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トヨタ  組合が5段階の分断賃上げを承認
2020/01/10(Fri)
 1月10日 (金)

 トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会は1月10日、中央委員会を開催して2020年春闘の方針を決定しました。
 昨年に続き、定期昇給も含めた賃金の総額を重視し、ベースアップについては実質3千円以上を目安にします。一時金 (ボーナス) は5カ月以上を要求します。また、人手不足が問題となっているなかから非正規雇用の組合員の賃上げを本格的に要求します。
 総額を重視とは、具体的には、基本給の底上げのためにあててきた原資を個人の評価に応じて5段階にわけて配分する新たな賃上げ制度です。「改善分 (ベア) で全員一律に賃金を引き上げる必要性はよく考えていかないといけない」 という経営側の発言をくみとり、横並びの賃上げ手法について見直すことにしたといいます。
 労組によると、これまでも5段階の人事評価に基づいてベアに差が出る仕組みではありました。その人事評価に応じてベアの幅に差をつけて配分する案が有力です。「頑張った人に報いるべく、さらにメリハリを付けるような制度の検討をしている」 (幹部) と説明します。その結果、中堅クラスで人事評価が低い社員だと、ベアがゼロになる可能性もあるといいます。別の幹部は 「ベアゼロを作りたいわけではなく、メリハリを付けた結果、そうなるかもしれない」 と話します。
 ベアは、社員の職務や勤続年数で決めている賃金表を書き換え、賃金水準を一律に引き上げる制度で、年功序列や横並びを前提として極端な差をつけません。
 しかし全トヨタ労組は今春闘において労働組合の方から格差を設けた制度を要求します。労働組合がさらに変質しています。

 労使ともに、以前からこのような制度を目論んでいる徴候はありました。
 経営側は勤続年数などに応じた全員一律の賃上げの必要性に否定的な考えを示していました。
 労組は、昨年の春闘で賃金の総額を重視する方針に転換しました。平均1万2千円の賃上げを要求しましたが妥結したベアの平均額を労使ともに公表しませんでした。労組は一般組合員にもしませんでした。それまでの組合員1人ひとりの 「カイゼン」 に取り組む姿勢を評価し、賃上げの総額重視の色合いを強めるためと説明しました。
 春闘交渉の最終局面で豊田章男社長は 「今回ほど距離感を感じたことはない」 と危機感を煽って変わらなければならないと力説しました。自動車業界は変革期を迎え、電動化や自動運転など次世代技術の競争が激しいなかで、賃金にメリハリを付けることで競争力向上につなげる狙いといいます。社内の労働者同士の競争が世界での競争力向上につながるということです。
 また、経営側はこれまでの一時金の年間妥結を拒否し、冬分については10月の秋交渉での決定に持ち越しました。
 労働組合は経営側と危機感の共有に応じました。
 グループ企業などにトヨタのベアにとらわれない議論を促したいとも説明しました。

 春闘後、労組は各職場で業務を再度見直し、生産性が低い業務を選別し改善する取り組みを徹底します。
 10月9日の労使交渉で、経営側から人事評価見直しの方針が示されます。労組もトヨタが持続的に成長することが要求の前提になる、頑張った人に報いるような競争力向上につながる賃金制度が必要と判断します。
 また、労使双方から部長級・次長級などに相当する 「幹部職」 や課長級に相当する 「基幹職」 と呼ばれる中間層の中に 「役割を果たせておらず、周りにマイナスの影響を与えている人がいる」 という問題提起が上がります。「変われない中間層」 に身の振り方を問うのが豊田社長の目的だったとの見方もあります。退職勧奨です。
 このようななかで、冬の一時金は満額回答で落ち着きます。この方向性の延長線上にあるのが 「脱一律ベア要求」 です。評価の基準は 「役割給」 といわれる献身性です。


 賃金改定に際して、使用者はいつも若年層に中高年層を “働かないおじさんたち” と煽って対立させます。年功序列が確保する管理能力や技術・技能の蓄積、経験・感による職場秩序は排除されます。その結果、非常時には回復に大きなリスクを伴います。
中高年層の会社への貢献を否定する評価は、実は次の時代の中年層である若年層の処遇でもあります。企業は1人ひとりの労働力、能力を1個の部品、“生産性” でしか評価しません。部品はいつでも取り換えがきくという使い捨てのとらえ方が根底にあります。
 さらに若年層間にも競争を煽ります。トヨタにおいてはすでにそうですが、労働者はエンドレスの 「カイゼン」 への挑戦を要求されます。
 労働者は納得いかない評価に対して最も大きいストレスを感じます。不信・不安にかられます。恒常的にストレスが蓄積すると他者にぶつけたり、事故を併発します。使用者は職場秩序が乱れると管理を厳しくします。労働者にとってはますます働きづらい職場環境がつくられていきます。そのようななかで生産性向上などできるはずはありません。
 トヨタでは時間外労働を実際にしているかどうかではなく月45時間分の手当てがつきます。会社や労組はどう説明しようが時間外労働の強制に繋がります。そしてそれだけではなく常的に長時間労働が強制されていて過労死も発生しています。長時間労働はさらに加速します。


 1941年11月、政府は産報聯盟を解散し、新たに大日本産業報告会を設立します。
「〈皇国勤労観〉 にもとづく産報運動の編成替えにかかわって、いま1つ注目しておかなければならないのは、それが生活給思想をともなって現れたことである。大日本産報は、41年11月、パイロット万年筆の工員月給制度を紹介するパンフレットを発行したが、そこには、職員にならって生産現場の労働者についても、『功利心』 を刺激するような請負制を廃し、年齢に応ずる基本給を主体にすえた月給制を導入し、生活確保をはかるのが 『人を人として取り扱う』 道であり、職分奉公の精神を振起しようとする産報運動の指導理念に適うのではないかという思いが込められていた。つまり、月給制への転換をはかることによって、『経済人』 から 『職分人』 への転換を促そうというのであった (広崎真八郎 『工員月給制度の研究』 1943年)。」 (兵藤釗著 『労働の戦後史』 上)
 今でいうなら、非正規労働者をなくし正規労働者にした方が生産性は高まるという判断です。しかし経営者は企業の自主性保持を盾に抵抗します。

 戦局が重大化し軍需生産の急増を求められます。
「政府は、42年の重要事業場労務管理令の施行にあたって、少なくとも年1回従業員全員を昇給せしめることを盛り込んだ昇給内規を設けるよう指導した。さらに翌43年3月、政府は 『賃金対策要綱』 を閣議決定し、緊要事業場とされたものにもこの方式を導入しうることとした。これは、請負賃金製、奨励加給制の併用を認めながらも、『年齢、勤続年数ニ応ズル基本給制度』 を確立し、『勤労者ノ生活ノ恒常性』 を確保することによって、職分奉公の精神を振起しようとするものであった。だが、これに応じて昇給内規を設けた企業では、人事考課による昇給額に差等をつけてモラール・アップをはかることに力点をおいていたことも留意しておかなければならない。」 (『労働の戦後史』 上)
 政府の 「皇国勤労観」 にもとづく昇給内規は経営者の人事考課の抵抗にあいます。
 しかし昇給内規は、労働者の共感を組織できました。
「大正デモクラシーの奔流のなかで、労働者が急速に社会改造思想に傾いていったときも、<国体> 観念のうちに人格承認要求の正当化の根拠を求めようとする傾向がみられたことからしても、<陛下の赤子> としての平等を打ち出した <皇国勤労観> は、労働者の共感を誘うものを含んでいたことは疑いない。」 (『労働の戦後史』 上)


 戦後、労働組合は双方を取り入れた生活給を要求していきます。
 46年3月、電力10社の企業別組合は全国電気事業労働組合懇談会を結成し、4月、産業別単一組合をめざす日本電気産業労働組合協議会 (電産協) を発足させます。懇談会では 「新給与体形ノ確立ノ件」 が議論され、「改善基本給ノ基決定ト各組合ノ為スベキ調整措置」 を 「緊急検討」 し 「(電産協結成の) 大会ニ於テ方針決定スル」 ことが決定されます。
 6月の給与委員会で作成された 「新給与体制委員会案」 では、「基本賃金」は 「A生活保障給」 「B能力給」 「C勤続給」 に細分化されています。
 10月7日、電産は会社に要求書を提出し、団体交渉が開始されます。
 その中に、「能力給」 は 「各人ノ技術、能力、経験、学識等ヲ総合加味シタル一定ノ標準額ニヨリ査定ヲ行ウ」 とあります。しかし技術等の内容については明確にされていません。
 10月18日、会社は賃金体系の対案を提出しました。電産要求案にいくつかの修正を加えたものです。「能力給」 については 「能力給ハ技術、能力、経験、学識等ヲ総合加味シタル能力成績ニヨリ査定シ其ノ平均額ハ300円程度トスル」 とあります。能力給の比率は電産要求案より低いものでした。
 12月22日、電産と会社は協定書に調印します。
 協定書は中労委による調停案をもとにというよりは事実上、中労委が作成しました。いわゆる 「電算型賃金」 です。「能力給」 の要因は、電産要求案と完全に同一でした。
 能力給は当初から組み込まれています。しかし能力給に影響する要因は何であるべきなのか、査定基準はどうあるべきかについては電産では合意は成立しませんでした。その結果は 「会社の責任に於て能力給を決定する」 です。理由は、多くの労働者にとってはとにかく賃金が上がりさえすればいいという意識と、若年労働者や学歴のある労働者、職位が上の労働者は他の労働者より高い評価を要求したことなどがあげられます。

 その後、各会社においては職務、職位ごとの賃金表が作成されて行きます。賃金差は拡大していきます。しかし同じ職務の賃金表の適用者においては賃金格差を拡大させないことが労働組合の共通認識で役割でした。


 トヨタの労使交渉は他の企業に大きな影響を与えてきました。
 トヨタの今春闘の動向に経団連も動き始めました。経団連は昨年12月23日、20年春季交渉の経営側の指針として、年功型賃金の見直しを重点課題として掲げました。職務に応じて賃金に格差をつけ、成果をより重視した昇給制度を設けるよう促します。
労働組合も差別を推進します。春闘で労働者はますます働きにくい、生活しにくい状況がつくられようとしています。職場内で弱肉強食がおき、格差は拡大していきます。
 トヨタは危機を突破し、競争に勝つための挑戦を展開しているといいながら、それを阻んでいるのはトヨタの労使自身だということを自覚すべきです。
 労働組合は、春闘をもう一度、職場改善、労働者の生活改善のためのものに取り戻す必要があります。

 「活動報告」 2019.10.18
 「活動報告」 2019.4.12
 「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」 ホームページ・ご相談はこちらから
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トヨタという会社
2017/08/25(Fri)
 8月25日 (金)

 トヨタ自動車は現在、企画・専門業務の係長クラス(主任級)約1700人に裁量労働制を導入していますが、“自由な働き方” を認める裁量労働の対象を拡大すると発表しました。事務職や研究開発に携わる主に30代の係長クラスの総合職約7800人のうち一定以上の自己管理・業務遂行能力を持ち、本人が希望し、所属長、人事部門の承認がある者が対象です。非管理職全体の半数を占めることになります。
 残業時間に関係なく毎月17万円 (45時間分の残業代に相当) を支給し、さらに一般的に残業代を追加支給しない裁量労働制とは違い、勤務実績を把握して月45時間を超えた分の残業代も支払います。これまでの残業代支給額は月10万円程度でした。そのための原資は、以前すすめた人事・賃金制度の改革で浮いた分を充てるといいます。16年1月から、全社員約6万8000人のうち生産現場で働く約4万人の労働者の賃金体系を見しました。
 対象者には年末年始や夏休みのほかに平日で連続5日の年休取得を義務付けます。20日間の年休を消化できなかった場合、制度の対象から外します。
 新制度導入の理由を、自動車産業では自動運転分野などで米グーグルなど異業種との競争が激しくなっていて、仕事のメリハリをつけて創造性と生産性を高める必要があると判断したと説明しています。専門性の高い技術者の間では一律の時間管理の弊害を指摘する声が出ていたといいます。
 現在は、繁忙期の超過を認める労特別条項付きの36協定を結んでいますが、新制度はこの範囲で運用します。新制度では繁忙期に備え残業の上限時間を月80時間、年540時間にします。(ちなみに、2009年の協定は月80時間、年720時間)
 上司が対象者に時間の使い方の権限を移します。
 新制度案を7月末に労働組合に提示し、12月の実施を目指します。

 政府は今秋の臨時国会に高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す 「高度プロフェッショナル制度」 (高プロ) の法案を提出しますが、新制度は 「脱時間給」 の要素を現行法の枠内で、製造業の現場で独自の制度で先行導入します。
 「脱時間給」 は、ネスレ日本が4月に工場以外の社員を対象に労働時間で評価する仕組みを原則撤廃、住友電気工業は4月に研究開発部門で裁量労働制を導入しています。


 トヨタの新制度は、現在の労働時間削減に向けたうごきを嘲笑しています。時間外労働は例外であるということを無視し、いわゆる “働きかた改革” における時間外労働の上限規制等について労政審が6月5日に厚生労働大臣におこなった建議の 「上限は原則として月45時間、かつ、年360時間」 を “通常” と設定しています。この段階ですでに長時間労働です。そのうえで 「仕事のメリハリをつけて創造性と生産性を高める必要がある」 特別な事情や、臨時的な特別の事情がある場合として年540時間が設定されます。
 日本における残業は “周囲の雰囲気” が強制します。それも含めて 「新制度では上司が対象者に時間の使い方の権限を移します。」 本気で実行する社員はいません。中間層の社員にも長時間労働が強制され、恒常化が合法化されます。
 いわゆる “働きかた改革” のもう1つの柱である 「高度プロフェッショナル制度」 の年収制限のハードルを下げた導入でもあります。「高度プロフェッショナル制度」 が導入されたら他社でトヨタの新制度を変形させたものが登場してくることは明らかです。

 「一定以上の自己管理・業務遂行能力を持ち、本人が希望し、所属長、人事部門の承認がある者が対象」 はトヨタの社員選別に際しての常套文句です。
 16年1月からの賃金体系変更の1つに、団塊世代の大量退職による技術力の低下を防ぐため、「スキルド・パートナー」 と呼ばれる60歳定年後の再雇用制度も見直しがありました。それまの再雇用制度では60歳の定年後65歳まで賃金が半減しました。
 制度見直しでは作業レベルや指導力など技能伝承に向けて極めて高い能力を持つ「余人を持って代えがたいような卓越した技能を有する人材」の優秀な人材は囲み込み、処遇を変えずに65歳まで再雇用し、若手の指導や高度な技術の伝承が円滑に継承できるようにしました。定年に際して峻別がおこなわれました。一定の評価基準に到達しないと評価された多くの労働者については従来の制度が継承されるといいますが、期待しないから早期に辞めろという位置づけです。峻別をするのは所属長、人事部門です。
 60歳間際になっても競争が煽られ、「会社人間 」 としての忠誠が試され、再雇用になっても処遇に差が付けられます。長年の労働者の貢献は簡単に切り捨てられます。後期高齢者制度が法制化されても形式になっています。「違法ではない」 がトヨタの人事制度です。
 このような危険な、無慈悲な制度を労働組合は了承するのでしょか。こう問いかけること自体が無駄のようです。


 8月21日の日刊工業新聞は 「トヨタ、部品価格引き下げ要請。原価低減で減益回避狙う 下期は上期と同水準に。サプライヤーの協力がカギに」 の見出し記事が載りました。
 トヨタは取引先部品メーカーと毎年2回、部品価格改定の交渉を実施しています。
 14年3月期決算から3年連続で2兆円を超える営業利益をあげました。14年度下期 (10月―3月) と15年度上期 (4月―9月) は利益の社会への還元を優先する形で部品価格の引き下げを見送りました。15年度下期に再開し、16年度下期からは引き下げ幅を拡大していました。
 16年3月4日の中日新聞の社説は、トヨタが16春闘のさなかに部品価格引き下げ要請を再開したことについて、「下請け企業から賃上げへの余力をも奪う」 と痛烈に批判しました。全トヨタ労連内の小企業約80社の平均獲得額は861円にすぎませんでした。
17年度下期の部品価格引き下げ幅について、17年度上期と同等水準にする方針を固め取引先部品メーカーへの正式要請を前に、内々に示し始めています。大半が1%未満の要求になる見込みですが、赤字の会社などは値下げが免除される場合もあります。
 18年3月期連結決算で2期連続の減益を予想しており、原価低減を継続します。18年3月期に設備投資が1兆3200億円 (前期比8.9%増)、研究開発費が1兆600億円 (同2.1%増) と高水準の投資を計画します。
 トヨタは例年、3000億―5000億円規模で製造原価を低減し、営業利益の押し上げ要因としてきました。ただ、17年度の原価低減は原材料費の高騰などもあり、期初時点の予想で900億円にとどまっています。原価改善効果は営業利益段階で前期比1000億円の増益要因としています。2期連続の減益を回避したいトヨタは、利益改善策の1つとして引き続き原価低減を推進します。
 部品価格の引き下げ以外にも18年度から新たな原価低減活動を始めます。主要部品メーカーに 「RRCI」 (良品・廉価・コスト・イノベーション) と呼ぶ活動の第3期目の取り組みを始めると伝えました。コスト目標などは個別に定めるが、20年代前半に市場投入する車種に活動成果を反映する考えだ。

 簡単にいうとトヨタの取引先は、本体の利益確保の調整弁になっています。利益が低い時は “製造原価を低減” するということで納品価格の引き下げをおこないます。これが本体としては “原価改善効果” となって利益をつくります。
 このことが本体の労働者の賃金を保障させています。
 トヨタ労組は今春の春闘まで4年連続でベアを獲得し、子育て支援や非正規従業員の処遇改善など勝ち取ってきましたが、ベアを保障させたのは “原価改善効果” でもありました。


 2月2日の聯合通信は 「付加価値の循環運動」 は本物か/トヨタの2017春闘」 の見出し記事を載せました。
 トヨタ自動車が、その突出した利益から日本の賃上げ水準を決めるようになって20年ほどになります。
 トヨタ労組の17春闘の方針案にはこれまでにない「表」が掲載されました。全トヨタ労連 (315労組、約34万人) の賃上げ比較表です。14、15、16春闘で、トヨタ労組以上の回答を獲得した組合数などが示されています。たとえば16春闘 (製造部門) では、トヨタ労組が1500円を獲得しましたが、それ以上獲得した組合は前年までのゼロから一気に32労組になりました。豊田鉄工の1600円をはじめ、デンソー、アイシンがトヨタと並ぶ1500円でした。こんなことはこれまでにありませんでした。トヨタ労組の獲得額は14年2700円、15年4000円、16年1500円でした。
 しかしこれはトヨタが関連会社の労働者のことを考えているということなのでしょうか。
 労働力不足はトヨタだけでなく関連会社にも押し寄せ、そこでの事故も多発して、トヨタ全体に大きな影響を与えました。処遇改善をおこなわないと再発します。トヨタにおいても非正規労働者の労働条件を改善せざるを得ませんでした。

 自動車総連は、16春闘から自動車産業全体の底上げをめざす 「付加価値のWIN‐WIN最適循環運動」 を3年がかりで始めました。リーフレットには現状分析から3つの課題をあげています。「企業収益のバラつき二極化」 「労働条件の格差拡大」 「人材不足」 です。これに対して 「裾野の広い自動車産業の基盤を支えている中堅・中小企業の底上げがなされてこそ、真の意味で経済や産業の持続的な発展が可能となる!」 と呼びかけ 「労働条件の改善」 と 「現場力の底上げ」 の両面からの取り組みが必要だと訴えています。
 自動車は、約3万点の部品からなる裾野の広い産業であり、トヨタだけでも関連・下請け・取引先は2万9315社 (帝国データバンク調査) になります。
 「付加価値のWIN‐WIN最適循環運動」 は労働組合主導の生産性向上運動です。「表」 は “頑張ればなんとでもなる” とj説得する手法です。そして “自力更生” “自己責任” の通告です。労使協調の窮極です。

 しかし、付加価値=利益はトヨタなどメーカーが独り占めしてきました。下請けは、「賃上げの余力があるのなら単価を切り下げよと言われる」 (JAM元幹部) というのが実態でした。部品など自動車関連のメーカー労組も多いJAMは、16春闘で517労組が平均1346円の賃上げ獲得でした。
 親会社より子会社の方が労働条件がいいということでは子会社の意味がありません。トヨタの子会社はトヨタよりも “当然” 低い賃金で、時間外労働月80時間、年540時間の長時間労働を強制されます。

 トヨタ労組はトヨタと一体です。トヨタ労組は全トヨタ労連を支配します。
 そして全トヨタ労組は自動車総連を主導し、自動車総連は連合で大きな発言力を持っています。その連合が “働きかた改革” を勝手に推し進めます。
 経済界で発言力が大きいトヨタは政府進める “働きかた改革” に違法にならない範囲の現状維持を提示してけん制します。

 労働者と労働組合は、政府と使用者のごまかし・居直りの “働かせかた改革” ではなく本当の “働きかた改革” の議論をすすめ法案に活かしていく必要があります。

   「活動報告」 2017.7.25
   「活動報告」 2016.7.15
   「活動報告」 2015.2.3
  当センター「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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当たり前の生活ができる最賃に
2017/07/28(Fri)
 7月28日 (金)

 厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は25日夜、2017年度の最低賃金 (時給) の引き上げ額について、全国の加重平均で25円・3%上げるべきだとの目安をまとめました。現在の全国平均は823円です。実現すれば全国平均は848円になります。
 安倍政権は 「1億総活躍プラン」 で、毎年3%引き上げて全国平均1000円とする目標を掲げ、賃上げで景気浮揚を狙っています。今年3月にまとめた「働き方改革実行計画」にも同じ目標を明記しています。政府は企業への賃上げの呼びかけを続け、2020年までに「1000円」に引き上げることを目指しています。
 今年も物価や所得水準などの指標をもとに都道府県をA~Dの4ランクに分け、ランクごとに目安額が提示されまし。東京など大都市部のAランクは26円。Bは25円、Cは24円、Dは22円。この目安を参考に都道府県ごとに引き上げ額を決め、秋以降に順次改定されます。現在の最高は東京都の932円で、最低は沖縄の714円です。

 厚労省は、第2回の小委員会に資料を提出しました。今年の春闘の連合における妥結状況と高校卒の決定初任給です。
 連合調査の非正規労働者の春闘妥結状況は、時給の値上げ額は、単純平均は20.46円、平均時給965.13円、加重平均は21.29円、平均時給952.18円です。
 労務行政研究所による東証第1部上場企業と生命保険、新聞、出版でこれに匹敵する大手企業を調査対象にした高校卒の決定初任給は、事務・技術職一律166.231円、現業167.759円です。
 1か月の労働時間を8時間×21.75日 ((365日-104日) ÷12ヶ月) =174時間として計算すると
 平均時給965.13円×174時間=167.932円です。
 高校卒の決定初任給とほぼ同じ額になります。
 つまりは、非正規労働者の賃金は年齢や経験年数に関係なく高校卒の初任給とほぼ同じ額になります。
 しかし非正規労働者の賃金965.13円は労働組合に組織された労働者の平均で、最高の東京都よりも高い額です。これを非正規労働者の実態とみることはできません。
 最低賃金は都道府県によるばらつきのなかで各ランクのギリギリの賃金で働いている労働者も大勢います。


 海外ではすでに19世紀後半から最低賃金に関する法律が制定されます。
 理由は、賃金は労使の交渉によって決定されるべきで国家が介入すべきではないが、そうすると組織されていない労働者や家庭内労働などの労働者が低賃金のままに置かれるという事で該当しないということで最低賃金の決定機関が必要という声が大きくなっていきます。
 1928年、ILOは26号条約 「最低賃金決定制度の創設に関する条約」 を批准します。条約は、「団体協約その他の方法によって賃金をきめる制度が存在しない、あるいは賃金が非常に低い職業に従事する労働者を保護するため、最低賃金率をきめる制度を作ることを目的とした条約である。」 を目的としています。

 1970年、ILOは131号条約 「開発途上にある国を特に考慮した最低賃金の決定に関する条約」 を採択します。
 条約の目的は、
「最低賃金については、1928年の最低賃金決定制度条約 (第26号) や1951年の最低賃金決定制度 (農業) 条約 (第99号) があり、重要な役割を果たしてきた。しかし、第26号条約は賃金が非常に低い限られた産業や業種だけを対象にしたものであった。そこで、一般的に適用されるが、発展途上国のニーズを特に考慮した新たな条約を採択する時期がきたとして、本条約が採択された」
です。 規定としては
「この条約の批准国は、雇用条件に照らして対象とすることが適当な賃金労働者のすべての集団に適用される最低賃金を決定し、かつ随時調整できる制度を設置する。制度の対象集団の決定は権限ある機関が、関係のある代表的労使団体と合意または十分に協議して行う。
 最低賃金水準の決定にあたり考慮すべき要素には、可能かつ適当である限り、次のものを含む。
 1.労働者と家族の必要であって国内の一般的賃金水準、生計費、社会保障給付及び他の社会
  的集団の相対的生活水準を考慮したもの
 2.経済的要素(経済発展上の要請、生産性水準並びに高水準の雇用を達成・維持する必要性を含む)
  最低賃金制度の設置、運用及び修正に関連して、関係ある代表的な労使団体と十分協議する。」
です。
 日本の最賃制度は最賃とはいえません。


 終戦後、戦争中の賃金統制令がずっと残っていました。廃止されたのが昭和46年9月です。給与審議会ができますが、インフレと最低賃金の関係、公務員の賃金に適用したら財政にどういう影響を与えるか、最低賃金を決めるとしたら最低にするのか、標準にするのか、そういう議論が中心に議論がおこなわれます。しかし片山内閣のときの新物価体系による公定価格に入れる業種別平均賃金が出てきると、この議論は終わってしまいます。
 47年9月に労働基準法が施行されます。労働基準法の中に賃金委員会の規定があり、賃金委員会で最低賃金を審議することができる、その審議会に基づいて労働大臣が最低賃金を決めることができるという条文が入っていました。
 しかしGHQは、インフレで混乱している時期には最低賃金をやるのはあまり適当でないという意見を出したりしたこともあり、基準法ができたのですが、賃金委員会の条文だけは適用されませんでした。
 48年、経済9原則でインフレが収束すると最低賃金をそろそろ検討すべきではないかという意見がだされて50年に労働基準法および賃金審査会令による中央賃金審査会ができます。しかしその後も何段階かの議論をへます。

 戦後の賃金要求は生活給から始まりますが、能力給が登場し、毎年の賃金増が続くと産業間、企業間、さらに企業内においても個人間に格差が顕著になり、労使ともの課題になります。生活給的要素と能力給的要素をどう調和させるかが、最低補償的な要素を賃金制度の中でどう捉えるかが問題になります。
 総評は57年、「産業別最低賃金保障」 をうち出しますが中味は各企業でばらばらです。例えば、私鉄は年齢別最低補償・最低賃金18歳〇〇の要求で、おおよそ年齢30歳、勤続10年、扶養家族3人の基準時点に対する最低賃金を柱にして、年齢係数、勤続係数、経験係数、職格係数等を計算要素とした生活給賃金を要求しました。
 しかし中小企業などは置き去りになっていました。
 このようななかで最低賃金法制定の要求が大きくなり、57年5月に中央賃金審査会が再開され、59年、最初の最低賃金法が成立します。しかし業者間協定による最低賃金を認めていました。これはILO26条の決定機関に関する条項に抵触します。
 その後、ILOの国際労働基準を守れという労働組合の運動によってやっと1968年に最低賃金法が改正され、業者間協定は廃止されました。


 2007年11月28日、最低賃金法が改正されました。ワーキングプア解消を目指すため最低賃金を決める際、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことを明記し、9条には「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」 との文言も加えられました。
 この流れは、2009年に民主党政権になると加速しました。翌年、2010年6月に策定された政府の 「新成長戦略」 では、民主党のマニフェストに沿って、「最低賃金について、できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」 ことが決められ、2020年までに達成すべき最低賃金の水準として 「全国最低800円、全国平均1000円」 という目標が設定されました。
 これでも正規労働者と比べたら6割くらいの水準です。


 高卒初任給、現在の非正規労働者の平均時給、そして生活保護はほぼ同じ水準です。
 高卒初任給は、家族と生計を一緒にするか、会社の寮などに入った時に維持できる生活費です。独立して生計を維持できるものではありません。非正規労働者も同じです。ましてや非正規労働者が一家の大黒柱であったり、扶養家族を抱えている場合は生計が成り立ちません。
 それでも 「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」 ということは、働いている者の方が働いていない者の収入を上回るということでしかありません。
 フランスでは生活困窮者への扶助は 「積極的連帯所得手当」 ととらえられ、世代をこえてだれでも生活困窮者に陥る可能性がある、そこから這い上がるための支援も必要という “持ちつ持たれる” の共通認識があります。
 しかし日本では生活困窮者にも自己責任・自助努力を強制し、そこから這い上がることも困難にしています。日本の社会福祉政策の貧困さが最低賃金の水準も決定しています。

 現在の非正規労働者の平均時給965.13円が1000円になったとしてもILO条約の 「1.労働者と家族の必要であって国内の一般的賃金水準、生計費、社会保障給付及び他の社会的集団の相対的生活水準を考慮したもの や2.経済的要素(経済発展上の要請、生産性水準並びに高水準の雇用を達成・維持する必要性を含む)」 といえるものにはなりません。
 憲法第二十五条で保障されている 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。○2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」 は、最低賃金法にはおよびません。
 その結果、生活を抱える非正規労働者はダブルジョブ、トリプルジョブをおこなわざるをえず、必然的に長時間労働を強いられています。


 最低賃金法の議論が起きると必ずでてくる主張があります。
 1つは、中小企業は人員削減をおこなわなければならないか潰れてしまうというものです。しかし中小企業のためにそこで働く労働者は我慢しなければならないのでしょうか。現在ばらまかれている雇用に関するさまざまな補助金はそのようなものにこそ優先して給付される必要があります。
 もう1つは、生活費補てんのために働く主婦パートの時給はそう高くなくてもいいのでは、賃上げを望まない人もいるというものです。その人たちは働く時間を短くすればいいのです。
 3つ目は、正規職員の本音で、高くすると正規労働者の賃金に影響が出てくるというものです。時代錯誤と言える主張ですが、使用者が賃金を抑える理由として公然と登場し、正規と非正規労働者の分断をはかります。

 最近は 「今すぐ時給1500円」 の要求が掲げられています。
 年収では年間労働時間2000時間として、1500円×2000時間=300万円です。
 これでも労働者の平均年収の8割にもなりません。
 本来の“働きかた改革”はこのようなことにもメスが入るものでなければなりません。

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PIP (業績改善計画) が退職強要に利用されている
2017/07/04(Tue)
 7月4日 (火)

 6月27日の第20回ワンコイン講座は、4月18日に厚労省が発表した第2回 「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」 報告書作成に検討委員会委員として携わった労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員をおまねきして、調査から見えて来たもの、5年前の調査からの変化などについてお話を伺いました。(『実態調査』 報告書については2017年5月23日の 「活動報告」 参照)
 お話は、2011年度に全国の都道府県労働局にあっせん申請がおこなわれた 「いじめ・嫌がらせ」 の事案284件を対象に労働政策研究・研修機構が調査して2015年6月に発表した報告書 「職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメントの実態 -個別労働紛争解決制度における2011年度のあっせん事案を対象に-」 についてとの比較検討も行われました。
 2つの 「報告書」 に重なる気になることがありました。

 2012年3月15日、厚生労働省は 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」 (「提言」) を発表しました。「提言」 は、日本で初めて職場のいじめ・パワーハラスメントの概念規定・定義を行いました。「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」 です。
 続けて 【職場のパワーハラスメントの行為類型】 を挙げています。【職場のパワーハラスメントの行為類型 (典型的なものであり、すべてを網羅するものではないことに留意する必要がある)】 と断ったうえで6類型をあげています。
 ①暴行・傷害 (身体的な攻撃)
 ②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言 (精神的な攻撃)
 ③隔離・仲間外し・無視 (人間関係からの切り離し)
 ④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害 (過大な要求)
 ⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと (過小な要求)
 ⑥私的なことに過度に立ち入ること (個の侵害)

 「職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメントの実態」 報告書は 【職場のパワーハラスメントの行為類型】 の6類型以外に大分類として 「7経済的な攻撃」 (重複計上) を取り上げています。63件ありました。これらを中分類すると 「1.経済的不利益を与えること」 の行為数43件 (15.1%)、「2.労働者の権利を行使させないこと」 の行為数20件 (7.0%) となります。
 さらに小分類がおこなわれています。「1.経済的不利益を与えること」 は 「1.経済的な不利益・制裁」 行為数14件 (4.9%)、「2.不当な評価(降格等)」 7件 (2.5%)、「3.成果の取り上げ・成果をあげる機会の取り上げ」 5件 (1.8%)、「4.事実上の解雇となる雇用の終了」 9件 (3.2%)、「5.労働日・労働時間の短縮、残業禁止命令」 8件 (2.8%) です。「2.労働者の権利を行使させないこと」 は 「6.権利の剥奪」12件 (4.2%)、「7.権利に関わる問い合わせに応じないこと」 8件 (2.8%) です。
 
 第2回 「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」 報告書の企業調査で 「貴社で設置している相談窓口において、制度上対象としている相談テーマをお教えください。(複数回答可) また、従業員からの相談内容のうち、多い内容の上位2つまでをお教えください。(2つまで)」 の質問に対する回答です (回答3365社)。
 相談テーマとして 「人評価・キャリア」 39.3%、「賃金、労働時間の勤労条件」 47.4%が設置しています。そのなかで 「従業員から相談の多いテーマ (2つまで)」 は 「賃金、労働時間等の勤労条件」 18.2%、「評価・キャリア」 9.3%となっています。
 「パワーハラスメントに関する相談件数が増加した (または変わらなかった) 理由としてどのよう なことが考えられますか。当てはまるものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問にたいする回答で (回答1322社)、「評価・処遇への不公平感、不満が増加している」 が13.2%ありました。少なくない数値です。
 「過去3年間にどのようなパワーハラスメントに関する相談がありましたか。具体的な内容及び加害者と被害者の関係として当てはまるものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問にたいする回答で、6類型には含まれない 「その他」 として 「パワーハラスメントに関する相談の内容」 5.9%、「パワーハラスメントに該当すると判断した事案の内容」 2.4%がありました。

 従業員に対する質問で 「あなたの勤務先が設置している相談窓口で、あなたご自身が実際に相談したことがあるものがあればお教えください。(複数回答可)」 の質問にたいする回答 (3741人) で 「人事評価・キャリアについて」 が5.8%、「賃金、労働時間等の勤労条件について」 が5.5%ありました。
 「あなたが受けたパワーハラスメントは以下の6つの (行為類型の) どれに当てはまるかお教えください。(複数回答可)」 の質問にたいする回答に、6類型には含まれない 「その他」 が全体で6.2% (前回は8.6%) ありました。
 明らかに6類型には含まれない行為で少なくなく起きています。


 最近の労働相談のなかでは 「賃金」 「評価」 に関連する案件が目立ちます。特に、PIP (Performance Improvement Plan 業績改善計画) の相談が増えています。これが2つの報告書にも表れているのだと思われます。
 PIPとは、労働者への業績改善 (向上) のための指導方法です。具体的には、会社 (上司) が人事評価が低いと判断した労働者にたいして具体的な業績目標や取るべき行動等改善目標を設定し、期間を設けて進捗状況を確認しながら改善を促します。
 往々にして目標設定は会社 (上司) が一方的に設定し、労働者は従います。業績目標は数値だけではありません。改善目標の項目に労働者が達成できないような無理難題をわざと挙げたりすることもあります。そして改善できなかった場合には大幅な降給、さらに肩たたき・解雇にも至ります。実際には、会社が戦力外と判断した労働者や、余剰人員がでた時などにターゲットを絞ったリストラをするときにおこなわれます。会社によっては規定に 「目標達成に至らなかった場合は解雇する場合がある」 と謳っているところもあります。
 PIPは業務指導として行われます。労働者は指導なので拒否できないと思い込んで不本意ながらも従います。自分の認識とは違う能力不足を通告された時は会社にたいして不信感が生まれますが、同時に自信を喪失し、反論するエネルギーを奪われます。その結果、“行き過ぎた”指導で体調を崩す労働者も出ています。
 日本では従業員教育として、社内で先輩が後輩と一緒に日常の業務をこなしながら知識やスキルを教える 「職場内研修」 ・OJT (On The Job Training) と、社外でおこなわれる研修などを受講する 「職場外研修」 OffJT (Off The Job Training) があります。
この研修を通じて会社は必要な人材を育成し、長期に活躍してもらうことを期待しました。しかし最近はあまり行われていません。その理由の1つに、労働者同士がライバルになったことが上げられます。また会社は長期の雇用を期待していません。

 PIPは、OJT、OffJTとは逆に会社から排除する手法として使われています。
 行き過ぎた指導は 「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」 で職場のパワーハラスメントそのものです。


 ある研究会でこの問題が議論になった時、いじめ問題か、人事制度、賃金・評価制度の問題として対応すべきかかという議論になりました。
 実態としては、会社は人事制度、賃金・評価制度の問題から切り離し、規定・規則に則った対応はとりません。労働者は、わけがわからない、どうしたらいいかわからない、反論できないことが指導の口実で執拗に追及されています。あきらかにいじめが指導の名のもとにおこなわれます。そして経済的不利益を被るに至ります。
 議論では、労働者と労働組合は、反撃の手法を見失っていますが、やはり賃金・評価制度の問題として対応していかなければならないのではないかということになりました。


 1995年に導入された成果主義賃金制度 (成果の定義は実際には難しい) は、評価によって日本で初めて 「降給」 を “合法化” するものでした。しかし、生産性の向上を目指して導入した制度は機能せず、逆に職場秩序を解体し、生産性を低下させることになり短期間で変更を余儀なくされました。
 その後、成果主義は修正され、“名ばかり” の実質的実績主義がはびこりました。その後、「役割給」 が登場します。「役割」 は職務に 「ミッション」 が加わります。ミッションとは、企業全体の経営方針や価値観についての 「職責を果たすために進んでとるべき行動」 や 「貢献することの責任」 です。企業全体がめざす方向と個々の労働者が仕事上で同じ方向性、つまりは企業への忠誠心が要求されます。そこには “上司の顔色を伺う” ことも含まれます。評価に企業への忠誠心が加味されると労働者は尊厳が奪われます。そのような役割の達成度にたいして評価が行われて賃金が決定します。
 成果主義賃金制度が導入されると労働者間の賃金差が大きくなります。使用者は労働者の個別管理の徹底をはかってきました。
 役割給は、労使の関係が従属・隷属になることを要求します。そして一方的業務指示、そして排除・退職勧奨に至っています。
 
 日本ではなぜ 「降給」 がなかったのでしょか。
 労働者の 「職能」 における 「成果」 は、日々研讃を積んで発揮されます。日々スキルアップします。逆に労働者の 「能力」 は一朝一夕にして落ちることはありません。
 つまり本物の 「成果」 は短期間で下がることはありません。評価が下がるのは、①業務が変更になった、②職場環境が変化した、③評価制度が変更になった、④評価者が 「成果」 を人為的に 「評価」 した、⑤労働者が体調を崩した、またはサボタージュをした、⑥社会が大きく変動した、場合です。
 ⑤以外は労働者の責任ではありません。⑤でも長時間労働などで体調を崩した場合は労働者の責任ではありません。労働者は、騙されないよう気をつけなければなりません。自分自身の職能にもっと自信を持ち主張する必要があります。

 労働者は使用者と労働契約を締結して就労します。使用者は労働条件を明記した就業規則を提示しなければなりません。労働基準法第2条は 「労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものである」 と謳っています。
 労働基準法第89条に就業規則に盛り込まれる事項が列記されています。賃金に関しては 「二 賃金 (臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。) の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」、職業訓練については 「七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項」 と明記されています。
 賃金についての 「賃金規定」 は就業規則の一部です。評価は賃金を決定します。ですから 「評価規定」 は賃金規定の一部です。評価においては公明な 「評価規定」 と公平な運用が必要です。評価規定では 「評価基準設定」 と 「評価基準適用」 が開示されなければなりません。
 PIPの運用はこのようなことを逸脱して行なわれています。

 労働者保護のための労使対等を原則とする労働法制は闘いによって勝ち取られてきたものです。労働契約によらない一方的契約・契約解除は労働者に奴隷的拘束を課すもので認められません。労働契約によらない評価は正しい評価とはいえません。労使対等を基本に据えた対応が必要です。

 企業内組合の中には評価の問題は個人の問題だから取り組まないと宣言しているところもあります。しかし具体的評価内容は個人的問題でも、評価規定の運用は労働条件の問題であり労働組合が介入する必要があります。「個人的問題」 は取り組まないための口実です。
 また個人の結果は掌握出来なくても、労組として全体の動向については掌握をしておく必要があります。

 労働者の 「職能」 における 「成果」 は、指導・訓練・教育によってさらに高められます。PIPは本当にそのようなものであるかを確認する必要があります。意欲を奪ったり、逆に疑問を増すような、ましてや体調を崩すような指導は指導とはいえません。
 当り前のことですが、早期に成果が上がるか、それなりの時間を要するかは人によって違います。早期に成果をあげる者だけが能力があるなどという判断はだれにもできません。


 使用者が労働者の労働意力を奪うことが一番の生産性向上の疎外になります。逆に労働者に安心感を与えて、その力量を正しく評価し、発揮させたときに最も生産性は向上します。

   「活動報告」 2017.5.23
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「同一労働同一賃金」 の修正が始まった
2016/12/28(Wed)
12月28日 (水)

 政府は、12月20日の働き方改革実現会議で非正規労働者の処遇改善を目指した 「同一労働同一賃金ガイドライン (指針)」 案を発表しました。
 前文には 「このような正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取り組みを通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにし、我が国から 『非正規』 という言葉を一掃することを目指すものである。」 とあります。
 非正規のうち有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者を対象に正社員との格差是正を企業に求めます。待遇は基本給、賞与・手当、福利厚生、教育訓練・安全管理の4項目に分類して合理的な差、非合理な差について具体的な事例をあげて説明しました。
 賃金の大きな比重を占める基本給は (1) 職業経験や能力 (2) 業績・成果 (3) 勤続年数――の3要素の基準を設定し、それぞれの要素で働き方を評価し、雇用形態にとらわれない基本給を払うよう促し、正社員と非正規で評価が同じであれば同水準の支給を原則としながら、違いがある場合はその違いに応じた支給を求めています。

 翌日のマスコミ各紙は実効性が伴うのかの合唱でした。
 さらに逃げ道・抜け穴を教示がはじまっています。労働者・労働組合はそれを許さない取り組みが必要です。注意喚起を含めて紹介します。

 具体的見解です。
 12月26日のダイヤモンド・オンラインは、現在ビジネス研究所長八代尚宏の寄稿 「働き方改革が目指す 『同一労働同一賃金』 はなぜ実現しないのか」を載せました。
「競争的な労働市場では、賃金の低い企業から高い企業へと労働者が移動することで、賃金格差は自然に解消される。同一労働同一賃金が実現しないのは、そうした労働移動を妨げる障壁があるためで、それが何かを示し、取り除くための処方箋を描くのが、本来のガイドラインの役割である。
 このカギとなるのが 『雇用の流動化』 である。しかし、この肝心の点が報告書ではほとんど触れられていない。これは、(1) 賃金は正社員主体の労働組合と使用者との合意で決める、(2) 労使協調をもたらす固定的な雇用慣行の堅持、(3) その範囲内で非正社員にできる範囲のことだけするという 『労使自治の原則』 が、暗黙の前提となっているためだ。」
「日本の短時間労働者の時間当たり賃金はフルタイムの正社員の6割弱と、欧州主要国の8~9割と比べて大きい。これは主として若年層で小さく中高年層で大きい、正社員の年功賃金カーブから生じている。この年功賃金を所与として、どうすれば非正社員との賃金格差を縮小できるのだろうか。
 仮に勤続年数の等しい非正社員に正社員と同じ年功賃金を適用しても大きな意味はない。有期雇用の非正社員にとって、年功賃金のメリットが生じる前に雇用が中断され易いからである。」
「企業内訓練を通じた労働生産性の上昇は、年齢が高まるほど個人間のばらつきも拡大する。過去の高い成長期に大企業を中心に普及した年功賃金は、今日の低成長期には社員間の生産性に見合わない賃金格差の主因となる。日本企業でも個人の仕事の概念を明確化して、これまで避けてきた人事評価に本格的に取り組む時期に来ている。」

 指針の実効性に、当然のことですが非正規労働者は大きな期待を持っています。正規労働者既得権を防衛意識が働きます。
 八代の見解は思い込みで、翻弄されたら危険です。雇用の流動化が同一労働同一賃金を実現させる、非正規労働者の要望が実現しないのは 「労使自治の原則」 による労働組合との集団的労働契約が存在するからだと説明し、その解体を提案します。そうすると年功序列の賃金制度も解体され、高齢者の賃金分が非正規に回されるという主張です。逃げ道が閉ざされた高齢者が攻撃の対象になっています。
 確かに現在の企業内組合の多くは非正規労働者を組織しないで正規労働者の利益だけを主張しています。その弱点が突かれていますが、だからといって労働組合・労使自治が不要ということではありません。労働組合・労使自治が解体されたらこれまで以上に労働者がバラバラにして管理され孤立化が進みます。労働者の賃金は 「流動化」 して不安定な状態におかれます。非正規労働者の正規労働者化ではなく、正規労働者の現在の非正規労働者化が進みます。「雇用の流動化」 は少数の勝ち組と多数の負け組を生み出すことが想定されます。


 12月21日の日経新聞は 「政府 『同一賃金』 へ指針 非正規の格差是正促す」 の見出し記事を載せました。
「もっとも、企業と働き手の生産性が高まらなければ、企業の稼ぎは増えず、非正規職員の給料を上げるための原資は得られない。同一労働同一賃金とともに、時間でなく成果で賃金を払う脱時間給の導入などを一体で実現する必要があるが、関連法案は国会で棚ざらしになったままだ。
 同一労働同一賃金は非正規労働者の処遇改善にどの程度の効果があるのか。賃金の多くを占める基本給の格差を縮める効果は、今のところ限定的になるとの見方が多い。
 指針は基本給を 『職業経験や能力』 『業績・成果』 『勤続年数』 の3つの要素に分類した。例えば入社以降の経験や能力が同じであれば、非正規の職員という理由だけで待遇を正社員より低くしないように求めている。
 ただ、指針は経験や能力などが同じかどうかの基準を示しておらず、企業が自ら判断することになる。対応はばらつきが予想され、いまの仕組みを変更しない判断をする企業も多いとみられる。」

 生産性を高めて原資を得るためには、成果で賃金を払う脱時間給の導入を実現する必要がある、働いた時間ではなく成果に応じて賃金を払う 「ホワイトカラー・エグゼンプション」 の導入が不可欠だという主張です。現在の 「ホワイトカラー・エグゼンプション」 法案は対象者が年収によって制限されていますが、ゆくゆくは制限が下降していくのは明らかです。すでに導入している企業も存在します。
 しかし自己に対する高い評価の期待はそれ相応の無理を強制され競争が進みます。ホワイトカラー・エグゼンプションは 「過労死促進の労働時間制度」 です。高い成果への評価の期待の先には、労働できない結果が存在するという負の教訓が共有されていません。本質的には労働者のことを考えないで企業利益だけが優先されています。


 「プレジデント」 12月23日号は 「『賃金節約』 要員の非正社員に企業は本当にボーナスを出すのか?」 の見出し記事を載せています。
 最初に厚労省による2015年の調査結果 「非正規を雇う理由は 『賃金の節約のため』」 の表を紹介しています。「賃金の節約のため」 38.8%、「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」 33.4%、「即戦力・能力のある人材を確保するため」 31.1%などです。つまりは初めから均等待遇は難しいということを遠回しに主張しています。
 そして逃げ道を教示しています。
「とくにボーナスは上がる可能性がある。……だが、会社の業績などへの貢献度に応じて支給している場合、指針ではこう言っている。
『無期雇用フルタイム労働者と同一の貢献である有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、貢献に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない』
 つまり、正社員と同じ貢献をしていれば同額を支給しなさい、貢献度が違うのであれば、それに見合った金額を支給しなさいと言っているのだ。」
「『正社員と同一の職業経験・能力を蓄積している非正社員には、職業経験・能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、蓄積している職業経験・能力に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない』
  ……
 しかし、この指針では例外も設けている。
 具体的には (1) 総合職という名のキャリアコースの違い、(2) 転勤・職務内容の変更の可能性――の2つである。」

 貢献と成果は違います。貢献は会社が期待した成果が実現したものです。評価は上司の主観により差が付きます。それを容認しています。
 例外としての総合職という名のキャリアコースの違い、転勤・職務内容の変更の可能性は、現在の正規労働者間においても一般職や限定社員という位置づけで処遇がちがっています。さらに細分化した手法を駆使すれば賃金差は認められるという説明です。非正規労働者の改善の基準は一般職や限定社員です。


 12月27日の 『ダイヤモンド・オンライン』 は 「同一労働同一賃金の議論に足りない 『労働結果の評価法』 の視点」 の見出し記事を載せました。
「一番重要なのは、『同一労働同一賃金』 の実現によって非正規社員の待遇が改善され、わが国労働力の生産性が向上することではないだろうか。だとすれば、明らかに議論が不足している領域がある。それは、パフォーマンスマネジメントだ。
 そもそも、『同一労働同一賃金』 の考え方は、『同一労働とは何か』 ということを明確に定義する必要がある。そして、ここでいう同一労働とは、私の考えでは、労働する内容の定義であったり、労働する内容の予定であったりするのではなく、労働した結果だ。」
「ただし、現在の 『働き方改革実現会議』 の議論の方向性では、本来の趣旨での実現は難しいのではないか。肝心の 『パフォーマンスマネジメントの実現』 という視点が抜けていると感じる」

 「同一労働同一賃金」 は予定ではなく結果論、つまりどのようなパフォーマンス・成果を出したかたかで決定されるべきで、「同一の労働結果」 こそが 「同一の賃金」 であるべきという主張です。12月21日の日経新聞と似ていますが、そもそも 「同一労働同一賃金」 の議論は不毛だという主張です。
 現在の 「同一労働同一賃金」 の議論は生産性が向上しないので正しくない、向上のための正しい評価は結果に対する評価でそのほうが平等だという主張です。しかしパフォーマンスに対する評価制度は確立していませんし、困難です。くりi切り返しますが主観的です。その結果、労働者は会社への献身性という従属が要求されます。
 この主張の危険性は、使用者の労働者使い捨て政策に非正規労働者の側から目先の判断で世論が形成されかねないということです。最終的に現在の議論が歪曲されて到達しかねません。


 12月28日の 「ダイヤモンド・オンライン」 は 「本気で 『非正規』 をなくし、同一労働同一賃金を実現する方法」 の見出し記事を載せています。
「『非正規』 を減らすためには、正社員を増やす必要があり、そのためには企業が正社員を雇う負担を軽減する必要があり、さらにそのためには正社員の 『流動性』 を高める必要がある。
 第一に必要なのは、ルール化された金銭補償で正社員を解雇することを可能にする 『解雇の金銭解決ルール』 制定だろう。
企業の側では予測可能なコストで解雇できるので、需要の変動にも、また採用の失敗の可能性に対しても、これまでよりも積極的にリスクを取って、正社員を雇うことができるようになる。」
「ところで、個人の処遇は、企業と社員が、個別の交渉で決めていいのではないだろうか。業績・成果・経験・能力・人材の将来的な可能性・人材の確保など、企業側が社員の報酬を決める際に考慮したい要素は多数ある。ガイドラインにあるように、同じ業績・成果に対しては同じ処遇でなければならないことをルールで縛ると、柔軟な契約がしにくくなって、企業も社員も不利益を受ける可能性がある。
 企業と社員が個別に報酬を決定する際に、企業は社員に対して納得的な基準を提示する必要が生じるが、この場合に、一番分かりやすいのが 『同一労働同一賃金』 的な考え方をベースとすることだ。
 正社員 (ガイドラインでは 「無期雇用フルタイム労働者」) と非正規労働者の処遇を近づけることよりも、理想を言うなら、全労働者を一定の補償の下に解雇ができる現在よりも流動的な 『正社員』 として一律に扱うようにできれば、雇用形態の違いによる差を気にする必要がなくなる。
 また、全ての正社員の雇用と報酬が柔軟に調整できるようになると、企業にとっても、社員にとっても、よりフェアで効率的な仕事の進め方が可能になるだろう。」

 使用者の願望が先走った本音がストレートに主張されています。「同じ業績・成果に対しては同じ処遇でなければならないことをルールで縛ると、柔軟な契約がしにくくなって、企業も社員も不利益を受ける可能性がある」 はあまりにも乱暴です。
 労働組合との集団的労働契約を破棄して個別交渉にし、納得的な基準を提示するのが一番分かりやすい 「同一労働同一賃金」 的な考えだといいます。そして正規労働者を雇用するのはリスクが大きいので雇用の 「流動性」 を推進するために 「解雇の金銭解決ルール」 制定を急げという主張です。
 企業の社会的責任、労働者保護・生活保障という視点がまったくありません。そのような企業が労働者を大切にすることはありません。


 「同一労働同一賃金」 の議論に 「ホワイトカラー・エグゼンプション」 や 「解雇の金銭解決ルール」 が登場しています。「実効性がない」 指針に実効性を持たせるためと称して今後このような議論が進みかねません。
 しかし、議論の中に労働組合の主張がまったく聞こえてきません。労働組合は非正規労働者の声を聞き、一緒によりよい 「同一労働同一賃金」 を実現させるために具体的行動を進めていかなければなりません。


   「活動報告」 2016.12.6
   「活動報告」 2016.12.2
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