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接客業務従事者へのクレーム防止対策は
2018/01/30(Tue)
 1月30日 (火)

 昨年12月21日、連合は 「消費者行動に関する実態調査」 結果を発表しました。
 調査に至る問題意識です。
「接客業において、商品やサービスに瑕疵があった場合、消費者による苦情 (クレーム) や改善要求は健全な消費活動の実現のためにも必要な行為であり、事業者にとっても新商品開発やサービス向上につながる側面もあるため積極的に受け止めるべきものです。しかし近年、暴言などの行き過ぎたクレーム、暴力や長時間拘束などの迷惑行為によって、労働者が精神的なストレスを抱えていることが課題となっており、その対策が求められています。」
 調査は民間調査機関の協力で、2017年11月13日~11月14日の2日間、インターネットリサーチにより実施し、全国の15歳~69歳の男女2,000名 (一般消費者 (接客業務に従事していない人) 1,000名、接客業務従事者1,000名) の有効サンプルを集計しました。

 同じような調査は、UAゼンセン同盟流通部門が、昨年11月16日、「悪質クレーム対策 (迷惑行為) アンケート調査結果 ~サービスする側、受ける側が共に尊重される社会をめざして~」 の速報版を公表しました。(17年11月22日 「活動報告」)
 それに先立ち9月には 『悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン』 を策定し発表しました。(17年10月6日 「活動報告」)
 UAゼンセン同盟流通部門の調査は組織内組合員に対する調査です。
 質問内容は似ていますが、今回の連合の 「消費者行動に関する実態調査」 はゼンセン以外の接客業に従事している労働者も含まれています 


 「消費者行動に関する実態調査」 のなかから見えてきたこととして
 ・消費者からの迷惑行為 接客業務従事者の半数以上が 「受けたことがある」 一般消費者の
  約6割が接客業務従事者への迷惑行為を見聞きした経験あり
 ・他の消費者の迷惑行為 一般消費者の8割以上が 「不愉快」
 ・勤務先で 「迷惑行為に関するマニュアル作成や教育を行っていない」 約6割
 ・消費者の迷惑行為をなくすために必要なこと  1位 「消費者への啓発活動」
などがあげられています。

 そのなかからいくつかを紹介します。
 接客業務従事者が、勤務先で消費者から受けたことがある迷惑行為について聞いています。
 「暴言を吐く」 33.1%が最も多く、「威嚇・脅迫的な態度を取る」 28.5%、「説教など、権威的な態度をとる」 19.2%、 「何回も同じクレーム内容を執拗に繰り返す」 16.7%、「従業員を長時間拘束する」 10.4%が続きます。さらに 「セクハラ行為をする」 3.5%や 「暴力を振るう」 3.3%、「SNS・インターネット上で誹謗中傷する」 2.3%、「土下座を強要する」 1.7%もあります。
 雇用形態別にみると、いずれかの迷惑行為を受けたことがある人の割合は、正規雇用64.3%、非正規雇用55.5%です。
 正規雇用と非正規雇用で差が大きいのは、「暴言を吐く」 が正規雇用37.3%、非正規雇用32.5%、「威嚇・脅迫的な態度を取る」 が正規雇用34.3%、非正規雇用26.2%、「何回も同じクレーム内容を執拗に繰り返す」 が正規雇用20.2%、非正規雇用15.3%などです。

 業種別に、いずれかの迷惑行為を受けたことがある人の割合をみると、「公務」 が最も高く79.4%、次いで 「情報 通信」 69.6%、「運輸・郵便」 66.7%、「金融・保険」 61.9%、「小売」 59.4%、「医療・福祉」 55.4%の順です。
 受けたことがある迷惑行為については、公務は、「暴言を吐く」 58.8%、「威嚇・脅迫的な態度を取る」 55.9%、「説教など、権威的な態度をとる」 38.2%、「何回も同じクレーム内容を執拗に繰り返す」 38.2%、「従業員を長時間拘束する」 32.4%で、いずれも他の業種より高くなりました。
 他の業種で目立つのは、「運輸・郵便」 「情報 通信」 で 「暴言を吐く」 が38.1%、37.0%、「金融・保険」 で 「威嚇・脅迫的な態度を取る」 45.2%、「従業員を長時間拘束する」 16.7%などです。

 迷惑行為を受けたことがある人に、それぞれどのように対応したかを聞いています。
 「暴言」 については、「丁重に謝罪した」 47.4%、「対応できる内容と、できない内容をはっきり説明した」 38.4%、「上司に対応してもらった」 27.8%、「毅然と対応し、応じられない要求は断った」 25.4%、「複数で対応に当たった」 15.4%です。
 「威嚇・脅迫的な態度」 については、「丁重に謝罪した」 44.2%、「対応できる内容と、できない内容をはっきり説明した」 37.5%、「毅然と対応し、応じられない要求は断った」 34.0%、「上司に対応してもらった」 31.6%、「複数で対応に当たった」 16.5%です。
 「説教など、権威的な態度」 については、「丁重に謝罪した」 43.2%、「対応できる内容と、できない内容をはっきり説明した」 41.7%、「上司に対応してもらった」 34.9%、「毅然と対応し、応じられない要求は断った」 34.4%、「複数で対応に当たった」 21.4%です。
 「同じクレームの執拗な繰り返し」 については、「対応できる内容と、できない内容をはっきり説明した」 50.9%、「丁重に謝罪した」 38.9%、「上司に対応してもらった」 34.7%、「毅然と対応し、応じられない要求は断った」 29.9%、「複数で対応に当たった」 20.4%です。
 「従業員の長時間拘束」 については、「対応できる内容と、できない内容をはっきり説明した」 47.1%、「毅然と対応し、応じられない要求は断った」 39.4%、「上司に対応してもらった」 37.5%、「丁重に謝罪した」 33.7%、「複数で対応に当たった」 26.9%です。
 それぞれで対応が違っています。「暴言」 「威嚇・脅迫的な態度」 「説教など、権威的な態度」 では 「丁寧に謝罪した」 が最多ですが、「同じクレームの執拗な繰り返し」 「従業員の長時間拘束」 では 「対応できる内容と、できない内容をはっきり説明した」 が最多です。
 消費者に迎合するだけではない対応をしています。

 消費者から迷惑行為を受けたことがある人に、迷惑行為は解決したかを聞いています。
 「解決した」 と回答した人の割合を迷惑行為別にみると、「金品の要求」 が86.8%、「威嚇・脅迫的な態度」 が84.2%、「暴言」 が83.1%、「説教など、権威的な態度」 が82.%で続きました。他方、「セクハラ行為」 65.7%、「暴力」 63.6%です。
 しかし、解決内容については不明です。

 消費者から迷惑行為を受けたことがある人に、仕事で苦情やクレームを受けた経験は、日常生活に何か影響を及ぼすかと聞いています。
 「自分が消費者として店やサービスを利用するとき、同じようなクレームを言わないように心掛けた」 59.2%、逆に 「自分が消費者として店やサービスを利用するとき、同じようなクレームを言った」 8.3%です。


 接客業務従事者に、勤務先で、消費者の迷惑行為に関するマニュアル作成や教育などが実施されているかどうかを聞いています。
 「実施されている」 が42.9%、「実施されていない」 が57.1%です。
 業種別にみると、実施率が高いのは、「公務」 67.6%、「金融・保険」 59.5%です。続けて 「運輸・郵便」 45.2%、「生活関連サービス・娯楽」 43.4%、「医療・福祉」 42.9%、「情報通信」 41.3%の順です。
 「公務」 は、いずれかの迷惑行為を受けたことがある人の割合が高いですが、それが対応方法にもつながっているのでしょうか。

 勤務先に消費者の迷惑行為に関する悩みを誰に相談できるか聞いています。
 「上司」 54.2%が最も多く、「同僚・部下」 35.0%、「企業内カウンセラー」 5.6%と続きました。「相談で きる人はいない」 が29.4%でした。


 一般消費者に、他の消費者の迷惑行為を見聞きしたことがあるかを聞いています。
 いずれかの迷惑行為を見聞きしたことがある人の割合は58.4%になりました。
 具体的には、「暴言を吐く」 42.5%、「威嚇・脅迫的な態度を取る」 28.1%、「説教など、権威的な態度をとる」 19.1%、「何回も同じクレーム内容を執拗に繰り返す」 15.5%、「従業員を長時間拘束する」 11.9%などです。

 では消費者は、他の消費者が行う迷惑行為に対して、どのように感じているのかを聞きいています。
 「非常に不愉快」 66.9%、「やや不愉快」 17.7%でした。男女別に見ると、「不愉快 (計)」 は男性80.7%、女性88.3%でした。
接客業務従事者に対しても同じ質問を聞いています。
 「非常に不愉快」 68.3%、「やや不愉快」 17.3%でした。男女別に見ると、「不愉快 (計)」 は男性82.9%、女性88.3%でした。一般消費者と同程度の高さです。


 一般消費者に、消費者が店員・係員に対して迷惑行為を行うことは、近年増えていると思うかどうか聞いています。
 「増えている」 は48.9%、「減っている」 28.0%です。
 接客業務従事者にも、同じ質問をしました。
 「増えている」 は 56.4%、「減っている」 27.9%です。

 一般消費者に、消費者の迷惑行為が発生している原因は、どのようなことだと思うか聞きました。
 「消費者のモラルが低下した」 (58.5%) が最も多く、「(店員・係員は) ストレスのはけ口になりやすい」 (41.2%)、「SNS の普及で情報が拡散しやすくなった」 (34.9%)、「サービスに対する消費者の期待が過剰になった」 27.5%、「店頭スタッフやサービス業者の尊厳が低くみられている」 22.2%と続きます。
 接客業務従事者にも同じ質問をしました。
 「消費者のモラルが低下した」 65.7%が最も多く、「(店員・係員は) ストレスのはけ口になりやすい」 46.6%、「サービスに対する消費者の期待が過剰になった」 34.8%、「SNS の普及で情報が拡散しやすくなった」 27.1%、「店頭スタッフやサービス業者の尊厳が低くみられている」 26.7%と続きます。
 接客業務従事者は一般消費者と比べて消費者に問題があると捉えているようです。

 一般消費者に、店員・係員に対する消費者の迷惑行為をなくすためには、どのようなことが必要だと思うかを聞いています。
 「消費者への啓発活動」 が最も多く46.0%でした。続いて 「企業のクレーマー対策の教育」 42.0%、「法律による防止」 36.0%、「企業のマニュアル整備」 26.0%、「対応を円滑にする企業の組織体制の整備」 24.7%の順です。
 接客業務従事者にも同じ質問をしました。
 「消費者への啓発活動」 が最も多く49.5%、「企業のクレーマー対策の教育」 40.6%、「法律による防止」 37.3%、「企業のマニュアル整備」 32.5%、「対応を円滑にする企業の組織体制の整備」 26.7%の順です。
 「企業のマニュアル整備」 は、接客業務従事者の方が5.6%高くなっています。


 一般消費者に、店員・係員が、行き過ぎた苦情・クレームなどによって、うつ病を発症するケースがあることを知っていたかを聞きいています。
 「知っていた」 は 45.1%です。
 接客業務従事者にも、同じ質問をしました。
 「知っていた」 は58.7%です。
 接客業務従事者の方が危機感を持っています。


 今、厚労省は 「職場のパワハラスメント防止対策についての検討会」 を開催しています。
 検討会においては、いわゆる 「第三者からの暴力」 についても討論し、「報告書」 には具体的防止策として 「消費者への啓発活動」 「企業のクレーマー対策の教育」 「法律による防止」 「企業のマニュアル整備」 「対応を円滑にする企業の組織体制の整備」 への取り組みを働きかける内容になることを期待します。

   「活動報告」 2017.11.22
   「活動報告」 2017.10.6
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正義とは
2018/01/23(Tue)
 1月23日 (火)

 新年早々の4日に、大阪市のホームページで公開された 「市民の声」 が、ネット上で話題になっています。タイトルは 「救急隊員の勤務中の行動について」 です。
「11月13日午前6時50分くらいに浪速区内の病院に大阪市の救急車で来られた隊員の男性三名の方が病院に搬送後、数メートル離れた自販機で飲み物を三名とも購入されていました。
 これまでに幾度となく様々な救急隊員の方を見かけましたが、このような行動をされているのをはじめて見ました。
 その後、救急車の中でその飲み物を飲まれているようでなかなか出車せずでした。
 勤務中のこのような行動はありなのでしょうか?教えてください。」
 
 市からの回答がホームページに載りました。
「本事案に出場した救急隊員から聞き取りを行いましたところ、救急車内での血液付着が多く、その拭取りと消毒に労力と時間を要したとのことであり、そのような活動を勘案した場合、次の出場に備え水分補給を行う必要があったと考えます」 「当局では、必要に応じ活動中の水分補給を適宜行うよう周知しているところであり、今回の場合、飲料水の購入はやむを得なかったものと考えます」 「救急隊は、連続出場や長時間にわたり活動する場合もございますので、ご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします」
 今回の 「市民の声」 を公開したことについては、「寄せられた市民の声に対しては、原則的に回答・公開しています。特別に選んで公開したというわけではありません」。このような意見は 「頻繁ではありませんが、たまにあります」 といいます。

 この投稿に対してリツイートのコメントが19日段階で3万4千を超えています。
 ほとんどが 「市民の声」 を批判するものです。

 同じような体験をした労働者、市民などからのを紹介します
「前に、ナースも勤務中飲み物飲んじゃいけないって言われたことある…そんな暇あれば患者さんのために体拭いたりしてって。私達も同じ人間…ぜひご理解いただきたいです…。」
「こういうくそ批判するやつらが、会社でパワハラするんだろーな」
「こういうクレームに対しては、絶対に謝罪などしてはいけない。市の対応は正しい。」
「市立病院にあった患者様の声や商業施設にあるお客様の声をたまに見てみると、あり得ない苦情で溢れてたりする。ストレスの捌け口状態。相手を人間扱いしてないし、自分は敬われて当然の立場で書いている。
 でも、書いた本人は優しさの欠片もなくなるほど、ストレス一杯で不幸なんだろうとも思う。
 搬送が終わった救急隊の方々に会ったら、お疲れ様と飲み物差し入したくなるのが普通じゃん。」
「大阪じゃないO県なんですが、
 お客様に 『あんたらが休憩に行くからレジが混むんでしょうが!』 と言われることがあります。
 店員には昼食や水分補給の権利もないと…?
 何も考えずに気分で休憩に出るわけではありません。交代要員が出勤してから早番組が帰るまでの間に順番に交代で行っています。最初の人数が遅らせれば後の人数の休憩時間が無くなることもありますから、混んでいても出ることはあります。
 …が、休憩に行くなと。店員をなんだと思っているのでしょうか?
 休憩時間分の給与は自動でカットされますから休憩に行かないとタダ働きです。
 会社からは休憩はきちんと取るように指示されています。
 ですか、非常識なお客様には怒鳴られるのです。
 休憩時間でも、自分のお昼を買う時に瞬間的に混んだりしたら、レジを手伝ってお客様をさばいたりしてるのに…
 人って勝手ですよね。」
「一仕事終えて、気持ちを切り替えるのにも大切なこと。救急の仕事は思いのほか重労働。乾燥した冬なら水分補給だって必要。普通の会社員だってコーヒーやお茶飲みながら仕事してますよね?
 もしかしたら、食事もする間もない連続の出動だったかもしれない。相手を思いやる想像力が欠如したひとは嫌だな。。必要のない搬送させられたり、、、いつもありがとうと感謝の気持ちしかない。」
「以前 郵便局に勤務しておりましたが 猛暑日で熱中症の警戒もでてましたがお客様より 『郵便配達員が仕事中にジュースを飲んでいた 職場でどういう指導をしているのか?』 と年配の男性から局長を出せとクレームの電話があったのを覚えてます
 仕事中に水分補給もしてはいけないのでしょうか? 命に関わる問題だと思います。」
など。

 消防関係者、その家族からの声です。
「次の出動態勢 (資機材補充や指令の受信体制) を整えた状態で、隊長が隊員の体調面や出動状況を考慮して休息時間取らせている訳!
 救急隊の出動って、毎回毎回消防署から整った状態で出動していると思っているのかな。
 3件、4件連続で出動も結構当たり前にある。生命に関する仕事であり、重症患者が連続して気の抜けない事案が併発も当たり前。
 公の目に付く場所でジュース飲みながらヘラヘラ談笑でもしてれば苦情でもいいと思うが、そんな状況も記事からは見えてこない。」
「主人が救急隊員です。一日10~15件出動があり、翌日帰宅するといつもヘトヘトです。嘔吐物や血液、尿や便にまみれた方の搬送は日常茶飯事です。先日は、泥酔して暴れている方に腕を強く噛まれましたが、警察沙汰にすると面倒なので報告しなかったと言っていました。
 救命士が行ってよい処置が増え (インシュリンやアドレナリン投与など) 状況に応じた迅速な判断が出来なくてはならなくなり、本当に大変そうです。
 主人や隊員の方々もやはり、搬送先の病院などで飲み物を買うそうです。どうかどうか、広い心で見守って下さい。」
「大阪と同様、私の消防署でも病院到着後に病院の売店や病院前にあるコンビニ、自販機を利用することがあります。
 出場が連続し、署に帰れないときは本当に辛いです。1分も仮眠できず24時間勤務が終わる日もあります。
 しかし、失敗が許されない仕事、ミスはあっはならないです。そのため、署に帰れないときは連続出場に備え、病院到着後に休息をとらせていただいております。
 休息をとる場合、どこに移動する際にも指令センターと連絡がとれるスマホを携帯し、何かあれば直ぐに対応できる体勢をとっています。
 多くの方々が救急隊の行動に理解してくださり、感謝しています。」

「現役消防隊員です。
 状況によって救急隊員として活動する日もあります。
 現場側からの意見としては、水分ぐらい摂らせて下さい。って感じです。
 救急出動が重なった場合や搬送先の病院が遠方な場合では数時間署に帰れず食事はおろか水分補給すら出来ません。搬送時に使用した資機材の消毒、整理を行いながら水分補給などどこの本部でも行なっています。なかなか病院から出ないには理由があります。搬送時に体液や血液が付着した資機材をそのまま次の傷病者の方に使う事など感染のリスクを考えると出来ないため消毒等に時間がかかっているからです。その辺を理解して頂けたら少しは見る目も変わるのかなと思います。」
「消防団で消防士の方にはお世話になっています。
 大体2時間ぐらいの訓練の間に、2回ぐらい救急のサイレンが鳴ります。
 サイレンが鳴ると、それまで丁寧に私たちに指導してくださっていた消防士さん達は切り替えてすぐに救急車に乗り込みます。
 大変さは見ているので分かります。
 しかし、たまの差し入れなどには非常に敏感で、消防団のイベント等で運転してもらった時など飲み物を渡しても、その場で飲んだりしないです。
 こういったクレームを気にしているのでしょう。
 普段から気を張って市民のための仕事をしてくれているのに、こういったクレームが出ることが信じられません。」

「元消防で救急隊メインで働いておりましたが、そんな事を局に連絡してくる人がまだいるんですね。
 救急隊だって人間です。昼時になって救急入れば食事をしてようが無かろうが出場しますし、風呂に入っててもトイレに入ってても急いで出て出場します。24時間勤務中まるまる出場があれば、自分の事は後回しです。寝てようが関係ありません。連続で出場することも多々ありますし、収容した病院から次の現場に行くことなんて当たり前です。サラリーマンはスーツ姿で食事するのはありで、救急隊員が飲み物を買って車内でこそっと飲むのは無しなんですかね?この通報をした人は?
 こんなこと通報する人の家には『食事中なので救急遅れます』って言ってやりたいな~~
 救急隊員だって人間だもの。聖人君子じゃありません。」
など。

 投稿者は自分の正義感で行なったことなのでしょうが、その正義感が検証されることになりました。正義感とは独りよがりのものではなく、周囲と共有されていて発揮されるものです。
 今回の “事件” に対する投稿者の議論がひどすぎるで終るのではなく、消防という業務の大変さを理解してもらえる機会になったとするなら消防士にとっては 「災い転じて福になる」 です。消防士以外の職業の人たちも他の人たちの業務の大変さを垣間見ることができ、改めて感謝の気持ち、いたわり合うことの大切さがわかったとしたら、いい交流の機会になりました。
 市が消防士の側に立って守ろうとしたことは、消防士もこの後、自信をもって業務遂行ができます。
 そして、投稿を見た人たちみな救われました。自分自身を振り返る機会になりました。問題意識を共有できたら1つの社会改革につながっていくことを期待します。
 本物の働き方改革は上から進められるものではなく、お互いを理解し合い、同僚・仲間への思いやり・労りをもって一緒に職場改善をしていくことです。そのなかからゆとりが生まれ、知恵もでます。


 一昨年9月21日午前10時35分ごろ、近鉄奈良線河内小阪駅で人身事故が発生し、ダイヤが乱れた時のことを思い出しました。
 その影響で河内小阪駅から4つ目の東花園駅 (東大阪市) で電車は運転中止になります。この時にホームで乗客への状況説明などに当たった車掌 (26) と客が言い争いになります。乗客は、他にも自分と同じような主張で加勢する者がいると自分の主張を正義ととらえ、暴走する行動をとります。(16年9月27日の 「活動報告」)
 当たり前のことですが駅員にクレームをつけても復旧が早まることはありません。
 目撃者によると、乗客が車掌に喧嘩腰で詰め寄り、車掌は冷静に対応していたが、やがて 「死にたい」 「こんなんいやや」 などと言っていたといいます。制服上着と制帽を投げ捨てて線路に飛び降り、さらに高架から数メートル下の地上に飛び降り、腰椎 (ようつい) を骨折して救急車で病院に運ばれました。
 その後、近畿日本鉄道は、「お客様にご迷惑をお掛けして大変申し訳ない。社内規定にのっとって、駅員の処分を検討する」 とコメントを出しました。
 このニュースが流されると、ツイッターでさまざまな意見が寄せられました。
 会社のコメントに対して、インターネットで車掌の処分の再考を要請する嘆願書署名を呼びかけたら57,470人の賛同者が
集まり会社に提出されました。


 正義感とは何でしょうか。
 精神科医の片田珠美著 『「正義」 がゆがめられる時代』 (NHK出版新書) からです。
「相変わらず激しい生活保護バッシングを見ていると、正義を振りかざして叩く側に、不正を憎む気持ちだけではない別の何かが潜んでいるのではないかと疑いたくなる。
 こうした疑念は、神奈川県小田原市の生活保護担当課が 『保護なめんな』 などのローマ字が入ったジャンパーを作り、相当数の職員が着用していたことが2017年1月に発覚して、さらに強まった。
 このジャンパーの背面には、「われわれは正義」 「不正を見つけたら追究する」 「正義を罰する」 ・・・などという英文が書かれていた。このような文面を掲げたジャンパーを着たまま受給者宅を訪問する職員もいたという。
  ……
 小田原市は 『自分たちの自尊心を高揚させ、疲労感や閉塞感を打破するための表現だった』 などと弁明しているようだ。」

「被害者意識が強いと、怒りが生まれやすい。セネカ (ローマ帝国の政治家、哲学者、詩人) の定義によれば、『怒りとは、害を加えたか、害を加えようと欲した者を害することへの心の激動』 にほかならないからだ。……また、『保護なめんな』 のジャンパーを着用して受給者宅を訪問した職員の胸中にも、カッターナイフで切りつけられた仲間の職員がこうむった 『害』 や過激な現場で自分自身が受けたと感じた 『害』 に対して、怒りの炎が燃え上がったはずだ。
 怒りが激しくなると、罰を与えたいという懲罰欲求が強くなる。再びセネカを参照すれば、怒りとは 『自分が不正に害されたとみなす相手を罰することへの欲望』 だからである。したがって、『怒りが楽しむのは他人の苦しみ』 であり、『怒りは不幸にするのを欲する』。」

「いずれにせよ、正義を振りかざす人の心の奥底に潜んでいるのは、不正を憎む気持ちだけではない。しばしば、強い被害者意識と懲罰欲求、さらに怒りもからみ合って、行き過ぎた正義の暴走を招く。この怒りは、適当なはけ口が見つからないと、胸中に留まってルサンチマン (怨恨・憎悪・嫉妬などの感情が反復され内攻して心に積もっている状態) に変化することもあり、そうすると正義を振りかざす傾向に一層拍車がかかる。
 現在の日本社会には怒りとルサンチマンが渦巻いている。」
 独走する 「正義」 は社会の中から生み出されているということを認識して対策がとられなければなりません。


 大阪市への投稿、近畿の事件も、人びとは社会での他者のできごとを自分になぞらえてとらえ、受け入れられないことに対してははっきりと声をあげました。声を上げるということは孤立しないための防衛手段でもあります。
 競争社会といわれるなかにあっても社会的認識が少しづつ変わってきているように思われます。うれしいことです。

  「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」ホームページ・ご相談はこちらから
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「サービスする側と受ける側がともに尊重される社会を目指したい」
2017/11/22(Wed)
 11月22日 (水)

 11月8日の朝日新聞の 「東京のほお~言!!」 はテーマが 【おせわさま】 です。
「顔見知りの店で買い物を済ませて出る時に、『お世話様です』 ということはありますか。東京を中心とした関東で特によく使われるあいさつです。
 明治生まれの、生粋の江戸っ子作家久保田万太郎は、地方出身の友人に 『君達は買物をして帰りがけに、どうもお世話様! なんて云う言葉は知らないだろう』 と自慢気に言っています。昭和の初めごろまでは、極めて 『東京風』 な言い方だったようです。
 『お世話様』 は、タクシーの運転手や宅急便の配達員に対しても使うように、労力を提供してくれる立場の人をねぎらう意味合いを含みます。そのため、子どもにはそぐわず、目上には言いにくいと感じられる傾向があります。この点 『ご苦労様』 と似ています。
 東京風の 『お世話様』 に対し、同じ場面で西日本では 『ありがとう』 『おおきに』 といった感謝の表現を多用します。『世話をかけた』 とかしこまるか、ストレートに感謝するか。表現にも地域差がありますね」

 いかにもあいさつとして定着しているような書きかたですが、実際に外出先での宅急便の配達員への対応や、スーパーでのレジ終了時、食堂などでの帰り際をみていると結構労いのあいさつがないのに出くわします。
 食堂などで 「○○」 「△△」 とつっけんどんの注文の声が聞こえると、「○○が食べたいのか、いらないのかどちらだ」 と店に代わって問いただしたくなります。「お願いします」 をどうして添えられないのでしょうか。それで通じていると反論されそうですが、自分の食事がまずくなります。逆に、食堂などで青年たちが 「ごちそうさま」 といいながら席を立つ場面に出くわすと、自分の食事もおいしくなります。

 11月21日の朝日新聞 「天声人語」 の抜粋です。
「おもてなしの国、世界一心のこもったサービス……。そんな美名の疑念を、作家の石田衣良さんがかつて雑誌に書いていた。『最高のサービスの裏に最低の客が隠れているのではないか』。そう疑いたくなると▼客としては王様のように振る舞うが、サービスや商品を提供する側に回ると、下僕のようにさせられる。日本社会を大きな目で見れば、消費者である私が労働者である私を追い詰めてはいないか」


 11月16日、UAゼンセン流通部門は、調査結果 「悪質クレーム対策 (迷惑行為) アンケート調査結果 ~サービスする側、受ける側が 共に尊重される社会をめざして~」 の速報版を公表しました。

 調査結果の 「はじめに」 で 「私たちの産業は、顧客第一主義を大原則に掲げ、消費者の行動は常に正しいとの認識が強く、消 費者からの意見に対しては不当なものであっても耐えなくてはいけない風潮があります。そして、そのことが社会的にもモンスター化する消費者を助長させ、接客応対の難しさから退職者の増加や働く仕事として敬遠される傾向にあると言えます。」 と訴えています。

 UAゼンセンは、今年6月~7月に、接客対応されている流通部門所属組合組合員 (販売・レジ業務・クレーム対応スタッフ等) を対象に調査を行い、168組合50,878人から回答がありました。これまでどの機関においても実態調査が実施された例はありませんでした。
 調査目的は、「職場で起こっている悪質クレーム (迷惑行為) の実態について調査し、傾向を分析する。また、調査内容は具体的な事例も示す調査とし、結果については、関係諸団体への要請活動時に提示する資料として活用する。」 です。「クレームとは、商品・サービスに関して消費者から不満がおこり、会社 (店舗) に責任ある対応を求められることです。」
 回答者の内訳は、男性15,640人、女性28,997件、無回答6,161件です。年齢では10代539件、20代7,396件、30代10,842件、40代14,089件、50代12,089件、60代4,992件、70代161件、無回答770件です。

 調査結果です。
 設問1: あなたは、業務中に来店客からの迷惑行為に遭遇したことがありますか? についてです。
 「ある」 3万6002人 (73.9%) です。男女別で比較すると、男性は 「ある」 12,057人 (78.9%)、女性19,694人 (71.3%) です。
 部門別の比較です。
 「ある」 は多い順に百貨店1,750人 (86.4%)、家電関連1,750人 (84.9%) で、スーパーマーケットは8,712人 (65.8%) です。商品説明などで消費者と会話を交わす機会が多い方が 「ある」 になります。消費者は設問7の 「ストレスのはけ口になりやすい」 相手を探しています。
 設問2: あなたは、業務中に次のような来店客からの迷惑行為に遭遇したことがありますか? 【複数回答可】 についてです。
 多い順に、「暴言」 24,107人 (47%)、「何度も同じ内容を繰り返すクレーム」 14,268人 (28%)、「権威的 (説教) 態度」 13,317人 (26%)、「威嚇・脅迫」 12,920人 (25.4%)、「長時間拘束」 9,752人 (19.2%)、「セクハラ行為」 4,953人 (9.8%) です。「土下座を強要」 が1,580人 (3.1%) いました。「土下座を強要」 はテレビドラマ 「半沢直樹」 の放映後増えました。
 男女別を比較して差が大きいのは、「暴言」 は男性8,244人 (52.7%)、女性13047人 (45%)、「威嚇・脅迫」 は男性5,747人 (36.7%)、女性5,710人 (19.7%)、「セクハラ行為」 は男性519人 (3.3%)、女性4,018人 (13.8%)、「土下座の要求」 は男性1,051人 (6.7%)、女性374人 (1.3%) です。
 「暴言」 ではないですが、スーパーなどのレジで携帯で誰かと話をしながらお金を払うという行為は従業員の存在を 「無視」 する失礼な行為ではないでしょうか。

 設問3: 迷惑行為を経験された方は、迷惑行為から受けたご自身への影響を教えてください についてです。
 「強いストレスを感じた」 19,917人 (53.2%)、「軽いストレスを感じた」 13,500人 (36.1%)、「影響なし」 2,775人 (7.4%)、「精神疾患になったことがある」 359人 (1.0%) でした。
 男女別を比較して差が大きいのは、「軽いストレスを感じた」 は男性が4,209人 (36.1%)、女性7,670人 (26.5%) です。
 「強いストレスを感じた」 「精神疾患になったことがある」 は、職場環境を悪化させ退職につながっていきます。
 設問4: 迷惑行為にあった時、あなたはどのような対応をしましたか? についてです。
 多い順に、「謝りつづけた」 17,587人 (37.8%)、「上司に引き継いだ」 13,979人 (30.1%)、「毅然と対応した」 9,410人 (20.2%)、「何もできなかった」 2,687人 (5.8%) でした。
 すべての項目で男女に開きがあります。「謝りつづけた」 は男性6,268人 (40.9%)、女性9,218 (36.0%)、「上司に引き継いだ」男性3,663人(23.9%)、女性8,602人(33.6)、「毅然と対応した」男性4,116人(26.9%)、女性4,214人(26.9%)、「何もできなかった」 は男性476人 (3.1%)、女性1,914人 (7.5%) でした。
 「謝りつづけた」 「何もできなかった」 は、組織的対応として当該任せで、それ以外の対応方法を周知されていないということです。

 設問5: 迷惑行為にあった時、あなたのとった対応の結果、問題の行為は収まりましたか? についてです。
 「収まった」 24,443人 (61.3%)、「長時間の対応を迫られた」 6,702人 (16.8%)、「収まらなかっ た」 4,581人 (11.5%)、「さらに態度がエスカレートした」 1,938人 (4.9%) でした。
 男女の比較で差が大きいのは、「収まった」 男性7,791人 (56.3%)、女性13,652人 (64.0%)、「長時間の対応を迫られた」 は男性3,298人 (23.8%)、女性2,675人 (12.5%) でした。

 設問6: 迷惑行為は、近年増えていると感じていますか? についてです。
 「増えている」 24,880人 (49.9%)、「あまり変わらない」 14,940人 (30.0%)、「減っている」 1,664人 (3.3%) でした。
 「あまり変わらない」は多い状況が変わらないのか、少ない状況が変わらないのか不明です。
 設問7:迷惑行為が発生している原因をどう考えますか? 【複数回答可】 についてです。
 「消費者のモラル低下」 32,651人 (30.4%)、「消費者のサービスへの過剰な期待」 26,192人 (24.4%)、「ストレスのはけ口になりやすい」 26,008人 (24.2%)、「従業員の尊厳が低く見られている」 20,082人 (18.7%) でした。
 男女比較で差が大きいのは、「ストレスのはけ口になりやすい」 男性6,821人 (20.4%)、女性16,134人 (26.3%) です。
 「消費者のモラル低下」 は、設問6の迷惑行為が 「近年増えている」 につながっていると思われます。消費者は反論されないと思うとストレスのはけ口の対象にします。「従業員の尊厳が低く見られている」 が業務上はまったく関係のない設問2の迷惑行為 「セクハラ行為」 につながっていきます。

 設問8: 迷惑行為からあなたを守るために、どのような措置が必要と考えますか? 【複数回答可】 についてです。
 「迷惑行為への対応を円滑にする組織体制の整備」 20,916人 (22.7%)、「企業のクレーム対策の教育」 12,560人 (20.9%)、「法律による防止」 19,196人 (20.8%)、「消費者への啓 発活動」 18,455人 (20.0%)、「企業のマニュアルの整備」 12,560人 (13.6%) でした。
 男女比較で差が大きいのは、「法律による防止」 は男性7,931人 (26.0%)、女性9,163人 (18.0%)、「迷惑行為への対応を円滑にする組織体制の整備」 は男性5,827人 (19.1%)、女性12,529人 (26.6%) です。男性は社会的規制、女性は職場内での体制づくりを期待しています。
 法律による防止やマニュアルがあると従業員は、自分を守る手段があることを認識し、毅然とした対応ができます。

 「設問9: あなたが実際に体験した迷惑行為の内容を教えてください。記入内容 ① 【・・・ような対応をしたら、消費者から・・・ような行為をされた。】 ②具体的な対応時間・対応回数・発言内容などを記載ください。」 の欄に記載された具体的な迷惑行為の事例です。2万人がみずからが受けた被害の詳細を書いてきました。
 ・商品返品時に 「バカか、謝るしかできないのか」 などと1時間近く暴言を言われた
 ・店で扱っていない商品を売るよう求められ、「仕入れしない方が悪い」 「早く仕入れ先に
  電話しろ」 などと怒鳴られた
 ・背後から尻を触られたり 「年いくつ?」 などと聞かれたりした
 ・商品の場所を手で指して知らせたところ 「何なんだ、その態度は」 と胸ぐらをつかまれた
 ・機嫌の悪い客から買い物カゴや小銭を投げられたりした。
 ・20分以上謝り続けた。
 ・3時間以上説教を受けた。
 ・商品の在庫を訊ねられ、在庫が無い旨お伝えしたところ、「売る気ないんか、私が店長だっ
  たらお前なんか首にするぞ」 と延々怒られました。
 ・商品不良の交換対応時に店までの交通費及び迷惑料を要求されました。出来ないことを
  伝えると大声でどなられ、(中略) 生活出来ないようにしてやると脅されました。
 ・(女性従業員が) 110番通報され警察で厳重注意を受けた客が逆ギレし、通報した店員へ
  の誹謗中傷をネットの掲示板で実名と共に書き、拡散された。
 ・ポイントカードの入力を間違えたスタッフが土下座をさせられ犯罪者呼ばわりされた。
 ・客の勘違いで購入した商品を間違えたのに 「店の説明不足だ」 と自宅に呼び出され、返金を
  要求された。深夜1時までおよそ10時間にわたって拘束された。
 ・酔っている客から横腹を殴られた。
 ・2時間にわたって正座させられ片方の耳が聞こえなくなった。
 ・客から腕で何度も胸をつつかれ、上司に報告したが、「大ごとになる」 と対応してもらえ
  ず、体調を崩して精神疾患になった。
などなど


 調査結果公表の記者会見に先立ち、UAゼンセンは厚労省に 「職場における上司・部下関係のハラスメントだけでなく、消費者 (顧客) ・労働者の関係性の中にもハラスメントがある。その対策も検討してほしい」 と要請行動を行ないました。項目は
 ・悪質クレームから労働者を守るために、事業者が講ずべき措置を定めること
 ・厚労省や消費者庁、警察庁などの公的機関が実態調査・対策に関する研究を行うこと
 ・労働者が受ける違法行為を抑止するための施策を講じること
です。
 厚労省側からは 「理解できる内容だ」 「業界団体との意見交換も必要だ」 「パワハラ検討会で検討を深めていきたい」 などの回答がありました。

 UAゼンセンは調査と並行し、8月に、悪質クレームの定義と対応に関するガイドラインを作成しました。(10月6日の 「活動報告」 参照)
 さらに業界団体との意見交換も行っています。

 「職場の暴力」 への対策がやっと開始されました。
 UAゼンセンは 「サービスする側と受ける側がともに尊重される社会を目指したい」 と語っています。
 「消費者である私が労働者である私を追い詰めてはいないか」 が問われています。

 伊藤園の 「おーいお茶」 に載っていた11歳の少年が詠んだ俳句大賞の作品です。
   おはようと 言った数だけ 心のわ

   「職場の暴力」
   「活動報告」 2017.10.6
   「活動報告」 2017.9.29
   「活動報告」 2017.7.14
   「活動報告」 2016.12.21
   「活動報告」 2015.11.26
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顧客至上主義的な対応をすることが正しい事ではない
2017/10/06(Fri)
 10月6日 (金)

 9月、UAゼンセン流通部門は、『悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン』 を策定しました。流通部門は組織する組合は500を超え、約100万人の組合員を組織し、スーパーマーケット部会、GMS部会、百貨店部会などをかかえています。運動方針の主な政策・取り組みのなかに 「悪質クレーム問題への対応」 も掲げています。ガイドラインを紹介します。
 「はじめに」 です。
「……近年、報道等で様々な団体が謝罪している場面を数多く見かけるようになり、日常的に消費者から店舗で謝罪要求を受けるようになっている。また、消費者の不当な要求を受け日常の仕事に支障が生じ、流通・サービス業に従事する労働者に大きなストレスを与える事例が後を絶たない。消費者からの不当な要求は、ハラスメントの新しい領域としても社会的な問題となっている。
 私たちの産業は、顧客第一主義を大原則に掲げ、消費者の行動は常に正しいとの認識が強く、消費者からの意見に対しては不当なものであっても耐えなければならない風潮がある。そしてこのことが社会的にもモンスター化する消費者を助長させることで悪影響を及ぼしているといえる。さらに、流通・サービス産業はそのことから起因していると考えられる退職者の増加、接客対応の難しさから働く仕事として敬遠される傾向にある。
 ……消費者も従業員もお互いが共に尊敬される存在であり、健全で対等な関係をつくるためにはお客様は決して神様ではないことを認識すべきである。産業の魅力を向上させていくためには、このような悪質クレームに対して毅然として対応をとっていくことが必要であり、サービス産業で働く者を守ることにもつながる。」
 切実さが伝わってきます。苦痛をともなっていてはいいサービスは提供できません。労働者はお互いが共に尊敬される存在であることを期待しています。

 悪質クレームに関する現状です。
「クレームの傾向
 クレームの特徴としては一つ目に高学歴、高所得、といった社会階層が高い方のクレームが多くみられる。この層は、自尊心が高く、完全主義的な傾向が強い方が多いことから起因しており、『謝罪文を出せ!』 『社長を呼べ』 などの要求をすることが多くなっている。二つ目には、そもそも社会的な不満が高い階層の方がおり、日常のストレスをサービス業に従事する従業員にむける傾向があり、接客に関するいいがかり的なクレームや大きな声を上げて怒鳴る行為をとる傾向がある。
 このことは、集団主義的文化の消費者よりも個人主義文化の消費者が増えてきている象徴であり、背景には、格差社会の拡大といった社会問題も大きく含んでいるといえる。」 (関西大学社会学部社会学科 池内祐美教授 講演内容)

 従業員が理不尽で過剰な対応を強いられている典型例です。
 (ア) 社長をだせ、責任者を呼べ、上の者を出せのリピート
 (イ) 対応の悪さを執拗に指摘
 (ウ) 不快感を晴らすために、叶いそうにない要求をあえてストレートに主張
 (エ) 文章をよこせ、一筆入れろとの要求
 (オ) 長時間の監禁
 (カ) 普通の顧客なら受け入れる対応を拒絶しつづける

 労働者の精神衛生上の問題です。
「……しかしながら、トラブルが発生してしまった場合に、従業員がお客様に対して過度に責任を大きく感じてしまったり、無理して対応を続けるあまり、従業員の疲弊が高まる傾向が強く、仕事のストレス要因であると考えられる。日常の場合でいえば、レジ打ちの際に急いでいるお客様から時間的なプレッシャーを感じたり、商品等に対するクレームや過度な (特に理不尽な) 要求に対して対応を迫られたりする場合などである。従って、小売業におけるメンタルヘルス対策では、これまで多くの職業性ストレス研究で問題とされてきた様々な職業性ストレス要因に加え、時間的プレッシャーや労働者での負担などにも考慮して対応していくことが大切と思われる。」 (平成22年 厚労省 小売業におけるストレス対策への支援)
 悪質クレームによる企業損失です。
「企業においても悪質クレームに対して迅速かつ適切な対応が図られなければ、通常のお客様へのサービス低下が起こり、他の顧客に迷惑をかける事態にも発展し、さらに、従業員が大きなストレスを受ける職場であれば離職率の増加や人材が集まらない事態に陥る危険もある。」
 しかし、企業ごとに対応の違いがあります。
「クレーム対応については企業ごとに大きく違っており、従業員が行うクレームへの対応は大きく違っている。ある企業では、一定の要求レベルをこえる悪質クレームとして毅然と対応している企業もあれば、あくまでも顧客至上主義の中で 『お客様へは、納得いくまで対応する』 という基準をもうけている企業もある。こうした企業の対応の格差が悪質クレームの温床になりかねなく、産業全体への影響もありえる状況である。悪質なクレームに対しては毅然とした対応を図る産業全体の姿勢と、悪質クレーム対応の最低基準が必要であり、業界全体として認識を一つにしていくことが必要である。」
 「お客様へは、納得いくまで対応する」 のような対応は労働者の正義感を否定して受け入れ、自己をコントロールできなくなり、感情と行為の “乖離” をもたらします。また周囲の客にとってもクレーマーの行為は雰囲気を壊します。悪質なクレーマーを排除しても売り上げに大きな影響はでません。そのかわりに他の客へのサービス時間が増えるというリスク管理につながります。


 悪質クレームに関する課題です。
「……いつでも顧客至上主義的な対応をすることが正しい事ではないことを共通の認識にしていく必要がある。
 さらに、販売責任・製造者責任はあるものの、『消費者の選択した責任』 については強く保護される立場にあり、責任が偏っていることへの是正も必要であると考える。」
 しかし、企業側の対応の遅れもあります。
「企業側がクレームに対して慎重になる原因として、インターネットの普及により企業不祥事が一気に広まることへの警戒があげられる。拡大した情報がブランドを損なうことにつながれば顧客離れをおこし営業成績を下げる要因になりかねないとの考えが根強くなっており、消費者側が不当な要求をしているにも関わらず過剰な対応につながる傾向があり、対応が長期化し従業員のストレスが大きくなり生産性にも影響がでてくる。」
 しかし、クレームだけでなく無責任なインターネットへの書き込みに対応する手段はありません。別の手段でそれ以上の評価を得ることに力を注ぐ方がさきです。
 そこには悪質クレームの定義が存在しない、判断が困難なという問題があります。
「クレームの対応の難しさは、悪質クレームの明確な基準がないことがあげられる。……実際には厳格な対応が難しい環境にある。そのことが企業の対応に差異がうまれ、対応の難しさにつながっていることは否めない。一方、企業が自主的に判断基準を設定することは差し支えなく、悪質なクレームに対しては毅然とした対応をするための基準の策定には大きな効果を望める。一企業ではなく、業界全体としての基準作りをしていくことでより効果も大きくなっていく。」


 課題を解決するための企業の基本姿勢です。
 (1) 悪質クレームの定義と判断基準を明確にします。
「現場レベルでクレーム対応の判断ができるように悪質クレームの定義を明確にするのと同時に企業内で対応の考えを統一する。そのうえで、クレーム事例からクレームを類型ごとにまとめ、該当クレームごとに対応内容の基準を作成し、適正に対応できるように整理を行う。」
 (2) 企業は事前の啓蒙・教育を行います。
「企業は従業員に対して、悪質クレーム対策についての教育を実施し、従業員が過度に対応しないように考え方や対応を徹底していく。」
 (3) 毅然とした態度を示します。
「顧客至上主義の行き過ぎを見直し……『社会通念上受け入れられないことは、きちんと断る』 という毅然とした態度が必要である。企業は、従業員の保護、または業務に支障をきたさないためにも悪質クレームに対して判断基準を設け、早い段階で対応していく。」


悪質クレームの定義についてです。
「……悪質クレームに対応するのは現場の従業員であって、その従業員がじっさいの目の前の事態に対応するには、複雑な定義は不要であり、悪質クレームの定義については理解しやすい簡易なものが求められる。そこで、社会常識を大きく超える迷惑な要求者というものが業界の悪質クレームの定義として共通な認識になるだろう。一方で、悪質クレームの中には要求の内容自体には問題がないものの要求態度に問題がある場合や、反対に要求態度には問題がないものの要求内容が受け入れられない場合や、これらの複合型の場合などさまざまな類型が考えられる。これらのすべての類型を悪質クレームの範疇に含める定義がもとめられる。以上を考えたところによれば、悪質クレームとは『要求内容、又は、要求態度が社会通念に照らして著しく不相当であるクレーム』とするのが適切である。」


 企業としては、対策が必要です。
 (1) クレームが発生しないような予防策を講じることが重要です。予防策の効果が大きいと
  考えられる方法が教育・研修の実施です。
 (2) 企業として悪質クレームには毅然とした対応方針を明確に打ち出すことが重要です。
  業が、職場で働く者の後ろ盾となり、お客様と接する際の安心感を高めることが最大の効
  果をもたらすものとして期待できます

 (3)クレーム事案の発生、被害拡大、再発などの防止に対しては 「ミスは起り得る」 との認
  識に立ち、  クレーム情報を一元的に管理するため、報告 (連絡) の徹底を指導します。
 (4)クレーム対応は発生した内容と、種々の分類により変化することを認識し、業務に必要な
  知識等の研鑽に努めるとともに、顧客に応じた適切な措置が取れるような判断能力などの
  向上を図ります。
 (5)相談窓口を設置し、クレーム対応業務には様々な専門知識と豊富な見識を持ち、さらには
  対応感度の高い人材を配置することが望まれます。一人で対応しきれない悪質クレーマーに
  遭遇した場合など、精神が疲弊する前に担当者を交代することも時には必要であり、担当者
  を孤立させない

  ことが企業としても重要です。
 (6)日常で起こっているクレームの対応について、社内での情報交換や他企業の対応の研究と
  いった勉強会をしていくことが、対応レベルのスキル向上に大きく貢献します。
 (7)特に店舗においては、地域行政・警察・保険所など関係各所とのコミュニケーションを日
  常的に行い、クレーム発生時には相談できる体制をつくり迅速な対応ができるようにしてお
  きます。


 現場で起きている切実な問題に、UAゼンセン流通部門の取り組みを示しながら社会全体での取り組みになるよ運動を進めていく必要があります。
 5月19日から開催されている 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」 においてもこの内容をふまえた議論が行われることを期待します。

   「悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン
   「活動報告」 2017.9.29
   「活動報告」 2017.7.14
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小池知事の表明はサイレンスのヘイトスピーチ
2017/08/29(Tue)
 8月29日 (火)

 毎年10月下旬から11月上旬に秩父困民党蜂起の足跡を追う旅・ツアーに車で出かけます。
 東京から秩父に向かうには関越高速道路に乗りますが、このルートは旧中山道・JR高崎線に沿っています。1923年9月1日に発生した関東大震災の時に朝鮮人が避難したルートでもあります。
 関東大震災の時、流言飛語が飛び交い、たくさんの朝鮮人が虐殺されました。中国人、沖縄人も殺されました。虐殺は横浜から始まり、東京、千葉、埼玉へと広がっていきます。同時に住民のなかに自警団が結成されます。東京で大杉栄は自警団に加わっていましたがのちに警察に殺されます。

 中山道にそった関東大震災の時の朝鮮人虐殺の状況です。
 流言のなかで、埼玉県警は県南に住んでいたり、荒川の河川工事に従事していた朝鮮人、東京から県南方向に避難してくる朝鮮人をまとめて群馬方面に護送することにします。最初は警察や自警団が付き添って徒歩や自動車で中山道を下ったりしました。しかし県北まできた時に自警団の一部と群集が朝鮮虐殺に走ります。9月4日、県内3か所で虐殺事件が起きます。熊谷約60人、神保原42人、本庄88人です。
 寄居でも1人虐殺されます。朝鮮アメを売り歩いていた具学永 (クハクヨン) は寄居警察署に保護されましたが群衆に襲われ虐殺されます。虐殺の時、具学永は血で 「無罪 日本 責任」 と書きました。お墓は寄居駅近くの正樹院に建っています。戒名は 「感天愁雨信士」。毎年9月1日が近づくと寄居署の警察官は保護できなかった責任を感じてお参りに訪れるといいます。いつもきれいに掃除されています。何度か訪れ、持参したお線香を焚きました。

 児玉でも1人虐殺されました。浄眼寺 (本庄市児玉町八幡山375) の無縁仏のなかに 「鮮覚悟道信士」 があります。後に 「児玉警察署員一同」 で供養塔が建てられました。持参したお線香を焚きました。
 現在の本庄市歴史民俗博物館 (本庄市中央1丁目2-3) は旧本庄警察署です。署員は避難してきた朝鮮人を保護していました。群衆が押し寄せたので玄関に阻止戦を張って守ろうとしましたが多勢に無勢でかないませんでした。日本刀、竹槍、木刀、棍棒、丸太等で朝鮮人88人が虐殺されました。遺骨は共同墓地・長峰墓地 (本庄市東台5丁目) に埋葬されました。翌年に日本人によって 『鮮人之碑』 の慰霊碑が建てられましたがのちに 『関東震災朝鮮人犠牲者慰霊碑』 に建て替えられました。碑には88人の名前が刻まれています。博物館を訪れ、当時の様子を想像しました。
 熊谷では避難を続けていた60人が路上で虐殺されます。この時から埼玉での虐殺が始まります。大原共同墓地には供養塔が建っています。
 妻沼町では、足尾銅山で働いていた秋田県生まれの青年労働者が、東京に出て仕事をしようとたまたま山を下りてきて、利根川を渡って妻沼町に入ったところ、利根川の橋を警備していた自警団によって東北訛りの発音から朝鮮人と間違えられ、虐殺されました。


 神奈川警察署鶴見分署長の大川常吉は、自警団や群衆から殺害されるおそれのあった朝鮮人・中国人らを署に保護しました。1000人以上の自警団らが署を囲み朝鮮人を殺せと叫びます。大川は群衆を説得するが、群衆は朝鮮人に味方する警察を叩き潰せと騒ぎ立てはじめます。大川は群衆の前に立ちはだかり叫びます。
「鮮人に手を下すなら下してみよ、憚 (はばか) り乍ら大川常吉が引き受ける、この大川から先きに片付けた上にしろ、われわれ署員の腕の続く限りは、1人だって君たちの手に渡さないぞ」
 群衆は警察が管理できずに朝鮮人が逃げた場合、どう責任をとるのかと問います。大川は、その場合は切腹して詫びると答えると、そこまで言うならと群衆は引き下がりました。
 横浜市鶴見区潮田町3-144-2にある東漸寺に大川を顕彰する石碑が1953年に在日朝鮮統一民主戦線により建立されました。

 東京の各警察署も朝鮮人を保護し、警察官は身体を張って群衆の暴行や虐殺を止めさせようとしました。
 もし、このような警察官の行動がなかったら虐殺者数は今公表されている6000人ではなく万を超えたでしょう。
 民間人としては、弁護士の布施辰治は自宅に大勢の朝鮮人をかくまいました。


 8月24日、東京都の小池都知事は、歴代の都知事が市民団体などの主催する関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式に都知事名の追悼文を送らない方針を決めたことが明らかになりました。その理由を担当する都建設局は 「毎年9月1日に都慰霊協会の主催で関東大震災の犠牲者全体を追悼する行事があり、知事が追悼の辞を寄せている。個々の追悼行事への対応はやめることにした」 と説明しました。
 虐殺された人朝鮮人、中国人は関東大震災で亡くなったのではありません。デマに煽られた警察官や自警団などによって虐殺されたのです。自然災害と虐殺を一緒に捉えることはできません。虐殺された人たちへの追悼は、同じ歴史をくり返さないという自戒の誓いを込めたものです。小池都知事はそれを拒否したのです。
 行政の長としては、群衆の暴挙を防いだ警察官の活動も忘れずに顕彰をする続けることも大切です。

 今年は秋が早いです。

   幽霊の 正体みたり 枯れ尾花

 小池都知事はそもそも隠しようのないタカ派の人物です。知事に就任してからは、他者を批判はするが自分としては必要な判断をあいまいにしたまま先延ばしをします。しかし今回はさすが判断が早いです。
 あいまいさに期待を持たせてポピュリスムをふりまく幽霊の正体を露呈させたのが今回の判断でした。このような知事の進める都政は、富まない都民にとっては恐怖と枯れ尾花の廃墟しかもたらしません。

 小池知事は虐殺された人たちを自然災害の犠牲者と同じにしか見ていません。そもそも、なぜ当時多くの朝鮮人が日本にいたのかと検証することもしません。
「無視、もしくは無言の拒否というやりかたで、人は途方もなく恐ろしい差別をする。侮蔑的な発言をしたとか、侮蔑的な文章を配ったり貼ったりしたとか、そうしたわかりやすい差別行為とは別次元の、底なしの沼のような差別である。」 (高山文彦著 『生き抜け、長崎の被差別部落とキリシタン その日のために』 解放出版)
 あったことを無視することでないと言いくるめる手法です。小池知事の表明は間接的、サイレンスのヘイトスピーチです。

 
 なぜ朝鮮人の虐殺が起こったのでしょうか。虐殺者の数は6000人にのぼると言われています。
 関東大震災が発生すると1日の午後には 「不逞鮮人」 への流言飛語が飛び交い始めます。
 2日、山本内閣は戒厳令を出します。
 3日、内務省警保局長が各地方長官あて、「朝鮮人暴動に対する厳重な警戒を要する」 と指示します。各地に自警団が結成されます。

 10年の日韓併合は日本による朝鮮の植民地化です。土地調査により所有者が不明な土地は没収すると称して土地を奪い、人びとを路頭に惑わせました。その人たちが日本に渡って各地に住み着いていました。
 18年、全国で米騒動が起きます。シベリア出兵という国策が打ち出されていた時に、全国規模で群衆が国策に異議を打ち出した行動でした。
 19年3月1日、日韓併合に反対して朝鮮全土で独立運動が起きました。運動を鎮圧するために日本政府は残虐な行為を繰り返しました。当時の朝鮮総督府政務総監が水野錬太郎、朝鮮の警務総監が赤池濃、朝鮮の一九師団の師団長が石光真臣でした。
大震災の時、内務大臣が水野、警視総監が赤池、第一師団長が石光でした。
 だから震災が起きると、この機を利用して日韓併合に不満を持ち、3、1の鎮圧に抗議する朝鮮人が暴動をおこすだろうと勝手に連想したのです。政府も軍隊も自分らが行った行為が反撃を受けると恐怖に襲われていたのです。そのため異分子を先に抹殺することでしか自分らの安心を保障できないのです。
 そして民衆の政府に対する不満と不安のはけ口を朝鮮の人たちに向けさせたのです。
 20年、民心の動向を把握するため日本ではじめて国勢調査が実施されました。米騒動の後、検察は警察と一体となるべき民間組織を作り上げていきます。この頃から互助組織の社会が破壊され、縦型の組織に再編されていきます。自警団はまさにそのような組織です。


 9月6日、千葉県東葛郡福田村 (現野田市) では、香川県三富郡の被差別部落から行商に来ていた一行15人が船で利根川を渡って茨城県に行くため渡し船に乗ろうとしていて船頭と言い合いになりました。船頭が 「どうもお前たちの言葉づかいが日本人でないように思うが、朝鮮人と違うか」 と言い出しました。半鐘が鳴らされ、自警団が押し寄せると 「君が代を歌え」 「15銭50銭と言ってみろ」 と迫ったりします。このような中で9人が虐殺されます。「福田村事件」 です。
 襲った側は8人が逮捕されました。田中村では各戸から弁護費用のための金を集めます。結局は昭和天皇の即位で恩赦になります。その後、中心人物は後に村長に。
 この事件は隠され続けました。事件現場近くの円福寺・大利根霊園内に慰霊碑が建立されたのは2003年9月6日です。
 そして甘粕事件、亀戸事件と続きます。


 まだまだ隠されている事件があると思われます。追悼は忘れることなく過ちを繰り返さないという未来への誓いです。事実の発掘は未来への警鐘です。

   「活動報告」 2013.9.3
   「活動報告」 2011.9.6
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