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新任教諭が1年もたたずに依願退職するケースが増えている
2019/12/27(Fri)
 12月27日 (金)

 12月24日、文科省は 「平成30年度 (2018年度) 公立学校教職員の人事行政状況調査について」 を公表しました。その中の精神疾患による病気休職者等数についてです。
 全教育職員数は、18年5月1日現在920,034人で大きな変化はありません。
 まずここ5年の5月1日現在の病気休職者数の推移をみてみます。
 2014年5045人 (全教育職員数の0.55%)、15年5,009人 (0.54%)、16年4,891年 (0.53%)、17年5,077人 (0.55%)、18年5,212人 (0.57%) です。大きな変化はありませんが5,000人前後の数字は決して小さくありません。なおかつこのような状況が続くということは、文科省における対応が不充分であるといわざるをえません。
 全教育職員数に占める割合が高いのは、東京都0.91%、大阪府0.80%、鳥取県0.64%、広島県0.64%、熊本県0.70%、沖縄県1.15%、札幌市0.77%、川崎市0.80%、横浜市0.83%、相模原市0.68%、名古屋市0.97%、京都市0.93%、大阪市1.00%、福岡市0.86%です。大都市が相対的に高くなっています。
 逆に低いのは、山形県0.33%、福島県0.27%、山梨県、0.22%、静岡県0.31%、兵庫県0.11%などです。

 文科省は、調査結果を踏まえた今後の対応として、・精神疾患等の健康障害についての相談窓口の整備について各教育委員会に通知・過剰要求等に対して適切に対応するためのスクールロイヤーの活用等の促進・精神疾患による休職者等の復職支援プログラム等について効果的な取組を行っている教育委員会に対してヒアリングを行い、各教育 委員会の人事担当者を集めた研修会において優良事例を共有・このほか、学校における働き方改革の取組を総合的に推進、を行なうとしていますが、果たして効果はあるでしょうか。


 学校の教職員からの体調不良の相談を受けていると、3月末で回復し、4月から復帰ということが多くあります。医師も本人の希望をうけてそのような診断書を書くのでしょう。そのため5月1日時点だけでは通年の状況はわかりません。
 「精神疾患による病気休職者及び1ヶ月以上の病気休暇取得者の状況一覧 (教育職員)」 をみると、合計は9.062人 (0.98%) です。
 高いのは、宮城県1.49%、山形県1.23%、東京都1.33%、新潟県1.14%、大阪府1.10%、奈良県1.27%、広島県1.32%、沖縄県1.50%、さいたま市1.27%、横浜市1.31%、名古屋市1.25%、京都市1.51%、大阪市1.45%、広島市1.40%、福岡市1.51%などです。
 逆に低いのは、福島県0.71%、栃木県0.75%、群馬県0.41%、山梨県0.49%、静岡県0.60%、和歌山県0.67%、山口県0.64%、香川県0.61%、愛媛県0.60%、浜松市0.62%などです。
 特に沖縄県は、この間ワーストワンが続いています。

 11月15日の沖縄タイムスによると、沖縄県立学校教職員 (高校、特別支援学校、中学校) の2018年度勤務実態調査が報告されました。調査対象は県立全84校に勤める教職員約5.700人です。
 残業時間が月100時間を超えた人数は延べ1.314人に上ったことが分かりました。月平均で110人。一方、産業医による面談指導を受けた人数は延べ27人にとどまるといいます。
 100時間を超えた超勤理由 (複数回答) を見ると、「部活動」が延べ1167人で最も多く、次いで 「授業準備」 が同209人、「事務・報告書作成」 が同169人と続きます。
 調査は教職員の自己申告に基づいて集計します。対象の業務は平日の部活動指導、休日の部活動指導・生徒引率、保護者・PTA対応などに要した時間で、早朝・放課後講座、土日講座などは含まれません。

 県教育庁学校人事課の担当者は 「教職員に求められるものが昔に比べて大きくなってきていることも負担になり、精神疾患での休職に影響しているのではないか」 とした上で、「これまで実施してきた保健師との相談窓口設置やストレスチェックなど予防に力を入れていきたい」 と話していますが対策がとられているとはいえません。


 さらに詳しく全国の職種別の精神疾患による病気休職者の割合をみると教諭等0.63%、主幹教諭等0副33%、養護教諭等0校31%、副校長等0、19%となっています。
 年代別では、20代0.54%、30代0069%、40代0.64%、50代以上0.55%です。担当する業務の量が影響しているように思われます。
 別の長時間労働についての調査では、副校長等のいわゆる中間管理職が他と比べて長くなっています。

 また新任の学校教諭が1年もたたずに依願退職するケースが増えています。
 18年度に採用された公立小中高校、特別支援学校の教諭のうち431人が1年以内に依願退職し、前年度比では73人増です。3年連続増加で、1999年度以降で最多となっています。
 理由は自己都合が299人で最も多く、病気を理由とした111人のうち104人が精神疾患を挙げています。教育現場の長時間労働が指摘される中、新任教諭でも負担感大きいと思われます。それよりも学校が魅力ある職場、職業になっていません。
 特に福岡市は、15年度はゼロだった依願退職者が16年度2人、17年度13人と増加傾向にあります。18年度21人 (採用者全体に占める割合3.27%) のうち、精神疾患を理由にしたのは6人でした。
 市教育委員会は 「近年は採用者も多く、退職理由もさまざまで一概に比較はできないが、新任教諭に対する支援の必要性は認識している」 と説明。19年度から市教委の職員が各学校を回り、若手教員に悩み事などを打ち明けてもらう座談会の場を設けているという。


 学校は管理教育が進んでいます。
 よくいわれるのが 「雑務が増えた」 です。授業の準備だけでなく、調査・報告書作成、諸会議の増加、行事への出席、クラブ活動などが増えて物理的にゆとりがありません。
 いじめ問題が発生すると保護者、地域などの対応にさかれます。ゆとり がないなかでは、いじめ問題が発生しても 「なかったことにする (したい)」 という思いにかられ、学校あげて隠蔽に走ります。このようなことが深刻 な事態に陥らせてしまっています。
 文科省は、長時間労働を、公立校教員の労働時間を年単位で調整できる変形労働時間制の導入で覆い隠そうとしています。

 さらにこの間は 「敬愛教育」 の強制といわれますが、国家主義的教育が強いられ、道徳教育の監視・管理が行われているといいます。そのなかでストレスを発症させています。精神的にもゆとりがありません。
 このようななかで子どもたちのなかにいじめ問題が発生します。その対応に追われます。

 文科省は、教職員の人事行政上の状況調査ではなく、ゆとりのない状況の原因、具体的には業務遂行の内容・労働時間などの調査をおこない、教職員に物理的にも精神的にもゆとりある体制を作っていくのが早急の体調不良者を減らす対策になります。

 「平成30年度(2018年度)公立学校教職員の人事行政状況調査について」
 「IMC通 第47号」
 「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」 のホームページ・ご相談はこちらから
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原因追及をしても政策としては活かされない過労死等防止対策
2019/10/04(Fri)
 10月4日 (金)

 10月1日、政府は、過労死等防止対策推進法に基づき、「平成30年 (2018年) 度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」 (令和元年版過労死等防止対策白書) を閣議決定し公表しました。

 まず、「労働時間等の状況について」 です。
 労働白書は、一貫して平均労働時間は2000時間を割っていると発表していますが (16年は1724時間)、この数字は一般労働者とパート労働者を合わせての平均です。パートタイム労働者比率は増え続け、2016年は30%を超えています。
 過労死防止白書は一般労働者だけの総実労働時間を公表します。2009年を除き、2000時間を超えています。2016年度は2024時間です。
 所定外労働時間の推移をみると、2010年以降120時間台を維持し、14年、15年には130時間台になっています。パート労働者の増加を勘案するなら総労働時間は減っていないというのが実情のように思われます。


 「就業形態別年間総実労働時間」 は 「建設業」、「運輸業,郵便業」 が2000時間を超えています。
 業種別に、月末1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合をみると、2016年度年は、「運輸業・郵便業」、「教育・学習支援業」、「建設業」 の順に割合が高く、「鉱業・採石業・砂利採取業」、「医療・福祉」、「複合サービス事業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」 の順に低くなっています。また、2016年の割合について、2014年、2015年と比較すると、多くの業種で減少していますが、「金融業・保険業」 では微増、「教育・学習支援業」 では、ほぼ横ばいで推移しています。

 「年次有給休暇の取得率、付与日数・取得日数」 の全体の推移は、2007年まで微減傾向が続き (2007年は8.2日)、その後は増減しながらも微増しています (2015年8.8日)。取得率は、2000年以降40%後半で推移しています。取得のためにさまざまな働きかけがおこなわれていますがこの程度です。
 産業別での取得率は、電気・ガス・熱供給・水道業 (71.3%)、総合サービス業 (63.7%) で高いですが、宿泊業・飲食サービス業・娯楽業 (32.5%)、卸売業・小売業 (35.5%)、建設業 (38.2%) は低いです。


 「諸外国における年平均労働時間」 の推移です。
 日本はパート労働者を含めた年間労働時間1724時間で比較するとアメリカの1795時間を下回りますが、一般労働者の2024時間で比較すると韓国の2071時間に次ぎます。
 諸外国における 「週労働時間が49時間以上の者」 (月の残業時間になおすと36時間以上) の割合は、男性29.5%、女性9.5%を占めます (2015年)。まだまだ長時間労働は改善されていません。


 「過労死等の現状」 です。
 業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等 (以下「脳・心臓疾患」) を発症したとする労災請求件数は、過去10年余りの間、700件台後半から900件台 前半の間で推移しています。支給決定 (認定) 件数は、2002年度に300件を超えて以降、2006年度から2008年度に300件台後半となりましたが、それ以降は200件台後半から300件台前半の間で推移しています。そのうち死亡件数は、2012年度に160件に至りましたが、ここ数年間は90件台から100件台前半で推移しています。
 2016年度の産業別での請求件数は 「運輸業.郵便業」 212件 (25.7%)、「卸売業・小売業」 106件 (12.8%)、「製造業」 101件 (12.2%) の順で多く、支給決定 (認定) 件数は 「運輸業・郵便業」 97件 (37.3%)、「製造業」 41件 (15.8%)、「卸売業・小売業」 29件 (11.2%) の順で、前年度に引き続き、請求件数、支給決定 (認定) 件数ともに 「運輸・業,郵便業」 が最多となっています。


 過労死等の実態を多角的に把握するため、過労死等調査研究センターは、脳・心臓疾患と精神障害の2010 年1月から2015年3月までの資料を調査・分析しました。
 そのなかの 「脳・心臓疾患 業務上事案」 についてです。1.564件のうち、1.495件 (95.6%) が男性、69件 (4.4%) が女性です。疾患・年齢階級別にみると、脳疾患が確認された968件、心臓疾患が確認された593件とも発症時年齢が 「50~59歳」 の事案で最も多く、次いで 「40~49歳」 の事案です。
疾患・業種別にみると、「運輸業・郵便業」 で最も多く464件、以下、「卸売業・小売業」 で229 件、「製造業」 192とつづきます。

 業務が原因で明らかに過重負荷として認められた要因 (以下 「労災認定要因」 という。) は、全業種でみると事案の93.0%が 「長期間の過重業務」 により労災認定されています。これらの事案について労働時間以外の負荷要因をみると、「拘束時間の長い勤務」 が32.2%と最も高く、「交代勤務・深夜勤務」 が15.3%、「不規則な勤務」 が13.9%の順となっています。
 業種別には 「拘束時間の長い勤務」 の割合が、「運輸業,郵便業」 で57.7%と最も高く、以下、「漁業」 (50.0%)、「医療、福祉」 (35.7%) の順です。「交代勤務・深夜勤務」 の割合は、「運輸業・郵便業」 で26.2%と最も高く、以下、「サービス業 (他に分類されないもの)」 (22.2%)、「医療・福祉」 (21.4%) の順です。「不規則な勤務」 は、「運輸業・郵便業」 の割合で31.1%と最も高く、以下、「医療.福祉」 (23.8%)、「漁業」 (20.0%)の順です。


 今回の白書のポイントに 「1.長時間労働の実態があると指摘のある建設業、メディア業界に関する労災認定事案の分析など、企業における過労死等防止対策の推進に参考となる調査研究結果を報告。」 があげられています。
 過労死等調査研究センターにおいて、2010年1月から2015年3月の期間における脳・心臓疾患と精神障害による労災認定事案 (脳・心臓疾患1.564件、精神障害・自殺2.000 件) を分析対象として、大綱で 「過労死等が多く発生しているとの指摘がある」 ものとして挙げられている5業種・職種 (自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療等) のうち、「自動車運転従事者」、「外食産業」 の2業種・職種について分析を行いました。また、厚生労働省が委託し、2016年12月から2017年2月にかけて、運送業 (バス、タクシー、トラック) と外食産業の、企業及び労働者を対象としたアンケート調査を実施し、労働・社会面からみた過労死等の状況を調査しました。

 その中の 「自動車運転従事者」 の 「労災認定事案の分析結果」 です。
 「運輸業・郵便業」 における労災認定事案のうち、脳・心臓疾患は465件、精神障害は214件です。
 「運輸業・郵便業」 における自動車運転従事者の勤務形態は日勤が多いですが、自動車運転従事者のうち、トラック運転者は深夜・早朝を含む運行が多く、運行時刻が不規則でした。また、宿泊を伴う運行や運転以外の荷役など身体的負荷のかかる労働があるという特徴もあります。
 タクシー・バス運転者は拘束時間が長く、対人業務であることから精神的緊張を伴う勤務に特徴があります。 また、脳・心臓疾患の発症時期は、1月~3月の厳寒期と7月~9月の猛暑期が多く、雇用年数では2年未満と15年以上に被災者が多いです。
 トラック運転者の事例では走行中での発症が最も多いですが、事業場における荷扱い中での発症も多い特徴があります。さらに、労働安全衛生法に基づき実施しなければならない健康診断について、トラック運転者の健康診断受診率をみると、厚生労働省で実施している2013年 「労働安全衛生調査 (実態調査)」 では、トラック運転者が含まれる 「輸送・機械運転従事者」 は95.2%ですが、脳・心臓疾患の労災認定があったトラック運転者は69.2%と受診率が低い結果がありました。無理を承知で働いています。

 自動車運転者 (正規雇用者) の平均年齢は48.4歳で、「40歳代」 (34.9%) が最も多く、次いで 「50歳代」 (30.3%)、「60歳代以上」 (15.3%) です。
 業種別にみると、平均年齢は 「タクシー運転者」 が 56.8歳で最も高く、次いで「バス運転者」が49.4 歳、「トラック運転者」 が46.4 歳です。

 2015年度における 「1か月の時間外労働時間が最も長かった自動車運転従事者 (正規雇用者) の月間時間外労働時間」 は、45時間超と回答した企業の割合は、「トラック」 (59.3%)、「バス」 (53.3%)、「タクシー」 (41.2%) の順です。また、80時間超と回答した企業の割合は、「バス」 (30.0%)、「トラック」 (26.2%)、「タクシー」 (10.3%) の順です。

 では「自動車運転従事者に所定外労働が発生する理由」についてで、企業、労働者がどのように考えているのかです。
 企業において、所定外労働が発生する理由について、業種別にみると、「バス」 では 「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」 47.1%、「タクシー」 では、「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」 及び 「予定外の仕事が突発的に発生するため」、「人員が足りないため」 33.0%、「トラック」 では「取引先の都合で手待ち時間が発生するため」 52.1%で最も割合が高いです。

 一方、自動車運転従事者 (正規雇用者) にとっては、所定外労働が発生する理由について、職種別にみると、「バス運転者」、「タクシー運転者」 では 「人員が足りないため」 がそれぞれ58.8%、23.7%で最も割合が高いです。「バス運転者」 では、他の職種に比べて 「残業を前提に、仕事を割り当てられているため」、「残業手当等を増やし、収入を確保するため」、「欠勤した他の従業員の埋め合わせが必要なため」 が20%以上と、割合が高くなっています。「トラック運転者」 では「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」が 26.9%で最も割合が高く、次いで、「予定外の仕事が突発的に発生するため」 が25.3%、「取引先の都合で手待ち時間が発生するため」 が25.1%となっています。

 「過重労働の防止に向けた取組みへの課題」 についての 「企業調査において、過重労働防止に向けた取組みへの課題について」 は、業種別にみると、「バス」 では 「人員不足のため対策を取ることができない」 26.7%、「タクシー」 では 「売上げや収益が悪化するおそれがある」 35.5%、「トラック」 では 「荷主・発注者の理解が不足している」 54.1%の割合が最も高くなっています。

 「疲労蓄積度、ストレスの状況」 です。
 自動車運転従事者 (正規雇用者) について、直近1か月間の勤務の状況や自覚症状に関する質問により判定した疲労蓄積度 (仕事による負担度) が 「高い」、「非常に高い」 と判定される者の割合を職種別にみると、「バス運転者」 (29.6%) が最も高く、次いで 「トラック運転者」 (13.5%)、「タクシー運転者」 (12.7%) となっています。

 「業務や業務以外のストレスや悩みの有無」 については、 職種別に、「ある (あった)」 の割合は 「バス運転者」 (59.8%) で最も高く、次いで 「タクシー運転者」 (50.1%)、「トラック運転者」 (41.1%) となっています。さらに、「業務関連のストレスや悩みがある (あった)」 の割合は、バス運転者 (59.5%) で最も高く、次いで 「タクシー運転者」 (48.6%)、「トラック運転者」 (37.5%) となっています。

 「業務関連のストレスや悩みがある (あった)」 と回答 した1.729 件について、ストレスや悩みの内容(業務関連)を職種別にみると、「バス運転者」 では 「長時間労働の多さ」 (48.0%)、「タクシー運転者」 では「売上・業績等」 (49.7%)、「トラック運転者」 では 「仕事での精神的な緊張・ストレス」 (42.5%) の割合が最も高くなっています。「タクシー運転者」 では 「売上・業績等」 は長時間労働も招きます。
 トラックの企業について、取引慣行として荷主から要請される事項又は荷主の都合で発生する事項についてたずねています。「荷主の都合で出入荷で手待ち時間が発生する」 55.6%で最も高く、次いで 「無理な到着時間を要請される」 14.8%、「契約外の荷役作業を要請される」 14.1%でした。


 「白書」 のまとめです。
「運送業の企業において自動車運転従事者が人員不足であること、バス、 タクシー、トラックのいずれの業種においても 12月に深夜勤務や休日出勤回数が多く、繁忙 期であることが認められました。
 また、各業種、職種ごとの特徴としては、バス運転者については、疲労の蓄積度が高く、 業務や業務以外のストレスや悩みが 「ある」 と回答した者の割合が高いことが認められました。これは、利用客からの理不尽なクレーム (苦情) に苦慮することが多い傾向の職種であることが一つの要因であり、また、タクシー運転者、トラック運転者と比較し、運転ダイヤや運行時間の制約から、自分のペースで仕事をすることが難しいという仕事の特性が影響していることも考えられます。タクシー運転者については、自分のペースで仕事ができ、自分で仕事のやり方を決めることができる一方で、売上・業績等に対してストレスや悩みを感じている傾向があることが認められた。
 さらに、バス運転者に共通して、利用客からの理不尽なクレーム (苦情) に苦慮することがストレスとして感じられることが認められました。トラック運転者については、所定外労働の発生理由として、取引先 (荷主) の都合による 手待ち時間の影響が大きく、また、企業としても、荷主・発注者の理解が不足していることを過重労働の防止に向けた取組みへの課題として認識していることが認められた。
 また、過労死等の労災認定がされているトラック運転者は、法定の健康診断の受診率が低いことも分析結果から認められました。
 このようなことから、過労死等の防止のためには、自動車運転者を適正に配置することが基本的には必要であるが、適正配置に当たっては、繁忙期である12月の休日労働や深夜勤務の削減を行う等の対応や繁忙期における健康管理等の取組みが求められるとともに、法律に基づく健康診断の確実な実施が求められます。
 また、長時間労働以外の業務関連のストレス要因に対応するためには、それぞれの事業場におけるストレス要因を把握し、対応することが必要であり、職種ごとの特徴を踏まえた対応が効果的と考えられるが、そのためには、ストレスチェックを行い、自動車運転者本人にストレス状況の気付きを促すとともに、事業者は集団分析を活用することにより自動車運転従事者の職場環境改善に繋げていく取組みが必要であります。
 さらに、セルフケアやラインによるケアに結びつける等のメンタルヘルス対策を積極的に活用することも有効と考えられます。トラック運転者の時間外労働削減のためには、引き続き、トラック運送事業者、荷主、行 政が一体となり、取引環境の改善を図るための取組みを進めていく必要があります。」


 日本の行政におけるさまざまな対策は調査をし、分析をして終了します。それを政策として具体的に進めるということには至りません。過労死防止対策においても原因ははっきりしていても実行には移されません。政府の掛け声だけの対応が容認されます。
 例えば、「バス運転者に共通して、利用客からの理不尽なクレーム (苦情) に苦慮することがストレスとして感じられることが認められました。トラック運転者については、所定外労働の発生理由として、取引先 (荷主) の都合による 手待ち時間の影響が大きく、また、企業としても、荷主・発注者の理解が不足していることを過重労働の防止に向けた取組みへの課題として認識していることが認められた。」 というのなら、「パワハラ防止法」 には、いわゆる 「第三者からの暴力」 の禁止事項、罰則規定については早急に盛り込まれる必要があります。

 「過労死等防止対策白書」
 「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」 のホームページ・ご相談はこちらから
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時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導した事業場2,216
2019/04/26(Fri)
 4月26日 (金)

 4月25日、厚労省労働基準局監督課過重労働特別対策室は、昨年11月に実施した2018年度の 「過重労働解消キャンペーン」 の重点監督の実施結果を公表しました。
 キャンペーンにおける重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の 「使い捨て」 が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる8,494事業場に対して集中的に実施したものです。その結果、5,714 事業場 (全体の67,3%) で労働基準関係法令違反を確認し、そのうち2,802事業場 (33,0%) で違法な時間外労働が認められたため、それらの事業場に対して、是正に向けた指導を行いました。

 8,494事業場の事業場規模別の監督指導実施事業場数です。
 1~9人が2253、10人~29人が2931、30~49人が1282、50人から99人が975人、100~299人が800、300人以上が271です。
 企業規模別の監督指導実施事業場数です。
 1~9人が826、10人~29人が1369、30~49人が786、50人から99人が925人、100~299人が1515、300人以上が3073です。
 決して企業規模が小さいところが違法行為をおこなっているということではありません。むしろ300人以上の企業が36%を占めています。


 違法な時間外労働が認められたものについてです。
 2,802事業場において時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数についてです。
 月80時間を超えるもの:    1,427事業場 (50.9%)
 そのうち月100時間を超えるもの:868事業場 (31.0%)
 そのうち月150時間を超えるもの:176事業場 ( 6.3%)
 そのうち月200時間を超えるもの: 34事業場 ( 1.2%)です。

 賃金不払残業があった463事業場 (5.5%)
 過重労働による健康障害防止措置が未実施948事業場 (11.2%)です。

 違法な時間外労働が認められた事業場の業種です。
 製造業808、商業484、運輸交通業409、接客娯楽業243、建設業222、その他 (派遣業、警備業、情報処理サービス業等)247です。

 健康障害防止に係る指導として過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導した事業場は4932です。そのうち、時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導した事業場は2,216、月45時間以内に削減するよう指導した事業場は2,677です。

 労働時間の管理方法についてです。
 使用者が自ら現認することにより確認780事業場です。
 事業場でタイムカードを基礎に確認3,057、
 事業場でICカード、IDカードを基礎に確認1,712
 事業場で自己申告制により確認2,791でした。

 労働時間の把握方法が不適正なため指導した事業場1,362です。


 労働時間以外についてです。
 賃金不払残業の指摘された事業場数です。
 製造業75、商業104、運輸交通業44、接客娯楽業55、建設業48、その他52です。全体の5.5%で発生しています。

 健康障害防止措置 (衛生委員会を設置していないもの等、健康診断を行っていないもの、1月当たり100時間以上の時間外・休日労働を行った労働者から、医師による面接指導の申出があったにもかかわらず、面接指導を実施していないもの) についてです。
 製造業203、商業198、運輸交通業94、接客娯楽業154、建設業49、その他104です。


 労基署の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の 「使い捨て」 が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して14年度から実施されます。
 今年の具体例です。
その1 脳・心臓疾患を発症した労働者について、労働時間を調査したところ、労働時間の把握方法は勤怠 システムに各人が出退勤時刻と休憩時間を入力する自己申告制を採用しており、当該労働者についても一定の労働時間が申告されていたものの、同僚労働者への聴き取り等により、適正に自己申告 されておらず、実際の労働時間を把握できていないことが判明した。
 脳・心臓疾患を発症し死亡した労働者について、36協定で定める上限時間 (特別条項:月80時間)を超えて、月100時間を超える違法な時間外・休日労働 (最長:月134時 間) を行わせ、それ以外の労働者1名についても、月100時間を超える違法な時間外・休日労働 (最長:月219時間) を行わせていた。
 労働者について、定期健康診断 (1年以内ごとに1回) 及び深夜業に従事させる場合の健康診断 (6か月以内ごとに1回) を実施していなかった。

その2 労働者4名について、月100時間を超える時間外・休日労働 (最長:月127時間) を行わせていた。 また、労働時間の把握は、タイムカード及び作業日報に始業・終業時刻を打刻、記入することで行われていたが、タイムカード及び作業日報を確認したところ、法定の休憩時間を与えていなかったことが判明した。
 長時間労働を行った労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報について産業医に提供していなかった。
 18歳未満の年少者について、その年齢を証明する証明書を事業場に備え付けていなかった。

その3 労働者4名について、36協定で定める上限時間 (月45時間) を超えて、月100時間を超える時間外・休日労働 (最長:月195時間30分) を行わせていた。
 常時50人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、安全管理者、衛生管理者、産業医を選任 しておらず、安全委員会及び衛生委員会を設けていなかった。また、労働者に対して心理的な負担を把握するためのストレスチェックを実施していなかった。


 厚労省は、健康被害が生じるリスクが発生するとした月45時間を超える時間外労働を含む過重労働による健康障害防止のための総合対策についてなどさまざまな通達を出しています。しかし過重労働削減の方向には向かっていません。それよりも、「長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導」 は、それを行なったならば長時間労働を容認する、労災申請されても、意思の面接指導のときは大丈夫だったと反論する口実になっています。

 改善指導する事業場がなかなか減らないということは、現在の対応は実効性がともなっていないということです。


 この4月から働き方改革法が施行され、その中には労働時間に関するものも含まれています。そこでは、長時間労働を促進するものと、時間外労働月80時間と規制するものとをあわせもっています。政府と経済界は長時間労働を本気で改善しようとは思っていません。
 厚労省の仕事はデータを作成することではありません。そのなかから読み取れる問題点を改善するための政策を実行することです。


 「2018年度 「過重労働解消キャンペーン』」
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コンビニ問題  役に立たない労働委員会 世論はオーナー支持
2019/03/29(Fri)
 3月29日 (金)

 2月に東大阪市のセブンイレブンのフランチャイズ店が、人員不足から自主的に深夜の営業時間を閉店したら本部から違約金を請求されたことが報道されると、全国的で同じような問題があると指摘され表面化しています。(3月1日の 「活動報告」)
 この店舗では18年6月から2月までに13人の従業員が辞めたといます。オーナーは 「1人で28時間働いたこともあった。24時間営業が基本というが (人手不足の) 現状を見てほしい」 と語っています。


 コンビニの営業時間、人員体制の問題はかなり前から指摘されていました。
 岡山県の株式会社ファミリーマートのフランチャイズ店のオーナーたちは 「ファミリーマート加盟店ユニオン」 を結成し、2010年にファミリーマートに団体交渉を申入れました。拒否されたので県労働委員会に不当労働行為の救済申立を行いましたがオーナーは労働組合法上の労働者には当たらないと棄却されます。中央労働委員会に再審査を申立てましたがこの3月15日に棄却されました。
 同じように12年に東京でセブンイレブン・ジャパンに団交申入をしたオーナーたちについては、都労委は救済命令を出しましたが本社が再審査を申立て、3月15日に中央労働委員会は不当労働行為の救済申立を棄却しました。
 2つの事件の棄却の理由です。
「加盟者 (オーナー) は、独立した小売事業者であって、会社の事業の遂行に不可欠な労働力として会社の事業組織に組み入れられ、労働契約に類する契約によって労務を供給しているとはいえない。さらに、加盟者は、会社から労務供給の対価として報酬を受け取っているということはできず、他方で、加盟者の事業者性は顕著である。以上を総合考慮すると、本件加盟者は、使用者との交渉上の対等性を確保するために労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められる者として、会社との関係において労働組合法上の労働者に当たると評価することはできない。」

 岡山の救済申し立ては2010年、東京は12年です。団体交渉は、オーナーたちが現場に早急に解決したい困難な問題があったから団結して申入れました。8年間に問題は解決されたでしょうか。そうだったら東大阪の問題は起きません。
 労働委員会にとってオーナーが抱える問題は他人事でしかありません。違うというなら、たとえ労働組合法上の労働者に当たらないと判断するにしてももっと早くに棄却すべきです。そうしたらオーナーたちはもっと早くに別の対応ができます。現在の労働委員会は、決定を出しても行政訴訟を起こされて覆されることをおそれ、独自の判断をしないで裁判所の顔色を窺った決定をします。慎重な判断といいますが、困難をかかえたまま待たされるのは労働組合・労働者性があると主張する側です。行政訴訟に至ったらさらに時間がかかります。
 今回は、途中で和解勧告もおこなわれましたが、早期解決のためではありません。決定を出して行政訴訟で覆されることをおそれた自己保身からです。労働委員会は救済機関というのなら労働者側に立った早期解決を目指すべきです。
 そもそも、個人事業主の労働者性をめぐる訴訟では、現在、結果を想定しにくい現状にあります。フランチャイズの問題は経営者だけでなく、労働委員会も裁判所も解決を放置してきました。労働委員会は、労働組合法上の労働者に当たるか否かの問題だけでなく、取り扱った案件から問題点を整理し、実際に現場で発生している問題についての法整備の必要性を関係省庁等に要請する必要があります。


 セブン―イレブン・ジャパンは3月上旬以降に全店に聞き取りをしたところ、営業時間の短縮を求めるフランチャイズチェーン加盟店が約2万店の0.4%にあたる80店あることを明らかにしました。時短を求める店舗に対しては 「24時間の原則を維持するが、個別の事情に応じて加盟店一店一店と話し合いたい」、従業員の派遣業者を紹介するなどで終日営業の維持を支援し、時短営業の実験店とすることを検討するといいます。ただし、フランチャイズ契約の見直しは現時点で検討していないといいます。
 3月21日から、全国の直営10店で16時間に短縮した店舗運営の実験を始めました。まずは営業時間を短縮した場合に生じる課題を洗い出したい」 といいます。そして店舗の収益や物流のあり方、閉店や開店に伴う従業員の作業負荷などを数カ月かけて検証します。今後、フランチャイズ加盟店にも拡大します。遅きに失した対応です。


 経産省は、コンビニのフランチャイズ契約は対等な契約で、下請取引の公正化や下請業者の利益保護を目的にした下請法の対象にはならないと説明してきました。実態は、時間的にも経済的にも100%従属性があり、実態は本社に指揮命令権がある支配・被支配の関係が明らかにもかかわらずです。
 経産省は昨年末から19年3月にかけて、コンビニ8社のフランチャイズ加盟店オーナー約3万人を対象に、人手不足の状況や、本部とのフランチャイズ契約の在り方、経営の現状に関するアンケート調査を実施しました。3月26日に公表された結果によると、加盟店の6割が人手不足を訴え、半数が売り上げが減少した、4割が加盟したことに満足していないと回答しました。
 世耕経済産業相は3月26日の記者会見で、コンビニが人手不足から24時間営業が難しくなっている問題について、「国民の生活インフラであるコンビニの持続性の観点から問題」 と指摘、行動計画を作製するようコンビニ大手4社に要請することを表明しました。大臣が4月にもコンビニ4社のトップと会談して要請します。行動計画では時短営業や無人化など、企業の自主的な取り組みを促し、また有識者を交えた検討組織をつくる意向も明らかにしました。


 さて、親企業が実質的に支配・管理するフランチャイズ契約において、法律上、企業の注意義務や安全配慮義務、労働時間把握義務は本当にないのでしょうか。
 『労働の科学』 の2018年12月号は、「自営業の安全と健康」 を特集しています。そこに労働弁護団の和泉貴士弁護士が 「労働者性概念のゆらぎと労働時間把握義務への影響」 を寄稿しています。抜粋して紹介します。
「労働基準法が法定労働時間制を採用し、時間外労働について割増賃金が発生するとした趣旨は、8時間労働を超えて労働させたことに対するサンクション (制裁) であり、また、労働者が本来生活時間として確保すべき時間を浸食したことに対する補償であると考えられています。そして、法が定める労働時間規制を根拠として、企業には1日の労働時間の適正な把握が求められています (厚生労働省 「労働時間の適正な把握の為に使用者が講ずべき措置に関する基準」)。
 他方で、管理監督者、裁量労働、変形労働時間制度、高度プロフェッショナル制度など、法定労働時間制のもとでその適用を限度的なものにしようとする方改正や立法が次々と制定されてきました。」

 「労働者が本来生活時間として確保すべき時間を浸食した」 のとらえ方は、雇用・被雇用の関係にある場合だけでなく、社会生活を営むすべての者たちに対して適用されなければなりません。一方的に犠牲を強いるにすることは認められません。
 親企業には企業としての社会的責任があります。その責任はまず関連する子会社、系列企業の労働者に対して果たす必要があります。しかし協働の活動をしながら、雇用に関連、労働者制の問題になるとまったくの “他人の関係” になります。一方は暴利をむさぼり、一方は健康を害し、経済的にはぎりぎりの生活を維持しなければならないところまで “搾り上げ ”られます。そのような親企業が 「社会的ニーズ」 「お客様の声」 を口にします。

「電通事件最高裁判決は、・・・『労働安全衛生法65条の3は、作業の内容等を特に限定することなく、同法所定の事業者は労働者の健康に配慮して労働者の従事する作業を適切に管理するように努めるべき旨を定めているが、それは、右のような危険 (労働者の心身の健康を損なう危険) が発生することを防止することを目的とするものと解される』と述べています。このような電通事件の判旨を根拠に、企業には注意義務、安全配慮義務として労働者の労働時間把握義務があると考えられています。
 そして、重要なのは、このような注意義務、安全配慮義務が必ずしも雇用関係を前提としてなくても認められる余地があるという点です。例えば、鹿島建設・大石塗装事件は、『作業につき、場所、設備、器具類の提供を受け、且つ注文者から直接指揮監督を受け、請負人が組織的、外形的に注文者の一部門の如き密接な関係を有し、請負人の工事実施ついては両者が共有してその安全管理に当たり、請負人の労働者の安全確保のためには、注文者の協力並びに指揮監督が不可欠と考えられ、実質上請負人の使用者たる労働者と注文者との間に、使用者、被使用者の関係と同視できるような経済的、社会的関係が認められる場合には注文者は請負人の雇傭契約上の安全保証義務と同一内容の義務を負担するものと考えるのが相当である』 と述べ、直接の雇用関係にない元請負人について、下請け企業の労働者に対する安全配慮義務を認めています。」

 この判例にしたがえば、コンビニ本社はフランチャイズオーナーに対して安全配慮義務があります。オーナーの店舗運営の “力量” に任せるということにはなりません。

 現在の状況はどうなっているでしょうか。
「業務委託や請負が増加している原因については、現代における就業形態の多様性・専門化が挙げられることも多いのですが、実際は人件費削減、生産変動への対応などが動機となり、実質的にはどうみても雇用であるケースも少なくありません。」
「雇用契約が存在しなくとも、使用者、被使用者の関係と同視できるような経済的、社会的関係が認められる場合には、労働時間把握義務は認められる余地があります。」
「また、企業は経済的依存関係・従属関係がある労働者を用いて利益を上げている以上、労働者の健康にたいして何らかの責任を負うべきでしょう。」

 そのうえで警鐘を鳴らしています。
「私が弁護士になった10年前から、労働者概念を狭めようとする動きは活発にありました。・・・近時の働きかた改革等、多様な働き方を推奨する傾向に対しては、法が定める労働者保護を潜脱する危険性があると考えています。
 労働者性概念の変容は労働時間概念の変容であり、その結果、企業の労働時間把握義務の変容につながる危険性があります。」


 「働き方改革」 は、長時間労働などの無法状態に制限を加えるなどといわれますが、その一方で、裁量労働、変形労働時間制度、高度プロフェッショナル制度などの無法状態を容認します。同時に 「労働者性」 の概念の解釈は狭められつつあります。
 そしてフランチャイズ契約においては対等の関係を標榜して、オーナー等を保護する規制はありません。

 「ファミリーマート加盟店ユニオン」 等はそれらの問題を指摘してきました。労働委員会では救済されなかった切実な問題が、現場のオーナーの実力行使で世論を喚起し、支持を獲得して解決の端緒をつくることができました。その結果、通産省も動かざるを得ませんでした。しかし法を整備してオーナー等の健康を保持し、労働に見合った経済的自立・保障を獲得するにはまだまだです。
 ますます格差を拡大する「働き方改革」「働かせ方改革」を、労働者のための本物の「働き方改革」に変えさせていかなければなりません。

 「活動報告」 2019.3.1
 「活動報告」 2019.1.8
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「自分も休んでいるから」 他人に 「働け」 とは言わない
2019/01/08(Tue)
 1月8日 (火)

 お正月らしくないお正月でした。
 門松を立てる家も少なく、道行く人も普段着です。街では営業している店舗はぐっと減っています。しかも例年と比べて休業期間が長いです。これも 「働き方改革」 なのでしょうか。でも不自由したという話は聞きません。時代が変化しています。

 かつて、お正月に店舗は2日か3日まで閉めていました。職人や農家の人たちは7日もしくは15日まで休みました。それ以前に働き始めると怪我をするといわれました。
 70年代まではほとんどの百貨店が午後6時までの営業で週1回の定休日がありました。そして商店街の小売店とは共存していました。しかしスーパーが出現して競合するようになると、売り上げを伸ばすために営業時間が延長されてきました。他店に顧客を奪われるのを防止するために定休日がなくなりました。まもなく地域の小売店街はシャッター通りになってしまいました。

 時代が大きく変わったのはいつからでしょうか。
 スーパーが元日営業を始めたのは1996年からです。1つは、バブル経済が崩壊したなかで売り上げを伸ばすための戦略です。2つ目は、コンビニに顧客を奪われないためです。休業するとその分の売り上げだけでなく、その後に平日の状況に戻すのに数日かかるといわれます。それを回避するためでもあります。
 元旦に出勤する社員、パートには一律1万円の手当が支給されました。しかし出勤が当たり前と位置づけられた段階で廃止です。
 元日営業はさまざまなところに影響します。市場が休みのなかで上手に保存した野菜を販売します。豆腐など賞味期限が短い日配品などの製造会社は大晦日も稼働しなければなりません。それを運送会社が引き継ぎます。大手ハム製造会社は元日営業、それに続いたゴールデンウィーク、お盆の全日営業などの影響で年間休日が、徐々にですが、10日間減ったといいます。その回復はまだされていません。

 まもなくお正月期間は売れる商品は限られている、採算が合わないことに気が付きます。しかしいったん始めたものを止めるのは大変です。
 2010年前後から正月営業を止めるスーパーも出てきました。そして最近は、「採算が合わない」 そして 「労働力が集まらない」 という理由から休日を増やしたり、深夜営業を止める外食産業なども増えています。労働力を集めるためには時給を集まる額まで上げなければなりません。


 17年1月20日の 「活動報告」 のコピーです。
 デパートや外食産業では人材不足から営業時間を短縮する動きがあります。
 高島屋や三越伊勢丹ホールディングスは16年から一部の店舗や売り場の営業時間を短くしています。さらに三越伊勢丹ホールディングスは年末年始の休業を現在の2日ら来年は3日にする予定だといいます。「最高の状態で働いていれば、最高のおもてなしができる」 という考えだと説明していますが実際は収益が悪化していることが理由です。
 16年11月、全国223店舗を展開するロイヤルホストは今年1月までに24時間営業をやめることを決めました。早朝や深夜の営業短縮も進めており、定休日も導入を検討していく方針です。理由は、人手不足で賃金が上がり、売上高がコストに見合わなくなってきているためです。人が集まらない中で無理に営業すれると従業員に長時間労働を強いることにもなります。生活習慣の変化で、深夜の利用客が減っている事情もあります。
 その分、来客が多い昼や夕食の時間帯の人数を手厚く配置したほうが、より充実したサービスができるようになるという説明です。ロイヤルホストは16年の春闘でインターバルを導入させました。逆にいうとそれくらい長時間労働があったということにもなります。
 長時間労働の問題はサービス業界でも避けられない課題になっています。

 店舗運営で売り上げ・数字をすべての判断基準にすると労働者の生活、健康は後回しになります。労働者は日常生活、社会生活を奪われました。元日休業を含めて休日が増えた理由は、売上高が採算に合わないのと人手不足です。いかにも労働者のことも考えてのことのようにいわれますが、後から付け加えられた者です。
 労働者・労働組合からの要請ではありません。しかし結果として、労働者の満足度は高くなりました。企業は、意欲向上につながることを期待します。


 営業時間が延期された原因には、利用者の生活サイクルの変化がありました。労働者は長時間労働になると夕方の買い物ができなくなります。そのような労働者の顧客を獲得するために営業時間を延期します。
 その結果は、利用者が買い物をしたい時に買えるような営業時間になり、便利と評価されるようになりました。そして便利が当たり前の感覚になっていきます。コンビニの品ぞろえが豊富になりました。外食産業も同じです。社会全体の生活スタイルでの計画性が奪われ、他の労働者への “思いやり” の感性も失われています。利用者の長時間労働が販売員の長時間労働を生み出す結果をもたらしました。労働者同士の共食いです。
 営業時間が延期された分、売り上げが増える訳ではありません。しわ寄せは労働者の賃金です。正規職員のサービス残業と非正規労働者によって維持されました。コンビニでは外国人労働者の採用が増えています。


 では今年はどうだったでしょうか。18年12月28日のFNN.JPプライムオンラインのコピーは 「ついにコンビニまで・・・広がる 『元日休業』 の動き どんなメリットがあるのか? 」です。
 「これまで 『年中無休』 が当たり前だった外食チェーンやスーパーマーケットなどで、元日休業の動きが広がっている。
 関東地方を中心におよそ300店舗を展開するスーパーマルエツは、23年ぶりに1月1日を休業にする。京急ストアも10年ぶりに元日を休業にする。外食チェーンでは、およそ1年前に大晦日と元日を80店舗以上、休業とした大戸屋が、今回も大晦日と元日を休みにすると発表。
 人材不足が叫ばれる中、元日休業のメリットとデメリットはどこにあるか検証する。
  『幸楽苑』 は創業以来初 8割の店舗を大晦日の午後から休業
ラーメンチェーンの 『幸楽苑』 は、今回、およそ520店舗中、8割のお店を大晦日の午後3時から休業にする。創業64年で初めての試みだという。
 幸楽苑ホールディングスは 『2億円弱見込まれる売り上げよりも、スタッフの士気を優先する事で、お客様に対するサービス向上に努めてまいります』 と話す。
 今年の元日を休みにしたロイヤルホストは、来年も元日は休みにするという。
  スーパーでは元日と2日が休みの動きも
こうした動きは、スーパーマーケットにも拡大。
 成城石井は、今年に続いて来年も元日を休業にする予定で、店舗数はおよそ1.5倍の127店舗に拡大する。
 さらに、休業が元日だけにとどまらないスーパーも出てきた。もともと、元日が休みだったサミットは1月2日を休業にし、3日からの営業を予定している。
 サービスを利用する客側の意見を聞いてみると 『元日はみんな休むべきだと思います。そこまでして働いてもね~っていう。』 『どちらかというと賛成。私も飲食店で働いているのでちょっと休みたいなっていうのが正直な感想』 という歓迎の声の一方で、『サービス業が休むと困る』 『全部休まれちゃうと、こっちが休めなくなっちゃうから』 と心配の声もあがった。また、中には 『昔は3日間お休みでしたからね、(福袋の販売も) 4日早朝から。』 という声も聞かれた。
  『元日休業』の波、ついにコンビニまで・・・
 広がる元日の休業の動きは、ついには、365日24時間営業がウリのコンビニチェーンにまで広がっている。北海道では、コンビニエンスストアのセイコーマートでも元日休業を導入。ただ、同じエリアの店がすべて休業にならない配慮をして1193店舗中、671店舗で休みにするという。
 ただ、狙いは店員の負担軽減だけではない。
 セイコーマート広報室佐々木威知部長によると 『休むお店が多くなりますと当然、配送するドライバーさんもお休みできますし、総菜だとかサンドイッチを製造する工場の従業員も全員ではありませんけどもお休みが取れます』 とメリットを話す。
 また、流通業では、福山通運が3が日休業、佐川急便が元日の発送業務を休止するという。」


 17年1月20日の 「活動報告」 の再録です。
 16年11月22日の東洋経済に載ったドイツ在住のフリーライター雨宮紫苑さんの寄稿「日本の過剰労働は、『お客様』 の暴走が原因だ 理不尽な要求にノーといえる文化を作ろう」です。
「ブラック企業をなくしたいなら、社員にまともな賃金を払っている、適切な労働時間を働かせていることによって生じる不便さに寛容でないと。『土日休みなんで納品までにもっと時間かかります』 『定時過ぎたんで会社もう閉めました』 と言われて文句言う人は、言ってみれば 『ブラック市民』 ですよ。・・・
 日本のサービスは、『おもてなし』 という言葉で表される。大辞泉によれば、『もて成す』 とは、『心をこめて客の世話をする』 ことを意味する。しかし、心を込めて客の世話をするという意味を、現在は一方的な奉仕をすると理解され、『お客様は神様』 の状況になっている。客の立場が異常に高く、サービス提供者がへりくだるという、歪んだ関係だ。
 ・・・つまり 『おもてなし』 とは、まず客を思いやる気持ちがあり、客もその厚意を感じて感謝する、『互いに心地よくなるための心遣い』 であったということだ。『おもてなし』 が 『互いが心地よくなるための心遣い』 であったことを考えると、現在の不平等な客とサービス提供者の関係は、その精神とは真逆に位置している。・・・
 ブラック企業をなくすためには、そういった悪意のない 『ブラック客』 の意識改革が必要だ。
 『ブラック客』 の目を覚まさせるためのいちばん有効な手は、サービス提供者がノーをたたきつけることだろう。欧米では、過剰なサービスを要求する客を、『客ではない』 と店が拒否する。
 筆者が住むドイツでは、閉店法という法律により、店の営業時間が規制されている。キリスト教では日曜日が安息日と定められているので、『日曜、祝日は閉店』 が基本だ。また、労働者の休息時間を守り、小売店の営業時間延長による競争を阻止するため、『月曜日から土曜日までの小売店の営業時間は、6時から20時』 という決まりが守られていた。
 ただ、2006年には、閉店法の権限が国から州に移り、その後は各州で規制緩和が続いた。現在は16の州のうち、9つの州が月曜から土曜、3つの州が月曜から金曜の24時間営業を認め、14の州が年4回、またはそれ以上の日曜日の営業を認めた。しかし、法律改正後、ドイツ人は喜んで、店の営業時間を長くしたかというと、そうではない。今でも多くの店で、24時間営業や日曜営業は行っていない。フランクフルト中央駅には、スーパーとパン屋が合計17店舗入っているが、24時間営業しているのは、2軒のパン屋だけだ。
 フランクフルトの中心街にある、ドイツの2大デパートのうちのひとつKaufhofは、月~水が9時半から20時まで、木~土が9時半から21時までで、日曜は休館。もうひとつのKARSTADTは、月~土の10時から20時までの営業で、同じく日曜休館。ショッピングセンターのMyZeil、Skyline Plazaは月~水が10時から20時まで、木~土が10時から21時まで営業、同じく日曜は休みだ。フランクフルトにある4つの巨大商業施設でさえこの営業時間なのだから、あとは推して知るべしだ。日曜や深夜にどうしても食料品が必要になったら、大きい駅の構内の店か、閉店法の規制から外されているガソリンスタンドに行くしかない。
 一見不便に思うだろうが、ドイツ人は深夜や日曜に買い物をする習慣がないので、大して気にしていない。『なぜドイツ人は店が閉まっていても気にしないのか』 といえば、『自分も休んでいるから』 の一言に尽きる。ドイツには 『深夜や日曜日は休むべき』 という価値観が前提としてあり、自分自身が休んでいるのだから、他人に 『働け』 とは言わない。店が閉まっているのなら、前日に食料品を買って家でのんびりしていればいいのだ。
 それでも 『店を開けろ』 『働け』 という客には、はっきりとNOを突き付ける。ドイツだけでなく、欧米では客にNOと言うことが許される。だから対等な立場でいられるのだ。客の要求を拒否することは、サービスの質を下げることではない。労働者を守るために必要なのだ
 日本の 『お客様』 は、自分の立場が上で、過剰なサービスも当然だと思ってしまっている。・・・客がサービスに感謝し、サービス提供者の目線に立つことができて初めて、日本ご自慢の本当の意味での 『おもてなし』 になる。客が相手を思いやる気持ちを持てれば、労働環境も少しはマシになるだろう。」
 ドイツはこれでもかなり “緩和” されました。

 長時間労働の改善は経営者の都合では悪循環をもたらします。労働者の生活時間の確保、健康の維持の要求にこたえ、お互いへの思いやりを社会運動として進める中から実現させていくことが大切です。

 「活動報告」 2017.1.20
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