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職場のいじめ防止対策の検討会で                                    委員が“職場の暴力”の議論を要請
2017/09/29(Fri)
 9月29日 (金)

 9月15日、全国労働安全衛生連絡会議は厚労省と交渉・意見交換を行いました。春に開催した交渉において時間の関係で深入りできなかった項目が中心です。
 交渉に向け事前に要求書を提出していました。いじめとメンタルヘルスに関する部分です。

 B.安全衛生について
1.職場のいじめ・嫌がらせパワーハラスメント対策
 【再質問事項】
 1.職場のいじめ・嫌がらせパワーハラスメント対策
 (1) 昨年8月26日の当センターとの交渉で厚労省は第三者からの被害について 「厚労省実態調査の
  調査項目は、……第三者からということでは、誰から被害を受けたかということについても回答できる
  ようになっています。その中から第三者のものについても掌握できると思います。」 と回答した。
   今回発表された実態調査のなかで、「行為者と被害者の関係」のなかの第三者・いわゆる行為者が
  職場外の者は「その他」に該当し77人いる。77人について関係性、内容、またその分析結果を明ら
  かにすること。
 (2) 現在、世界的に職場外の者からの暴力について法律や通達、指針で対処していないのは先進国
  では日本くらいである。
   各職場において、いわゆる行為者が職場外の者からの暴力が頻発している。しかし 「職場のパワー
  ハラスメントの予防・解決に向けた提言」 には職場外の者からの暴力は適用外になっている。
   実態調査などの具体的事例を 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 の議題とし
  で検討し、職場外の者からの暴力についても 「提言」 に盛り込むこと。
 (3) 現在、職場外の者からの暴力について、鉄道における暴力にたいする対応は国交相、地方公務員
  に対しては総務省、医療機関については厚労省など別々に対応している。
   労働者の職場の安全衛生、人格・尊厳という視点から、厚労省がイニシアティブをとって各省に働き
  かけ、問題意識を共有し、予防・解決を諮ることを視野に入れた調査を実施すること。
 (4) 2016年4月より設置された雇用環境・均等部の相談対応実施状況について報告すること。
 (5) 「提言」 に実効性を持たせるために職場のパワーハラスメント防止法制定にむけて取り組むこと。

 厚労省からの回答です。
 1、については、実態調査のなかに職場以外からの被害は77人いました。経営者、取引先または客からなどからの回答が含まれています。しかし、回答数が少なすぎるということと、詳細は自由記載になっていていろいろな表現があり分析するのが困難です。
 2、につきましては、「働きかた改革実行計画」 をふまえてこの5月に 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 を立ち上げ、現在、検討しているところです。すでに3回開催されています。第一回の検討会では委員から顧客からのハラスメントから労働者を守ることは無視できないという発言がありました。そういったことを踏まえて検討会で引き続き実効性のある防止対策について検討していくことになります。

 センター側からの意見です。
 1、外部からの暴力に関しては2012年に 「提言」 が出る前から関心を持っていました。なんで検討会の討論から外れるのか疑問があります。今回は委員の中からも大事だという意見が出たということですが、是非検討会で議論できるように資料提供をしてください。鉄道、病院、自治体職員などでは相当それぞれの管轄官庁が状況を把握されていますし、労働政策研修研究機構 (JILP) が出した個別紛争を分析した資料のなかでも相当具体的な事例が出てきていますので、あの中にどれだけ第三者の暴力が入っているかわかりませんが、そういう資料をきちんと取りまとめて委員の方々に提供してほしい。それがないと一般論で大変ですねで終わってしまいます。たしかに事業主が取引先や顧客に対して法的に対応できるかというと難しい面があると思いますが、なるだけ実効性を持つような資料を提供してほしい。

 厚労省からの回答です。
 検討会に資料を提出するかについては、その時々に合わせたものを出していきますので必ず出すという約束はできませんが実効ある防止対策にしていきたいと思います。

 センター側からの意見です。
 新聞で職場におけるいじめや嫌がらせなどに対し、政府が罰則を含めた法規制の検討に着手したと報道されましたがどうなっているのでしょうか。

 厚労省からの回答です。
 検討会では決まっていません。引き続き検討を重ねている段階です。

 センター側からの質問です。
 1、についてです。昨年の交渉の時に、この後この問題についても実態調査をするので、そこから分析ができる回答だったのでこの要求にしました。しかし今この議論をこれ以上しようありませんのでやめます。
 ただ被害を受けたのが77人ですが、見たり聞いたりしたというのが40数人います。それを合わせても少なくて分析は無理ということなのでしょうか。個人情報の問題もありますが、どういう立場の者から、そういう立場の者が受けたか、客からか、親会社からかの調査は出来るのではないかと思います。
 何故この問題をしつこく言うかというと、6年前の 「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」 の第1回検討会で、どういうことを議論していきたいかと委員1人にとりが発言した時に、使用者側代表の委員から客からの嫌がらせについては是非検討してほしいという要望が出されました。しかし 「提言」 には盛り込まれませんでした。
 今回5月19日から 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 が開催されています。第1回検討会は委員全員が意見を述べました。
 UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの浜田委員です。
「介護の現場の、ヘルパーさんであるとかケアマネさんの労働組合です。……
また、概念とか定義からすると少し外れてはしまうのですが、現場ではパワハラだろうがセクハラだろうが、嫌なこと、困ったことなどいろいろな相談がくるのですが、その中には実は、特に流通とか介護の現場では多いのですが、顧客であるとか、利用者家族からのハラスメントも実は無視できない状態です。例えば、しばらく前に有名になりました、土下座をさせられるであるとか、大声で長時間叱責されることもあったり、介護現場では、家族の方からの叱責があったりであるとか、いろいろな問題があるのです。実は、相談を受ける側としては、やはり労働者を守るという意味では無視できない実態が実はあるのだということです。この一定程度進まないという部分を、これまでの取組の延長線上で現状を変えられるかということを考えますと、一定程度存在するパワハラ防止対策が進まない企業を、もう少しこの検討会では、今後の法整備に向けた、これまでよりもステップアップした対応についての議論が必要ではないかと考えております。」
 この思いをどう汲み取るのかが検討会の課題になると思います。
 6年前は使用者側から、今回は労働者側から同じ課題が出されたということは無視できないと思います。厚労省としてももう少し積極的な対応が必要ではないでしょうか。

 厚労省からの回答です。
 77名以外からもありましたが、自由記載で、どういうことなのか受け止め方が難しいものもあります。多かったのは経営者からで、取引先からは77人中10人程度だったと思います。それを分析するのはプライバシーの問題を含めて困難があります。
 検討会では、今後、様々な発言を踏まえて検討していきます。

 センター側からの要請です。
 日本では対策が遅れていますが、韓国ではかなり進んでいます。研究所だけでなく、労働組合、使用者側、さらに政府をあげて取り組んでいます。ソウル市では防止のための条例を制定しています。
 日本でもこれらをどう真似るか、取り入れるかを検討した方がいいと思います。


 6年前の 「円卓会議」 が開催された頃は、厚労省も職場のいじめ問題に取り組む姿勢は積極的なものがありました。しかし現在は、職場での深刻、切実な問題が指摘されているのもかかわたず熱が冷めてしまっていて片手間の課題になっています。そのことをあらわにした対応でした。
 しかし、だからこそ、今後も粘り強く要請・提案行動を続けて行く必要性を実感させられました。


 これらの他に、センターは以下のような項目を要請書に盛り込みました。

 2.過重労働による健康障害の防止対策
 (1) 「働き方改革」 で、特別条項に月60時間の上限、繁忙期は月100時間、前後の2カ月平均80時
  間までとすることはこれまでの 「通達」 より改善したものと評価するが、繁忙期は月100時間、前後
  の2カ月平均80時間までとすることは月60時間の常態化 を作り出す。特別条項そのものを撤廃す
  ること。
 (2) 「働き方改革」 の労働時間の上限規制は、①自動車の運転の業務、②建設事業、③新技術、
  新商品等の研究開発の業務、  ④厚生労働省労働基準局長が指定する業務、⑤医師 が適用除
  外とされている。
   過労死を推進する適用除外を廃止すること。
 (3) 休日労働については規制があいまいである。労働者の健康問題の視点から、休日労働は、2週
  間に1回までとし、さらに振替休日や代休を直後に保障することを法律で義務づけること。
 (4) 現在、労働基準監督署は36協定の協定書の提出を義務付けてはいるが締結に至る経緯は問
  題にされない。そのため会社が指名する従業員が従業員代表になっていることもかなり多い。従業
  員代表の選出においてきちんとした民主的手続きを踏んで選出することを義務付け、36協定の協
  定書の提出においては選出方法も記載することを義務付けること。
 (5) 1月20日に 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 が
  新たに策定された。これまでの 「基準」 より改善したものと評価する。
   しかし出退勤についてまだ労働者に自己申告させる会社がある。出退勤について労働者からの
  自己申告を禁止し、会社が客観的に掌握する方法を義務付けること。
   そのうえで、業種等により働き方が多様化する中、一律の基準では対応できない例も多いので、
  業種ごとに働き方の特性を踏まえた 「ガイドライン」 や対策を作成すること。
 (6) 「ガイドライン」 には、業務時間外のメールや電話対応については記載されていない。これらを明
  確に禁止している国や企業もあること、また賃金不払い残業の温床となることを踏まえて、業務時間
  外のメールや電話対応を禁止するとともに、行われた場合には労働時間とするような包括的 「ガイ
  ドライン」 を作成すること。
 (7) 深夜の残業禁止が導入された企業で、業務量が削減されていないために持ち帰り残業が増加
  する等の問題がでている。労働時間の規制だけではなく、長時間残業が発生する原因に即した改
  善策の推進に取り組むこと。
   「働き方・休み方改善ポータルサイト」 はどのような方法で周知しているのか、どのくらい活用され
  ているのか活用件数を教えてほしい。
 (8) 有給休暇の取得率を公開するように法改正すること。
 (9) 勤務間11時間のインターバル制度の導入を義務づけるよう安全衛生法の改正をすること。
 (10) 「過労死」 の労災認定事業場名や 「特別な出来事」 とされるような長時間労働が原因で精神障
  害の労災認定された事業場名を公開すること。
   5月30日の労働基準関係法令違反に係る公表事案がHP掲載されたが、今後、法で規制される月
  に80時間以上の時間外残業などがあった労災認定事例についても企業名を公表すること。
 (11) 政府が推し進めようとしている長時間労働規制を除外して過労死を推進する 「高度プロフェッシ
  ョナル制度」 の労働基準法改正を中止すること。

 3.ストレスチェック制度について
 (1) 事業場に混乱をもたらし、EAPをはじめとする委託業者の利益にしかならないストレスチェック制
  度は、労働者のメンタル不調防止のための一次予防対策になりえないことから義務化を廃止するこ
  と。面接指導を希望する人は、高ストレス者で具合が悪いというより 「会社にものが言いたい」 ない
  しは 「前から言っているのに会社が意見をきいてくれない」 という実態がある。ストレスチェック制度
  そのものを抜本的に見直すべきである。
 (2) ストレスチェック制度の集団分析と職場改善を義務化すること。
 (3) 労働安全衛生法を改正し化学物質のリスクアセスメントの実施を義務化したように、労働者個人
  のストレスの程度ではなく、職場環境のストレスの程度を調査し、評価するリスクアセスメントの実施
  を事業者に義務付けること。
 (4) ストレスチェック制度導入後1年となったが、実施状況・実施率、受検率等を公表すること。

 4.精神障害の労災認定について
 (1) 愛知労働局や大阪労働局のように一貫して請求件数に対して支給決定件数が少ない
  局に対して、復命書の分析などを行ったうえで改善対策を指導すること。
 (2) 精神障害の労災認定実務要領は改訂で事例が少し増えたが、それとは別に事例集を作成し、専
  門部会を開く労災医員も含めて参考できるように配布し、研修を実施するとともに、事例集を公表す
  ること。
 (3) 請求人からいじめ等の状況を録音したもの、録画したものを資料として提出する事案が増えている
  と思われが、各署において検討する段階で、主に反訳で内容を調査されていることから、いじめ等発
  生状況を正確につかめていないと思われる。録音データの再生環境が整っていないケースまである。
  ついては、必ず音声を聞いて検討すること。
 (4) 精神障害の障害等級の決定件数等、詳細について、前回公表する予定はないということであった
  が、集計し公表すること。
 (5) 精神障害事案の 「症状固定」 については、「急性症状がなくなった」 (京都労働局) などと非医学
  的な一方的な打ち切りがしばしば行われてきた。本人の意思を尊重しつつ、職場復帰について給付
  担当者が責任を持って主治医や事業場との調整・指導を行い、リハビリ就労などを実施して業務によ
  る疾病の増悪などがないことを確認してから、症状固定の判断を行うこと。
 (6) 「過労死」 の労災認定事業場名や 「特別な出来事」 とされるような長時間労働が原因で精神障害
  の労災認定された事業場名を公開すること。
 (7) 労災補償状況について以下の点を公表すること。
  ①特別な出来事の出来事別の件数
  ②決定件数の内、専門部会で判断したもの、専門医の意見で判断したもの、主治医の意見で判断し
   たものの各件数と、支給・不支給件数
  ③精神事案で出来事が複数あった場合で、心理的負荷評価「強」の出来事がなく、「中」 が複数あ
   って総合評価を 「強」 と判断して支給決定した件数とその出来事の内容
  ④精神障害事案の発症から症状固定までの療養期間ごとの件数

   「活動報告」 2017.7.14
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マイナンバー制度 情報を利用するのは自分以外
2017/08/22(Tue)
 8月22日 (火)

 テレビのコマーシャルでマイナンバー制度に関するものが流れています。忘れかけていた話題です。
 政府は7月18日から情報連携の試行運用を開始し、3カ月程度の試行を経て本格運用を予定していました。7月26の毎日新聞によれば、会計検査院はマイナンバーを活用して12~16年度にシステムを整備した官庁や医療保険者など計170機関を対象に個人情報をやり取りする情報連携システムの準備状況を抽出調査しました。その結果、システム設計の不備などから保険給付や保険料徴収といった一部の業務で情報連携ができず、少なくとも全国145機関で今年秋の本格運用開始が遅れる見通しであることが分かったといいます。
 情報連携とは、マイナンバー法に基づき、児童手当や公営住宅の入居、介護保険料の減免など1000以上の行政手続きで、住民側が提出する必要があった住民票の写しや課税証明書などの書類を省略することができるよう専用のネットワークシステムを用いて異なる行政機関の間で情報をやり取りすることです。マイナンバー制度の総合調整役は内閣官房です。

 不備が最も多く見つかったのは、厚生労働省所管の126機関 (90の国民健康保険組合、35の後期高齢者医療広域連合など) で各機関は、厚労省がまとめた設計図に基づきシステムを構築したが、保険給付などの手続きに必要な個人の所得を市区町村に照会しても、不動産譲渡や株式売却益などに関する一部の情報が提供されないことがテスト段階で判明しました。改修作業が必要となっており、18年7月まで連携開始が延期されました。不備の原因は、厚労省が業務を担う現場の意見を十分考慮しなかったなどといわれます。
 文部科学省所管の日本学生支援機構の奨学金貸与手続きでも連携開始は18年7月に先送りされました。
 年金機構の情報連携の開始時期は流出問題の影響で現時点で決まっておらず、農業者年金基金など計16機関が年金機構に対し、照会ができない状態です。年金機構と同時に情報連携を始める予定の国家公務員共済組合連合会も開始のめどが立っていません。


 マイナンバーのシステムは2002年に開始された 「住民基本台帳ネットワーク」 のシステムに “増築” したものだといいます。国民全員に11ケタの番号が与えられ住所、氏名、生年月日、性別の情報を自治体間で共有するために作られました。当時、1人分の情報は新聞の1面分を盛り込むことができるといわれました。
 マイナンバーは民間サービスの場でも使うため、情報が拡大します。


 住民側はさまざまな手続きに際し提出する必要があった住民票の写しや課税証明書などの書類を省略することができると便利さがあると説明されています。では逆に住民は集約されている自分の情報がどのような内容か知ることができるのでしょうか。出来ません。マイナンバー制度はさまざまな情報が集約される制度ですが、自分の知らないところで独自 (勝手) に管理されます。つまり情報を利用するのは自分以外です。一方通行のシステムです。
 ですから行政窓口で使用するマイナンバーカードを紛失したり盗難被害に遭っても実際の被害は限定的ですみます。しかし、マイナンバーの情報が流出されるとすべての個人情報が1人歩きをしてしまいます。


 マイナンバー制度は何のために必要なのでしょうか。所得をガラス張りにして公平な税制をめざすといわれています。国民財産の番号による管理です。
 預金者は18年から国に自分の銀行口座情報を告知することの義務化が検討されていました。政府は預貯金のナンバーリングを狙っていたといわれます。しかし18年からは任意で提出を求めることにかわり、21年以降に義務化を再検討することになっています。

 5月28日の日経新聞は 「マイナンバー、証券顧客の乱 『資産把握に?』 提出拒む」 の見出し記事が載りました。
 少額投資非課税制度 (NISA) の証券口座では18年9月までにマイナンバーの登録が求められ、提出がなければ18年から非課税の恩恵が受けられなくなります。しかしNISA口座は野村証券で5割、大和証券は2割しか集まっていません。資産状況を税務当局などに把握されると考え提出を拒む顧客が想定以上に多いといいます。公平な税務を目指すマイナンバー制度が政府の経済成長政策の 「貯蓄から投資」 の流れに水を差す事態となっているといわれています。
 証券口座は18年12月までにマイナンバーが必要で、登録しなければ19年から取引できなくなる可能性があります。日本証券業協会によると個人の証券口座は約2300万あります。
 投資家の証券口座がターゲットになりました。しかし、本丸の銀行口座は義務付けが決まっていません。
 日本における個人金融資産は1500兆円もあります。1人当たりの金融資産は1千万円を超え、アメリカに次いで世界第2位です。しかも、この個人金融資産はこの20年で急増しているのです。この個人金融資産の大半は一部の富裕層が握っていると見られています。
 マイナンバー制度を導入し、預金口座の紐づけが進めば、富裕層のそういう 「隠し資産」 が明るみになりますがそこには手をつけません。
 マイナンバー制度は公平な税務のためでもないようです。


 8月2日の毎日新聞に 「法務省 戸籍、マイナンバー導入へ 結婚や年金、謄本不要」 の見出し記事が載りました。
 法務省は、省内に設置された有識者らによる研究会が14年10月から戸籍事務でのマイナンバー導入を検討していましたが8月1日に法制審で議論のたたき台となる最終報告書をまとめました。マイナンバー制度の利用範囲を戸籍に拡大する方針を固め9月中旬の法制審議会総会で戸籍法改正について諮問し、19年の通常国会での戸籍法改正案の提出を目指すといいます。
 戸籍には親族関係や夫婦関係などプライバシー性の高い情報が記載されていることから、個人情報の流出や不正利用への対策が法制審での議論のポイントの1つとなるといいます。

 戸籍に関する個人情報は慎重で当然ですがマイナンバーに集約されている情報に入っていませんでした。しかしプライバシーが性の高いものがあるといわれると難癖をつけたくなります。
 難癖は、政府が他の情報を勝手に低いプライバシーと決めつけて流出の危機に曝すのを止めろという意味においてです。すべてのプライバシーを、現在の戸籍と同じように厳重な管理をしてほしいと思います。そのためにはマイナンバー制度の廃止です。


 政府は、大規模災害においては身元判明に役立つといいます。そのためには、DNAの登録が必要です。大震災後においては説得力をもちます。しかし何から何までの情報を集約しようとしているのを見ると恐怖を感じます。これが犯罪捜査に使われることはないのでしょうか。


 ではマイナンバー制についてどこが積極的なのでしょうか。
 15年10月30日の 「活動報告」 に書きましたがマイナンバー制度のシステム設計の契約に絡んで厚労省の情報政策担当参事官室室長補佐で収賄がいわれるときは社会保障担当参事官室長補佐が収賄容疑で逮捕されたという事件がありました。開発内容は病院が持つ情報と連携させるシステム作りなどです。患者の病名、通院・入院の頻度の情報がマイカードに蓄積されるのです。システム設計が厚労省です。
 注意しなければならないのは、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療に関する法律による保険給付の支給、保険外の徴収に関する事務も含まれます。保険給付の支給は、人びとの健康状態の掌握が可能になります。

 これまで何度かかきましたが、マイナンバーとストレスチェックがリンクしたらどうなるでしょうか。漏れない情報などありません。
 15年12月から開始されたストレスチェック制度のチェック票には 「心身のストレス反応」 が導入されました。事業者によって労働者1人ひとりの精神状態に関する検査とデータ作成が合法的行えるようになりました。世界で初めてです。労働者は、第三者から 「心の管理」 が行われるのです。残念ながら法案作成から成立までの間に人権・人格、基本的人権、個人情報保護というような問題は議論に上がりませんでした。
 今後、「心身のストレス反応」 検査の合法化は前例となり、他のところでも第三者によって 「心の問題」 への干渉が悪用されていきかねません。
 世界的には人格権侵害、人権無視の行為であり得ないことです。

 ストレスチェック制度が開始された12月1日は、特定秘密保護法が完全施行された日です。
 20年オリンピックの会場に入るにはマイナンバーが必要だといわれています。何ためなのでしょうか。テロリストだけでなく精神疾患患者の排除だといわれます。そのために警察等が警備においてせっかく実施したストレスチェック票の 「心身のストレス反応」 を流用したいという考えが浮かんでくるのは必然です。これがいつからかストレスチェック制度導入の目的になっているのではないでしょうか。
 防衛省は、人びとの健康に関する情報は喉から手が出るほど欲しいです
 厚労省は、ストレスチェック制度では事業者でも労働者個人の情報を勝手に取得できないと説明します。しかし昨今のパソコンからの情報の流出状況を見ていると、完全に保護されている情報はありません。

 そして16年1月1日からマイナンバー制度がスタートしたのです。
 ストレスチェック制度もマイナンバー制度も必要ありません。
 「ただちに廃止!」 です。

   「活動報告」 2017.4.7
   「活動報告」 2016.11.18
   「活動報告」 2016.12.15
   「活動報告」 2015.12.8
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“働きかた改革” の目的は労働生産性向上
2017/06/30(Fri)
 6月30日 (金)

 昨年の春、政府は政策に 「同一労働同一賃金」 を掲げました。
 6月16日、労働政策審議会は厚生大臣に 「同一労働同一賃金に関する法整備について」 建議しました。このあと国会に法改正案が上程されます。
 基本的考え方は、「正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間には賃金、福利厚生、教育訓練などの面で待遇格差があるが、こうした格差は、若い世代の結婚・出産への影響により少子化の一要因となるとともに、ひとり親家庭の貧困の要因となる等、将来にわたり社会全体へ影響を及ぼすに至っている。また、労働力人口が減少する中、能力開発機会の乏しい非正規雇用労働者が増加することは、労働生産性向上の隘路ともなりかねない。」 などを指摘しています。
 それを克服するために
「賃金等の待遇は、労使によって決定されることが基本である。しかしながら同時に、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の是正を進めなければならない。このためには、
(1) 正規雇用労働者・非正規雇用労働者両方の賃金決定基準・ルールを明確化、
(2) 職務内容・能力等と賃金等の待遇の水準の関係性の明確化を図るとともに、
(3) 教育訓練機会の均等・均衡を促進することにより、一人ひとりの生産性向上を図るという観点が重要である。
 また、これを受けて、以下の考え方を法へ明記していくことが適当である。
・雇用形態にかかわらない公正な評価に基づいて待遇が決定されるべきであること
・それにより、多様な働き方の選択が可能となるとともに、非正規雇用労働者の意欲・能力が向上し、
 労働生産性の向上につながり、ひいては企業や経済・社会の発展に寄与するものであること」
と建議します。
 具体的には 「不合理な待遇差の実効ある是正のため、昨年末に政府が提示した『同一労働同一賃金ガイドライン (案)』 について」実効性を担保していくといいます。

 政府が掲げる “働きかた改革” を貫徹しているのは 「非正規雇用労働者の意欲・能力が向上し、労働生産性の向上につながり、ひいては企業や経済・社会の発展に寄与するものであること」 です。“働かせ方改革” です。労働者の過酷な労働実態や生活格差を改善が目的ではありません。
 「賃金等の待遇は、労使によって決定されることが基本」 です。
 力関係から使用者が “自主的” に決める賃金に対する不信から 「正規雇用労働者・非正規雇用労働者両方の賃金決定基準・ルールを明確化」 のために最低賃金制は始まりました。最低賃金は何を基準にするかはそれぞれの国で違っています。一般賃金に比べて不当に低くない、労働の質と量とがちがえばその違いに相応しい 「公正賃金」 や、生活できる金額の 「生活賃金」 がありますが、少なくても労働者の生活確保・維持を目的としています。労働者が提供する労働力は商品とちがいストックできません。しかし労働者は定期的休息が必要です。そのためには、賃金は休息中にたいする補償も必要で、それによって労働力が回復できます。
 しかし実態としての非正規労働者の賃金決定は、会社が募集した時に労働者が応募し、離職しない額です。日本の最低賃金は 「公正賃金」 や 「生活賃金」 からも程遠いものです。そこに非正規労働者は存在させられています。
 非正規労働者の賃金を低く固定して労働生産性を高めてきたのがこれまでのやり方でした。その恩恵を受けてきたのが会社と正規労働者です。会社は他社との競争に勝ってきました。正規労働者は非正規労働者を犠牲にして雇用を守り、賃金を上昇させてきました。そのことをかえりみることはありません。
 労働生産性を高めるためには同じ職場にいる非正規労働者の尊厳を高めるために処遇を改善し、そのことによって意欲・能力が向上するという認識と手順が必要です。そのことが結果的に 「企業や経済・社会の発展に寄与する」 ことになります。


 労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備についてです。
「現行法においては、正規雇用労働者と短時間労働者・有期契約労働者との間の待遇差については、①職務内容 (業務内容・責任の程度) ②職務内容・配置の変更範囲 (いわゆる 「人材活用の仕組み」) ③その他の事情の3つの考慮要素を考慮して不合理と認められるものであってはならないとされている」。
 パートタイム労働法第8条と労働契約法第20条に謳われている 「均衡待遇規定」 です。
 しかし 「現行法の規定は、正規雇用労働者と短時間労働者・有期契約労働者との間における個々の待遇の違いと、3考慮要素との関係性が必ずしも明確でない」 実態があることを認めます。
「こうした課題を踏まえ、待遇差が不合理と認められるか否かの判断は、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に対応する考慮要素で判断されるべき旨を明確化することが適当である。」 と建議します。そして考慮要素としては 「③その他の事情の解釈による範囲が大きくなっている。」 といいます。
 具体的には 「考慮要素として 『職務の成果』 『能力』 『経験』 を例示として明記することが適当である。また、労使交渉の経緯等が 個別事案の事情に応じて含まれうることを明確化するなど、『その他の事情』 の範囲が逆に狭く解されることのないよう留意が必要である。」 と建議します。このことはすでにパートタイム労働法第10条に 「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金 (通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。) を決定するように努めるものとする」 と謳われていると説明します。「成果」 「意欲」 「能力」 「経験」 から待遇差は生じうるということです。「均等待遇規定」 と 「均衡待遇規定」 もちがいます。
 そして、現行法において 「均等待遇規定」 は、短時間労働者についてのみ規定されていたが有期契約労働者についても対象とすることが適当であるとします。
 比較対象となるのは 「同一の使用者に雇用される正規雇用労働者」 が適当であるとしています。

 “働き方改革” は、同じ非正規労働者同士に 「成果」 「意欲」 「能力」 「経験」 でによって競争をあおり、賃金格差をおこなってかまわないということです。
 労働者と労働組合は 「均等待遇」 について質問、主張したりすると 「成果」 「意欲」 「能力」 「経験」 で切り返されることもありえます。労働組合と労働者はこれらについて評価基準をはっきり設定することを要求する必要があります。
 そもそも 「成果」 「能力」 などはなにをどう評価するかについては労使にとっては現在に至るも課題になっています。それをいとも簡単に明記するということは、“賃金を上げてほしかったら言われたとおりにしろ” “とにかく実績をあげろ” ということになりかねません。自己責任論です。
 今、経済界からは雇用の流動化が必要だと叫ばれています。即戦力を得やすくするためです。企業が不要と判断した労働力を排除し、必要な労働力に切り換えることを容易にすることです。それは 「解雇の金銭解決制度」 の提案と一体のものです。ここでも労働生産性だけから議論が行なわれています。
 労働者にはそれぞれ得意業務、こなすことができる業務、挑戦してみなとわからない業務、不得手な業務があります。得意分野・専門分野を簡単に変更することはできません。日本の終身雇用は、挑戦してみなとわからない業務も時間をかけて経験させて得意分野になることを期待してきました。そのような政策が必然的に 「労働者の意欲・能力が向上し、労働生産性の向上につなが」 っていきました。そして雇用の安定は 「ひいては企業や経済・社会の発展に寄与」 してきました。
 しかし 「成果」 「能力」 を強制することは労働者間に競争を激化させ、不要と判断した労働者を容赦なく排除する方向に向かいます。労働者は孤立するなかで業務遂行を余儀なくされます。「解雇の金銭解決制度」 が成立していない中では労働者をわざと不得手な業務に配置して 「成果」 を強制します。そして 「能力」 がないと “いじめ” て離職に追い込んでいる実態がありますす。
 教育・訓練の機会の保証は能力の蓄積のためのものではなく、短期戦でのテクニック取得のためです。
 “働き方改革” における 「均等待遇規定」 は、非正規労働者にも正規労働者と同じように競争を強制させるということです。労働者の中に生まれる 「格差」 は自己責任です。そのような労働感・職場秩序がさらに作り上げられていきます。
「『フレキシブルな労働市場』 は、現在従事している仕事に全力を傾けようとする気持ちも、献身的に取り組もうとする気持ちを起こさせないし、その余地も与えない。現在従事している仕事に愛着を覚え、その仕事が求めるものに夢中になり、この世界のなかでの自分の場所を、取り組む仕事やそれに動員されるスキルと同一化することは、運命の人質になることを意味する。」 (ジグムント・バウマン著 『新しい貧困』 青土社)


 派遣労働者についてです。
 現状を踏まえると 「1) 派遣先の労働者との均等・均衡による待遇改善か、2) 労使協定による一定水準を満たす待遇決定による待遇改善かの選択制とすることが適当である。」 と建議します。
 具体的には、派遣先の労働者との均等・均衡方式として
「ⅰ) 派遣労働者と派遣先労働者の待遇差について、短時間労働者・有期契約労働者と同様の
 均等待遇規定・均衡待遇規定を設けた上で、当該規定によることとすること
 ⅱ) 派遣元事業主が 「ⅰ」 の規定に基づく義務を履行できるよう、派遣先に対し、派遣先の労働者
 の賃金等の待遇に関する情報提供義務を課す (提供した情報に変更があった場合も同様) とともに、
 派遣元事業主は、派遣先からの情報提供がない場合は、労働者派遣契約を締結してはならない
 こととすること(なお、派遣先からの 情報は派遣元事業主等の秘密保持義務規定 (労働者派遣法
 第24条の4) の対象となることを明確化すること)
 ⅲ) その他派遣先の措置 (教育訓練、福利厚生施設の利用、就業環境の整備等) の規定を強化」
が適当とします。
 そして労使協定による一定水準を満たす待遇決定方式として
「派遣元事業主が、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者と話し合い、十分に派遣労働者の保護が図られると判断できる以下の要件を満 たす書面による労使協定を締結し、当該協定に基づいて待遇決定を行うこと
①同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準と同等以上であること
②段階的・体系的な教育訓練等による派遣労働者の職務の内容・職務の成果・能力・経験等の向上
 を公正に評価し、その結果を勘案した賃金決定を行うこと」
が適当とします。


 「労働者に対する待遇に関する説明の義務化」 についてです。
「非正規雇用労働者 (短時間労働者・有期契約労働者・派遣労働者) が自らの待遇をよく理解し、納得するためにも、また、非正規雇用労働者が待遇差について納得できない場合に、まずは労使間での対話を行い、不合理な待遇差の是正につなげていくためにも、非正規雇用労働者自らの待遇の内容に加え、正規雇用労働者との待遇差に関する情報を、事業主から適切に得られ、事業主しか持っていない情報のために、労働者が訴えを起こすことができないといったことがないようにすることが重要である。」 と建議します。
 そのために、短時間労働者・有期契約労働者に対して
「ⅰ) 特定事項(昇給・賞与・退職手当の有無)に関する文書交付等による明示義務、その他の労働条
 件に関する文書交付等による明示の努力義務 (雇入れ時) (パートタイム労働 法第6条第1項・第2項)
ⅱ) 待遇の内容等に関する説明義務 (雇入れ時) (パートタイム労働法第14条第1項)
ⅲ) 待遇決定等に際しての考慮事項に関する説明義務 (求めに応じ) (パートタイム労働 法第14条第2項)」
などの現状に加え、
「短時間労働者・有期契約労働者が求めた場合には正規雇用労働者との待遇差の内容やその理由等について説明が得られるよう、事業主に対する説明義務を課すことが適当である。」 とします。
 その場合、「事業主に説明を求めた非正規雇用労働者と職務内容、職務内容・配置変更範囲等が最も近いと事業主が判断する無期雇用フルタイム労働者ないしその集団との待遇差及び その理由並びに当該無期雇用フルタイム労働者ないしその集団が当該非正規雇用労働者に最も近いと判断した理由を説明することとする」 とします。
 最も近い無期雇用フルタイム労働者自体のそれぞれの賃金は 「成果」「能力」 による評価によってばらつきが発生しているからです。
「派遣労働者についても、派遣元事業主に対し、上記 (1) のⅰ) ~ⅲ) 及び派遣労働者 が求めた場合には待遇差の内容やその理由等についての説明義務・不利益取扱禁止を 課すことが適当である。」としています。


 行政による裁判外紛争解決手続の整備等についてです。
「非正規雇用労働者にとっても、訴訟を提起することは大変重い負担を伴うもので あり、これらの規定が整備されて以降も、訴訟の件数は限られている実態にある。 非正規雇用労働者がより救済を求めやすくなるよう、行政による履行確保 (報告徴収・助言・指導等) の規定を整備するとともに、行政ADR (裁判。外紛争解決手続) を利用しうるよう規定を整備することが求められる。」 と建議します
 そのために 「現状では、均等待遇規定については報告徴収・助言・指導・勧告の対象としているが、均衡待遇規定については、報告徴収・助言・指導・勧告の対象としていない。しかしながら、均衡待遇規定に関しても、解釈が明確でないグレーゾーンの場合は報告徴収・助言・指導・勧告の対象としない一方、職務内容、職務内容・配置変更範囲その他の事情の違いではなく、雇用形態が非正規であることを理由とする不支給など解釈が明確な場合は報告徴収・助言・指導・勧告の対象としていくことが適当である。」 としています。


 法施行に向けて (準備期間の確保) は 「法改正は、事業主にとって、正規雇用労働者・非正規雇用労働者それぞれの待遇の内容、待遇差の理由の再検証等、必要な準備を行うために一定の時間を要する。したがって、施行に当たっては、十分な施行準備期間を設けることが必要である。」 とあります。
 鳴り物入りで議論を始めた割には実施はかなり先になるということです。
 そうであっても労働組合は “待ち” ・ “働らかされ方改革” の姿勢です。
 本当の “働きかた改革” のためには、今こそ労働組合が現場の声を集めて政府を先取りする提案、対案をして議論をまき起こすチャンスです。

   「活動報告」 2016.6.9
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ストレスチェック情報はマイナンバーで管理され・・・
2017/04/07(Fri)
 4月7日 (金)

 4月7日付の朝日新聞は 「マイナンバーシステム、利用に年100億円?」 の見出し記事が載りました。そのまま紹介します。

 中小企業の会社員らが加入する 「協会けんぽ」 や大企業の 「健康保険組合」 などが、加入者やその家族のマイナンバーを使って所得確認などをするシステム利用料が、合計で年約100億円にのぼることがわかった。ただ健康保険組合連合会 (本部・東京) が 「高額にすぎる」 と反発。厚生労働省は引き下げの検討を始めた。
 ステムは7月の稼働を目指し、厚労省主導で220億円をかけて開発を進めている。健保組合などが加入者のマイナンバーを使って、住民票のデータや家族の収入、年金を受け取っているかどうかなどの情報が取り寄せられる。加入者の扶養家族の確認や、傷病手当金と公的年金を二重で受け取っていないかなどもチェックできるという。……

 マイナンバーは、保険組合などが加入者の住民票のデータや家族の収入、年金を受け取っているかどうかなどの情報が取り寄せられる、加入者の扶養家族の確認や、傷病手当金と公的年金を二重で受け取っていないかなどもチェックできる制度になるということです。


 マイナンバーは、当事者は管理されている情報がわかりません。しかし当事者の情報は他者によって管理され、利用されます。
 マイナンバーには93項目の情報が入ることになっています。
 戸籍、住所、氏名、年齢・・・のほかにも資産、収入関係、年金、保険関係などがあります。保険の具体的なものとしては、年金保険料や年金額、確定拠出年金 (日本版401k) の記録、健康保険があります。さらに医療、福祉関係として、かかった医療機関や医療費の金額、持病、医療情報、医薬品による副作用情報、身体障害者手帳の交付、生活福祉資金貸付、生活保護に関する情報等があります。雇用関係としては、雇用保険の失業給付、労災保険の給付などがあります。要するに、資産、健康状況や雇用状況などあらゆる情報が管理されることになります。
 よく言われることですが、徴兵制が採用されたら、国は健康診断などの手続き抜きで召集令状を発行することが可能になります。


 さて、このようなマイナンバー制度とストレスチェック制度の関係はどのようになるでしょうか。危惧していたことが実現しようとしています。あらためてストレスチェック制度の危険性を指摘するために、15年12月8日の 「活動報告」 を再録します。

 ストレスチェック制度の開始で何がどう変わるでしょうか。
 最大の点は、チェック票の 「心身のストレス反応」 の導入です。事業者によって労働者1人ひとりの精神状態に関する検査とデータ作成が合法的に行えるようになりました。労働者は、第三者から 「心の管理」 が行われるのです。残念ながら法案作成から成立までの間に、人権・人格、基本的人権、個人情報保護というような問題は議論に上がりませんでした。
 今後、「心身のストレス反応」 検査の合法化は前例となり、他のところでも第三者によって 「心の問題」 への干渉が悪用されていきかねません。
 世界的には人格権侵害、人権無視の行為であり得ないことです。これは 「安全配慮」 以前の問題です。

 第1回の専門検討会にイギリスの例が紹介された資料が提出されました。
 そこには記載されていないですが、イギリスのストレス調査は、「職場のストレスの多くの原因は、人事関係の問題である。職場のいじめ、長時間労働の慣習、人員整理とそれによって残された人々にかかる作業負荷、そして、女性差別や民族差別のようなことは、全て人事 (HR) が対処すべき問題である。」 「もし事業者が労働時間、労働量、管理形式のような分野に及ぶ基準を満たそうとするなら、人事部は重要な役割を果たさなければならない。」 ということを目的とされています。人事関係とは日本でいう労務管理のことです。人事関係・人事部の対処こそが調査されるのです。

 国際安全衛生センターの資料からです。
 2004年11月、イギリス安全衛生庁 (HSE) は、職場ストレスに関する新しいマネージメント基準を発表しました。基準は法で規制されるものではないですが、企業が職場のストレスレベルを測定し、その原因を特定し、この問題に取り組むスタッフに役立てることを目的としています。
 最初のマネージメント基準は2003年6月に公表されました。この基準では6つの重要な職場のストレッサーである 「作業要求」、「管理」、「支援」、「関係」、「役割」、「変化」 を低減する目標を設定しています。この目標達成のためには、一定の割合のスタッフが、ストレッサーの管理方法に満足しているということを示すことが事業者にとって必要となります。
 さらに法では、5人以上の労働者を有する企業は、労働関連ストレス、いじめ、いやがらせを防止する上での対策が含まれている安全方針を文書で作成しなければなりません。
 職場ストレス原因は多種多様ですが最も重要ないくつかの潜在的根源をあげ、克服できないものはないと断言しています。効果的なストレスマネージメントの鍵の1つは、これらのストレッサーが発生するおそれがある場所を認識し、ストレッサーが現実の問題となる前に、それに対応する準備があるかということです。

 職場ストレスの主原因として、次のようなものが特定されています。
 ・企業内での不適切、あるいは不十分なコミュニケーション、特に人事異動期間中についての家庭及
  び仕事に基づいたストレスは成長し、お互いに影響し合い増大する
 ・個々人に与えられた作業要求は、各々の能力に適合したものでなければならない。そして、作業量
  は作業要求にふさわしい作業方法に見合っていなければならない
 ・過重労働及び過少労働ともにストレスになり得る
 ・交替制勤務及び夜勤は、本質的にストレスが多く、災害発生の高いリスクにつながるおそれがある
 ・自宅勤務は、労働者に孤独感を感じさせるおそれがあるので、支援体制が必要となる
 ・ホット・ディスキング(職場で個々人の机を決めていないこと)や、短期間契約は、特別な プレッシャ
  ーにつながる
 ・役割のあつれき、不明確で変化する役割は、全てストレスにつながる
 ・神経をすり減らし、いじめがある管理の仕方は相談、支援、管理でのバランスが必要となる
 ・中間管理職のコミュニケーションスキルの不足。管理職は、コミュニケーション訓練が要求され、通常の
  人よりも、このスキルが必要となる
 ・余剰人員整理のためには、スペシャリストを訓練するという特別なニーズが必要となる
 ・照明が不適切で不十分な職場は、スタッフが不快に思い、かつモチベーションが高まらない環境と
  なる
 ・新技術の導入において、計画的かつ、斬新な方法で行われない場合には、ストレスレベルを高める
 ・労働者が常に働いていることを要求されているように感じる職場環境

 日本のストレスチェック票と比べると明らかですが、「仕事のストレス要因」、「周囲のサポート」 はありますが 「心身のストレス反応」 はありません。ストレスは個人的問題か、職場全体の問題かというような捉え方はしません。イギリスが特異なのではありません。本来の職場のストレスチェックはこのようなもので、日本が特異なのです。
 イギリスがこの地平に至ったのは、労働政策の決定が政・労・使で激論のすえ行われているからです。日本は、使・使の代弁者・労の不在で行われていのが実態です。これでは労働者の人権・人格は保護されません。


 作成されたチェック票の管理は誰が行うのでしょうか。
 ストレスチェックの結果、労働者の体調不良が明らかになったら医師や保健師は労働者に結果を通知します。労働者は面接を希望する時は事業者に面接の申し出をすることができます。厚労省はこのようなシステムだから、事業者は労働者個人の情報を勝手に取得できないと説明します。
 ではチェック票はだれが保存・管理するのでしょうか。ちゃんとした保健室があり、産業医や看護師がいる職場ならそこが管理するでしょう。それ以外は。事業主が管理します。事業主は労働者の健康に関する情報は喉から手が出るほど欲しいです。猫に魚の番をさせることになりかねません。労働者の不信は消えません。


 ストレスチェック制度が開始された12月1日は、特定秘密保護法が完全施行された日でもあります。今後は秘密を漏らす恐れがないと 「適正評価」 を受けて選定された者たちだけで特定秘密を取り扱っていきます。取扱者は、薬物乱用や精神疾患、酒癖などが調べられました。自衛隊員だけでなく国家公務員、警察官、さらに民間企業の社員もいます。取扱者数は今後もっと増えるといわれています。
 この後、適正評価に際し、対象者を1人ひとり呼び出して調査したり、周囲に対象者であることを知られないで判断できる方法はないでしょうか。こう考えた時、精神疾患の 「適正評価」 については、せっかく実施したストレスチェック票の 「心身のストレス反応」 を流用したいという考えが浮かんで来るのは必然です。これがいつからかストレスチェック制度導入の目的になっているのではないでしょうか。防衛省は、人びとの健康に関する情報は喉から手が出るほど欲しいです
 厚労省は、ストレスチェック制度では事業者でも労働者個人の情報を勝手に取得できないと説明します。しかし昨今のパソコンからの情報の流出状況を見ていると、完全に保護されている情報はありません。

 2016年1月1日からマイナンバー制度がスタートします。
 総務省は、「マイナンバー制度は、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤」 と説明しています。
 「情報提供ネットワーク」 の役割があると言われています。しかし自治体で管理する、利用者からは見えない情報の収集です。
 具体的には、法第6条の 「利用範囲」 で、社会保障分野、税分野、災害対策分野などに利用されます。
 実際は、社会保障分野はさらに年金分野、労働分野、福祉・医療・その他の分野に分けられます。労働分野は、雇用保険等の資格取得・確認・給付を受ける際に利用、ハローワーク等の業務に利用とあります。
 福祉・医療・その他の分野は、医療保険法等保険料徴収等の医療保険における手続き、福祉分野の給付、生活保護の実施等低所得者対策の業務に利用とあります。マスコミ等では社会保障分野として 「メタボ検診」 や予防接種がクローズアップされています。
 注意しなければならないのは、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療に関する法律による保険給付の支給、保険外の徴収に関する事務も含まれます。保険給付の支給は、人びとの健康状態の掌握が可能になります。
 2015年10月14日、マイナンバー制度のシステム設計の契約に絡んで厚労省の室長補佐が収賄容疑で逮捕されました。厚労省のシステム設計や開発に関わる調査業務2件の企画競争にシステム開発会社が受注できるように便宜をはかった見返りとして現金を受け取っていました。室長補佐は情報政策担当参事官室室長補佐ですが、収賄が言われるときは社会保障担当参事官室に在籍しています。開発内容は病院が持つ情報と連携させるシステム作りなどです。患者の病名、通院・入院の頻度の情報がマイカードに蓄積されるのです。


 企業は、賃金支払い、税の徴収・納付のために労働者からのマイナンバーの報告を受けて提出書類に記載することになっています。会社は社員のマイナンバーを掌握することになります。賃金計算を、子会社、経理専門会社や社労士などに委託している企業も多くあります。企業はナンバーの流出を止めることはできません。
 ストレスチェック票にマイナンバーが記載されて管理されたら、個人情報が知らないうちに流出していることになりかねません。マイナンバー制度によって、労働者の健康状態・情報が個人が知らないところで企業に 「提供」 され、管理されることになりかねません。
 その 「活用」 で、労務・人事管理において差別・排除、退職勧奨がわけがわからないうちに進められていきます。
また体調不良で退職した労働者が再就職しようとした時に、相手会社から理由が明らかにされないまま拒否されるという事態が発生しかねません。


 マイナンバー制度は 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」 に基づくものですが、改正マイナンバー法が成立した2015年9月3日には 「改正個人情報保護法」 も衆院本会議で成立しました。個人情報保護法は国及び地方公共団体の責務等を明らかにしていますがプライバシーの保護はありません
 改正個人情報保護法は第一条で (目的) を謳っています。
「……国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」
とあります。
 太字の部分が追加されました。つまりは、個人情報は産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現のために利用していいということになり、その他の個人情報の前に位置づけられています。簡単にいうと、改正によって企業が持つ個人データを使いやすくするのとプライバシー保護の在り方が見直されます

 第15条は (利用目的の特定) を謳っています。 改正前です。
「個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的 (以下 「利用目的」
 という。) をできる限り特定しなければならない。 ……
2 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を
 有する
と合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。」
これが改正では、企業などが本人の同意なしに変えられる個人情報の使い道の範囲が 「相当の関
 連性」 があるから 「関連性を有する」 範囲に変わりました。
 第23条は (第三者提供の制限) を謳っています。
「個人情報取扱事業者は、以下の場合を除いては、あらかじめ本人の同意を得なければ、個人データを
 第三者に提供してはならない。……
2.人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが
 困難であるとき。」
 身体の保護が、「個人の権利利益を保護することを目的とする」 と使用者の安全配慮義務を拡大解釈して、使用者が勝手に情報を取得するような状況が生まれないでしょうか。一度集めた個人情報は別の目的にも転用できます。


 ストレスチェック制度では情報の不正利用に対する罰則が設けられているから大丈夫という人たちがいます。
 しかし個人情報保護法は、企業が情報取得を秘密裏に行い、漏えいが発覚したら後付の説明を行って合法だと居直れるように 「改正」 されました。居直るにしても謝罪するにしても、取得したら 「勝ち」 です。

 個人情報保護は、自分がしっかりとプライバシーを守っていれば大丈夫というレベルの問題ではありません。日本では個人情報が外部に漏らされることが人格権侵害という捉え方は小さいです。個人情報が他者から管理される、情報がどう利用されることになるか、そして個人が国家に管理されることに抵抗がありません。集団の中では仕方ないという諦めや、当たり前と捉える傾向があるようです。だから無防備と同時に他者のことも顧みず、いろいろなところに干渉したり、インターネットなどで他者の情報が流れていると書き込みをして追加の “情報提供” をしています。
 すでに様々な情報は収集されて管理されているのです。

 安倍政権のこの時期に、「ストレスチェック制度」、「秘密保護法」、「マイナンバー制度」、「個人情報保護改正」 が施行されるのは偶然でしょうか。
 くりかえしますがマイナンバー制度はあらゆる情報が盛り込まれ、人びとの一切を管理しようとするものです。


 「職場のストレスチェック制度」 は、チェック票の 「心身のストレス反応」 がなかったら、労働者の期待するところであり有効活用も可能でした。労働組合や安全衛生委員会などで議論する資料にもなりえます。しかし開始される制度は 「検査結果の集団ごとの分析」 は努力義務ということです。
 「心身のストレス反応」 を含んで 「検査結果の集団ごとの分析」 が行われ、議論ための資料として活用することは個人の労働者を犠牲にするものです。
 ストレスチェック制度が実施されても、労働者にとって検査を受けることは義務ではありません。
 やむなく検査をうけざるを得ないとしても 「心身のストレス反応」 は拒否しましょう。
 チェック票にマイナンバーを記載することに反対しましょう。
 一次予防が目的なら、チェック票は無記名での提出も有効です。無記名でも 「検査結果の集団ごとの分析」 はできます。
 実施されても、体調不良者のリストアップ、排除・退職勧奨等に繋がらないよう監視をして行く必要があります。

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失業率が低い時は、労働者が要求を獲得するチャンス
2017/03/31(Fri)
 3月31日 (金)

 3月31日、総務省が発表した労働力調査によると、2月の完全失業率 (季節調整値) は2.8%と1994年6月 (2.8%) 以来22年8カ月ぶりの低水準となりました。
 就業者数は50カ月連続増加で6427万人、雇用者数も50カ月連続増加の5754万人でした。内訳は正規労働者3397万人で、非正規労働者は2005万人です。
 完全失業者81カ月連続減少で188万人です。完全失業率を年代別にみると15歳から24歳が4.4%、25歳から34歳が4.0%、35歳から44歳2.7%でそれ以上は平均を下回ります。年齢が低いほど高くなっています。男女別にみると、男性が3.0%と95年6月以来の低水準となり、女性は2.7%と横ばいでした。
 94年とは、いわゆるバブル景気がピークを越えたころです。その後上昇し、90年代後半に4%後半を続け、2000年代になると5%をこえます。03年頃に4%台に下がり、減り続けて07年には3%台になりますが08年のリーマンショックでまた5%台に突入しますがそのあと下降を続けていました。

 完全失業率とは労働力調査における労働力人口に占める完全失業者の割合 (公表失業率) です。完全失業者とは、15歳以上で、仕事がなくて調査期間中に少しも仕事をしなかった (就業者ではない)、仕事があればすぐ就くことができる、調査期間中に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた (過去の求職活動の結果を待っている場合を含む) という人です。調査期間に1時間でもアルバイトなどで賃金が得られる仕事をしたのであれば、統計上、「就業者」 となってしまいます。
 完全失業者のうち失業期間が1年以上の者を長期失業者と呼びます。1%後半から2%くらい存在します。
 また、契約期間満了などによる退職をふくむ非自発的失業者も存在します。非自発的失業率は完全失業率とほぼ同じような動向を示し、1%後半から2%半ばくらい存在します。

 しかし実際の失業者はこれだけではありません。潜在失業者がいます。就業を希望していて、仕事があればすぐにつくことが可能であり、過去1年間に求職活動を行ったことがある者で、現在は今の景気や季節では適当な仕事がありそうにない近くに仕事がありそうにない、自分の知識・能力に合う仕事がありそうにない、勤務時間・賃金などが希望に合う仕事がありそうにない等の理由で求職活動を行っていない者です。潜在失業率はほぼ1%存在します。
 そうすると潜在失業をふくむ失業率は、完全失業率に約1%加算されます。この失業率の算出は他の国とは違います。調査期間に1時間でも仕事をしたら 「就業者」 ということも含めて日本の失業率は低いということではありません。


 雇用労働者数を雇用形態別にみてみると、非正規労働者の占める割合は、90年にはじめて20%を超えます。95年に日本経団連は報告書 「新時代の 『日本的経営』」 を発表すると増え続け、03年に30%を超えます。「雇用の流動化」 がいわれ始めます。
 もう少し細かく見ると、97年11月、北海道拓殖銀行と山一証券が倒産しています。97年の正規労働者は3812万人でしたがその後3300万人から3400万人の間を続け17年2月は3397万人です。非正規労働者を見ると、97年は1152万人 (23.2%) でその後増え続け、17年2月は2005万人です。


 15年6月9日の 「活動報告」 で松下電器について書きました。その部分転載です。
 89年、幸之助は亡くなります。
 90年代半ば、経営企画室はあと数年で3万人が余るとはじき出します。余剰人員は明らかです。しかし 「赤字でもないと、世間がリストラを許さなかった」
 雇用維持のため、さまざまな手が打たれました。総務の年配社員を工場にもどし、パートを切ります。すると 「社員の雇用を優先した。不良品が増え、速度が落ちた」 状況が生まれます。
 2001年度は大幅な赤字に転落します。大幅な早期退職募集が行われ、約1万3千人が退職しました。
 「あの松下が」 と衝撃的なニュースが流れました。そして松下が早期退職募集するのならと日立製作所、東芝、富士通などでも開始されます。「日本型雇用」 の転換でした。
 その結果失業率が5%台に跳ね上がりました。

 松下は、その後も早期退職募集を行います。
 雇用を大事にしていたといっても、労働者はみな正規社員や直接雇用者だったわけではありません。ご多分にもれず請負労働者、派遣労働者が製造現場を支えていました。
 雇用問題は、正規社員の問題がクローズアップされているときに、実は非正規労働者の問題が深刻化を増します。非正規労働者でもパート労働者の問題が論議されているときに派遣労働者の処遇が悪化します。非正規労働者の問題がクローズアップされている時、請負労働者、個人事業主・偽装雇用の問題が深刻化します。
 この連鎖も見過ごすことができません。


 08年9月のリーマンショックを見て見ます。08年第Ⅱ期は正規労働者3418万人でしたが、第Ⅳ期は3390万人でその後も変化は大きくありません。一方、非正規労働者は第Ⅱ期が1732万人で第Ⅳは1796万人ですが、09年第Ⅱ期は1684万人に減少します。労働者派遣事業所の社員等だけをもっと細かく見ると、08年第Ⅱ期576万人、第Ⅲ期643万人、第Ⅳ期643万人、09年第Ⅰ期567万人、第Ⅱ期557万人です。いわゆる派遣切りで年越し派遣村が開設された時です。
 景気の後退を非正規労働者にとってかえて乗り切ろうとしますがそれが無理だとなると解雇を通告してきます。非正規労働者は雇用の調整弁で、合わせて労働法制も改正されます。


 派遣切りに際して正規の労働者の労働組合はほとんど行動を起こしませんでした。
 派遣切りを可視化した年越し派遣村の開設・運営は、いわゆる個人でも加入できる小さな労働組合・ユニオン等と市民運動団体によって担われました。
 そのなかで全造船関東地協いすゞ分会は地域闘争で派遣労働者を守ります。そのときの状況を最近発行されたパンフレット 「半世紀の闘い 工場と地域と世界のなかで」 から抜粋して紹介します。

 08年のリーマンショックの後の12月に、契約期間の途中であっても非正規労働者1400人全員の雇止めがおこなわれました。「日比谷派遣村」 が開設された時のことです。
 とんでもない! こんなことが許されてたまるか! と、不当なやり方にたいして年末から全造船関東地協で取り組みます。直接雇用の期間工労働者はいすゞ分会に、派遣労働者は湘南ユニオンにと連名で組合加入を呼びかけました。いすゞ分会に11人、湘南ユニオンに22人が加入しました。
 藤沢で全造船関東地協、いすゞ分会、湘南ユニオンは団体交渉を開催しました。まずは社宅や寮への居住の保証を約束させました。そして解雇撤回、契約期間中の雇止めはふざけんじゃないという要求です。会社はリーマンショックだからしょうがないじゃないかと主張します。だめだ!
 さらに外国人労働者の問題もありましたが神奈川シティユニオンが取り組んでいました。
 同時にいすゞ本社への抗議行動も展開しました。新聞やテレビも闘いを取材し報道しました。
 派遣会社にも派遣社員の雇用を保障にさせるためにいすゞに要求しろと要求しました。派遣会社は要求しました。
 こうした集中的な闘いの取り組みを展開し、本社抗議行動を予定していた日の早朝に会社からファクスが届きます。すぐに石川議長に連絡し、資料を作り、本社前にいったら、マスコミの方が会社に問い合わせをしました。契約期間中の解雇は撤回し、その後は自宅待機扱いにして賃金保障はするというものですが希望退職をにおわす内容でした。阿部知子衆議院議員が国会で質問したり、抗議闘争が拡大する状況のなかで自動車工業会や経団連からも注意されたようです。
 いすゞと交渉を続けて2か月もしないうちに、組合員から 「まだどうにかならないのか。お金がない! 飯が食えない」 との声が上がりました。交渉経過を説明してもなかには 「そんなことを言われて帰ってきたのか」 と不満をぶつける方もいました。つまり派遣社員の労働条件ではたくわえをすることができなくて余裕がないのが実態です。今でもそうです。1か月でも雇用が途切れると生活ができません。びっくりしました。この時に私はそれまで最低賃金ということに関心が薄かったことに気付かされました。
 10年、組合の闘う方針を守って切り捨てを認めないで継続雇用を求めて闘いきった1人の期間工の労働者が新しい仕事に就き、この時の闘争は解決して終了しました。


 非正規労働者を雇用の調整弁とすることは許されません。
 完全失業者のなかには、いじめ・おどし・だましなどによる退職強要も含まれます。正規の労働者も景気の調整弁になっています。また長時間労働による体調不良で退職した労働者もいます。労働者は経営者のいいなりになる必要はありません。
 働き方改革、「同一労働同一賃金」 は、政府や経済界に委ねるのではなく、労働者・労働組合からの働きやすさ、安心できる雇用の要求を獲得して監視していく必要があります。

 人員不足は、労働者が要求をかかげて獲得するチャンスです。

   「活動報告」 2015.6.9
   「活動報告」 2011.12.26
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