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顧客至上主義的な対応をすることが正しい事ではない
2017/10/06(Fri)
 10月6日 (金)

 9月、UAゼンセン流通部門は、『悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン』 を策定しました。流通部門は組織する組合は500を超え、約100万人の組合員を組織し、スーパーマーケット部会、GMS部会、百貨店部会などをかかえています。運動方針の主な政策・取り組みのなかに 「悪質クレーム問題への対応」 も掲げています。ガイドラインを紹介します。
 「はじめに」 です。
「……近年、報道等で様々な団体が謝罪している場面を数多く見かけるようになり、日常的に消費者から店舗で謝罪要求を受けるようになっている。また、消費者の不当な要求を受け日常の仕事に支障が生じ、流通・サービス業に従事する労働者に大きなストレスを与える事例が後を絶たない。消費者からの不当な要求は、ハラスメントの新しい領域としても社会的な問題となっている。
 私たちの産業は、顧客第一主義を大原則に掲げ、消費者の行動は常に正しいとの認識が強く、消費者からの意見に対しては不当なものであっても耐えなければならない風潮がある。そしてこのことが社会的にもモンスター化する消費者を助長させることで悪影響を及ぼしているといえる。さらに、流通・サービス産業はそのことから起因していると考えられる退職者の増加、接客対応の難しさから働く仕事として敬遠される傾向にある。
 ……消費者も従業員もお互いが共に尊敬される存在であり、健全で対等な関係をつくるためにはお客様は決して神様ではないことを認識すべきである。産業の魅力を向上させていくためには、このような悪質クレームに対して毅然として対応をとっていくことが必要であり、サービス産業で働く者を守ることにもつながる。」
 切実さが伝わってきます。苦痛をともなっていてはいいサービスは提供できません。労働者はお互いが共に尊敬される存在であることを期待しています。

 悪質クレームに関する現状です。
「クレームの傾向
 クレームの特徴としては一つ目に高学歴、高所得、といった社会階層が高い方のクレームが多くみられる。この層は、自尊心が高く、完全主義的な傾向が強い方が多いことから起因しており、『謝罪文を出せ!』 『社長を呼べ』 などの要求をすることが多くなっている。二つ目には、そもそも社会的な不満が高い階層の方がおり、日常のストレスをサービス業に従事する従業員にむける傾向があり、接客に関するいいがかり的なクレームや大きな声を上げて怒鳴る行為をとる傾向がある。
 このことは、集団主義的文化の消費者よりも個人主義文化の消費者が増えてきている象徴であり、背景には、格差社会の拡大といった社会問題も大きく含んでいるといえる。」 (関西大学社会学部社会学科 池内祐美教授 講演内容)

 従業員が理不尽で過剰な対応を強いられている典型例です。
 (ア) 社長をだせ、責任者を呼べ、上の者を出せのリピート
 (イ) 対応の悪さを執拗に指摘
 (ウ) 不快感を晴らすために、叶いそうにない要求をあえてストレートに主張
 (エ) 文章をよこせ、一筆入れろとの要求
 (オ) 長時間の監禁
 (カ) 普通の顧客なら受け入れる対応を拒絶しつづける

 労働者の精神衛生上の問題です。
「……しかしながら、トラブルが発生してしまった場合に、従業員がお客様に対して過度に責任を大きく感じてしまったり、無理して対応を続けるあまり、従業員の疲弊が高まる傾向が強く、仕事のストレス要因であると考えられる。日常の場合でいえば、レジ打ちの際に急いでいるお客様から時間的なプレッシャーを感じたり、商品等に対するクレームや過度な (特に理不尽な) 要求に対して対応を迫られたりする場合などである。従って、小売業におけるメンタルヘルス対策では、これまで多くの職業性ストレス研究で問題とされてきた様々な職業性ストレス要因に加え、時間的プレッシャーや労働者での負担などにも考慮して対応していくことが大切と思われる。」 (平成22年 厚労省 小売業におけるストレス対策への支援)
 悪質クレームによる企業損失です。
「企業においても悪質クレームに対して迅速かつ適切な対応が図られなければ、通常のお客様へのサービス低下が起こり、他の顧客に迷惑をかける事態にも発展し、さらに、従業員が大きなストレスを受ける職場であれば離職率の増加や人材が集まらない事態に陥る危険もある。」
 しかし、企業ごとに対応の違いがあります。
「クレーム対応については企業ごとに大きく違っており、従業員が行うクレームへの対応は大きく違っている。ある企業では、一定の要求レベルをこえる悪質クレームとして毅然と対応している企業もあれば、あくまでも顧客至上主義の中で 『お客様へは、納得いくまで対応する』 という基準をもうけている企業もある。こうした企業の対応の格差が悪質クレームの温床になりかねなく、産業全体への影響もありえる状況である。悪質なクレームに対しては毅然とした対応を図る産業全体の姿勢と、悪質クレーム対応の最低基準が必要であり、業界全体として認識を一つにしていくことが必要である。」
 「お客様へは、納得いくまで対応する」 のような対応は労働者の正義感を否定して受け入れ、自己をコントロールできなくなり、感情と行為の “乖離” をもたらします。また周囲の客にとってもクレーマーの行為は雰囲気を壊します。悪質なクレーマーを排除しても売り上げに大きな影響はでません。そのかわりに他の客へのサービス時間が増えるというリスク管理につながります。


 悪質クレームに関する課題です。
「……いつでも顧客至上主義的な対応をすることが正しい事ではないことを共通の認識にしていく必要がある。
 さらに、販売責任・製造者責任はあるものの、『消費者の選択した責任』 については強く保護される立場にあり、責任が偏っていることへの是正も必要であると考える。」
 しかし、企業側の対応の遅れもあります。
「企業側がクレームに対して慎重になる原因として、インターネットの普及により企業不祥事が一気に広まることへの警戒があげられる。拡大した情報がブランドを損なうことにつながれば顧客離れをおこし営業成績を下げる要因になりかねないとの考えが根強くなっており、消費者側が不当な要求をしているにも関わらず過剰な対応につながる傾向があり、対応が長期化し従業員のストレスが大きくなり生産性にも影響がでてくる。」
 しかし、クレームだけでなく無責任なインターネットへの書き込みに対応する手段はありません。別の手段でそれ以上の評価を得ることに力を注ぐ方がさきです。
 そこには悪質クレームの定義が存在しない、判断が困難なという問題があります。
「クレームの対応の難しさは、悪質クレームの明確な基準がないことがあげられる。……実際には厳格な対応が難しい環境にある。そのことが企業の対応に差異がうまれ、対応の難しさにつながっていることは否めない。一方、企業が自主的に判断基準を設定することは差し支えなく、悪質なクレームに対しては毅然とした対応をするための基準の策定には大きな効果を望める。一企業ではなく、業界全体としての基準作りをしていくことでより効果も大きくなっていく。」


 課題を解決するための企業の基本姿勢です。
 (1) 悪質クレームの定義と判断基準を明確にします。
「現場レベルでクレーム対応の判断ができるように悪質クレームの定義を明確にするのと同時に企業内で対応の考えを統一する。そのうえで、クレーム事例からクレームを類型ごとにまとめ、該当クレームごとに対応内容の基準を作成し、適正に対応できるように整理を行う。」
 (2) 企業は事前の啓蒙・教育を行います。
「企業は従業員に対して、悪質クレーム対策についての教育を実施し、従業員が過度に対応しないように考え方や対応を徹底していく。」
 (3) 毅然とした態度を示します。
「顧客至上主義の行き過ぎを見直し……『社会通念上受け入れられないことは、きちんと断る』 という毅然とした態度が必要である。企業は、従業員の保護、または業務に支障をきたさないためにも悪質クレームに対して判断基準を設け、早い段階で対応していく。」


悪質クレームの定義についてです。
「……悪質クレームに対応するのは現場の従業員であって、その従業員がじっさいの目の前の事態に対応するには、複雑な定義は不要であり、悪質クレームの定義については理解しやすい簡易なものが求められる。そこで、社会常識を大きく超える迷惑な要求者というものが業界の悪質クレームの定義として共通な認識になるだろう。一方で、悪質クレームの中には要求の内容自体には問題がないものの要求態度に問題がある場合や、反対に要求態度には問題がないものの要求内容が受け入れられない場合や、これらの複合型の場合などさまざまな類型が考えられる。これらのすべての類型を悪質クレームの範疇に含める定義がもとめられる。以上を考えたところによれば、悪質クレームとは『要求内容、又は、要求態度が社会通念に照らして著しく不相当であるクレーム』とするのが適切である。」


 企業としては、対策が必要です。
 (1) クレームが発生しないような予防策を講じることが重要です。予防策の効果が大きいと考えら
 れる方法が教育・研修の実施です。
 (2) 企業として悪質クレームには毅然とした対応方針を明確に打ち出すことが重要です。企業が、
 職場で働く者の後ろ盾となり、お客様と接する際の安心感を高めることが最大の効果をもたらす
 ものとして期待できます

 (3)クレーム事案の発生、被害拡大、再発などの防止に対しては 「ミスは起り得る」 との認識に立ち、
 クレーム情報を一元的に管理するため、報告 (連絡) の徹底を指導します。
 (4)クレーム対応は発生した内容と、種々の分類により変化することを認識し、業務に必要な
 知識等の研鑽に努めるとともに、顧客に応じた適切な措置が取れるような判断能力などの
 向上を図ります。
 (5)相談窓口を設置し、クレーム対応業務には様々な専門知識と豊富な見識を持ち、さらには対応
 感度の高い人材を配置することが望まれます。一人で対応しきれない悪質クレーマーに遭遇した
 場合など、精神が疲弊する前に担当者を交代することも時には必要であり、担当者を孤立させない
 ことが企業としても重要です。
 (6)日常で起こっているクレームの対応について、社内での情報交換や他企業の対応の研究といった
 勉強会をしていくことが、対応レベルのスキル向上に大きく貢献します。
 (7)特に店舗においては、地域行政・警察・保険所など関係各所とのコミュニケーションを日常的に
 行い、クレーム発生時には相談できる体制をつくり迅速な対応ができるようにしておく。


 現場で起きている切実な問題に、UAゼンセン流通部門の取り組みを示しながら社会全体での取り組みになるよ運動を進めていく必要があります。
 5月19日から開催されている 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 においてもこの内容をふまえた議論が行われることを期待します。

   「活動報告」 2017.9.29
   「活動報告」 2017.7.14
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小池知事の表明はサイレンスのヘイトスピーチ
2017/08/29(Tue)
 8月29日 (火)

 毎年10月下旬から11月上旬に秩父困民党蜂起の足跡を追う旅・ツアーに車で出かけます。
 東京から秩父に向かうには関越高速道路に乗りますが、このルートは旧中山道・JR高崎線に沿っています。1923年9月1日に発生した関東大震災の時に朝鮮人が避難したルートでもあります。
 関東大震災の時、流言飛語が飛び交い、たくさんの朝鮮人が虐殺されました。中国人、沖縄人も殺されました。虐殺は横浜から始まり、東京、千葉、埼玉へと広がっていきます。同時に住民のなかに自警団が結成されます。東京で大杉栄は自警団に加わっていましたがのちに警察に殺されます。

 中山道にそった関東大震災の時の朝鮮人虐殺の状況です。
 流言のなかで、埼玉県警は県南に住んでいたり、荒川の河川工事に従事していた朝鮮人、東京から県南方向に避難してくる朝鮮人をまとめて群馬方面に護送することにします。最初は警察や自警団が付き添って徒歩や自動車で中山道を下ったりしました。しかし県北まできた時に自警団の一部と群集が朝鮮虐殺に走ります。9月4日、県内3か所で虐殺事件が起きます。熊谷約60人、神保原42人、本庄88人です。
 寄居でも1人虐殺されます。朝鮮アメを売り歩いていた具学永 (クハクヨン) は寄居警察署に保護されましたが群衆に襲われ虐殺されます。虐殺の時、具学永は血で 「無罪 日本 責任」 と書きました。お墓は寄居駅近くの正樹院に建っています。戒名は 「感天愁雨信士」。毎年9月1日が近づくと寄居署の警察官は保護できなかった責任を感じてお参りに訪れるといいます。いつもきれいに掃除されています。何度か訪れ、持参したお線香を焚きました。

 児玉でも1人虐殺されました。浄眼寺 (本庄市児玉町八幡山375) の無縁仏のなかに 「鮮覚悟道信士」 があります。後に 「児玉警察署員一同」 で供養塔が建てられました。持参したお線香を焚きました。
 現在の本庄市歴史民俗博物館 (本庄市中央1丁目2-3) は旧本庄警察署です。署員は避難してきた朝鮮人を保護していました。群衆が押し寄せたので玄関に阻止戦を張って守ろうとしましたが多勢に無勢でかないませんでした。日本刀、竹槍、木刀、棍棒、丸太等で朝鮮人88人が虐殺されました。遺骨は共同墓地・長峰墓地 (本庄市東台5丁目) に埋葬されました。翌年に日本人によって 『鮮人之碑』 の慰霊碑が建てられましたがのちに 『関東震災朝鮮人犠牲者慰霊碑』 に建て替えられました。碑には88人の名前が刻まれています。博物館を訪れ、当時の様子を想像しました。
 熊谷では避難を続けていた60人が路上で虐殺されます。この時から埼玉での虐殺が始まります。大原共同墓地には供養塔が建っています。
 妻沼町では、足尾銅山で働いていた秋田県生まれの青年労働者が、東京に出て仕事をしようとたまたま山を下りてきて、利根川を渡って妻沼町に入ったところ、利根川の橋を警備していた自警団によって東北訛りの発音から朝鮮人と間違えられ、虐殺されました。


 神奈川警察署鶴見分署長の大川常吉は、自警団や群衆から殺害されるおそれのあった朝鮮人・中国人らを署に保護しました。1000人以上の自警団らが署を囲み朝鮮人を殺せと叫びます。大川は群衆を説得するが、群衆は朝鮮人に味方する警察を叩き潰せと騒ぎ立てはじめます。大川は群衆の前に立ちはだかり叫びます。
「鮮人に手を下すなら下してみよ、憚 (はばか) り乍ら大川常吉が引き受ける、この大川から先きに片付けた上にしろ、われわれ署員の腕の続く限りは、1人だって君たちの手に渡さないぞ」
 群衆は警察が管理できずに朝鮮人が逃げた場合、どう責任をとるのかと問います。大川は、その場合は切腹して詫びると答えると、そこまで言うならと群衆は引き下がりました。
 横浜市鶴見区潮田町3-144-2にある東漸寺に大川を顕彰する石碑が1953年に在日朝鮮統一民主戦線により建立されました。

 東京の各警察署も朝鮮人を保護し、警察官は身体を張って群衆の暴行や虐殺を止めさせようとしました。
 もし、このような警察官の行動がなかったら虐殺者数は今公表されている6000人ではなく万を超えたでしょう。
 民間人としては、弁護士の布施辰治は自宅に大勢の朝鮮人をかくまいました。


 8月24日、東京都の小池都知事は、歴代の都知事が市民団体などの主催する関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式に都知事名の追悼文を送らない方針を決めたことが明らかになりました。その理由を担当する都建設局は 「毎年9月1日に都慰霊協会の主催で関東大震災の犠牲者全体を追悼する行事があり、知事が追悼の辞を寄せている。個々の追悼行事への対応はやめることにした」 と説明しました。
 虐殺された人朝鮮人、中国人は関東大震災で亡くなったのではありません。デマに煽られた警察官や自警団などによって虐殺されたのです。自然災害と虐殺を一緒に捉えることはできません。虐殺された人たちへの追悼は、同じ歴史をくり返さないという自戒の誓いを込めたものです。小池都知事はそれを拒否したのです。
 行政の長としては、群衆の暴挙を防いだ警察官の活動も忘れずに顕彰をする続けることも大切です。

 今年は秋が早いです。

   幽霊の 正体みたり 枯れ尾花

 小池都知事はそもそも隠しようのないタカ派の人物です。知事に就任してからは、他者を批判はするが自分としては必要な判断をあいまいにしたまま先延ばしをします。しかし今回はさすが判断が早いです。
 あいまいさに期待を持たせてポピュリスムをふりまく幽霊の正体を露呈させたのが今回の判断でした。このような知事の進める都政は、富まない都民にとっては恐怖と枯れ尾花の廃墟しかもたらしません。

 小池知事は虐殺された人たちを自然災害の犠牲者と同じにしか見ていません。そもそも、なぜ当時多くの朝鮮人が日本にいたのかと検証することもしません。
「無視、もしくは無言の拒否というやりかたで、人は途方もなく恐ろしい差別をする。侮蔑的な発言をしたとか、侮蔑的な文章を配ったり貼ったりしたとか、そうしたわかりやすい差別行為とは別次元の、底なしの沼のような差別である。」 (高山文彦著 『生き抜け、長崎の被差別部落とキリシタン その日のために』 解放出版)
 あったことを無視することでないと言いくるめる手法です。小池知事の表明は間接的、サイレンスのヘイトスピーチです。

 
 なぜ朝鮮人の虐殺が起こったのでしょうか。虐殺者の数は6000人にのぼると言われています。
 関東大震災が発生すると1日の午後には 「不逞鮮人」 への流言飛語が飛び交い始めます。
 2日、山本内閣は戒厳令を出します。
 3日、内務省警保局長が各地方長官あて、「朝鮮人暴動に対する厳重な警戒を要する」 と指示します。各地に自警団が結成されます。

 10年の日韓併合は日本による朝鮮の植民地化です。土地調査により所有者が不明な土地は没収すると称して土地を奪い、人びとを路頭に惑わせました。その人たちが日本に渡って各地に住み着いていました。
 18年、全国で米騒動が起きます。シベリア出兵という国策が打ち出されていた時に、全国規模で群衆が国策に異議を打ち出した行動でした。
 19年3月1日、日韓併合に反対して朝鮮全土で独立運動が起きました。運動を鎮圧するために日本政府は残虐な行為を繰り返しました。当時の朝鮮総督府政務総監が水野錬太郎、朝鮮の警務総監が赤池濃、朝鮮の一九師団の師団長が石光真臣でした。
大震災の時、内務大臣が水野、警視総監が赤池、第一師団長が石光でした。
 だから震災が起きると、この機を利用して日韓併合に不満を持ち、3、1の鎮圧に抗議する朝鮮人が暴動をおこすだろうと勝手に連想したのです。政府も軍隊も自分らが行った行為が反撃を受けると恐怖に襲われていたのです。そのため異分子を先に抹殺することでしか自分らの安心を保障できないのです。
 そして民衆の政府に対する不満と不安のはけ口を朝鮮の人たちに向けさせたのです。
 20年、民心の動向を把握するため日本ではじめて国勢調査が実施されました。米騒動の後、検察は警察と一体となるべき民間組織を作り上げていきます。この頃から互助組織の社会が破壊され、縦型の組織に再編されていきます。自警団はまさにそのような組織です。


 9月6日、千葉県東葛郡福田村 (現野田市) では、香川県三富郡の被差別部落から行商に来ていた一行15人が船で利根川を渡って茨城県に行くため渡し船に乗ろうとしていて船頭と言い合いになりました。船頭が 「どうもお前たちの言葉づかいが日本人でないように思うが、朝鮮人と違うか」 と言い出しました。半鐘が鳴らされ、自警団が押し寄せると 「君が代を歌え」 「15銭50銭と言ってみろ」 と迫ったりします。このような中で9人が虐殺されます。「福田村事件」 です。
 襲った側は8人が逮捕されました。田中村では各戸から弁護費用のための金を集めます。結局は昭和天皇の即位で恩赦になります。その後、中心人物は後に村長に。
 この事件は隠され続けました。事件現場近くの円福寺・大利根霊園内に慰霊碑が建立されたのは2003年9月6日です。
 そして甘粕事件、亀戸事件と続きます。


 まだまだ隠されている事件があると思われます。追悼は忘れることなく過ちを繰り返さないという未来への誓いです。事実の発掘は未来への警鐘です。

   「活動報告」 2013.9.3
   「活動報告」 2011.9.6
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「部外職場暴力」 に早急な対策を
2017/07/14(Fri)
 7月14日 (金)

 厚労省で5月19日から 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 が開催されています。
 開催趣旨です。
 「近年、都道府県労働局において、職場における 『いじめ・嫌がらせ』 の相談件数が増加しているなど、職場のパワーハラスメントが大きな問題となっており、働く方々が健康で意欲を持って働くためには、労働時間管理 やメンタルヘルス対策だけではなく、職場のパワーハラスメントを防止する必要がある。こうした中で、働き方改革実行計画 (平成29年3月28日働き方改革実現会議決定) において、『職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。』 こととされた。これを受け、有識者と労使関係者からなる検討会を開催し、実効性の ある職場のパワーハラスメント防止対策について、検討を行う。」
 検討事項です。
「(1) 職場のパワーハラスメントの実態や課題の把握
 (2) 職場のパワーハラスメント防止を強化するための方策
 (3) その他」
 第1回検討会は委員全員が意見を述べました。そのなから特徴的意見を紹介します。
 連合東京副事務局長内村委員です。
「この検討会の中では、基本的には防止をしていこうということが大きなテーマだと思いますが、たくさんの事例がやはりあります。先ほどから出ている中身にもありますが、最近では特に多くなってきているのは評価です。要するに、人事評価などできちんとした評価がされない、これもいわゆるパワハラではないかというようなことも含めてです。何かちょっとしたことがきっかけで、上司の考えていることと違うことを発言したことがきっかけで、いきなり対応が変わるというケースなど、いろいろなケースがありますので、その現場の声というか、働いている労働者の声を、労働者の代表として、これからこの検討会の中で発言をしていけたらいいなと思っております。」

 7月4日の 「活動報告」 で触れましたが、労働政策研究・研修機構は2011年度に全国の都道府県労働局にあっせん申請がおこなわれた 「いじめ・嫌がらせ」 の事案284件を調査して2015年6月に報告書 「職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメントの実態 -個別労働紛争解決制度における2011年度のあっせん事案を対象に-」 を発表しました。
 そのなかに、厚生労働省はパワハラの概念規定・定義を行い 「職場のパワーハラスメントの行為類型」 を6類型の示しましたがそれらには含まれない 「経済的な攻撃」 の類型を挙げています。
 最近、人事評価において規定・規則に則さないで、指導・教育という名目で労働者のプライドを傷つけて退職強要に追いやる手法が横行していいます。まさしく 「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」 職場のパワーハラスメントそのものです。

 UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの浜田委員です。
「介護の現場の、ヘルパーさんであるとかケアマネさんの労働組合です。……
 また、概念とか定義からすると少し外れてはしまうのですが、現場ではパワハラだろうがセクハラだろうが、嫌なこと、困ったことなどいろいろな相談がくるのですが、その中には実は、特に流通とか介護の現場では多いのですが、顧客であるとか、利用者家族からのハラスメントも実は無視できない状態です。例えば、しばらく前に有名になりました、土下座をさせられるであるとか、大声で長時間叱責されることもあったり、介護現場では、家族の方からの叱責があったりであるとか、いろいろな問題があるのです。実は、相談を受ける側としては、やはり労働者を守るという意味では無視できない実態が実はあるのだということです。この一定程度進まないという部分を、これまでの取組の延長線上で現状を変えられるかということを考えますと、一定程度存在するパワハラ防止対策が進まない企業を、もう少しこの検討会では、今後の法整備に向けた、これまでよりもステップアップした対応についての議論が必要ではないかと考えております。」

 第2回検討会に資料として公益財団法人介護労働安定センター作成の 「介護労働者が過去1年間に受けた利用者からのセクハラ・暴力等の経験」 が提出されました。訪問系8.332人、施設系 (入所型) 4.888人、施設系 (通所型) 6.525人への調査結果です。
 それによると、暴言 (直接的な言葉の暴力) は、訪問系21.0%、施設系 (入所型) 39.8%、施設系 (通所型) 22.3%、利用者から介護保険以外のサービスを求められたは、訪問系27.5%、施設系 (入所型) 5.2%、施設系 (通所型) 12.3%、暴力は訪問系5.6%、施設系 (入所型) 32.1%、施設系 (通所型) 12.5%、セクハラ (性的嫌がらせ) は、訪問系8.0%、施設系 (入所型) 9.0%、施設系 (通所型) 10.8%、家族から介護保険以外のサービスを求められたは、訪問系14.5%、施設系 (入所型) 3.9%、施設系 (通所型) 6.2%が経験しています。
 労働者の安全が脅かされた、放置できない深刻な問題が存在します。


 利用者からのセクハラ・暴力等のようないわゆる 「部外職場暴力」 ・第三者からの暴力については、実は、11年7月8日から開始された 「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」 の第1回においても問題提起がおこなわれました。
 ブールミッシュ代表取締役社長の吉田委員の発言です。
「……これらとはまた別に、私どもが今、一番悩んでいるのは、お客様による私どものスタッフへのいじめ・嫌がらせと言いましょうか、これは新しい切り口だと思います。日々、いろいろな方に接しておりますと、言葉は悪いですが、やや粗暴な方などがいらっしゃるんですね。でも、そういった方たちは割と扱いやすいと言ったら語弊がありますが、ガス抜きすると大体終わります。
 一番困ってしまうのは、……おばちゃま、……これも嫌がらせと言うか、パワハラと言いましょうか、物事を上から目線で見たときに必ず起きますね。私は客よ。何、今の言葉遣いは。お宅様のお嬢様はいかがでしょうと聞きたくなる場合もあるんですけれども、そんなことを言ったらえらいことになってしまいますから、これも本当に大変な問題です。」

 しかし2012年3月15日に発表された 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」 (「提言」) ではとりあげられていませんでした。

  「部外職場暴力」 ・第三者からの暴力についてはILOなどでは 「職場の暴力」 (Violence at work) として、韓国では 「感情労働」 としてかなり前から議論が積み重ねられています。
 2010年9月30日欧州社会対話は 「労働に関連した第三者暴力及びハラスメントに対処するための他部門ガイドライン」 を締結しました。そのなかで第三者暴力の形態を示しています。
「4.労働関連第三者暴力及びハラスメントは、多くの形態をもつ場合がある。それには以下である可能性がある。
 a) 身体的、精神的、口頭によるもの及び/または性的なものである。
 b) 個人または集団による一度限りの事象またはより系統的なふるまいのパターンである。
 c) 依頼人、顧客、患者、サービス利用者、生徒または親、一般の人、またはサービス提供者の行動
  またはたちふるまいから生じる。
 d) 失礼な事例から、より深刻な脅迫や身体的襲撃にまで及ぶ。
 e) メンタルヘルス問題から、および/または、感情的理由、個人的好き嫌い、性差、人種/民族、
  宗教や信念、障害、年齢、性的思考または身体のイメージにもとづく偏見に動機づけられて生じる。
 f) 組織されたまたは機械的なものかもしれず、または公的機関による介入を必要とするかもしれない
  労働者及び彼・彼女の評判または労働者や顧客の財産を狙った刑事犯罪を構成する。
 g) 被害者の個性、尊厳及び人格に深い影響を与える。
 h) 職場、公共の場所または私的な環境で起こり、かつ、労働に関連している。
 i) 幅広い情報及びコミュニケーション技術を通じたサイバーいじめ/サイバーハラスメントとして。
  起こる。」 (全国労働安全衛生センター発行 『安全センター情報』 2012年4月号)

 日本でも、サービス部門だけでなく災鉄道部門、医療関連部門そして行政機関の窓口で事件が発生しています。しかし対策は遅れています。
 では、実際に 「部外職場暴力」 に直面した時、労働者や周囲の者はどう対応したらいいでしょうか。
 対策は、ILOや韓国のサービス連盟が具体的に提案していますが、労働者・消費者・政府・企業それぞれの役割があります。クレームや攻撃は起こることを前提に対策を取る必要があります。
 まず企業・使用者は、トップから労働者を守る姿勢をはっきり示す必要があります。最終的責任はトップが負うというアピールが必要です。そのうえでトラブルが発生した時のサポーター体制を確立しておくことが必要です。ましてやそこでのトラブルを評価の対象にしないことが必要です。そうすると労働者は安心して対応できます。これは厚生労働省の 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」 (「提言」) と同じです。
 しつこいクレーマー等にははっきりと 「業務妨害」、「暴力」 であると提示し、企業・使用者は労働者に、顧客との対応を拒否する決定権限を与えることが必要です。
 韓国で 「感情労働者に不当要求拒絶、謝らない権利を付与せよ」 を遂行することの一番の効果は、労働者の尊厳を守り、心身の安全を守り、労働環境が改善されることです。
 クレーマーは一歩譲歩すると二歩付け込んできます。クレーマーの顧客が減っても企業の売上高は大きく減少しません。むしろクレーマーに対応している時間はチャンスロスが発生しています。

 そのうえで労働者は、心構えが必要です。
 ・自分に向けられたものだとは思い過ぎない。
 ・相手の社会に対する不満がたまたま自分に向けられていると理解する。
 ・相手の感情に巻き込まれない。弁解しない。その方が早く終了する。
 ・後で誰かにその時の状況を、感情を含めて話して聞いてもらう。
 ・終了したら休息をとる。
 ・体験を共有化する。

 職場のトラブルが治まったからといって解決したということではありません。対応した職員へのいわれのない攻撃、正義感、価値観、自尊心への攻撃は放置したら傷は癒えません。労働者としての誇り、労働の誇り、喜びを奪われます。身体的打撃を受けた場合はトラウマに襲われて労働が恐怖になることもあります。有能な労働者を失うことになります。
 職場や上司は安全を確保された1人きりになれる空間で、十分な時間を確保して心の整理をするための休養を保障する必要があります。
 人格の回復のための心のケア、同僚等の支援が必要です。労働者の言い分を聞き直し、恐怖心を吐露させ、対応の正当性を共有しあって回復に向かわせる必要があります。
 そして職場として発生した問題をとらえ返した整理し、今後の対策を確認します。


 「部外職場暴力」 の実態は早急に対策が必要な状況になっています。
 現在開催されている 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 では、この問題についても踏み込んだ議論を行なってほしいと思います。

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ヘイトスピーチ  「許されなくてもいいから二度としないと決めてほしい」
2017/06/20(Tue)
 6月20日 (火)

 ヘイトスピーチ対策法が公布・施行されてから6月3日で1年が経ちました。正式名称は 「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」 です。日本で初めて人種差別解消を目的とする法律です。
 目的は、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進すること」 です。
 ヘイトスピーチの定義は、「専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの (以下この条において 「本邦外出身者」 という。) に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」 です。
 そしてヘイトスピーチは 「許されない」 と宣言し、国に相談体制の整備などを通じて差別的言動の解消に取り組む責務を、地方自治体には努力義務を課しています。憲法が保障する表現の自由に配慮して、罰則や禁止規定は設けていません。
 自治体がデモや集会のための公共施設の利用を認めるかどうかを判断する指針の1つになります。

 法務省はどんな表現がヘイトスピーチにあたるか具体例を 「参考資料」 にまとめて自治体に示しています。
 典型的な例です。「脅迫的言動」 として 「○○人は殺せ」 「○○人を海に投げ入れろ」、「著しく侮蔑する言動」 として 「特定の国・地域の出身者について 『ゴキブリ』 などの昆虫、動物、物に例える。このほか、隠語や略語が用いられたり、一部を伏字にしたりするケースもある」、「地域社会から排除することを扇動する言動」 として 「○○人はこの町から出て行け」 「○○人は祖国に帰れ」 「○○人は強制送還すべきだ」 などです。その上で、背景や前後の文脈などの諸事情によって 「どのような意味が含まれる言動か考慮する必要がある」 としています。

 成果も出ています。
 大阪市は昨年7月1日にヘイトスピーチの抑止を目的とする大阪市条例を施行しました。これまでに申し立てなどがおこなわれた27件が有識者の審査会に諮問されています。内訳は市民らからの申し立てが21件、6件は情報提供を受けた市が職権で諮問しました。そのうちの4件がヘイトスピーチと認定され、審査途中で取り下げられた1件を除く22件が審査中です。
 審査会の開催ペースは月1回です。認定された4件は、事実確認や申し出人の意見陳述、デモなどの主催者からの意見書提出などを受けた審査に9~11カ月かかっています。迅速化が課題になっています。また、通信の秘密や個人情報保護が壁となり、行為者の特定には至っていません。
 川崎ではヘイトスピーチに反対するカウンターデモなどがおこなわれ 「共に生きる町」 づくりがおこなわれています。


 しかし、法の 「本邦外出身者」 という定義は限界がでています。例えば、昨年10月、沖縄・高江で大阪府警の機動隊員が米軍ヘリパッド建設に抗議する市民に、「どこつかんどるんじゃ、ぼけ、土人が」 と発言したことが報道され、当該の機動隊員も認めました。これに対して大阪府の松井知事はツイッターに 「ネットで映像を見ましたが、表現が不適切だったとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたことがわかりました。出張ご苦労様。」 と書き込みました。さらに 「差別と断定できない」 とする閣僚の発言を閣議決定で支持しました。
 ヘイトスピーチは、沖縄の人びとやアイヌ民族、国内のマイノリティーなどにたいしては容認されている状況があります。人権保護法にはなっていません。

 3月30日の.BuzzFeed Japan.は 「照ノ富士への 『モンゴル帰れ』 に広がる波紋」 の見出し記事を載せています。
「3月26日、スポーツ報知はウェブサイトでこんな見出しの記事を配信した (現時点で見出しは変わっている)。
 『照ノ富士、変化で王手も大ブーイング! 「モンゴル帰れ」』
 記事によると、優勝を争う照ノ富士が立ち合いで変化し、はたき込みで琴奨菊を破った際、観客から飛んだ 『ブーイング』 を見出しにして報じたものだ。
 この後、土俵にあがった同じモンゴル出身の横綱日馬富士は場内の雰囲気をこう表現している。
 『照ノ富士へのブーイングが止まらず 「オレが土俵に上がってるのに、すごい言葉を言ってくるから」 と戸惑った』
 『相撲を取るどころじゃなかった。集中してるけど耳に入ってしまう。次の一番に集中してる人のことも考えてほしい。大けがにもつながるから』 (日刊スポーツより)」
 「日本人横綱」 などの合唱は排除を期待する間接的ヘイトスピーチです。ヘイトスピーチは、無意識のうちに本音が登場し、いつのまにか危険に転化ていきます。

 また適用範囲も差別的言動に限られています。それ以外の人種差別、例えば就職差別や、入居差別などの差別的取り扱いは対象外です。基本的人権、人格権の本質的捉え返しがおこなわれていません。
 基本的人権、人格権は表現の自由に勝るものです。配慮は基本的人権、人格権を否定することです。今後、人種差別解消を目的とするヘイトスピーチ法をより実効性の高いものに、そしてあらゆる人種差別撤廃、人権保護を対象にしたものに変えていく必要があります。


 6月2日の毎日新聞に、証言 「ヘイトスピーチ 『失うものばかり』 後悔の元 『突撃隊長』」 の見出し記事が載りました。抜粋します。
「12年、ヘイトデモは代表的なコリアンタウンである東京都新宿区の新大久保でも行われるようになった。常連参加者が 『お散歩』 と称し、店舗や買い物客に罵声を浴びせながら練り歩く。ある時、地域住民や商店を攻撃することに抵抗感を覚え、メンバーに 『まずいんじゃないか』 と話した。すると 『敵の味方をしやがって』 『裏切り者、スパイ』 と糾弾された。
 週末のデモに月2回程度参加するうち、友人が増えた。デモの場が 『居場所』 となっていた。意見の対立でデモの場を失い、友人関係が終わってしまうことがひたすら怖かった。
 他のメンバーが 『過激なデモはおかしい』 と意見を述べたこともあった。男性は逆に、『あいつはスパイで情報を流しているかもしれない。気をつけろ』 『あいつは在日じゃないか』 などと吹聴し、ついにはそのメンバーを追い出してしまった。仲間に合わせないと自分が標的にされるという恐怖心がそうさせた。」

「男性はデモで過激な振る舞いができた理由について、道路使用許可とデモ隊を囲むように配置された多数の警官の存在を挙げた。『使用許可を取っているから、「表現の自由」 を盾に何を言っても許されると思っていた。デモに反対する人が迫ってきても、警察官が守ってくれるという安心感があった。自分たちが優位にいる感覚だった』」

 逮捕を契機にデモから疎遠になったことが 「カウンター側とつながっているのでは」 と疑いの目を向けられるようになり、結果的にヘイトデモのメンバーとの関係は終わります。
「男性の窮地を救ったのは、カウンター活動をする在日コリアン2世の男性 (52) だった。ツイッターでメッセージを男性に送った。『脅迫とか嫌がらせがあったらなんでも言ってこいよ』。嫌がらせに屈して、再びデモに戻らないでほしい一心だった。
 その言葉に男性は 『自分が攻撃してきた在日コリアンがなんでこんなことを言ってくれるんだろう』 と信じられない思いだった。正直、ありがたくもあり、申し訳なくもあった。この言葉をきっかけに、自身を省み始めた。どうしたら許されるのか、尋ねた。返信があった。『許してもらおうと考えるのではなく、自分が何をしてきたかを書き連ね、許されなくてもいいから二度としないと決めてほしい』」
「男性は過去の自分に向き合うため、カウンターの人たちと連絡を取り、面会した。取り返しの付かないことをしてしまい、ただただ申し訳ない、と伝えた。『してきたことを忘れないで、幸せになりなさい』 『出会いを大切にして』。掛けられた言葉に涙が頬を伝った。」

「いま、自らに課していることがある。身の回りにヘイト発言をする人がいたら注意する。そして、自分の行動が人を傷つけていないかどうかよく考える。二度と思い込みで行動しない、と。」
 差別は、差別をする側もされる側も傷つけます。差別された者の自己を喪失させ、抵抗力を奪い無力化します。 
 彼は他者の力を借りて強い人間として生まれ返ることができました。


 ヘイトスピーチは差別されている者たちが他の差別されている人たちを攻撃しているといわれたことがありました。しかし今参加しているのは 「普通の人たち」 です。
 現在の政府は小さな政府、「自己責任」 を標榜します。それに対して人びとはどのような防衛策をとることができるでしょうか。強いものに依拠することです。身近で異論を発する者は共同体を壊す危険なものとして排除しないと自分たちを防衛できないという不安が生まれてきます。危険なものに対する戦いが不安な自分たちを強いと思い込ませます。

「なぜ、アメリカ人が自分たちのアンダークラスを非難するかといえば、それは、アンダークラスが抱く夢や望む生活のモデルが、不思議なほど自分たちと似ているためである。 ピーター。タウンゼントが指摘するように、貧民を不満足な消費者という鋳型に押し込むものは消費社会の論理である。……
 あらゆるタイプの社会秩序が、そのアイデンティティを脅かす何らかの危険なもののビジョンを生み出す。それらのビジョンは、全体として、それを生み出した社会のミラーイメージとなる傾向があるのに対し、脅威のイメージはマイナスの記号を持った社会の自画像となる傾向がある。あるいは、これを精神分析の言葉に置き換えると、脅威は、社会のあり方やその手段、つまり、社会が存在し、その生存を持続させる方法をめぐる、社会自身の内部の葛藤の投影である。その存在様式を存続させる自信のない社会は、包囲された要塞のメンタリティを発達させる。その壁を取り囲む敵は自分自身であり、『内部の悪魔』 である。つまり、日常の現実を耐えられるものにするために、日常生活の 『状態』 に浸透する、抑圧されたもの、つまり、周囲全体に漂う恐怖心を、日常性から搾り出して、異質なものに成型しなければならない。人が戦ってはまた戦って、征服してしまいたいと望む有形の敵の姿に。」 (ジグムント・バウマン著 『新しい貧困』 青土社)

「(アメリカの社会学者) ハーバート・ガンスによれば、『幸福な階級が貧しい人々に対して抱く感情は、恐怖心と怒りと反発が入り混じったものだが、そのなかでも恐怖心がもっとも重要なのかもしれない』。実際そうした充満した複雑な感情は、その恐怖心が強烈で本当の意味で恐ろしいものである場合には、動機としても、政治的にも有効である。」 ( 『新しい貧困』)
 ヘイトスピーチは人びとの分断にも利用されています。

 意見がちがう他者をもお互いに認め合い、共存共生を推し進めることが安全・安心を保障します。カウンターが掲げる 「仲間じゃないか」 のスローガンこそが本物の強い社会をつくります。

   「活動報告」 2016.10.21
   「活動報告」 2016.6.3
   「活動報告」 2016.2.5
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「再発防止の取り組み」 は会社の財産になる
2017/05/23(Tue)
 5月23日 (火)

 前々回は企業調査結果、前回は従業員調査結果を紹介しました。そのなかから特徴的なことを探ってみます。

 職場のいじめの内容は社会の動向とともに変化します。
 米国の企業などで苦情処理や問題解決にあたる制度 (組織オンブズ) のオンブズパーソン協会の元会長ニコラス・ディールさんが労働政策研究・研修機構 (JILPT) の研究会でおこなた講演がJILPTの17年3月の 「フォーカス」 に 「オンブズパーソンによる職場の苦情処理と問題解決」 のタイトルで載っています。その抜粋です。
「ハラスメントは問題として新しいものなのか、それとも問題としては長い間存在していたものが、最近になって前面に出てきたものなのか。おそらく長く潜在的に問題であったものが、社会が変わっていくなかで、顕在化してきたのだと思う。」
「管理職の役割にも変化が生じてきている。紛争を解決することや部下を守ることがその責務として加わってきていると思う。歴史的にはこういった責任は少なかったのではないか。法的にもそのような責任が出てきていると思う。まだ倫理的義務という段階だが、少しずつ法的義務の方に向かっている。職場でハラスメントを解決することが管理職の役割として加わってきている。」
 このことが実感される調査報告書でした。

 企業についての調査結果です。
「パワーハラスメントが職場や企業に与える影響として当てはまるとお考えのものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問についてです。(回答4.587社)
 「職場の雰囲気が悪くなる」 93.5%、「従業員の心の健康を害する」 91.5%、「従業員が十分に能力を発揮できなくなる」 81.0%、「人材が流出してしまう」 78.9%、「職場の生産性が低下する」 67.8%などです。

 パワハラの予防・解決のための取組を実施している企業への質問です。(回答2.394社)
「貴社では、パワーハラスメントの予防に向けてどのようなことを実施していますか。(複数回答可) 貴社で取り組んでいるパワーハラスメントの予防に向けた取組のうち、効果があると実感できたものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問についてです。
 実施についてです。「相談窓口を設置した」 82.9%、「管理職を対象にパワハラについての講演や研修会を実施した」 63.4%、「就業規則などの社内規定に盛り込んだ」 61.1%、「一般社員を対象にパワハラについての講演や研修を実施した」 41.2などです。
 効果を実感できた取組です。「管理職を対象にパワーハラスメントについての講演や研修会を実施した」 74.2%、「一般社員等を対象にパワーハラスメントについての講演や研修会を実施した」 69.6%、「相談窓口を設置した」 60.6%、「再発防止のための取り組みを行った (事案の分析、再発防止の検討など)」 59.8%、「アンケート等で、社内の実態調査を行った」 59.8%、「職場におけるコミュニケーション活性化等に関する研修・講習等を実施した」 56.8%等などです。
 「一般社員を対象にした講演や研修」 は実施率は半数ですが効果は高いです。「再発防止取り組み」 は実施率は19.1%ですが効果を実感できたは59.8%になっています。
「貴社では、パワーハラスメントに悩む従業員がいるかどうか、あるいはパワーハラスメントが疑われる事案が起こっているかどうかについて、どのような形で把握していますか。(複数回答可)」 の質問です。(回答4.587社)
「人事等の社内担当部署への相談や報告で」 64.7%、「社内または社外に設置した従業員向けの相談窓口で」 52.1%、「人事考課などの定期的な面談で」 29.9%、「労働組合への相談で」 17.4%の順です。
 従業員1.000人以上の企業では、「労働組合への相談で」 が39.2%になっています。

 窓口を設置している企業への 「貴社で設置している相談窓口において、制度上対象としている相談テーマをお教えください。(複数回答可) また、従業員からの相談内容のうち、多い内容の上位2つまでをお教えください。(2つまで)」 の質問です。(会社数3.365)

 相談テーマは、「セクシュアルハラスメント」 90.9%、「パワーハラスメント」 87.0%、「メンタルヘルス」 76.2%、「コンプライアンス」 66.3%、「賃金、労働条件等の勤労条件」 47.4%の順です。
 相談の多いテーマは、「パワーハラスメント」 32.4%、「メンタルヘルス」 28.1%、「賃金、労働条件等の勤労条件」 18.2%、「セクシュアルハラスメント」 14.5%の順です。「相談はなかった」 20.4%、「無回答」 10.4%です。
 「賃金、労働条件等の勤労条件」 がかなり多いです。実は 「パワハラ」 だったり、「メンタルヘルス」 に繋がっていきます。日本の労務政策の特徴です。

「個別のパワーハラスメント事案についての実態を把握する上で課題であると感じているのは、どのようなことでしょうか。当てはまるものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問です。(会社数2288)
「被害者や加害者等の証言が一致しない」 37.1%、「加害者・ 被害者のプライバシーの確保」 34.7%、「被害者にヒアリングをするスキル、ノウハウのある人材の教育・育成」 31.8%、「被害者にヒアリングをするスキル、ノウハウのある人材の不足」 27.4%、「加害者・被害者の周囲の協力」 22.8%などです。
 「対応する人材の教育・育成」 は早急な課題になっています。そのためには他力本願ではなく、社内で経験を蓄積することが一番です。それは会社の財産です。


「パワーハラスメントに関する相談件数が増加した (または変わらなかった) 理由としてどのようなことが考えられますか。(複数回答可)」 の質問です。
 「パワーハラスメントに対する関心が高まった」 42.5%、「職務上のストレスが増加している」 41.1%、「パワーハラスメントについて相談しやすくなった」 40.9%、「就労意識の変化や価値観が多様化している」 32.5%、「職場のコミュニケーションが少ない/減っている」 32.5%の順です。
「パワーハラスメントに関する相談件数が減少した理由としてどのようなことが考えられますか。当てはまるものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問です。
 「管理職のパワーハラスメントに対する認識・理解が進んだ」 57.8%、「パワーハラスメントに対する関心が高まった」 44.3%、「職場のコミュニケーションが円滑化した」 33.6%、「経営層のパワ-ハラスメントに対する認識・理解が進んだ」 27.3%の順です。

「パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進めた結果、パワーハラスメントの予防・解決以外の効果として、どのようなことがありましたか。当てはまるものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問です。(会社数2394)
 「管理職の意識の変化によって職場環境が変わる」 43.1%、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」 35.6%、「管理職が適切なマネジメントができるようになる」 28.2%、「会社への信頼感が高まる」 27.5%、「従業員の仕事への意欲が高まる」 18.5%、「休職者・離職者の減少」 13.4%、「メンタルヘルス不調者の減少」 13.1%などです。
 取り組みはさまざまな面に効果が表れます。

「パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題、問題点としてどのようなことが考えられますか。当てはまるものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問です。(会社数4587)
 「パワーハラスメントかどうかの判断が難しい」 70.9%、「発生状況を把握することが困難」 35.6%、「管理職の意識が低い/理解不足」 30.7%、「パワーハラスメントに対応する際のプライバシーの確保が難しい」 26.7%、「適正な処罰・対処の目安がわからない」 20.6%などです。
 「パワーハラスメントかどうかの判断が難しい」 はかなり高いです。労働相談のなかでも多いです。


 従業員調査です。
「あなたの勤務先はパワーハラスメントについて、従業員に説明したり、研修等を行うなど予防・解決のための取組をしていますか。(単数回答)」 の質問です。
 「積極的に取り組んでいる」 5.6%、「取り組んでいる」 20.5%、「ほとんど取り組んでいない」 21.5%、「全く取り組んでいない」 30.1%です。従業員規模別では、1.000人以上では 「積極的に取り組んでいる」 と 「取り組んでいる」 を合わせると51.6%、300人~999人では33.3%です。
 会社と従業員との認識にずれがあります。また取り組みの対象が限定されていたりします。

「(管理職のみ) パワーハラスメントに関連して、あなたご自身が普段から気をつけたり、気にしていることはありますか。(複数回答可)」 の質問です。(回答者は874人)
 「あなた自身がパワーハラスメントと言われるようなことをしないように注意している」 58.5%、「部下、同僚の気持ちを傷つけないように言い方や態度に注意している」 43.7%、「飲み会などへの参加を強要しないようにしている」 39.1%、「個人のプライバシーに関わることは聞かないようにしている」 34.1%、「あなたの部下がパワーハラスメントと言われるようなことをしないように注意している」 25.9%、「(まんべんなく) 周りの人と意識的に会話をするようにしている」 25.4%、「特になし」 33.0%などです。
「(管理職のみ) あなたがパワーハラスメントについて知りたいと感じるものはありますか。当てはまるものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問です。(回答者901人)
 「パワーハラスメントにならない指導、部下等への接し方」 39.3%、「パワーハラスメントになる行為とならない行為の違い」 34.1%、「パワーハラスメントを受けたときの対応の仕方」 23.5%の順です。「特にない」 36.4%です。
 「男性正社員」 「女性正社員」 にも同じような傾向がみられます。管理職だけではなく日常的にかなりの気遣い、気配りをしています。「特になし」 は無関心の一方、取り組みが進んですでに日常的に信頼関係が形成されているも含まれます。

「労働組合があり、加入している」 と回答した者に対する 「あなたの勤務先の労働組合は、従業員の悩み、不満、苦情、トラブルなどについて相談にのってくれたり、解決に向けた支援をしてくれますか。(単数回答)」 の質問です。(回答者2.231人)
 「相談に乗ったり、解決に向けた支援をしてくれる」 48.3%、「相談にのったり、解決に向けた支援はしてくれない」 8.5%、「支援をしてくれるかどうかわからない」 43.2%です。前回の回答とほぼ同じです。

「あなたは過去3年間にパワーハラスメントを受けたり、見たり、逆にパワーハラスメントをしたり、していると指摘されたことはありますか。(各単数回答)」 の質問です。
 「パワラスを受けた経験」 は、「何度も繰り返し経験した」 7.8%、「時々経験した」 17.8%、「一度だけ経験した」 6.9%を合わせると32.5%です。「経験しなかった」 は67.5%です。前回 「受けたことがある」 は25.3%でした。

「(対象者:パワーハラスメントを受けた後、勤務先に相談したと回答した者) あなたの勤務先は、あなたがパワーハラスメントを受けている (または可能性がある)ことを知った後で、どのような対応をしましたか。(複数回答可)」 の質問です。(回答者328人)
 「あなたに事実確認のためのヒアリングを行った」 48.5%、「パワーハラスメントをした相手に事実確認を行った」 34.5%、「あなたの上司や同僚に事実確認を行った」 25.3%、「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」 25.3%、「特に何もしなかった」 18.3%です。

「(対象者:パワーハラスメントをしたと感じたり、パワーハラスメントをしたと指摘されたことがある者)あなたご自身や勤務先はあなたの行為をパワーハラスメントと考えていますか。(単数回答)」への質問です。(回答者1.173人)
 「自分ではパワーハラスメントをしたと感じておらず、勤務先はパワーハラスメントかどうかの判断をしなかった (勤務先がその行為を認識していない場合を含む)」 34.9%、「自分ではパワーハラスメントをしたと感じていないし、勤務先もパワーハラスメントと認めなかった」 13.0%、「自分ではパワーハラスメントをしたと感じていないが、勤務先はパワーハラスメントと認めた」 6.1%、「自分ではパワーハラスメントをしたと感じているものの、勤務先はパワーハラスメントかどうかの判断をしなかった (勤務先がその行為を認識していない場合を含む)」 20.5%、「自分ではパワーハラスメントをしたと感じているものの、勤務先はパワーハラスメントと認めなかった」 13.3%、「自分でもパワーハラスメントをしたと感じており、 勤務先もパワーハラスメントと認めた」 7.8%です。
 「自分ではパワーハラスメントをしたと感じていない」 が合わせて54%です。パワハラに関する認識に大きな違いがあります。またお互いの受け止め方は、職場の雰囲気・コミュニケーションによっても違いがあります

「・最近3年間にあなたの直属の上司があなたに対してしたことのあるもの
 ・最近3年間にあなたの直属の上司があなたと同じ職場の人に対してしたことのあるものを全てお教えください。(複数回答可)」 の質問です。
 「自分がされた」 は多い順に、「部下のミスについて 『何をやっている!』 と強い調子で叱責する」 14.8%、「業務の相談をしている時、パソコンに向かったままで視線を合わさない」 6.7%、「仕事を進める上で必要な情報を故意に与えない」 5.6%、「『そんな態度でよく仕事ができるな』 と嫌みを言う」 5.6%です。いずれも前回の調査からは減少しています。
 これらはパワハラというより精神的暴力・人権侵害です。

「パワーハラスメントを受けて、心身にどのような影響がありましたか。当てはまるものをすべてお教えください。(複数回答可)」 の質問です。
 「怒りや不満、不安などを感じた」 75.6%、「仕事に対する意欲が減退した」 68.0%、「職場でのコミュニケーションが減った」 35.0%、「眠れなくなった」 23.3%などです。
 行為類型別に心身に与えた影響をみると、平均との差が高くて大きいのは、「人間関係からの切り離し」 において 「仕事に対する意欲が減退した」 77.1%、「職場でのコミュニケーションが減った」 57.0%、「眠れなくなった」 36.4%、「休むことが増えた」 18.0%、「通院したり服薬をした」 20.8%です。
 パワハラがおよぼす影響は決して小さくありません。

「パワーハラスメントを受けてどのような行動をしましたか。(複数回答可)」 の質問です。
 「何もしなかった」 40.9%、「家族や社外の友人に相談した」 20.3%、「社内の同僚に相談した」 16.0%、「会社を退職した」 12.9%、「社内の上司に相談した」 12.7%、「労働組合に相談した」 2.3%などです。
 「何もしなかった」 は前回より5.8%減っています。特徴的には年齢があがるほど高くなります。また 「管理職」 58.2%、「男子正社員」 48.4%です。「会社とは関係のないところに相談した」 は 「女性正社員」 35.7%、「女性正社員以外」 34.2%、「会社を休んだり退職した」 は 「女性正社員以外」 26.6%、「男性正社員以外」 23.7%と高くなっています。「社内の同僚に相談した」 は、女性が男性の2倍近くに、「家族や社外の友人に相談した」 は2倍以上になっています。女性は男性より積極的行動をとっています。「社外の者に相談した」 が 「社内の者に相談した」 よりも高くなっています。


 職場のパワハラ防止に取り組んでいる企業とそうでない企業には大きな 「格差」 が生まれています。取り組んだ効果も職場全体で共有されています。従業員調査においても同じです。
 その一方、企業と従業員の意識・認識には大きな違いがあります。
 「パワハラを受けた」 「パワハラではない」 と争うことがよくありますが、パワハラのとらえ方が違っています。
 トラブルは、初期に取り組むと解決も早くなります。パワハラをなくすことは難しいですが、会社全体での 「再発防止取り組み」 が予防・防止に繋がります。

  「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」 報告書
  「活動報告」 2012.12.21
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