すことになりました。

 労働現場を知らない山口、黒木の発言は、セクシャルハラスメント事案を検討する中でそう感じたのでしょうか。
 ともあれ彼らは「専門家」として現在の認定制度の限界を指摘しました。近い将来に労災審査方法の抜本的改善が図られることを期待したいものです。


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「人権侵害救済法案」の制定を
2011/05/13(Fri)
5月13日(金)

 5月13日の新聞に「人権法案(人権侵害救済法案)、次期国会に」という見出しの小さな記事が載りました。人権を侵害された人たちを救済する政府から独立した新しい機関「人権委員会」の設置を柱とするとあります。

 2002年の国会に「人権擁護法案」が内閣から提出されましたが廃案になった経緯があります。
 この法案は、法律の目的を「人権の侵害により発生し、又は発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防並びに人権尊重の理念を普及させ、及びそれに関する理解を深めるための啓発に関する措置を講ずることにより、人権の擁護に関する施策を総合的に推進し、もって、人権が尊重される社会の実現に寄与すること」(法案1条)としています。
 「人権侵害」とは、「不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう」(法案2条1項)と定められ、「何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。」(法案3条1項)として、次のような禁止項目を定めました。
 Ⅰ 不当な差別的取扱い
  1.公務員としての立場において人種等(人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は
   性的指向をいう。以下同じ。)を理由としてする不当な差別的取扱い
  2.業として対価を得て商品、施設、役務等を提供する者としての立場において人種等を理由としてする
   不当な差別的取扱い
  3.事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について
   人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
 Ⅱ 不当な差別的言動等
  1.人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動
  2. 職務上の地位を利用して相手方の意に反してする性的な言動
 Ⅲ 相手方に対して優越的な立場においてする虐待
 また、「差別助長行為等をしてはならない」(法案3条2項)として次のような禁止事項を定めました。
 1. 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として不当な差別的取扱い
  をすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に
  識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示等の方法で公然と摘示する行為
 2. 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として不当な差別的取扱い
  をする意思を広告、掲示等の方法で公然と表示する行為

 この法案は、「人種等」の差別禁止に重きを置いたもので、法務省の外局として設置される「人権委員会」で調査及び救済の職務を行うことになっていました。差別的取扱い禁止については、労働者にとってはすでに労働基準法や就業規則に盛り込まれているものでした。
 しかし「2. 職務上の地位を利用して相手方の意に反してする性的な言動」と、セクシャルハラスメントの防止が2005年の男女雇用均等法改正以前に盛り込まれていました。また「Ⅲ 相手方に対して優越的な立場においてする虐待」ということで職場におけるいじめ・パワハラ問題についても調査及び救済が可能になるものでした。
 調査及び救済にどの程度の実効性を持つことができたかは何とも言えません。しかし具体的調査が進むにつれて何らかの「判断基準」がつくられることは期待できました。残念です。

 2009年の総選挙に向けて民主党はマニュフェストを発表しました。そこには「人権条約選択議定書を批准する」と謳われ、【政策目的】として「人権が尊重される社会をめざし、人権侵害からの迅速かつ実効性ある救済を図る。」。【具体策】として「内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する。」「個人が国際機関に対して直接に人権侵害の救済を求める個人通報制度を定めている関係条約の選択議定書を批准する。」とあります。
 しかし論議は「内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する。」等の視点に流れ、人権の中味には入っているように思えません。
 次期国会に提出される「人権擁護法案」は、職場におけるいじめ・パワハラ問題について、民主党より自民党の方がましと言われないよう期待したいものです。

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