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どうするストレスチェック制度
2018/02/05(Mon)
 2月5日 (火)

 15年12月1日にストレスチェック制度の実施が開始されてから2年が経過しました。
 様々なところから様々な意見がでています。

 従業員が50人以上の企業は年1回の実施が義務づけられましたが実施状況はどうでしょうか。
 企業は実施結果を所轄の労働基準監督署に報告する必要があります。結果は、17年6月末時点で、実施義務対象事業場のうち82.9%が実施していました。その事業場でストレスチェックを受けた労働者は78.0%でした。さらにそのうち医師による面接指導を受けた労働者は0.6%でした。
 ストレスチェックを実施した事業場のうち集団分析を実施した事業場は78.3%でした。

 17年12月21日の毎日新聞は、多くの企業で高ストレスと評価されても医師面談に手を挙げる人が少ないことが課題になっていると報告しています。理由は、高ストレス者が医師面接を受ける際に会社に申し出なければならないからです。義務化以前から取り組んでいる企業では逆に 「よほど会社に物申したい人以外、なかなか手を挙げなくなった」 といいます。労働者は 「メンタルヘルス不調者のあぶり出し」 に利用され不利益な対応をされるのではないかという恐れから相談の心理的ハードルが高くなったといいます。体調不良者は相談するのをやめたり、社外の相談できるところにむかいます。
 以前は、保健師ら産業保健スタッフがまず面談し、深刻な状態の場合は本人の同意を得て会社と連携して対処していました。

 ストレスチェック制度の導入・実施に至るまでにはかなりの紆余曲折がありました。(2015年12月1日の 「活動報告」)
 法案の議論が進むうちに 「メンタルヘルス不調の未然防止」 が 「メンタルヘルス不調者の未然防止」 に変えられました。使用されるストレスチェックの 「票」 は 「仕事のストレス要因」 だけでなく 「心身のストレス反応」 「周囲のサポート」 に関する項目も一緒になっている57項目か、短縮版の23項目のアンケートが盛り込まれていることが必須になりました。

 「メンタルヘルス不調の未然防止」 とは 「予防医学」 の一次予防として職場のストレス要因をあぶり出し環境改善を行うことです。しかし改正法の運用に際しては 「仕事のストレス要因」 の分析は努力義務になりました。
 代わって 「メンタルヘルス不調者の未然防止」 のために二次予防 「早期発見」 を 「心身のストレス反応」 でおこなうことが目的になりました。事業場によって労働者1人ひとりの精神状態に関する検査とデータ作成が (世界で初めて) 合法的に行える、労働者は第三者から 「心の管理」 が行われることになりました。しかし 「あぶり出し」 を含めて結果への対処は自己責任です。
 
 制度をわかりやすくするためにイギリスの例を紹介します。
 イギリスのストレスチェックは 「職場のストレスの多くの原因は、人事関係の問題である。職場のいじめ、長時間労働の慣習、人員整理とそれによって残された人々にかかる作業負荷、そして、女性差別や民族差別のようなことは、全て人事が対処すべき問題である」 ととらえ、企業が職場のストレスレベルを測定し、その原因を特定し、問題に取り組むスタッフに役立てることを目的としています。
 日本のように個人の 「心身のストレス反応」 をチェックして個人対応に導くものではありません。わかりやすくいえば 「仕事のストレス要因」 「周囲のサポート」 の問題から 「心身のストレス反応」 が起きるという捉え方です。
 イギリスと日本とは、職場全体の問題か、個人的問題かと捉え方が大きく違います。

 その典型が厚労省のメンタルヘルス対策、長時間労働対策です。
 「過重労働による健康障害防止のための総合対策」 「労働時間等見直しガイドライン」 などが策定されています。しかし通達や指針などで、禁止の強制力を持つ法律ではありません。使用者にとっては努力義務で遵守しなくても違法にはなりません。労働時間についてはあらためていうまでもなく労基法がザル法に改訂されています。
 「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」 です。
 「事業者は、労働安全衛生法等に基づき、労働者の時間外・休日労働 時間に応じた面接指導等を次のとおり実施するものとする。
 ① 時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者であって、申出を行った
  ものについては、医師による面接指導を確実に実施するものとする。
 ② 時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超える労働者であって、申出を行ったも
  の (①に該当する労働者を除く。) については、 面接指導等を実施するよう努めるもの
  とする。
 ③ 時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者 (① に該当する労働者
  を除く。) 又は時間外・休日労働時間が2ないし6月の平均で1月当たり80時間を超え
  る労働者については、医師による面接指導を実施するよう努めるものとする。」
 長時間労働が前提にあり、100時間労働は違法ではないが 「100時間を超えたら体調を崩すものが出るかもしれない」 との判断から 「医師による面接指導」 を取り上げています。

 使用者が 「100時間を超えた者は医師による面接指導」 を実行したら 「使用者の安全配慮義務」 は履行したことになり、訴訟などを提起されても反論し、労働者の自己責任と主張できることになります。
 ストレスチェック制度も同じです。長時間労働などの 「仕事のストレス要因」 を解決しようとしないから 「心身のストレス反応」 のチェックが必要なのです。


 1月15日の日経BizGateに 「ストレスチェックで分かるブラック企業」 が載りました。
 筆者は医師で株式会社健康企業代表の亀田高志さんです。
「……ストレスチェックを拒否した人は実に2割を超えていたのです。この2割以上の拒否した人の中にこそ、不調の恐れのある人が含まれているかもしれないのですが。……
 ストレスチェックは……働く人が職場ストレスや自覚症状に気付いて、うまく対処することで、不調にならないよう 『未然に防止するため』 という謳い文句で導入されました。
 ストレスチェックは定期健診と違って拒否しても構わないのです。既にうつ病で治療中の人があえて受ける必要は無いでしょうし、それを会社には黙っていたい場合もあるでしょう。
 メンタルヘルスにかかわる深刻な悩みを職場で尋ねてほしくない人もいるからです。拒否したい理由は他にもあります。例えば、ストレスに関する質問に正直に回答しても大丈夫だろうかと心配する人も少なくありません。リストラやコスト削減の影響で、人員がギリギリの職場で働かされていると感じている人は、職場でストレスの状況を尋ねられること自体に違和感を覚えるかもしれません。
 また、雇用や身分が保障されていないと感じる人は、チェック後の安全が確保されていないと不安を感じて、回答しない可能性があります。そのため、受検を拒む従業員に、就業規則で無理やりストレスチェックの受検を強制したり、懲戒してはならないことが法律で定められています。」

「しかし、現実にはストレスチェック制度の義務化によって、かえって 『会社のブラック度』 が分かるようになってしまいました。ブラックな面をオブラートに包んで触れないようにしていたのに、それが 『はげ落ちた感じ』 と言えるかもしれません。
 日本では 『従業員のことを大切に』 と謳う会社は少なくありません。株主だけを最優先するのではなく、従業員や顧客、地域社会を重視するのが日本的な経営だという見方もあるでしょう。しかし、法的義務であるストレスチェックを実施せず、あるいはおざなりにやりっ放しにするなど、従業員のことを粗末に扱うことが判明した会社もかなりの数に上っています。このほか、チェックを実施しているけれど、それが形ばかりにとどまる会社も少なくありません。初年度では平成28年11月末か翌年3月末までが実施期限だったのに、労基署の指導があってはじめて、重い腰を上げた会社もかなりあります。」

「職場の健康問題を話し合う衛生委員会を開催し、そこでストレスチェックに関する懸念や意見を従業員側から集めるように会社は求められています。そして、従業員に不利益な取り扱いをしないと説明しなければならないのです。これらを怠っている会社もあります。
 実施後には丁寧に評価や判定を行う必要がありますが、受検した人の10%前後と想定される高ストレス者の割合が、それをはるかに超えて高い会社もあります。
 反対に高ストレス者の割合が限りなく0%に近いところもあります。この場合、受検した人たちが正直に書いた結果であればよいのですが、パワハラが横行するような職場で回答することで危険が及ぶと考え、うそを書いていることもあり得ます。
 このようなストレスチェック制度の不適切な運営やストレス対策として好ましくない状況は、会社のブラックな面のあらわれなのです。」
「ストレスチェックを実施する一方で、受検する人のプライバシーを守るというお題目が加わり、上司にとって部下の回答結果はブラックボックスとなってしまいました。悪気はなくとも部下がどのような回答をしているのかを気にしている管理職は相当な数に上ります。」


 そして筆者は 「職業性ストレス簡易調査票の57項目の質問は、ほとんどが上司と対話ができれば事足りる問題ばかりです。仕事や職場の状況について困っているなら、素直に上司に相談できると簡単にストレスの原因が解消される可能性があります。それによって職場の人間関係が好転することもあるでしょう。その結果、仕事の満足度も高くなるかもしれません。」 といいます。
 つまりは、日常的コミュニケーションがしっかりとれていればあらためてストレスチェックを実施しなくても済むことです。残念ながら職場が殺伐としているから、上司が部下との関係性ができていないから、あらためて制度として義務付けて実施することになっています。
「このようにストレス解消のヒントは、ストレスチェック制度の中ではなく、その多くは日ごろからの上司と部下との直接の対話の中にあるのです。」


 しかし、これまでも繰り返してきましたが、実際のストレスチェック制度には他の目的があるのかもしれません。(16年11月18日の 「活動報告」 参照)
 現場の労働者は、ストレスチェック制度が実施されても、検査を受けることは義務ではありません。法律によって拒否できます。
 やむなく検査をうけざるを得ないとしても 「心身のストレス反応」 は拒否しましょう。
 チェック票にマイナンバーを記載することに反対しましょう。個人情報が流出して知らないところで管理される危険性があります。
 一次予防が目的なら、チェック票は無記名での提出も有効です。無記名でも 「検査結果の集団ごとの分析」 はできます。
 労働者と労働組合は、実施されても、体調不良者のリストアップ、排除・退職勧奨等に繋がらないよう監視をして行く必要があります。

   「活動報告」16.11.18
   「活動報告」15.12.1
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あらためて 「働きかた改革」 反対
2017/10/24(Tue)
 10月24日 (火)

 衆議院選挙の最終日の夕方、新宿バスタ前の立憲民主党の街頭演説会に行きました。
 枝野代表と福山幹事長が演説をするということで、主催者発表で8000人が集まりました。実数は半分、3分の1としてもすごい数です。雨の中、みな自主的に傘を畳んでいます。
 演説者の姿は終始まったく見えませんでした。それでも演説をしていると思われる方を向いて静かに聞き入り、拍手をします。よくある 「○○!」 コールもたまに起こりますが唱和されません。集まっている人たちは経験がないようです。国会前などとはまた違う人たちが集まっているようです。年齢層も10歳くらい若いように思えました。
 この現象は何なのでしょうか。
 安保法制の国会審議の時は国会前に大勢の人びとが駆けつけました。憲法が壊される、軍備が強化されるという危機感です。
 今回の選挙に人びとを駆り出させたのは閉塞感から解放されたいと脱出口を探していたのではないかと思われました。安保法制の強行採決などだけからではなく、この間の生活実感はずっとそうだったのでしょう。そのなかで、自分の思いが共有できる、期待できそうな候補者がやっと登場したという思いなのだと受け止めました。演説者の 「草の根の立憲主義」 は説得力をもって受け止められました。
 選挙結果は、希望の党は人を騙す、ひどすぎたということではありません。
 人びとの意識に変化が見られます。このことを見過ごすし、足し算・引き算で議論を進めるとこの先も見誤ります。

 希望の党の選挙公約には、その後言い変えられましたが、当初「生産性を向上させるため働きかた改革を推し進める」の項目がありました。希望の党は、安全保障の問題だけでなく、自民党と違いがありません。


 先日、使用者側が主催する「働きかた改革実行計画」の講演会に参加しました。講師はこの計画作成に深く携わった方です。講師は 「希望の党が登場した時には、このあと国会で働きかた改革法案を審議する時にさほどの混乱もなく通過すると安心しました」 とストレートに発言しました。しかし立憲民主党の登場でどうなるかどうなるかわからなくなりました。
 講演内容は 「働きかた改革実行計画」 ・働きかた改革法案の解説です。しかしその方向性に注視しなければなりません。
 労基法第三十二条は時間外労働です。
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
 2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
と謳っています。時間外労働は例外規定です。
 政府は、実行計画で現行の限度基準告示を法律に格上げし罰則によって強制力を持たせ長時間労働に歯止めをかけたと繰り返し主張しています。しかし実際のトーンは、逆に 「ここまで残業させても違法にはならない」 です。
 時間外労働の限度時間の月45時間、年300時間が通常となり、そのうえで特例が年間720時間、さらに一時的に事務量が増加する場合について、上回ることができない上限を設けています。上限は、2か月から6か月の平均で、いずれも休日労働を含んで80時間以内、単月では100時間未満で、特例は年半分を上まわらないようにするということです。
 上限を設けたという説明の中で労使協定の締結では下限が引き上げられる雰囲気がつくられていきます。
 企業は時間管理が複雑になります。これに対して政府は制度制定にコンサルタントを依頼するときは補助金を出すことを予算化しています。そしてソフト会社は制度を受け入れるソフトを開発して売り込みを開始しています。
 労働者を外部や器機に依拠してしか管理できない複雑な制度は、そもそも労働者保護の視点が欠落しています。

 月45時間は、厚労省の 「過重労働による健康障害を防ぐために」 の対策の中で 「健康障害のリスク」 が高くなるラインです。しかし改革といいながらそのラインを越えた、「月100時間未満」 以外はこれまでの通達等の内容を踏襲しています。健康障害を防止するものにはなりません。100時間未満にしても、精神障害の労災認定基準に照らして 「休日労働も含んで」 といういい回しになったということです。結局は労働者が労災申請をした時に認定されにくい限度を法律に盛り込んだだけです。
 そして、連合は、長時間労働に歯止めをかけたと主張しますが、政府が連合の要求を受け入れたのは当初の案の 「上限100時間」 に 「未満」 を加えさせただけです。

 働きかた改革実現会議は、当初は長時間労働を是正してワーク・ライフ・バランスを実現すると主張していました。しかし公表された 「働きかた改革実行計画」 には冒頭の 「働く人の視点に立った働きかた改革の意義」 のなかで 「長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結び付く」 と触れているだけでそれ以外には登場しません。
 働きかた改革は、ワーク・ライフ・バランスと相反します。長時間労働の是正の方向には向かっていません。
 さらに 「高度プロフェッショナル制度」 はまさしく過労死促進法です。「高度プロフェッショナル制度」 については反対意見が強まっています。


 しかし使用者が今回の改革で本気で狙っているのは拡大した裁量労働制の導入だといわれています。解説書やリーフレットにはわざとだと思われますが簡単にしか触れられていません。
 13年10月、厚生労働省労働基準局は 『平成25年度労働時間等総合実態調査結果』 を発表しました。時間外労働及び休日労働の実態、割増賃金率の状況、裁量労働制の実態調査を把握することを目的にしたといいます。調査対象事業場は都道府県労働局が無作為に選定しましたが、裁量労働制に係る事業場数を一定数確保するため、専門業務型裁量労働制導入事業場及び企画業型裁量労働制導入事業場を優先的に選定したといいます。11,575事業場を対象に、労働基準監督官が訪問する方法で、4月1日時点の実態を使用者から調査しました。
 裁量労働制についての調査結果です。
 専門業務型裁量労働制で労働時間の状況として把握した時間の1日の平均時間は、最長の者12時間38分、平均的な者9時間20分です。「法定休日労働あり」 の割合は、最多の者39%、平均的な者は21.9%です。4人に1人以上が法定休日に仕事をしています。年間、最多の者で8.5日、平均的な者で4.0日労働しています。
 企画業務型裁量労働制では11時間42分と9時間16分です。「法定休日労働あり」 の割合は、最多の者29.2%、平均的な者は17.2%です。年間、最多の者で5.8日、平均的な者で3.1日労働しています。
 かつて裁量労働制の導入に際して労働省は、みなし労働時間を定め、その分の賃金が支払われ、業務が早期に終了した時は労働者は労働時間を自由に使用することができ、その分生活にゆとりができると説明しました。実態は異なります。ザービス残業が放置されています。さらに現在は労働時間が長くなっています。
 裁量労働制が導入される時のうたい文句からはかけ離れた、労働者側が危険性を指摘した実態になっています。

 調査を踏まえて労政審で 「高度プロフェッショナル労働制」 と裁量労働制の審議が行われ答申がだされました。働きかた方改革では2つは一体のものです。
 企画業務型裁量労働制の対象業務が追加されました。例えば、「法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該顧客に対して販売又は提供する商品又は役割を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務」 は、つまりは営業です。
 かつて、派遣労働が開始された時、職種は限定されていました。しかしその後何度も法改正がおこなわれ、現在では禁止されている職種の方が極めて少なくなっています。企画業務型裁量労働制も同じ轍を踏む危険性があります。

 今年3月に制度が違法だと指摘された損保ジャパン日本興亜は、嘱託などを除く18.000人の職員のうち、入社4年目以上の総合系、専門系、技術調査系職員6.000人以上に企画業務型裁量労働制を導入していることが明らかになりました。対象外であるはずの一般の営業職にまで適用されています。
 一般の営業マンのノルマ達成のための残業を 「みなし労働制」 と扱い無償においやります。たんなる残業代の抑制でしかありません。違法性を指摘されて損保ジャパン日本興亜は廃止を決定しました。
 損保ジャパン日本興亜は働きかた改革を法案を先取りしたのではありません。このような “働かせ方改革” を企業は熱望しているのです。
 改革法案が通ると、このようなことが合法になりかねません。

 8月25日の 「活動報告」 でトヨタの改革を報告しました。
 トヨタ自動車は現在、企画・専門業務の係長クラス (主任級) 約1700人に裁量労働制を導入していますが、“自由な働き方” を認める裁量労働の対象を拡大する新制度を発表しました。7月末に労働組合に提示し、12月の実施を目指します。
 事務職や研究開発に携わる主に30代の係長クラスの総合職約7800人のうち一定以上の自己管理・業務遂行能力を持ち、本人が希望し、所属長、人事部門の承認がある者が対象です。非管理職全体の半数を占めることになります。
 残業時間に関係なく毎月17万円 (45時間分の残業代に相当) を支給し、さらに一般的に残業代を追加支給しない裁量労働制とは違い、勤務実績を把握して月45時間を超えた分の残業代も支払います。これまでの残業代支給額は月10万円程度でした。そのための原資は、以前すすめた人事・賃金制度の改革で浮いた分を充てるといいます。16年1月から、全社員約6万8000人のうち生産現場で働く約4万人の労働者の賃金体系を見しました。
 まさしく、月45時間の時間外労働を違法でないと居直り、労働者の自己責任として常態化します。

 さらに働きかた改革は個人事業主を増やして時間管理の放棄と人件費・「残業代の抑制」 をはかろうとしています。


 総選挙の最中の10月13日、小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長の福島市での街頭演説です。
「本来、賃上げ交渉を拳を振り上げてやるのは労働組合のはずですよね。しかしそれを今、国をあげてやっているんです。だとしたら何で労働組合は自民党を応援しないで野党を応援したままなのか。そして労働組合は連合が束ねていますが、本当に労働者の代表は連合ですか。
 私は違うと思いますよ。なぜなら連合の組織率は17%。何で17%の人たちが代表なんですか。今までそうだったから慣例的に代表としてやっているだけで、今の世の中の多くの労働者の代表だとは、とても言えるもんじゃないと思います。」

 小泉氏の演説は半分は正しいです。政府は労働者と労働組合を取りこもうとしています。 「100時間未満」 を受け入れたり、幹部が 「高度プロフェッショナル制度」 をボス交で勝手に了承する連合はすでに取りこまれています。
 政府は長時間労働を合法化するだけの働きかた改革を、政府主導で労働時間の短縮をやったと主張してきます。

 突然の解散で、働きかた改革の法案提出は遅れています。働きかた改革法律案要綱はアメとムチが混ざっています。
 しかし 「高度プロフェッショナル制度」 の了解を全国の労働者と労働組合が撤回させたように “ムチ” の箇所については絶対に認めない闘いを進め、労働者にとっての本物のワーク・ライフ・バランスを対峙し、人間らしい労働を追及していくことが必要です


   「活動報告」 2017.8.25
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職場のいじめ防止対策の検討会で                                    委員が“職場の暴力”の議論を要請
2017/09/29(Fri)
 9月29日 (金)

 9月15日、全国労働安全衛生連絡会議は厚労省と交渉・意見交換を行いました。春に開催した交渉において時間の関係で深入りできなかった項目が中心です。
 交渉に向け事前に要求書を提出していました。いじめとメンタルヘルスに関する部分です。

 B.安全衛生について
1.職場のいじめ・嫌がらせパワーハラスメント対策
 【再質問事項】
 1.職場のいじめ・嫌がらせパワーハラスメント対策
 (1) 昨年8月26日の当センターとの交渉で厚労省は第三者からの被害について 「厚労省実
  態調査の調査項目は、……第三者からということでは、誰から被害を受けたかということにつ
  いても回答できるようになっています。その中から第三者のものについても掌握できると思い
  ます。」 と回答した。
   今回発表された実態調査のなかで、「行為者と被害者の関係」のなかの第三者・いわゆる
  行為者が職場外の者は「その他」に該当し77人いる。77人について関係性、内容、またそ
  の分析結果を明らかにすること。
 (2) 現在、世界的に職場外の者からの暴力について法律や通達、指針で対処していないの
  は先進国では日本くらいである。
   各職場において、いわゆる行為者が職場外の者からの暴力が頻発している。しかし 「職
  場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」 には職場外の者からの暴力は適用
  外になっている。
   実態調査などの具体的事例を 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」
   の議題としで検討し、職場外の者からの暴力についても 「提言」 に盛り込むこと。
 (3) 現在、職場外の者からの暴力について、鉄道における暴力にたいする対応は国交相、
  地方公務員に対しては総務省、医療機関については厚労省など別々に対応している。
   労働者の職場の安全衛生、人格・尊厳という視点から、厚労省がイニシアティブをとって
  各省に働きかけ、問題意識を共有し、予防・解決を諮ることを視野に入れた調査を実施す
  ること。
 (4) 2016年4月より設置された雇用環境・均等部の相談対応実施状況について報告する
  こと。
 (5) 「提言」 に実効性を持たせるために職場のパワーハラスメント防止法制定にむけて取
  り組むこと。

 厚労省からの回答です。
 1、については、実態調査のなかに職場以外からの被害は77人いました。経営者、取引先または客からなどからの回答が含まれています。しかし、回答数が少なすぎるということと、詳細は自由記載になっていていろいろな表現があり分析するのが困難です。
 2、につきましては、「働きかた改革実行計画」 をふまえてこの5月に 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 を立ち上げ、現在、検討しているところです。すでに3回開催されています。第一回の検討会では委員から顧客からのハラスメントから労働者を守ることは無視できないという発言がありました。そういったことを踏まえて検討会で引き続き実効性のある防止対策について検討していくことになります。

 センター側からの意見です。
 1、外部からの暴力に関しては2012年に 「提言」 が出る前から関心を持っていました。なんで検討会の討論から外れるのか疑問があります。今回は委員の中からも大事だという意見が出たということですが、是非検討会で議論できるように資料提供をしてください。鉄道、病院、自治体職員などでは相当それぞれの管轄官庁が状況を把握されていますし、労働政策研修研究機構 (JILP) が出した個別紛争を分析した資料のなかでも相当具体的な事例が出てきていますので、あの中にどれだけ第三者の暴力が入っているかわかりませんが、そういう資料をきちんと取りまとめて委員の方々に提供してほしい。それがないと一般論で大変ですねで終わってしまいます。たしかに事業主が取引先や顧客に対して法的に対応できるかというと難しい面があると思いますが、なるだけ実効性を持つような資料を提供してほしい。

 厚労省からの回答です。
 検討会に資料を提出するかについては、その時々に合わせたものを出していきますので必ず出すという約束はできませんが実効ある防止対策にしていきたいと思います。

 センター側からの意見です。
 新聞で職場におけるいじめや嫌がらせなどに対し、政府が罰則を含めた法規制の検討に着手したと報道されましたがどうなっているのでしょうか。

 厚労省からの回答です。
 検討会では決まっていません。引き続き検討を重ねている段階です。

 センター側からの質問です。
 1、についてです。昨年の交渉の時に、この後この問題についても実態調査をするので、そこから分析ができる回答だったのでこの要求にしました。しかし今この議論をこれ以上しようありませんのでやめます。
 ただ被害を受けたのが77人ですが、見たり聞いたりしたというのが40数人います。それを合わせても少なくて分析は無理ということなのでしょうか。個人情報の問題もありますが、どういう立場の者から、そういう立場の者が受けたか、客からか、親会社からかの調査は出来るのではないかと思います。
 何故この問題をしつこく言うかというと、6年前の 「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」 の第1回検討会で、どういうことを議論していきたいかと委員1人にとりが発言した時に、使用者側代表の委員から客からの嫌がらせについては是非検討してほしいという要望が出されました。しかし 「提言」 には盛り込まれませんでした。
 今回5月19日から 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 が開催されています。第1回検討会は委員全員が意見を述べました。
 UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの浜田委員です。
「介護の現場の、ヘルパーさんであるとかケアマネさんの労働組合です。……
また、概念とか定義からすると少し外れてはしまうのですが、現場ではパワハラだろうがセクハラだろうが、嫌なこと、困ったことなどいろいろな相談がくるのですが、その中には実は、特に流通とか介護の現場では多いのですが、顧客であるとか、利用者家族からのハラスメントも実は無視できない状態です。例えば、しばらく前に有名になりました、土下座をさせられるであるとか、大声で長時間叱責されることもあったり、介護現場では、家族の方からの叱責があったりであるとか、いろいろな問題があるのです。実は、相談を受ける側としては、やはり労働者を守るという意味では無視できない実態が実はあるのだということです。この一定程度進まないという部分を、これまでの取組の延長線上で現状を変えられるかということを考えますと、一定程度存在するパワハラ防止対策が進まない企業を、もう少しこの検討会では、今後の法整備に向けた、これまでよりもステップアップした対応についての議論が必要ではないかと考えております。」
 この思いをどう汲み取るのかが検討会の課題になると思います。
 6年前は使用者側から、今回は労働者側から同じ課題が出されたということは無視できないと思います。厚労省としてももう少し積極的な対応が必要ではないでしょうか。

 厚労省からの回答です。
 77名以外からもありましたが、自由記載で、どういうことなのか受け止め方が難しいものもあります。多かったのは経営者からで、取引先からは77人中10人程度だったと思います。それを分析するのはプライバシーの問題を含めて困難があります。
 検討会では、今後、様々な発言を踏まえて検討していきます。

 センター側からの要請です。
 日本では対策が遅れていますが、韓国ではかなり進んでいます。研究所だけでなく、労働組合、使用者側、さらに政府をあげて取り組んでいます。ソウル市では防止のための条例を制定しています。
 日本でもこれらをどう真似るか、取り入れるかを検討した方がいいと思います。


 6年前の 「円卓会議」 が開催された頃は、厚労省も職場のいじめ問題に取り組む姿勢は積極的なものがありました。しかし現在は、職場での深刻、切実な問題が指摘されているのもかかわたず熱が冷めてしまっていて片手間の課題になっています。そのことをあらわにした対応でした。
 しかし、だからこそ、今後も粘り強く要請・提案行動を続けて行く必要性を実感させられました。


 これらの他に、センターは以下のような項目を要請書に盛り込みました。

 2.過重労働による健康障害の防止対策
 (1) 「働き方改革」 で、特別条項に月60時間の上限、繁忙期は月100時間、前後の2カ
  月平均80時間までとすることはこれまでの 「通達」 より改善したものと評価するが、繁
  忙期は月100時間、前後の2カ月平均80時間までとすることは月60時間の常態化を
  作り出す。特別条項そのものを撤廃すること。
 (2) 「働き方改革」 の労働時間の上限規制は、①自動車の運転の業務、②建設事業、
  ③新技術、新商品等の研究開発の業務、  ④厚生労働省労働基準局長が指定する
   業務、⑤医師 が適用除外とされている。
   過労死を推進する適用除外を廃止すること。
 (3) 休日労働については規制があいまいである。労働者の健康問題の視点から、休日労働
  は、2週間に1回までとし、さらに振替休日や代休を直後に保障することを法律で義務づけ
  ること。
 (4) 現在、労働基準監督署は36協定の協定書の提出を義務付けてはいるが締結に至る経
  緯は問題にされない。そのため会社が指名する従業員が従業員代表になっていることもか
  なり多い。従業員代表の選出においてきちんとした民主的手続きを踏んで選出することを義
  務付け、36協定の協定書の提出においては選出方法も記載することを義務付けること。
 (5) 1月20日に 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラ
  イン」 が新たに策定された。これまでの 「基準」 より改善したものと評価する。
   しかし出退勤についてまだ労働者に自己申告させる会社がある。出退勤について労働者
  からの自己申告を禁止し、会社が客観的に掌握する方法を義務付けること。
   そのうえで、業種等により働き方が多様化する中、一律の基準では対応できない例も多
  いので、業種ごとに働き方の特性を踏まえた 「ガイドライン」 や対策を作成すること。
 (6) 「ガイドライン」 には、業務時間外のメールや電話対応については記載されていない。
  これらを明確に禁止している国や企業もあること、また賃金不払い残業の温床となること
  を踏まえて、業務時間外のメールや電話対応を禁止するとともに、行われた場合には労
  働時間とするような包括的 「ガイドライン」 を作成すること。
 (7) 深夜の残業禁止が導入された企業で、業務量が削減されていないために持ち帰り残業
  が増加する等の問題がでている。労働時間の規制だけではなく、長時間残業が発生する原
  因に即した改善策の推進に取り組むこと。
   「働き方・休み方改善ポータルサイト」 はどのような方法で周知しているのか、どのくら
  い活用されているのか活用件数を教えてほしい。
 (8) 有給休暇の取得率を公開するように法改正すること。
 (9) 勤務間11時間のインターバル制度の導入を義務づけるよう安全衛生法の改正をする
  こと。
 (10) 「過労死」 の労災認定事業場名や 「特別な出来事」 とされるような長時間労働が原
  因で精神障害の労災認定された事業場名を公開すること。
   5月30日の労働基準関係法令違反に係る公表事案がHP掲載されたが、今後、法で規
  制される月に80時間以上の時間外残業などがあった労災認定事例についても企業名を
  公表すること。
 (11) 政府が推し進めようとしている長時間労働規制を除外して過労死を推進する 「高度
  プロフェッショナル制度」 の労働基準法改正を中止すること。

 3.ストレスチェック制度について
 (1) 事業場に混乱をもたらし、EAPをはじめとする委託業者の利益にしかならないストレ
  スチェック制度は、労働者のメンタル不調防止のための一次予防対策になりえないこと
  から義務化を廃止すること。面接指導を希望する人は、高ストレス者で具合が悪いとい
  うより 「会社にものが言いたい」 ないしは 「前から言っているのに会社が意見をきいて
  くれない」 という実態がある。ストレスチェック制度
  そのものを抜本的に見直すべきである。
 (2) ストレスチェック制度の集団分析と職場改善を義務化すること。
 (3) 労働安全衛生法を改正し化学物質のリスクアセスメントの実施を義務化したように、労
  働者個人のストレスの程度ではなく、職場環境のストレスの程度を調査し、評価するリスク
  アセスメントの実施を事業者に義務付けること。
 (4) ストレスチェック制度導入後1年となったが、実施状況・実施率、受検率等を公表する
  こと。

 4.精神障害の労災認定について
 (1) 愛知労働局や大阪労働局のように一貫して請求件数に対して支給決定件数が少ない
  局に対して、復命書の分析などを行ったうえで改善対策を指導すること。
 (2) 精神障害の労災認定実務要領は改訂で事例が少し増えたが、それとは別に事例集を
  作成し、専門部会を開く労災医員も含めて参考できるように配布し、研修を実施するととも
  に、事例集を公表すること。
 (3) 請求人からいじめ等の状況を録音したもの、録画したものを資料として提出する事案
  が増えていると思われが、各署において検討する段階で、主に反訳で内容を調査されて
  いることから、いじめ等発生状況を正確につかめていないと思われる。録音データの再生
  環境が整っていないケースまである。
   ついては、必ず音声を聞いて検討すること。
 (4) 精神障害の障害等級の決定件数等、詳細について、前回公表する予定はないという
  ことであったが、集計し公表すること。
 (5) 精神障害事案の 「症状固定」 については、「急性症状がなくなった」 (京都労働局)
  などと非医学的な一方的な打ち切りがしばしば行われてきた。本人の意思を尊重しつつ、
  職場復帰について給付担当者が責任を持って主治医や事業場との調整・指導を行い、
  リハビリ就労などを実施して業務による疾病の増悪などがないことを確認してから、症
  状固定の判断を行うこと。
 (6) 「過労死」 の労災認定事業場名や 「特別な出来事」 とされるような長時間労働が原因
  で精神障害の労災認定された事業場名を公開すること。
 (7) 労災補償状況について以下の点を公表すること。
  ①特別な出来事の出来事別の件数
  ②決定件数の内、専門部会で判断したもの、専門医の意見で判断したもの、主治医の意
   見で判断したものの各件数と、支給・不支給件数
  ③精神事案で出来事が複数あった場合で、心理的負荷評価「強」の出来事がなく、「中」
   が複数あって総合評価を 「強」 と判断して支給決定した件数とその出来事の内容
  ④精神障害事案の発症から症状固定までの療養期間ごとの件数

   「活動報告」 2017.7.14
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マイナンバー制度 情報を利用するのは自分以外
2017/08/22(Tue)
 8月22日 (火)

 テレビのコマーシャルでマイナンバー制度に関するものが流れています。忘れかけていた話題です。
 政府は7月18日から情報連携の試行運用を開始し、3カ月程度の試行を経て本格運用を予定していました。7月26の毎日新聞によれば、会計検査院はマイナンバーを活用して12~16年度にシステムを整備した官庁や医療保険者など計170機関を対象に個人情報をやり取りする情報連携システムの準備状況を抽出調査しました。その結果、システム設計の不備などから保険給付や保険料徴収といった一部の業務で情報連携ができず、少なくとも全国145機関で今年秋の本格運用開始が遅れる見通しであることが分かったといいます。
 情報連携とは、マイナンバー法に基づき、児童手当や公営住宅の入居、介護保険料の減免など1000以上の行政手続きで、住民側が提出する必要があった住民票の写しや課税証明書などの書類を省略することができるよう専用のネットワークシステムを用いて異なる行政機関の間で情報をやり取りすることです。マイナンバー制度の総合調整役は内閣官房です。

 不備が最も多く見つかったのは、厚生労働省所管の126機関 (90の国民健康保険組合、35の後期高齢者医療広域連合など) で各機関は、厚労省がまとめた設計図に基づきシステムを構築したが、保険給付などの手続きに必要な個人の所得を市区町村に照会しても、不動産譲渡や株式売却益などに関する一部の情報が提供されないことがテスト段階で判明しました。改修作業が必要となっており、18年7月まで連携開始が延期されました。不備の原因は、厚労省が業務を担う現場の意見を十分考慮しなかったなどといわれます。
 文部科学省所管の日本学生支援機構の奨学金貸与手続きでも連携開始は18年7月に先送りされました。
 年金機構の情報連携の開始時期は流出問題の影響で現時点で決まっておらず、農業者年金基金など計16機関が年金機構に対し、照会ができない状態です。年金機構と同時に情報連携を始める予定の国家公務員共済組合連合会も開始のめどが立っていません。


 マイナンバーのシステムは2002年に開始された 「住民基本台帳ネットワーク」 のシステムに “増築” したものだといいます。国民全員に11ケタの番号が与えられ住所、氏名、生年月日、性別の情報を自治体間で共有するために作られました。当時、1人分の情報は新聞の1面分を盛り込むことができるといわれました。
 マイナンバーは民間サービスの場でも使うため、情報が拡大します。


 住民側はさまざまな手続きに際し提出する必要があった住民票の写しや課税証明書などの書類を省略することができると便利さがあると説明されています。では逆に住民は集約されている自分の情報がどのような内容か知ることができるのでしょうか。出来ません。マイナンバー制度はさまざまな情報が集約される制度ですが、自分の知らないところで独自 (勝手) に管理されます。つまり情報を利用するのは自分以外です。一方通行のシステムです。
 ですから行政窓口で使用するマイナンバーカードを紛失したり盗難被害に遭っても実際の被害は限定的ですみます。しかし、マイナンバーの情報が流出されるとすべての個人情報が1人歩きをしてしまいます。


 マイナンバー制度は何のために必要なのでしょうか。所得をガラス張りにして公平な税制をめざすといわれています。国民財産の番号による管理です。
 預金者は18年から国に自分の銀行口座情報を告知することの義務化が検討されていました。政府は預貯金のナンバーリングを狙っていたといわれます。しかし18年からは任意で提出を求めることにかわり、21年以降に義務化を再検討することになっています。

 5月28日の日経新聞は 「マイナンバー、証券顧客の乱 『資産把握に?』 提出拒む」 の見出し記事が載りました。
 少額投資非課税制度 (NISA) の証券口座では18年9月までにマイナンバーの登録が求められ、提出がなければ18年から非課税の恩恵が受けられなくなります。しかしNISA口座は野村証券で5割、大和証券は2割しか集まっていません。資産状況を税務当局などに把握されると考え提出を拒む顧客が想定以上に多いといいます。公平な税務を目指すマイナンバー制度が政府の経済成長政策の 「貯蓄から投資」 の流れに水を差す事態となっているといわれています。
 証券口座は18年12月までにマイナンバーが必要で、登録しなければ19年から取引できなくなる可能性があります。日本証券業協会によると個人の証券口座は約2300万あります。
 投資家の証券口座がターゲットになりました。しかし、本丸の銀行口座は義務付けが決まっていません。
 日本における個人金融資産は1500兆円もあります。1人当たりの金融資産は1千万円を超え、アメリカに次いで世界第2位です。しかも、この個人金融資産はこの20年で急増しているのです。この個人金融資産の大半は一部の富裕層が握っていると見られています。
 マイナンバー制度を導入し、預金口座の紐づけが進めば、富裕層のそういう 「隠し資産」 が明るみになりますがそこには手をつけません。
 マイナンバー制度は公平な税務のためでもないようです。


 8月2日の毎日新聞に 「法務省 戸籍、マイナンバー導入へ 結婚や年金、謄本不要」 の見出し記事が載りました。
 法務省は、省内に設置された有識者らによる研究会が14年10月から戸籍事務でのマイナンバー導入を検討していましたが8月1日に法制審で議論のたたき台となる最終報告書をまとめました。マイナンバー制度の利用範囲を戸籍に拡大する方針を固め9月中旬の法制審議会総会で戸籍法改正について諮問し、19年の通常国会での戸籍法改正案の提出を目指すといいます。
 戸籍には親族関係や夫婦関係などプライバシー性の高い情報が記載されていることから、個人情報の流出や不正利用への対策が法制審での議論のポイントの1つとなるといいます。

 戸籍に関する個人情報は慎重で当然ですがマイナンバーに集約されている情報に入っていませんでした。しかしプライバシーが性の高いものがあるといわれると難癖をつけたくなります。
 難癖は、政府が他の情報を勝手に低いプライバシーと決めつけて流出の危機に曝すのを止めろという意味においてです。すべてのプライバシーを、現在の戸籍と同じように厳重な管理をしてほしいと思います。そのためにはマイナンバー制度の廃止です。


 政府は、大規模災害においては身元判明に役立つといいます。そのためには、DNAの登録が必要です。大震災後においては説得力をもちます。しかし何から何までの情報を集約しようとしているのを見ると恐怖を感じます。これが犯罪捜査に使われることはないのでしょうか。


 ではマイナンバー制についてどこが積極的なのでしょうか。
 15年10月30日の 「活動報告」 に書きましたがマイナンバー制度のシステム設計の契約に絡んで厚労省の情報政策担当参事官室室長補佐で収賄がいわれるときは社会保障担当参事官室長補佐が収賄容疑で逮捕されたという事件がありました。開発内容は病院が持つ情報と連携させるシステム作りなどです。患者の病名、通院・入院の頻度の情報がマイカードに蓄積されるのです。システム設計が厚労省です。
 注意しなければならないのは、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療に関する法律による保険給付の支給、保険外の徴収に関する事務も含まれます。保険給付の支給は、人びとの健康状態の掌握が可能になります。

 これまで何度かかきましたが、マイナンバーとストレスチェックがリンクしたらどうなるでしょうか。漏れない情報などありません。
 15年12月から開始されたストレスチェック制度のチェック票には 「心身のストレス反応」 が導入されました。事業者によって労働者1人ひとりの精神状態に関する検査とデータ作成が合法的行えるようになりました。世界で初めてです。労働者は、第三者から 「心の管理」 が行われるのです。残念ながら法案作成から成立までの間に人権・人格、基本的人権、個人情報保護というような問題は議論に上がりませんでした。
 今後、「心身のストレス反応」 検査の合法化は前例となり、他のところでも第三者によって 「心の問題」 への干渉が悪用されていきかねません。
 世界的には人格権侵害、人権無視の行為であり得ないことです。

 ストレスチェック制度が開始された12月1日は、特定秘密保護法が完全施行された日です。
 20年オリンピックの会場に入るにはマイナンバーが必要だといわれています。何ためなのでしょうか。テロリストだけでなく精神疾患患者の排除だといわれます。そのために警察等が警備においてせっかく実施したストレスチェック票の 「心身のストレス反応」 を流用したいという考えが浮かんでくるのは必然です。これがいつからかストレスチェック制度導入の目的になっているのではないでしょうか。
 防衛省は、人びとの健康に関する情報は喉から手が出るほど欲しいです
 厚労省は、ストレスチェック制度では事業者でも労働者個人の情報を勝手に取得できないと説明します。しかし昨今のパソコンからの情報の流出状況を見ていると、完全に保護されている情報はありません。

 そして16年1月1日からマイナンバー制度がスタートしたのです。
 ストレスチェック制度もマイナンバー制度も必要ありません。
 「ただちに廃止!」 です。

   「活動報告」 2017.4.7
   「活動報告」 2016.11.18
   「活動報告」 2016.12.15
   「活動報告」 2015.12.8
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“働きかた改革” の目的は労働生産性向上
2017/06/30(Fri)
 6月30日 (金)

 昨年の春、政府は政策に 「同一労働同一賃金」 を掲げました。
 6月16日、労働政策審議会は厚生大臣に 「同一労働同一賃金に関する法整備について」 建議しました。このあと国会に法改正案が上程されます。
 基本的考え方は、「正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間には賃金、福利厚生、教育訓練などの面で待遇格差があるが、こうした格差は、若い世代の結婚・出産への影響により少子化の一要因となるとともに、ひとり親家庭の貧困の要因となる等、将来にわたり社会全体へ影響を及ぼすに至っている。また、労働力人口が減少する中、能力開発機会の乏しい非正規雇用労働者が増加することは、労働生産性向上の隘路ともなりかねない。」 などを指摘しています。
 それを克服するために
「賃金等の待遇は、労使によって決定されることが基本である。しかしながら同時に、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の是正を進めなければならない。このためには、
(1) 正規雇用労働者・非正規雇用労働者両方の賃金決定基準・ルールを明確化、
(2) 職務内容・能力等と賃金等の待遇の水準の関係性の明確化を図るとともに、
(3) 教育訓練機会の均等・均衡を促進することにより、一人ひとりの生産性向上を図るという観点が重要である。
 また、これを受けて、以下の考え方を法へ明記していくことが適当である。
・雇用形態にかかわらない公正な評価に基づいて待遇が決定されるべきであること
・それにより、多様な働き方の選択が可能となるとともに、非正規雇用労働者の意欲・能力が向上し、
 労働生産性の向上につながり、ひいては企業や経済・社会の発展に寄与するものであること」
と建議します。
 具体的には 「不合理な待遇差の実効ある是正のため、昨年末に政府が提示した『同一労働同一賃金ガイドライン (案)』 について」実効性を担保していくといいます。

 政府が掲げる “働きかた改革” を貫徹しているのは 「非正規雇用労働者の意欲・能力が向上し、労働生産性の向上につながり、ひいては企業や経済・社会の発展に寄与するものであること」 です。“働かせ方改革” です。労働者の過酷な労働実態や生活格差を改善が目的ではありません。
 「賃金等の待遇は、労使によって決定されることが基本」 です。
 力関係から使用者が “自主的” に決める賃金に対する不信から 「正規雇用労働者・非正規雇用労働者両方の賃金決定基準・ルールを明確化」 のために最低賃金制は始まりました。最低賃金は何を基準にするかはそれぞれの国で違っています。一般賃金に比べて不当に低くない、労働の質と量とがちがえばその違いに相応しい 「公正賃金」 や、生活できる金額の 「生活賃金」 がありますが、少なくても労働者の生活確保・維持を目的としています。労働者が提供する労働力は商品とちがいストックできません。しかし労働者は定期的休息が必要です。そのためには、賃金は休息中にたいする補償も必要で、それによって労働力が回復できます。
 しかし実態としての非正規労働者の賃金決定は、会社が募集した時に労働者が応募し、離職しない額です。日本の最低賃金は 「公正賃金」 や 「生活賃金」 からも程遠いものです。そこに非正規労働者は存在させられています。
 非正規労働者の賃金を低く固定して労働生産性を高めてきたのがこれまでのやり方でした。その恩恵を受けてきたのが会社と正規労働者です。会社は他社との競争に勝ってきました。正規労働者は非正規労働者を犠牲にして雇用を守り、賃金を上昇させてきました。そのことをかえりみることはありません。
 労働生産性を高めるためには同じ職場にいる非正規労働者の尊厳を高めるために処遇を改善し、そのことによって意欲・能力が向上するという認識と手順が必要です。そのことが結果的に 「企業や経済・社会の発展に寄与する」 ことになります。


 労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備についてです。
「現行法においては、正規雇用労働者と短時間労働者・有期契約労働者との間の待遇差については、①職務内容 (業務内容・責任の程度) ②職務内容・配置の変更範囲 (いわゆる 「人材活用の仕組み」) ③その他の事情の3つの考慮要素を考慮して不合理と認められるものであってはならないとされている」。
 パートタイム労働法第8条と労働契約法第20条に謳われている 「均衡待遇規定」 です。
 しかし 「現行法の規定は、正規雇用労働者と短時間労働者・有期契約労働者との間における個々の待遇の違いと、3考慮要素との関係性が必ずしも明確でない」 実態があることを認めます。
「こうした課題を踏まえ、待遇差が不合理と認められるか否かの判断は、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に対応する考慮要素で判断されるべき旨を明確化することが適当である。」 と建議します。そして考慮要素としては 「③その他の事情の解釈による範囲が大きくなっている。」 といいます。
 具体的には 「考慮要素として 『職務の成果』 『能力』 『経験』 を例示として明記することが適当である。また、労使交渉の経緯等が 個別事案の事情に応じて含まれうることを明確化するなど、『その他の事情』 の範囲が逆に狭く解されることのないよう留意が必要である。」 と建議します。このことはすでにパートタイム労働法第10条に 「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金 (通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。) を決定するように努めるものとする」 と謳われていると説明します。「成果」 「意欲」 「能力」 「経験」 から待遇差は生じうるということです。「均等待遇規定」 と 「均衡待遇規定」 もちがいます。
 そして、現行法において 「均等待遇規定」 は、短時間労働者についてのみ規定されていたが有期契約労働者についても対象とすることが適当であるとします。
 比較対象となるのは 「同一の使用者に雇用される正規雇用労働者」 が適当であるとしています。

 “働き方改革” は、同じ非正規労働者同士に 「成果」 「意欲」 「能力」 「経験」 でによって競争をあおり、賃金格差をおこなってかまわないということです。
 労働者と労働組合は 「均等待遇」 について質問、主張したりすると 「成果」 「意欲」 「能力」 「経験」 で切り返されることもありえます。労働組合と労働者はこれらについて評価基準をはっきり設定することを要求する必要があります。
 そもそも 「成果」 「能力」 などはなにをどう評価するかについては労使にとっては現在に至るも課題になっています。それをいとも簡単に明記するということは、“賃金を上げてほしかったら言われたとおりにしろ” “とにかく実績をあげろ” ということになりかねません。自己責任論です。
 今、経済界からは雇用の流動化が必要だと叫ばれています。即戦力を得やすくするためです。企業が不要と判断した労働力を排除し、必要な労働力に切り換えることを容易にすることです。それは 「解雇の金銭解決制度」 の提案と一体のものです。ここでも労働生産性だけから議論が行なわれています。
 労働者にはそれぞれ得意業務、こなすことができる業務、挑戦してみなとわからない業務、不得手な業務があります。得意分野・専門分野を簡単に変更することはできません。日本の終身雇用は、挑戦してみなとわからない業務も時間をかけて経験させて得意分野になることを期待してきました。そのような政策が必然的に 「労働者の意欲・能力が向上し、労働生産性の向上につなが」 っていきました。そして雇用の安定は 「ひいては企業や経済・社会の発展に寄与」 してきました。
 しかし 「成果」 「能力」 を強制することは労働者間に競争を激化させ、不要と判断した労働者を容赦なく排除する方向に向かいます。労働者は孤立するなかで業務遂行を余儀なくされます。「解雇の金銭解決制度」 が成立していない中では労働者をわざと不得手な業務に配置して 「成果」 を強制します。そして 「能力」 がないと “いじめ” て離職に追い込んでいる実態がありますす。
 教育・訓練の機会の保証は能力の蓄積のためのものではなく、短期戦でのテクニック取得のためです。
 “働き方改革” における 「均等待遇規定」 は、非正規労働者にも正規労働者と同じように競争を強制させるということです。労働者の中に生まれる 「格差」 は自己責任です。そのような労働感・職場秩序がさらに作り上げられていきます。
「『フレキシブルな労働市場』 は、現在従事している仕事に全力を傾けようとする気持ちも、献身的に取り組もうとする気持ちを起こさせないし、その余地も与えない。現在従事している仕事に愛着を覚え、その仕事が求めるものに夢中になり、この世界のなかでの自分の場所を、取り組む仕事やそれに動員されるスキルと同一化することは、運命の人質になることを意味する。」 (ジグムント・バウマン著 『新しい貧困』 青土社)


 派遣労働者についてです。
 現状を踏まえると 「1) 派遣先の労働者との均等・均衡による待遇改善か、2) 労使協定による一定水準を満たす待遇決定による待遇改善かの選択制とすることが適当である。」 と建議します。
 具体的には、派遣先の労働者との均等・均衡方式として
「ⅰ) 派遣労働者と派遣先労働者の待遇差について、短時間労働者・有期契約労働者と同様の
 均等待遇規定・均衡待遇規定を設けた上で、当該規定によることとすること
 ⅱ) 派遣元事業主が 「ⅰ」 の規定に基づく義務を履行できるよう、派遣先に対し、派遣先の労働者
 の賃金等の待遇に関する情報提供義務を課す (提供した情報に変更があった場合も同様) とともに、
 派遣元事業主は、派遣先からの情報提供がない場合は、労働者派遣契約を締結してはならない
 こととすること(なお、派遣先からの 情報は派遣元事業主等の秘密保持義務規定 (労働者派遣法
 第24条の4) の対象となることを明確化すること)
 ⅲ) その他派遣先の措置 (教育訓練、福利厚生施設の利用、就業環境の整備等) の規定を強化」
が適当とします。
 そして労使協定による一定水準を満たす待遇決定方式として
「派遣元事業主が、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者と話し合い、十分に派遣労働者の保護が図られると判断できる以下の要件を満 たす書面による労使協定を締結し、当該協定に基づいて待遇決定を行うこと
①同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準と同等以上であること
②段階的・体系的な教育訓練等による派遣労働者の職務の内容・職務の成果・能力・経験等の向上
 を公正に評価し、その結果を勘案した賃金決定を行うこと」
が適当とします。


 「労働者に対する待遇に関する説明の義務化」 についてです。
「非正規雇用労働者 (短時間労働者・有期契約労働者・派遣労働者) が自らの待遇をよく理解し、納得するためにも、また、非正規雇用労働者が待遇差について納得できない場合に、まずは労使間での対話を行い、不合理な待遇差の是正につなげていくためにも、非正規雇用労働者自らの待遇の内容に加え、正規雇用労働者との待遇差に関する情報を、事業主から適切に得られ、事業主しか持っていない情報のために、労働者が訴えを起こすことができないといったことがないようにすることが重要である。」 と建議します。
 そのために、短時間労働者・有期契約労働者に対して
「ⅰ) 特定事項(昇給・賞与・退職手当の有無)に関する文書交付等による明示義務、その他の労働条
 件に関する文書交付等による明示の努力義務 (雇入れ時) (パートタイム労働 法第6条第1項・第2項)
ⅱ) 待遇の内容等に関する説明義務 (雇入れ時) (パートタイム労働法第14条第1項)
ⅲ) 待遇決定等に際しての考慮事項に関する説明義務 (求めに応じ) (パートタイム労働 法第14条第2項)」
などの現状に加え、
「短時間労働者・有期契約労働者が求めた場合には正規雇用労働者との待遇差の内容やその理由等について説明が得られるよう、事業主に対する説明義務を課すことが適当である。」 とします。
 その場合、「事業主に説明を求めた非正規雇用労働者と職務内容、職務内容・配置変更範囲等が最も近いと事業主が判断する無期雇用フルタイム労働者ないしその集団との待遇差及び その理由並びに当該無期雇用フルタイム労働者ないしその集団が当該非正規雇用労働者に最も近いと判断した理由を説明することとする」 とします。
 最も近い無期雇用フルタイム労働者自体のそれぞれの賃金は 「成果」「能力」 による評価によってばらつきが発生しているからです。
「派遣労働者についても、派遣元事業主に対し、上記 (1) のⅰ) ~ⅲ) 及び派遣労働者 が求めた場合には待遇差の内容やその理由等についての説明義務・不利益取扱禁止を 課すことが適当である。」としています。


 行政による裁判外紛争解決手続の整備等についてです。
「非正規雇用労働者にとっても、訴訟を提起することは大変重い負担を伴うもので あり、これらの規定が整備されて以降も、訴訟の件数は限られている実態にある。 非正規雇用労働者がより救済を求めやすくなるよう、行政による履行確保 (報告徴収・助言・指導等) の規定を整備するとともに、行政ADR (裁判。外紛争解決手続) を利用しうるよう規定を整備することが求められる。」 と建議します
 そのために 「現状では、均等待遇規定については報告徴収・助言・指導・勧告の対象としているが、均衡待遇規定については、報告徴収・助言・指導・勧告の対象としていない。しかしながら、均衡待遇規定に関しても、解釈が明確でないグレーゾーンの場合は報告徴収・助言・指導・勧告の対象としない一方、職務内容、職務内容・配置変更範囲その他の事情の違いではなく、雇用形態が非正規であることを理由とする不支給など解釈が明確な場合は報告徴収・助言・指導・勧告の対象としていくことが適当である。」 としています。


 法施行に向けて (準備期間の確保) は 「法改正は、事業主にとって、正規雇用労働者・非正規雇用労働者それぞれの待遇の内容、待遇差の理由の再検証等、必要な準備を行うために一定の時間を要する。したがって、施行に当たっては、十分な施行準備期間を設けることが必要である。」 とあります。
 鳴り物入りで議論を始めた割には実施はかなり先になるということです。
 そうであっても労働組合は “待ち” ・ “働らかされ方改革” の姿勢です。
 本当の “働きかた改革” のためには、今こそ労働組合が現場の声を集めて政府を先取りする提案、対案をして議論をまき起こすチャンスです。

   「活動報告」 2016.6.9
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